Tuesday, March 31, 2009

April without Cherry

今日で3月も終わり。日本では明日から (日本時間では既に今日から) 新学期ですが、アメリカはもちろん、いつもどおり。サクラも花粉症もなく、卒業式も入社式もない春というのは、なんだかちょっと味気ないもんです。

僕の籍がある(はずの)東京の某組織にも、明日、新入職員が入ってきます。ここに来る前、僕自身が彼らの採用に携わっていたこともあって、ちょっと特別な思いもあり、昨日は、彼ら宛てのメールを書いてみました。えらく長々と書いてしまったので、何人が最後までたどり着いてくれたか心配ではありますが…汗。ともあれ、彼らには本当に頑張ってほしいなと思います。東京で、一緒にお祝いできなくてゴメンなさい。

さて、今週の僕はというと、"Economics on Science & Technology" の二回目のtake home exam と格闘中。金曜日夕方が期限なので、今週は、授業に出ている以外は、ほぼこの課題にかかりきりになりそう。

この留学期間中、基本的に成績にはこだわらない、ということにしているんですが(目標が低くてスイマセン)、そうは言っても、学期に一つくらいは、良い成績を取りたいもの。それに加えて、"Economics on Science & Technology" を担当しているPopp先生(←技術政策と環境経済学が専門)とは、今学期終了後も繋がりをキープしておきたいという思いもあり、この授業の課題には、いつも以上に頑張って取り組もうと思っています(Historyのクラスの課題の時みたいに文句ぶーぶー言わずに。。。)。

というわけで、またしばらく忙しい日が続きそうですが、残り1か月となった春学期も、楽しみつつ、有意義に過ごしたいと思います。
Maxwell School, Syracuse, Mar 31, 19:43

Monday, March 30, 2009

Ice Saints

寒の戻りで久々に氷点下まで気温が下がった今日のSyracuse。車で6時間離れた(いちおう)同じ州のWall Streetでは、最近少しばかり好調だった株価が、こちらも久々に大きく下落。理由は明らかで今日、Obama大統領が、GMとChryslerに復興プラン練り直しを求めたから。各社の報道はニュートラルなトーン。そりゃ政権としても、AIGのときにあれだけ騒がれたら、「はい、そうですか」といって、すんなり再建案を通すわけにはいかないですよね・・・。
  
練り直しのために、GMには60日、Chryslerには30日の猶予が与えられたとのこと。Chryslerには、「伊Fiat社との提携をまとめてこないと助けてやんないよ」という厳しい条件付き。新聞には、「倒産(bankrupcy)も選択肢のうちか」といった見出しもちらほら出ています。一ヶ月後、どうなってしまうんだろ…。

景気の悪いニュースと言えば、我が大学の交換留学支援機関(SU生の送り出し & 他大学からの受入れの両方を担当)SU Abroad がfinancial difficulitiesで苦しんでいるとのこと。今日の校内紙The Daily Orangeの一面に出ていました。 同部門だけで、既に$1 million 以上の負債を抱えちゃっているとか(こらこら)。他大学からの留学生の激減(昨年度比1.5割減)が響いているそうです。

Chryslerも心配ですが、うちの大学も大丈夫でしょうか…(やばいのは、きっとSU Abroadだけじゃないはず。。)
Maxwell School, Syracuse, Mar 30, 23:19

Saturday, March 28, 2009

Sorrows of Economists

池田信夫氏が、自身のblogに面白いことを書いている。
総じて主流の経済学者は制度設計に重点を置き、マクロ政策の効果には否定的だ。裁量的な政策を支持するのは政治的な立場を背負った経済学者が多く、「何かやらないと政治的にまずい」という政権からの要請が影響しているものと思われる。オバマ政権の巨額の財政政策には批判的な意見のほうが多く、FRBの非伝統的政策についても効果は限定的だという意見が多い。「ケインズが復活した」という表現は政治的には正しいが、学問的には正しくない。この30年間に経済学は進歩し、政府の裁量的な介入は有害無益だというコンセンサスが世界的に成立しているのだ。
個人的に(あくまで個人的に)、この意見には賛成だが、厳密に言うと、最後の一文は「コンセンサスが経済学者の間では世界的に成立している」と修正する必要があるだろう。経済学者の間では、議論の一応の収束化が図られつつあように見えるが、「何かやらないと政治的にまずい」という政治的風潮は、世界中どの国を見ても変化の兆しさえなく、両者のギャップは広がるばかりだ。
  
ここアメリカでも同様のことが起こっている。このblogでもときどき紹介しているMankiw氏は、自身のblogで、政権の裁量的な財政政策を批判し続けているし、その彼のblogは、相当数のアクセス数を記録している(それだけたくさんの人が読んでいる)が、だからと言って、彼の意見が現政権の経済政策に、実質的な影響を与えているとは思えない。
  
こういう様子を見ていると、「政治」との力関係において、「政策」って何なんだろう、「経済学」って何なんだろう、という虚しさを覚えないわけでもない。僕自身、(たとえばこの回と比べて)言っていることが振れているのは自覚してるんだけど…。
Maxwell School, Syracuse, Mar 28, 16:22

Top 10 Think Tanks in US

最近は、週末ごとのお出かけが続いてましたが、今週末は、久々におとなしくSyracuseで過ごしてます。やらないといけないことは、いろいろ溜まっていますが、ちょっと一息。。。

バスケットのNCAAトーナメント、今晩、3回戦があって、我がSUは、71-84で、オクラホマ大に負けちゃいました。ざーんねん。脳天気に、もうちょっと勝ち進んでくれるかなぁと思ってたので、今日は試合も観てなかったんですが…。盛り上がり損ねてしまいました(←動機がフジュン)。来年に期待。

今日は、いつかネタ切れ(笑)したときに書こうと思っていたネタを。半分、自分の勉強用なので、たぶんあんまり面白くありません。ご容赦を。

皆さんご存じのとおり(かどうか知りませんが)、アメリカでは、「シンクタンク」と呼ばれるお仕事の人たちが跋扈しています。政治家や役人が、政府の高官ポストを退いた後、シンクタンクに移り、次なる政権入りの機会をうかがう、なんてこともしばしば。日本にもいちおう「シンクタンク」と呼ばれる機関はありますが(とか言うと、日本のシンクタンクの方に怒られますが)、その財力、分析力、発信力、そして何より政治力といった面で、日本のそれとはだいぶ違っているみたいです。

授業でもメディアでも日常会話でも、有名シンクタンクの名前はしょっちゅう出てくるんですが、BrookingsとかHeritageといった超有名どころは何となくわかっても、業界の全体像がこれまであんまりよく見えてなかったので、ネタ切れ(!!)したのをいいことに、今日は、シンクタンクについて、お勉強してみたいと思います。
 

左の表は、Extra! という雑誌のweb版記事から拝借してきたもの。ABC、CBS、NBC、Fox News,、CNN,、MSNBCなど米有名メディアで言及された回数をもとに、シンクタンクをランキング付けしています。
 
今日は、このうち、1位から3位までを(例によってwikipediaさんのお力を借りつつ)紹介します。


Brookings Institution
DCの繁華街、Dupont Circle近くに位置するBrookings Institutionは、経済、都市政策、政治、外交、国際経済、開発など、幅広い分野をカバーするシンクタンク。ミッションは、"provide innovative and practical recommendations that advance three broad goals: strengthen American democracy; foster the economic and social welfare, security and opportunity of all Americans; and secure a more open, safe, prosperous and cooperative international system." wikipediaによると、「"non-partisan"を自称しているが、近年、メディアからは"liberal"だとみなされているとのこと」。確かに、アメリカでの一般認識は、Brookings = liberal ≒民主党系 ですね。メリーランド出身の実業家 Robert Brookingsさんが1916年に設立したのが始まり。ワシントン最古参シンクタンクの一つ。

