Thursday, January 14, 2010

Wrap-up PA&Law

PA&Lawの全日程終了。来週火曜日提出のwriting exerciseが残っているが、とりあえず、ほっと一息。

今週は、話がより具体的になって、アメリカ固有のテーマが増えたせいか、Crane先生のご専門である安全保障関連の話が増えたせいか、はたまた、Craneおじさんのハイテンションな話し方に若干の飽きが来たせいか――単純に僕のモチベーションの問題という説もある――最初の5日間に比べると、授業への入れ込み度合いが幾分下がっていた気がする。とはいえ、全体を通して見れば、2週間という短期間で、アメリカの法制度を一応一通り学ぶことができたわけで、大変効果的かつ効率的なコースだったと言える。

一通り受講し終えてみて思うのは、アメリカの政策というのは、「連邦-州」間、「立法-行政-司法」間で繰り広げられる、本気のpower gameの中で生み出されてきたものだということ。「本気」というのがポイントで、そこには、「予定調和」も「落とし所」もへったくれもない。

各主体は、自らの“power”の確保を第一目標に掲げて行動しているだけで、必ずしも全体の利益を考えて動いているわけではないが、“power”と“power”の相克が絶えざる緊張関係を生み出し、結果的に見れば、特定の方向への政策の「行き過ぎ」を、(中長期的には)回避できるシステムになっている。

逆に言えば、短期的には、ときに極めて非効率にしか機能しえないシステムだとも言える。Hurricane Katrinaへの対応なんかは、その最たる例だろう。言うまでもなく、すべての物事には良い面と悪い面があるわけで、問題は、何を選んで何を捨てるかということだ。瞬発的な効率性を犠牲にしてでも、「一個の人間」、「一個の主体」に、過度の期待を寄せることを避け、相互監視・権力分散を徹底するやり方は、ある意味、すごくアメリカらしいなと思う。繰り返すが、それが「良い」か「悪い」かではなく、単純に、「アメリカらしい」な、と。

同じく良いか悪いかは別にして、日本の権力構造は、アメリカのそれに比べれば圧倒的に、「中央政府の行政府」に寄っかかっている。昨今、「政対官」の話題は絶えないが、その文脈で言われるところの「政」は、普通、行政府に入った「政治家」のことを言っているのであって、所詮は行政府内部の話である。「行政府vs立法府」という話をしているわけではない(と少なくとも僕は理解している)。日本の場合、省庁間の権限争いが、ある意味での「緊張状態」を生みだし、政策の「行き過ぎ」を防ぐ機能を担ってきたのではないかという気さえする。

アメリカほど強力なものではないにしても、権力構造のどこかに、本気の「緊張関係」をbuilt-inしておくことは、政策の「行き過ぎ」を防ぐ上で極めて重要。この先の日本では、どことどことの対立軸が、その役割を果たしていくことになるのだろうか…。
Starbucks, Fayetteville, NY, Jan 14, 17:05

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