■ Council on Foreign Relations(CFR
日本語では「外交問題評議会」と訳される、その名の通り、外交問題に特化したnon-partisanシンクタンク。本拠はNYC。外交専門誌 "Foreign Affairs" の発行機関としても有名。「会員はアメリカ政府関係者、公的機関、議会、国際金融機関、大企業、大学、コンサルティング・ファーム等に多数存在する。知名度が高く、影響力が大きいことで知られる。」(by 日本語版wikipedia) 田中宇氏に言わせると、"アメリカの外交政策決定の「奥の院」"。 実際、「陰謀論」的な噂には事欠かないようです(日本語版wikiにもその辺、ちょっと書かれてます)。大統領Woodrow Wilsonの私的諮問機関として学識経験者が招集されたのが始まり。恒久的な機関としての設立は1921年。その創設以来、Morgan家及びRockefeller家とのかかわりが深い、とも。(by 英語版wikipedia

■ American Enterprise Institute for Public Policy Research (AEI)
1943年創設の保守系シンクタンク。ミッションは、"to defend the principles and improve the institutions of American freedom and democratic capitalism — limited government, private enterprise, individual liberty and responsibility, vigilant and effective defense and foreign policies, politic alaccountability, and open debate" 英語版wikipediaによると、ブッシュ(子)政権の屋台骨を支えたシンクタンクの一つ。「左」代表のBrookingsの「右側カウンターパート」とみなされることも多い。とはいえ両機関によるコラボレーションもときどき行われているみたいですが。ちなみに、AEIの現在の代表(President)Arthur Brooksは、去年の12月まで、Maxwellで教鞭をとっていた先生。直接習ったことはないですが、Maxwellでは超有名な名物教授でした。

というわけで、また今度ネタが切れたときに、4位以降の続きを書きます。10位くらいまでは、勉強しておきたいなと思っています。
my home, Syracuse, Mar 27, 25:30

Friday, March 27, 2009

"South Park" Explains The Bailouts

"History of International Relations" のレポート課題に苦戦中。 "The Global Diffusion of Markets and Democracy" という、おととし出た本を読んで、12ページのレポートを書くというのが宿題。「20世紀終盤に世界中の国で見られた市場主義化及び民主主義化の進行は、各国政府独自の判断によって起こったというよりも、国際社会からのさまざまな影響を受けて起こったという側面が強い」という直感的に言って「まぁ、そうだろうねぇ」と思える命題を、ひたすら数理的に実証していくという内容の本。確かにやっていることはスゴいんだろうけど、僕には有難さがよくわからなくて、読んでいると、5分に一回くらい"So what!?"と思ってしまい、10分に一回くらい、無性に「何の役に立つのか教えてくれ~」と叫びたくなり、15分に一回、睡魔に襲われます…。何とか6ページ目までレポートを書き進めましたが、ほんと、苦痛でなりません…。

Maxwell のMPA officeとIR officeの間には、両コース共有(MPAが使ってるのは見たことないけど、たぶん共有)の、ガラス張りの(水槽みたいな)教室があって、その窓際に、世界各国の国旗の小旗が並んでいます。今日、帰り際、ぼーーっとその教室の前を歩いてたら、小旗群の中に、Tibetの旗があるのを発見。うーん、これって大丈夫なんだろうか。。。ま、巻きこまれると大変そうなので、誰にも言わずに、そぉーっとしておきます(←ってblogに書いてるし)。

ブラックな風刺マンガでおなじみ(?)の"South Park"。昨日(25日)の放送では、昨今の経済問題が取り上げられていたとのこと。そのうちの一編がネットに上がっていました。面白いかというと、うーん、イマイチひねりが足りない気がするんだけど…(去年の10月くらいに見てたら面白かったかも。)。心臓の弱い方はご注意ください(ってほどのこともないか。)

my home, Syracuse, Mar 26, 26:00

Thursday, March 26, 2009

Disclosure of Climate Change Risks of Insurances

先週火曜日(17日)の出来事ですが、The National Association of Insurance Commissioners (NAIC 全米保険理事協会)は、アメリカの保険会社に、気候変動リスクの情報開示を義務付ける決定を下したそうです。アメリカ国内で営業する年間保険料5億ドル以上のすべての保険会社が対象で、今年以降、毎年、気候変動問題に起因する金融リスク(the financial risks they face from climate change)と当該リスクへの対応措置(actions the companies are taking to respond to those risks)に関する情報を取りまとめ、各州の監督機関に提出することが義務付けられるとのこと。初年度(2009年度)分の提出期限は2010年5月1日。

Business Insurance紙(web版)によると、監督機関と消費者団体はこの方針を支持、保険会社の間では、賛否が分かれていたとのこと。数か月に及ぶ議論の結果、推進派から出されていた、「会社トップが当該開示情報に署名するとともに、当該開示情報を保険会社の年次会計報告の一部とする」という提案(proposals that would have required top executives to attest to the information and file it as part of an insurer's annual statement)を取り下げることで、妥協が成立したそうです。この妥協の意味するところは、おそらく、「気候変動に関する開示情報の中に虚偽の内容があったとしても、自動的に当該企業トップの責任が問われることにはならない」ということでしょう。

以下、関係者のコメント:

"Today's vote is a wake-up call about the vast challenges climate change poses for the insurance industry and the overall global economy"
―環境保護ネットワーク Ceres 代表 Mindy S. Lubber氏―
※ Ceres(セリーズと発音)は、ボストンに本拠を置く、環境保護ネットワーク。同団体のサイトによると、設立趣旨は、Integrating sustainability into capital markets for the health of the planet and its people.
   
"One painful lesson of the current economic meltdown is the need for increased attention to corporate risk management. These disclosure requirements will finally create consistent and comparable information for investors to determine the real steps insurers have taken to assess important risks."
―カリフォルニア州教員年金組合代表 Ehnes氏―
※※カリフォルニア州教員年金組合は、全米で2番目に大きい公的年金基金。
   
Uncertainties in climate science and related modeling capability suggest it is "premature and inappropriate at this time" to seek substantive information from insurers' answers
―the Property Casualty Insurers Assn. of America David Kodama氏―
  
非常に大きな一歩だと思うんですが、確かにProperty Casualty保険業協会のおじさんが指摘している通り(inappropriate at this timeかどうかは別にして)、ちょっと考えてみただけでもリスク算定がとても難しそうなのは事実。どうやって客観性を担保するかが次なる課題。Ceresは、その辺の基準作りなんかにも参画していくんだろうか。
my home, Syracuse, Mar 25, 26:39

Wednesday, March 25, 2009

Will the Geithner Plan Work?

先週のアメリカメディアを席巻した、「ボーナス返せ、こら」問題(残念ながら、こちらのメディアを席巻していたのはWBCではありません)は、大統領の「慎重に検討しようね」発言もあり、ようやく水入りモードに。下院を通過した法案 (政府支援を受けた金融機関の社員で一定以上の所得がある人に対しては、受け取ったボーナスに税率90%の税金を遡って課す、というもの)は、いま、上院で揉まれていますが、今週に入ってからは、マスコミ報道の中にも、「AIGのやったこと(=政府支援を受け取っておいて多額のボーナス支給)には確かにムカつくけど、だからといって、ここまでやっちゃったら、法治国家としてちょっと…だよね」というムードが漂い始めていて(誰かが漂わせてる??)、なんとなく、当初の法案ではない別の落とし所を、みんなで探してる感じがします。

この問題に追われていた財務長官ガイトナー君ですが、昨日、ようやく本業に戻って、金融機関復興プランの詳細を発表。これが市場に好感されて、月曜日のNYは株価も回復。
  
web上では、blogでおなじみのMankiwさんや、ノーベル賞学者Krugmanさんはじめ、経済学者の皆さんが、このガイトナープランをめぐって議論を始めています。NYtimesのサイトには、Will the Geithner Plan Work? と題したコーナーが立てられていて、4人の経済学者によるディスカッションがリアルタイムで更新されていたり。時間がなくて、フォローしきれないのが非常に残念です。
my home, Syracuse, Mar 24, 27:38

Tuesday, March 24, 2009

World Beaters

☆祝!! 日本代表、WBC優勝☆ 「何でそこまでダルビッシュにこだわるのか?」とか、「ていうか9回も杉内続投でよかったんじゃん??」とか、原采配には、言いたいことがないわけではないですが(…)、この際何も言いますまい(←既に言ってる。。) 何はともあれ、V2はスゴい!! MVPは前回大会に続いて松坂が受賞しましたが、決勝戦のヒーローは、何といってもイチロー。「ここで打ったら出来過ぎやろ」と言いなが見てたら、きっちりタイムリーを放ってしまうイチローに感動。あれだけ苦しんでも最後に持って行ってしまうあたり、やっぱりスゴい選手です。
日韓の呉越同舟観戦企画は諸事情により流れ(別にケンカしたわけではないのでご安心を)、日本人のYさんと一緒に男二人で観戦(途中からはEちゃんもjoin)。その空間だけ、完全に「ちっちゃな日本」が出来上がっていました(笑) やっぱ野球っていいですね~。奥さんにバレるとまずいのであまり大きな声では言えませんが、勝利の瞬間、勢いあまって日本代表ユニフォームを注文しちゃいました。関係者の皆さん、黙っておいてください…。

これでようやく、睡眠不足からも解放されます(笑) 皆さん、お疲れ様でした。そして改めて、Congratulations, team Japan!!!
my home, Syracuse, Mar 23, 27:35

Monday, March 23, 2009

A.R.R.A. in EPA

うちの大学、毎日夕方6時になったら、どこからともなく(チャペルから?)、鐘の音が聞こえてきます。この鐘、鐘のクセに(!!)、単なる「からんころん」では飽き足りないらしく、いろんな曲に挑戦するのが趣味。音階が足りなくてようわからんメロディになりながらも、毎日、新しい楽曲に挑戦し続けています。今日も6時前にコーヒーを買いに出たら鐘の音が。いつもながら変ちくりんなメロディー。でもどっかで聴いたことある。なんだっけこれ? うーーん、うーーーーーーーん。あ、Yellow Submarineだっ!!(鐘で弾いてもわからんっつの!!) 
 
きのう届いたUSEPA(United States Environmental Protection Agency。アメリカ環境保護庁)のメルマガの中に、「A.R.R.A.(the American Recovery and Reinvestment Act of 2009。略して“Recovery Act”。 2月に通った例の景気刺激法案)、はじめました」という記事が。というわけで、今日は遅ればせながら、A.R.R.A.のUSEPA担当部分をレビュー。
 
USEPAのサイトによると、総額$787 billionのA.R.R.A.予算のうち、EPAが担当するのは100分の一弱の$7.22 billion。それでも7000億円超ですから、相当の額といえば相当の額。中身はというと;

  • Clean Water State Revolving Fund and Drinking Water State Revolving Fund: $4 billion for assistance to help communities with water quality and wastewater infrastructure needs and $2 billion for drinking water infrastructure needs. A portion of the funding will be targeted toward green infrastructure, water and energy efficiency, and environmentally innovative projects.
  • Brownfields: $100 million for competitive grants to evaluate and clean up former industrial and commercial sites.
  • Diesel Emissions Reduction: $300 million for grants and loans to help regional, state and local governments, tribal agencies, and non-profit organizations with projects that reduce diesel emissions.
  • Superfund Hazardous Waste Cleanup: $600 million for the cleanup of hazardous sites.
  • Leaking Underground Storage Tanks: $200 million for cleanup of petroleum leaks from underground storage tanks.
排水浄化施設&上水道整備に40億ドル、ディーゼル排ガス対策に300万ドル、その他、土壌汚染関係で、ブランフィールド対策に100万ドル、有害廃棄物汚染フィールドの浄化に600万ドル、地下貯油槽からの油漏れ対策に200万ドル、というわけで、オーソドックスというか骨太というか、とにかく正攻法だなぁという感じがします(個人的には、こういうの好きです)。直感的には、どれもそれなりに雇用を生み出してくれそうですし、土壌関係は、うまく使えば潜在成長率の改善にも寄与するはず(←土地が有り余ってるこの国では、日本ほどではないのかもしれませんが)。

額が突出しているClean Water State Revolving Fund and Drinking Water State Revolving Fundのうちの、Clean Waterの方、つまりClean Water State Revolving Fund (CWSRF) について、もう少し詳しく観察。この制度自身は、1987年に始まり、毎年$5 billion以上を支出てきたもの。対象は、wastewater treatment(排水処理)、nonpoint source pollution control(面源対策)、 watershed and estuary management(流域・河口管理)で、EPAから各州政府にお金を配った後、州から各主体(自治体、コミュニティ、農家、家主、事業者、NPO)に低利で貸し出すという仕組み。融資を受けるには、EPAの定める基準(water efficiency、energy efficiencyなど)を満たしている必要があります。自治体も個人も、おんなじ枠組みで融資しちゃうってのがアメリカっぽいですね。日本ではあんまり見かけません(と書いておいて、実際、日本にもあったら恥ずかしいけど。)。
  
日米の環境省/庁に共通して言えるのは、温暖化対策の要となるエネルギー対策の部分は、かなりの程度、資源エネルギー庁/Department of Energyに持っていかれてるということ。今回のRecovery Actでも、温暖化対策部分が、“Green Stimulus” なんて呼ばれてクローズアップされていましたが、それらは全部、DoEの予算。まぁ、それ自体は仕方ないというか、当然のことなんですが、じゃぁそういう状況の中、政府全体の温暖化対策を進めるために、EPAはどういう役割を果たしているのか、という点は気になります。そんな(環境屋なら)誰もが関心持ちそうな問題、いまさら問題提起しとらんと、とっとと調べんかい、という話なんですが(苦笑)

さて、今日はいよいよWBC決勝戦。日本人と韓国人以外は、相変わらず(いよいよ以て?)全く気にもかけてくれないので、日本人のクラスメイト宅で、前回同様、Koreanチームの皆さんと、仲良く(?)呉越同舟観戦と決め込みます♪

※ 面源(nonpoint source)
工場のように一か所からトバッと排出されるポイント(点源)ではなく、住宅地のように、一つ一つの排出源からのは排出量は小さいが集合体として見ると排出量が結構大きい地域(面源)からの排水対策。ターゲットが拡散しているので、点源より対策を取りにくい。
Maxwell School, Syracuse, Mar 23, 19:22

Sunday, March 22, 2009

How to enjoy our life?

今朝、ハドソン川のほとりを男二人で散歩しながら、「昔は、海外に行くと、アホみたいに興奮したもんだけど、最近はそんなこともなくなってきた」という会話に。
  
Mさんも僕も、帰国子女でも何でもなく、ドメスティックに生まれ育った典型的日本人。二人とも、本格的に海外に出始めたのは大学生の頃から。10年前、初めて海外に出た頃は、海外で見聞きするものの一つ一つに感動していたのが、旅行や仕事でそれなりの数の国を経験するあいだに、だんだん興奮が薄れてきた――と、二人とも、同じような感想を持っていました。最近は、どこに行っても、、だいたいのことが予想の範囲内。「想像を絶するもの」を見聞きする機会がなくなってきた分、心の底から興奮できる機会が減ってきたんだろう、とも。「こうなったらとんでもない秘境にでも行くしかないですかね」なんて冗談(!?)を飛ばし合いながら…。
  
話題は旅行から人生一般の話に。旅行に限らず実生活の場でも、「なるほど、こういうことだったのか!!」とうならされる機会はだんだん減ってきたね、という会話に。Mさんは「実際の経験を通してより、本を通して、何かを掴む機会の方が増えてきたのがちょっと寂しい」とも。
  
僕の場合、留学という経験からは、これまでにない知的興奮をたくさん得られていて、いまこの瞬間は非常に満足できています。ただ、帰国後のことも考えると、Mさんの言っていることがよくわかるのも事実。そんな感じで朝の会話を思い出しながら、Syracuseへ向かうバスの中、どうすればこれからの人生も楽しんでいけるかを考えていました。
  
自分にとって、人生を楽しむために大切な要素は、たぶん、刺激
  
これまでの僕は、だいたいいつも、見たり聞いたり(←要はinput)を通して、「刺激」を得てきました。逆に、自分から何かをしかけて――勝負に挑んで――そこから刺激を得るということはあんまりしてこなかった。どっちかというと、そういう「勝つか負けるか」の局面は極力避けてきたようにも思います。
  
inputから得られる刺激が逓減しつつある今、これからも自分の人生を楽しんでいくためには、そろそろ意識的に、勝負をしかけていくべき時期なのかなぁ…なんて思ってみた日曜日の午後でした。
  
それにしても、NY州の道路はヒドすぎます。Greyhound(←バス会社)のバスが古いからということもあるんでしょうが、5時間の道中、縦、横、前後に、揺れる揺れる…。誇張でも皮肉でも何でもなく、Mexico CityからGuanajuatoの道の方がよっぽど快適。この国の人たちは、メキシコをバカにしてる場合じゃありません。まぁ、そんな滅多に使うわけじゃないから、僕にとっては、ホントはどっちでもいいんですけどね~(いいのかよ!!)。
Maxwell School, Syracuse, Mar 22, 22:09  

Saturday, March 21, 2009

March Madness

友人Mさんが出張でNY市に来ているので、一泊で会いに行ってきます。今回は、現地滞在時間20時間弱なので、ほとんど観光はできませんが、9か月ぶりに再会するMさんと、寝る間を惜しんでどっぷり話し込んでこようかと(そして、あわよくば、Mさんをそそのかして一風堂に連れて行こうかと)企んでおります。。。
  
日本では春の高校野球が始まりましたが、この季節のアメリカは、NCAA(全米大学体育協会)主催の大学バスケットボールトーナメントで盛り上がります。Wikipediaさんによると、このトーナメント、アメリカでは大人気で、“March Madness” (3月の狂乱)とも呼ばれるほど。確かに、僕の周りでも盛り上がっている人が多い気が。少なくとも、WBCで盛り上がってる人よりははるかに多いですね(苦笑)
  
全米の各地区リーグから選抜された64校が出場するこの大会。我がSyracuse Universityは、2003年に全米優勝を達成。そのときは大学どころか街を上げて、相当盛り上がったみたいです(←ほぼ伝説)。今年のSUは、地区リーグ(Big East)のトーナメントで準優勝に終わったものの、無事、NCAAトーナメントに選抜され、昨日一回戦を勝ち上がって、明日、アリゾナ州立大との二回戦に臨みます。

まぁ僕自身、そんなにバスケに熱い方ではないんですが(『スラムダンク』、8巻で中断中…) みんなで盛り上がれるネタが転がり込んでくるのは無条件に良いこと(←かなりテキトー)。というわけで、ぼちぼち応援しています。とはいえ、ま、とりあえずは、バスケより野球ですね!! 頑張れ松坂。負けるな岩田!!
Syracuse Airport, Mar 21, 12:42

Friday, March 20, 2009

US Is Open to Carbon Tariff

秋学期に、ある授業のresearch paperでCarbon Tariff について書いたという話はこのblogでも、だいぶ昔(昨年12月18日)に紹介しました。このcarbon tariff、簡単に言うと、「自国と同レベルかそれ以上の温暖化対策をとっていない国からの輸入品には、関税を課す」というもので、去年、上院で廃案となったcap-and-trade法案(いわゆるLieberman-Warner法案)にも、盛り込まれていたものです。
  
正直、4か月前にresearch paperを書いていた頃は、アイデアとしてはあり得ても、実際に導入するのは相当難しいだろうと思っていたんですが、今週、この制度の導入を巡って、米中の閣僚級どうしが、マスコミ経由でやりあっています。

Washington Post紙によると、今週の火曜日、DoE(Department of Energy)のChu長官が、下院での委員会出席に先立ち、
establishing a carbon tariff would help "level the playing field" if other countries haven't imposed greenhouse-gas-reduction mandates similar to the one President Barack Obama plans to implement over the next couple of years.
と語ったとのこと。同記事によると、Obama政権がcarbon tariffについての見解を公に示したのはこれが初めて。

このChu長官発言に対して中国側も反論。中国日報紙によると、ワシントン訪問中の解振華(Zhenhua Xie)国家発展・改革委員会(the National Development and Reform Commission (NDRC))副大臣(前環境保護部大臣)が、
"I oppose using climate change as an excuse to practice trade protectionism,"
と発言したのに加え、先のWashington Postの記事によると、Li Gao NDRC上級交渉官(同じく訪米中)は、
a carbon tariff would be a "disaster," would prompt a trade war and wouldn't be legal under World Trade Organization agreements
と、Dow Jonesに語ったとのこと。

12月18日のエントリーでも書きましたが、carbon tariffがWTOに抵触するかどうかは、最終的に裁定にもちこまないと白黒つかないと思います。環境保護目的など、一定の条件が満たされている場合に加盟国が輸入障壁を設けることを容認する規定(GATT第20条)が、"Process and Production Methods (PPMs)"(製造工程及び製造方法)にまで及ぶかどうか(つまり、製品そのものが環境破壊を引き起こすわけではないが、その製造段階において環境破壊を引き起こしているようなケースもGATT第20条の対象となりうるかとうかと言う問題)については、国際的に、はっきりした結論が出ていないので。
  
もちろん中国は、この問題だけでなく、アメリカの全体的な貿易保護主義化に対して懸念を抱いています。今のところ、Obama大統領はことあるごとに「protectionismには対抗する」という旨のことを言っていますが、実際、どのくらい本気で「対抗」しようとしているのかは不明。先のstimulus packageにも"Buy American"条項が盛り込まれたわけですし…。また、昨今のAIG問題(AIGをはじめとする政府支援を受けた複数の金融機関の幹部が、多額のボーナスを受け取ってたいた件)に対する議会の反応を見ていても、アメリカ政界の"populism化"は、かなりの程度進行している気がします。

Washington Postの別の記事によると、前財務長官のPaulsonは、「carbon tariff みたいなものを導入したら、米中の気候変動分野での協力はますます難しくなる」として、carbon tariffを“a dangerous path to go down”と称したらしいですが、僕は、たとえこの一件が持ち上がろうとも、気候変動問題を巡る米中の協力関係は、そう簡単には挫折しないんじゃないかという気がしています。他のいろんな問題と同じように、今やアメリカと中国は、戦略上、お互いがなくてはならない存在。ただ、それはもちろん、日米や英米のような「ベッタリ」の関係ではなく、戦略上、お互いの必要性は認め合うものの(→ だから協力関係の枠組みそのものを潰してしまうところまでは行かない)、一定の「ルール」の中では、可能な限り相手から多くを引き出してやろうとやりあっている関係。そういう意味では、大枠での協力関係を維持しつつも、carbon tariffをめぐる攻防はしばらく続いていくんじゃないかと思いますし、もう少し大きな視点から言えば、今後、米中の協力/対立軸の中で、各国(もちろん日本を含む)にも大きく影響を及ぼすいろんなことが決まってくるんじゃないかと思います。気候変動の分野でも、それ以外でも。
Maxwell School, Syracuse, Mar 20, 17:31

Thursday, March 19, 2009

Global PV Demand Analysis and Forecast

祝、決勝トーナメント進出◎ で、またもや今日も日韓戦。Y君・Dちゃん(←Koreans)との協議の結果、どうせ決勝でもっかい当たるだろうから、今日はお互い静かにしてましょう、ということに。というわけで、このあと、自習室で本でも読みながら(熱が入り過ぎないようにして)観戦します。

以下、若干、いつも以上にマニアックな情報を。比較的コアな環境技術関連の情報を提供しているGreentech Mediaに、2009年の太陽光発電(Photo Voltaics, PV)市場の市況予測が出ていました。(3月2日付記事) まぁあんまり景気のいい内容ではなく(そりゃそうだ)、「資金繰りが苦しくなる中、プロジェクト開発者は、製造者への値下げ圧力を強めるでしょう」→「2009年中にシステム単価が25%下がるでしょう」→「需要の伸びが減速し、2009年は13%の増加(1994年以来の低水準)にとどまるでしょう」→「業界全体で、今年だけで15%の減収に見舞われるでしょう(縮小後の市場規模は$ 12 billion)」とのこと。まぁ、この不況の最中ですからね…。仕方がないと言えば仕方がないのかも。
  
また、同記事は、「早ければ今年中に、grid parity ― 発電コストが、系統(グリッド)電力の価格(=電力料金)と等価あるいはそれ以下になること ― に到達するものが現れ、発電コストが売電価格を下回るかどうかが製造者の競争力を図る新たなポイントとなるでしょう」とも。

以前、「太陽光発電は、価格に占める原材料費と設置コスト(つまり人件費)の割合が大きいので、一定水準以下には値段が下がりにくい」という記事を読んだことがあったんですが、このGreentech Mediaの記事を信じれば、grid parityも夢ではない(どころか、早晩実現する)ということですね。確か、昔読んだその記事は、家の上にのっけるタイプのモジュールを想定してたと思うんですが、ここで言っているのはもっとだだっ広い所にただ並べるタイプのものを想定しているのかも知れません。そうだとすると人件費はかなり違ってくるはずですよね。

恥ずかしながら、この辺りの技術的なお話は、あんまり詳しくないので、時間のある、この留学期間中に、土地勘くらいは掴んで帰りたいもんだと思っている今日この頃です。

Maxwell School, Sryracuse, Mar 19, 20:27

Wednesday, March 18, 2009

Green Investment

今日は朝からなぜか眠い…。昨日の夜の11時頃から、韓国人と日本人が集まって、2時くらいまで、ビールを呑みながら一緒に何かやってたことは覚えてるんですが、何をやってたのやらさっぱり思い出せず。帰り際に韓国人たちがやたらと嬉しそうにしていたことだけは覚えてるんですが。はて…。それにしても、西部時間8時(東部時間で11時)のプレイボールってのはどうにかならんですかね?東部で観るにはちょっと遅すぎます(と言いつつ観てますけど)。主催者がアメリカ国内の視聴者を当てにしていないことがよくわかりますね。あ、WBCの話ですけど(←覚えてんじゃん。)

おとといのエントリーの続きで、“environmental stock market indices”(環境配慮株価指数)について、もう少しじっくり考えてみました。
 
日本でもよく言われているのは、結局のところ、「環境配慮型企業≒優良企業」であり、(銘柄の選出方法にもよるものの)総じて言えば、環境配慮株価指数と一般的な株価指数の値動きに大きな違いは見られない、というもの。もしそれが事実だとしたら、前回のエントリーにも書いたとおり、環境配慮企業株価指数は、「環境配慮型企業の業績が、全企業群の中で特に悪いとは言えない(特に良いとも言えない)」ということの証左にはなるんでしょうが、それ以上の付加価値があるかというと…。それに対応したindex fundを誰かが作って販売してくれたとしても、それって結局、優良銘柄を集めた投資信託とほとんどかわんないわけですよね。そのファンドの買い手が多少気持ちよくなれる以外には、あまり具体的なご利益はないような気がします。

「環境投資」という切り口で何かしようとするのであれば(そもそも、「環境投資」なるくくり方に意味があるのか、という議論もあるでしょうが)、株の売り買いに影響を与えようとするアプローチ(ex.環境配慮株価指数)よりも、機関投資家や銀行が行う長期的な投融資の契約に環境配慮的な約束事を盛り込んでいく方法の方が効果的なんじゃないかという気がします。
  
これも少し前のニュースですが、アメリカを代表するprivate equity firmの一つであるKohlberg Kravis Roberts & Co. L.P. (KKR) と、同じく、アメリカを代表する環境保護団体の一つであるEnvironmental Defense Fund (EDF) が、昨年5月から共同で行っている取組――KKRの投資先企業の環境パフォーマンス改善を支援するための分析ツールの開発・試験運用――の中間結果が先月発表されていました。それによると、KKRの投資先企業3社で、同ツールを運用してみた結果、2008年中に $16.4 million のコスト削減と25,000 t-CO2 以上の温室効果ガス排出削減に成功したとのこと。時間があれば、この報告の詳細も調べてみます(たぶん無理そうだけど。。)。
  
さて、今日はキューバ戦。今日も11時からなんだよなぁ…。ぶつぶつ。
Maxwell School, Syracuse, Mar 18, 17:58

Tuesday, March 17, 2009

Spring has come, and SOMETHING also has come??

めっきり春っぽくなってきたので、表紙の写真を変えてみました。久々に、リアル“Marshall Street” の写真です(「しょぼい」とか言わない!! これでもこの界隈で一番栄えてるんですから!!)。

先週の土曜日くらいから、雲ひとつない晴天が続いています。気温もだんだん上がってきて、今日はなんと13℃。冬が過酷だっただけに、既に初夏の趣さえ漂っています(そう思っているのは、たぶん僕だけじゃないはず)。ジャケットを羽織っている人は、もはや少数派。キャンパス内では、Tシャツの男の子・女の子も普通に見かけます。半年前にこの光景を見たら、「おいおい結構まだ寒いで」と心の中で突っ込んでいたでしょうが、「うんうん、その気持ち、よくわかるよ(オジサンにはさすがにまだちょっと寒いけど)」と思ってしまうのが怖いところ(笑) 今朝登校するときには、ついにサンダル履き(!!)の女の子にも遭遇。さすがにそれは頑張りすぎですけどね…。

ともあれ、パチッとスイッチを切り替えたかのような突然の春の到来に、僕も周りの人たちも、総じてご機嫌の様子。窓の多いMaxwellの校舎内にも、春の日差しがあふれています。 ↓↓↓



なんて浮かれていたら、今朝あたりから、なんとなく鼻がムズムズする。くしゃみも出る。そう言えば、目も若干痒いような…。悪い予感が…。うーん、そんなに杉も生えてなさそうだし、大丈夫だと思うんだけどなぁ。。 しばらくは、スギ花粉に見つからないように静かに潜伏しながら暮らします(←ほとんど意味不明)。
Maxwell School, Syracuse, Mar 17, 12:52

Sunday, March 15, 2009

S&P U.S. Carbon Efficient Index

祝!! WBCキューバ戦勝利!! 今日の試合、日本では月曜早朝という微妙な時間帯でしたが、こちら(アメリカ東部時間)では、日曜の夕方だったので、恐縮ながら思う存分堪能させていただきました。ちなみに今、日本人と韓国人しかいない自習室では、韓国人のY君とDちゃんが、韓国vsメキシコ戦に興じています(笑)
  
学期の再開を前に、今年年初からのblogを読み返してみたんですが、我ながら飽きもせずによく書いてきたなぁと思う反面、ある種浮世離れした「書生的視点」の記事が多いことも否めず。目新しいニュースを追いかけるあまり、あんまり深く考察できていないという気もしました。もちろん、blogを書くことだけに延々時間を費やせるわけではありませんが、blogの内容が、かなりの程度、僕のアタマの中を反映しているのも事実なわけで、視点の持ち方には気をつけないといけないなぁと思いました。単なるnews watcherにならないように。

と言いつつ、しばらくぶりの環境ネタを。一週間くらい前のニュースになりますが、アメリカの代表的な格付け機関であるStandard & Poor's(S&P)社が、“U.S. Carbon Efficient Index” なる新たな株式指数の公表を始めたとのこと。同社のサイトに詳しい説明が出ていますが、簡単に言うと、同社の代表的株式指数である S&P 500 の対象企業500社の中から Carbon Footprint (=温室効果ガス排出量(CO2t)÷ 収益) の比較的小さい企業を抽出し(最大375社)、それら銘柄の時価総額加重平均を指数として表したものだそうです。Carbon Footprintには、英国Trucost Plc社の算定したデータを用いているとのこと。

2004年以降のS&P 500 とS&P U.S. Carbon Efficient Indexの値動きを比較したのが次のグラフ。

はっきり言って、ほとんど差がないように見えます。細かく見れば違うのかもしれませんが。とりあえず、「low Carbon Footprintの企業の方が、特に業績が悪い、ということは言えない」ということでしょうか。
   
S&P社曰く、"to meet the growing investor demands for environmentally focused indices" (環境に焦点を当てた指数を求める投資家からのますますの声に応じるために) この指数を開発したそうですが、本当にそう言った声があるのか、(あるとしたら)その声はどの程度強いのか、こういった指標があると投資家にとってどのくらい便利なのか、僕にはイマイチよくわかりません。どなたか、このblogを読んでおられる方でご存じの方がいらっしゃれば、教えていただければ幸いです。
Maxwell School, Syracuse, Mar 15, 24:10

Saturday, March 14, 2009

South of the Border #2

Guanajuato(グアナファト)の町は、首都Mexico Cityから北西に、バスで5時間くらい走ったところにあります。メキシコ中央高原の谷間にたたずむ小さな町ですが、かつて、周辺の鉱山から産出される銀で栄華を極めた町でもあり、200年前からほとんどその姿を変えていないかのような美しい街並みが残っています。某『地球の○き方』によると、「メキシコに数あるコロニアル都市の中で一番美しい町」らしいですが、それどころか、世界中探してもこんなに美しい町はそうそう見当たらないんじゃないかと思えるくらい素敵なところでした。
 
夜になると、町の辻々には楽団が現れ、伝統的なスペイン音楽を奏でます。大学があるおかげで、町に学生が多いのもこの町の特徴の一つ。いまや、観光以外に主だった産業のないはずのこの町ですが、大学があるおかげで、町には若者があふれ、単なる「過去の町」にはない、活気がみなぎっています。



メキシコでの最後の夜の食事は、たまたま同じホテルに泊まっていた、元大学教授のアメリカ人のおばさんと御一緒させていただくことに。Ohio州立大で環境政策を教えていたという、その御婦人は、去年の暮れに退官し、2週間のスペイン語講座を受講した後、旦那をOhioに残して(笑)3か月のメキシコ旅行を楽しまれている最中とのこと。偶然にもうちの母親と同い年でしたが、非常に若々しい、エネルギッシュな女性でありました(斯く言ううちの母親も、結構若々しい人です。←こんなところで媚び売ってどうする??)。
  
SUNY-ESFとかにときどきいてそうな(失礼…)、イケイケのリベラル・エコロジストお嬢さまがそのまま大人になったような方で、ワインの酔いが回ってきた頃には、自分の話に盛り上がって“Go! Obama!!” と叫んでみたりもされていましたが(…)、窓の外から聞こえてくる楽団の生演奏を聴きながら、環境政策の話もで盛り上がり、旅行最後の夜にふさわしい、非常に楽しい夕食でした。
    
彼女の教えていた『環境法』の講座は――背景事情を踏まえつつ、歴代各政権の下で、どのような法改正がなされてきたかを教える授業だそうですが――Ohio州立大の、環境政策、森林経営学、自然資源管理の3スクール共通の必須科目だったとのこと。彼女曰く、「実際、社会に出たあと、相手にする人のほとんどは、自分より年上の人。彼らは過去の経緯をよく知っている。そんな彼らと対等に渡り歩いていくには、各制度がなぜできたのか、どうやってできたのかをアタマに入れておく必要がある。覚えることの多いtoughなクラスで、生徒からはビビられていたけれど、私の教えていた内容は、その道で食べていくには欠かすことのできない知識だったと思うわ」とのこと。確かにおっしゃる通り。こういう、過去の経緯をきちんと学ぼうとする姿勢は、意外にも(??)日本よりアメリカの方がしっかり根付いているように思います。
  
最後は、メキシコの話からかなり外れてしまいましたが、そんなこんなで、3日間のメキシコ滞在を楽しんできました。やっぱり自分は、途上国 (というとOECD国たるメキシコの方に怒られるかもしれませんが) を旅する方が好きなんだなぁと改めて実感。「アメリカなんてでっかい途上国みたいなもんだよ」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、やっぱり、ここはなんだかんだいって先進国なわけで(←当たり前です)、今回の旅行では、普段のアメリカ生活ではなかなか感じられない刺激をもらえたような気がします。今回、日程的な貯金を使い果たしてしまったので、4月末の春学期終了まで、もはや遊んでいる暇はほとんどありませんが(←そりゃそうだ)、残り1か月半、気分新たに頑張ろうと思います。
my home, Mar 14, 11:12

Thursday, March 12, 2009

South of the Border #1

フライトを3本乗り継いで、一日かけてSyracuseの街に戻ってきました。メキシコと比べると、カラーテレビと白黒テレビくらいの差がありますが(どっちがどっちかはお察しください)、それでも帰ってくると、なぜかほっとするから不思議です。

メキシコには、実質3日間滞在しました。一日半、首都Mexico Cityを観光した後、長距離バスに乗って銀鉱の街、Guanajuato(グアナファト)へ。水曜日丸一日、Guanajuatoを散策し、今日朝一の便でメキシコから帰ってきました。

メキシコは、僕が想像していた以上に、アメリカとは異質の空間でした。むしろ、共通点を見つける方が難しいくらい。NAFTAの影響もあり、僕のアタマの中では、米加墨の三か国をひとくくりで考えがちでしたが、実際に行ってみて、その考えは完全に改まりました。

とにもかくにも、英語がまるで通じません。首都のMexico Cityでさえも壊滅的に通じない。話せないだけならともかく、英語の標示もほとんどゼロ。これには正直往生しました。これからメキシコに行かれる方は、ぜひ、最低限のスペイン語を覚えていかれることをお勧めします(←結構マジです)。

言葉だけでなく、文化の面でも、アメリカとはかなり違っています。人口800万の大都会Mexico Cityにあっても、彼ら固有の文化はねっとりと横たわっています。よそ者には理解し得ない、理屈でない何かが、社会の中に根強く息づいている感じ。その「何か」が醸し出すえもいわれぬ“アウェイ感”は、アメリカではほとんど感じたことのなかったもの。日が沈んだあとにやってくるなんとも言えない不安感(←治安の心配、ということではなく、もっとそこはかとない不安感)は、久々に感じた感覚でした。
  
日本の外務省のサイトによると、メキシコの人口構成は、“ヨーロッパ系と先住民の混血(60%)、先住民(30%)、ヨーロッパ系(スペイン系等)(9%)、その他(1%)”とのこと。Mexico Cityを歩いていると、街ゆく人のほとんどが、Mestizoと呼ばれる混血の人々であることに気付きます。生粋の(という言い方が適切かどうかわかりませんが)ヨーロッパ系の人は、ほとんどと言っていいほど見かけません。この点も、アメリカと大きく違うところ。
 
アメリカが多民族国家であるのに対して、メキシコは混血の国。前者が、いろんな民族を受け入れる中で、各民族の文化・風習を薄め、社会制度を普遍化していったのに対して、メキシコは、スペインとインディオという二つの文化をぶつけ合い、混ぜ合わせる中で、ますます濃厚な固有の文化を産み出してきたように思います。旧宗主国がイギリスかスペインかの違いだけ、といったような単純な話ではありません。そのことも、実際にメキシコに足を運んでみて、初めて実感できたことでした。

その他、メキシコあれこれ。

◆ VWビートルがいっぱい
 フォルクスワーゲンのビートルがしょっちゅう走っています。ニュービートルではなく、初代ビートル。ビートルタクシーにも一度乗ってみましたが、エンジン音は、自動車というより、遊園地のバギーのそれに近い感じ。とりあえず燃費は超悪そう(苦笑)。ちなみに、日本車の割合は、アメリカ(NY州)で見かけるほど多くはありません。その分、FordやGMが、本国以上に頑張っている感じ。日本車の中では、日産が孤軍奮闘していました(タクシーの運ちゃん曰く、トヨタ・ホンダに比べて日産車が安いとのこと)。

◆ 電車の中でCDを販売
 地下鉄は、Mexico City市民の足。時間帯によっては、日本並みの満員状態にも。そんな車両の中、大音量で音楽を鳴らす輩が!! 何かと思って見てみたら、なんとCDの即席販売。民族音楽からビートルズまで、いろんなジャンルのCD屋さんがは跋扈していました。さらにびっくりするのは、その場でCDを買う人がそれなりにいるということ。まぁ、そうでなければ彼らの商売は成り立たないわけですが…。中には、小型TVを持ち込んで、DVDを販売しているツワモノまで。

◆ タブロイド紙の表紙 
 街中のキオスクで売られているタブロイド紙の表紙は、ほぼ100%、二つのうちのどちらか。ひとつはsexyな女性の写真。こちらは日本もある程度共通(さすがに表紙はないか??)ですが、もうひとつはメキシコ独特で、なんと、殺人事件の現場写真。それもモザイクなしで、かなり、そのまんまな感じで写っています…。街を歩いていると、どうしても目に入ってきてしまうので、この点は、ちょっとしんどかったですね。

◆ 空気、薄い
 Mexico City郊外のテオティワカン遺跡では、太陽のピラミッドにも登ってみましたが、とにかく息が切れる切れる。日頃の運動不足もさることながら(!!)、やっぱり空気は相当薄いみたいでした(ということにしておこう。)。

◆ メシうまい。コーヒーうまい。
 Syracuseをベースに考えれば、どこに行こうとも、これ以上メシが不味くなることはまずあり得ないわけですが、とはいえ、メキシコ料理はやっぱりうまい。ついでに、コーヒーが美味しいのも、珈琲党にとってはうれしいところ。スタバのコーヒーもアメリカで飲むよりおいしい気がするから不思議です(←たぶん、気のせいではないと思う。)。

最後に、Mexico Cityとテオティワカンの写真を。


次回(たぶん明日)は、旅行記後篇をお送りします。
my home, Syracuse, Mar 12, 25:38

Monday, March 9, 2009

A Streetcar Named Desire

New Orleansの友人宅に二泊し、今晩、Houston経由でMexico Cityにやってきました。明日から3日間は、Mexico観光します。

New Orleansは想像してた以上の良い街。French Quarterの街並みもきれい、食事も最高、そして何より温暖!! この季節、すでにTシャツで問題なしとは…。未だ雪の残る某雪国cityとはえらい違いです(笑)。 アメリカ人のクラスメイトたちからさんざんビビらされていた「治安」も、普通に観光している分にはまったく問題なしでした。

東部時間ゾーンのSyracuseから中部時間ゾーンのNew Orleansに移動して、時差-1時間。New Orleansにいる間にサマータームが始まって、+1時間。同じ中部時間ではあるものの、まだサマータイムが始まっていない(4月に切り替わる)Mexico Cityに移動して、時差-1時間…と、時間が行ったり来たりしていて、ついていくのにかなり苦しんでおります(ていうか、あんまりついていけてません)。。。飛行機乗り遅れず、無事ここまでたどり着けてとりあえず良かった。。

昨年、OtawaやFloridaに行ったときにも感じましたが、イギリス以外の国の植民地として始まった地域に行くと、やっぱり、他のアメリカの都市とはどこか違った雰囲気を感じます。それが、すごく楽しいし。今回、ご一緒させていただいたBoston在住の人たちが「BostonなんかよりNew Orleansの方がよっぽどいい」と連呼されているのを聞くと、某「何もない」City在住の僕としては、「Bostonだって、かなりいい…」と思ってしまうわけですが(笑)、BostonよりNew Orleansの方が良いと言いたくなる気持ちもよくわかります。そんくらい、New Orleansは素敵なとこでした。

Louisiana州旗やNew Orleans市旗が、そこら中に掲げられていたのも印象的。逆に星条旗の割合は、他の街に比べて少なかったかも。そういえば、NY州旗もSyracuse市旗も、Syracuseでは見たことがない(てか、どんな旗か知らん…)。この辺は様子がだいぶ違うなぁと実感。南部州ゆえの独立精神の現れということなのかもしれません。



Mexico City, Mar 8, 25:19

Friday, March 6, 2009

Spring break has come.

本当の春はまで来ていませんが、その前に、春休みがやってきました。いまこの時間も働いてらっしゃる皆様には大変恐縮でありますが、せっかくの機会ですので(!!)旅に出るべく、ただいま、シラキュース空港で、6時のフライトを待っています。朝の5時台だというのに、搭乗口は既にすごい人混み。SUの学生も多そうです。
     
春休みが始まる前からこんな話をするのもなんですが、春学期後半戦の1か月半は、めちゃくちゃ忙しくなりそう。前半戦は、最後の二週間だけ必死モードでしたが、後半戦は、最初から最後まで、そんなペースで走り続けるしかないかなぁ…という気がしています。
  
ともあれ、まずは春休みを楽しませていただきます。旅行中もときどき更新しようと思っていますが、最終的なSyracuseへの帰着は来週木曜日(12日)の予定です。

ではでは、行ってきます。
Hancock Airport, Syracuse, Mar 6, 5:44

Thursday, March 5, 2009

halfway point of the spring semester

なんだかんだと溜まっていた春休み前の課題 & 試験ラッシュもおおかた片付き、あとは、明日のQuantitative Analysisの中間試験を残すのみとなりました。いろいろ反省しないといけないこともありますが、春学期前半戦、何とか乗り切れそうな感じです。
 
今日のEconomics of Science & Technologyのクラスで提出したresearch paperの中間報告に対するコメントが、Popp先生からさっそく送られてきました。なんと、「非常に面白いトピックである(“This is a very good topic.”)」とのお褒めの言葉が。メールの内容をよく読んでみると、僕のトピックが、いま、先生が研究しているテーマとドンかぶりしているらしく、要はたまたま先生のツボにハマったという方が正確なのかな、と(笑)。
 
research paperで扱おうと思っているのは、1990年代における各国の風力発電促進政策の比較分析。91年から2002年までの間に、世界の風力発電総量は、2 GWから31 GWに激増。しかしこの間、丁独西の風力発電先進3か国が目覚ましく風力発電量を伸ばしたのに対して、日米英の風力発電量は伸び悩んだまま(特に日本の伸び悩みは深刻)。また丁独西3か国が、国内市場の伸びに応じて、世界的な風車メーカーの育成に成功したのに対し(それらのうちの数社はFortune Global 500にも顔を出す優良企業)、日本は、世界市場で戦える風車メーカーを未だ1社も持たない状況。このような差が生まれたことに、各国の政策の違いがどの程度寄与していたのかを分析します、というのがとりあえず現時点でのresearch paperの方針。
  
Popp先生からは、「僕もちょうど今、風力についてデータ集めしてるところだから、ぜひデータをshareしましょう」とか、「ディスカッションしたくなったらいつでも僕の部屋に寄ってください」とか書いていただいていて、それはそれはうれしいんですが、春学期後半戦の限られた時間を考えると、ちょっと重いような気も…。でもやっぱり嬉しいかな(笑)
  
まぁどこまでできるかわかりませんが、調べていて素直に面白い分野でもあるので、春学期後半戦のリソースを集中させるつもりで、やれるとこまでやってみようと思います。
   
なんて風力発電の話をしていたら、スウェーデンでちょっとビックリなニュースが。GMから放出されてスウェーデン政府への支援要請を行っていたスウェーデンの自動車メーカー(元GMの子会社)Saabに対し、同国通商大臣は、支援要請を拒否した上で、「Saabは、風力発電施設の製造メーカーに業態転換するべきだ」とのメッセージを発したとのこと。同大臣曰く、
"Producing wind power is more realistic for Saab than ever being a profitable car manufacturer again. It is also substantially more desirable for Sweden,"
との由。
  
このニュースもなかなか象徴的なんですが、research paper用に調べている学術論文なんかを読んでいても、ヨーロッパ各国の風力発電施設製造業に対する認識は、日本のそれとはだいぶ違ってきているようです。もはやエコビジネス云々という話ではなく、一国の経済成長の一端を担う基幹産業として(また、大規模な雇用供給源として)風力業界が認識されつつあるのではないかと。

今回のresearch paperでは、僕もそういう認識に立ちつつ、「日本の風力発電政策は、産業政策としてどうだったのか」という視点から分析したいと思っています。
Maxwell School, Syracuse, Mar 4, 26:35

Tuesday, March 3, 2009

Economic Effects Analysis of the Stimulus by CBO

CBOネタが続いて恐縮ですが、CBOの行った景気刺激策(ARRA)の経済効果分析が、3月2日に公表されています。「予測しきれない部分が多い」と断った上で、短期と長期のそれぞれについて、ARRAの効果を分析。ARRAについてのネガティブな評価も率直に書いています。たとえばこんな感じで;

“Most of the budgetary effects of the legislation are estimated to occur over the next fewyears, and as those effects diminish, the short-run impact on the economy will fade.”

“To the extent that people hold their wealth as government bonds rather than in a form that can be used to finance private investment, the increased debt will tend to reduce the stock of productive private capital. In economic parlance, the debt will “crowd out” private investment.”
このレポートが、もし仮にARRAの成立前に出されていたらどうなったか?? 答えは簡単。大勢には何ら影響を与えなかったでしょう。いろんな意見がある中で、最後に決断をするのは政治の役目。今回の景気刺激策について言えば、その「政治」の主導者(=Obama政権と議会民主党の主流派)が、「絶対に成立させる」という決意を早々に固めていたわけですから、多少、CBOが辛口の評点を下したところで、結果は変わらなかったと見るべきでしょう。
  
じゃぁCBOのやったことはムダかというと、僕はムダではないと思う。確かに今回は、CBOの分析結果が政治決定に与えた影響は非常に小さかったですが、「政治」とは距離を置いて「政策」的視点から意見を述べるCBOのような存在は、議会の中と外でのより健全な議論を促進するのに役立っているんじゃないかと思います。たとえば、先日、Obama政権が、財政赤字の削減プランを発表しましたが、その中で使われている景気見通しが甘いという指摘をマスコミや共和党が行っている。その際に比較材料としてよく使われているのがCBOの予測値(←こっちの方が厳しめ)だったりするんですよね。建設的な議論の材料を提示するという意味で、その役割はやはり大きいんじゃないかという気がしています。

確かにCBOは、その高い独立性や、implementation機能を有していないという点で、D.C.の中でもかなり変わった役所であります。が、その「政策」的視点に徹する姿勢には、日本の役所が見習うべきところも多いのではないでしょうか。

役所というものが選挙に依らない存在である以上、まず依って立つべきは論理性であり、また、その論理性から導き出される「政策」である。その点への執着を安易に諦めて、「政治」におもねったり、ポピュリズムに走ったりすることは、自身のレゾンデートルを危うくするものであり、同時に、社会に対する責任の放棄でもある――最近、僕が考えているのはこんなことです。

my home, Syracuse, Mar 3, 27:25

Partisan, Advocate, or Careerist?

「寒い、寒い」と書くのにもだいぶ飽きてきましたが、寒いもんは寒いわけで。外は、マイナス13℃。そりゃ寒いに決まってます…。こんな夜はあったかいもんでも、と思ってお揚げさんと青梗菜の煮びたしを作ってみたら、これがなかなかの出来栄え。変な話ですが、アメリカに来て、日本料理の腕が上がった気がします。「てか、いま何時よ?」――その質問には残念ながらお答えできません。
    
今日もD.C.報告の続きを。先週金曜日に行われたパネルディスカッションの中で、誰だかよくわからないおじさんが、面白い話をしていました。「D.C.での仕事は、①Partisan、②Advocate、③Careeristの3つに大別できる」というもの。
  
よく、D.C.のエリートたちは、政権交代のたびに勤め先をぐるぐる変えるという意味で「リボルビングドア(回転ドア)」にたとえられますが、実際には、いわゆる民間企業(銀行、事業会社etc.)と、D.C.の住民との間には、かなりはっきりした壁が。「ぐるぐる」は、基本的にD.C.の中だけで行われているようです(大学での研究ポストというオプションもありますが)。
    
さらに言うと、D.C.の住民の中でも、上の①~③ごとに、ある程度の住み分けがあるとのこと。①は、issueに関係なくどちらかのparty(Democrats or GOP)を支援する人、②は、特定のissueの特定の利益を代表する人、③は、客観的な立場を維持して発言する人。「①と②、②と③の間の行き来はあるが、①と③の間の行き来はかなり稀」なんだそうです。昨日のエントリーで書いたCBOは、典型的な③タイプの機関。確かに、訪問したときに職員の方が、「一旦辞めて、戻ってくるのはアリだけど、辞めている間にPartisanの色がついちゃったら、まず戻ってこれないかな」てな話をされてました。なるほどね…。
  
日本のパブリックセクターと、D.C.との違いと言えば、「リボルビングドア」がまっさきに思い浮かぶわけですが、①~③の区分がはっきりしている、というのも、日本にはない(←「ない」というと言いすぎですが、いまいちはっきりしてない)、D.C.の大きな特徴の一つかと。そのおかげで、それぞれの組織の立ち位置・目的が、日本よりもはっきりしている気がします。もちろん、ロビイスト(≒Advocacy)のあり方については、この国でも、いろんな議論があるわけですが。

だいぶ眠たくなってきたので、今日はここまで。D.C.のメトロの駅で撮った写真を載せておきます。


my home, Syracuse, March 3, 26:25



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Sunday, March 1, 2009

Back to Syracuse

しばらくのご無沙汰でした。先ほど、4日ぶりにSyracuseに戻ってきました。再び、氷点下の世界にcome backです。。。

いつも思うことですが、普段しゃべらない人とおしゃべりすると、いろんな刺激をもらえます。今回の旅行でも、ネットワーキングのイベント中に出会った人に限らず、泊めていただいた先輩や、帰りの車に乗せてくれたクラスメイト(元NOVA講師)など、いろんな人とお話する中で、ここのところ、本とwebの世界に没入しきっていたアタマを、多少なりともリフレッシュすることがでました(英語も多少、上達した気がします)
  
今回の旅行の中で、一番面白かったのは、CBO(Congress Budgeting Office/議会予算局)での話。CBOは、連邦議会 (主にthe Budget and Appropriations Committees/予算・歳出委員会) をサポートするため1974年に設立された組織で、予算案の作成支援法案のマクロ経済影響分析などをやっています。日本でこれに対応する機関を無理やり探せば、衆・参の予算委員会調査室になりそうですが、規模も役割も○○も、根本的に違っています(…)。
  
CBOの名前は、Maxwellの授業でもよく聞くのですが、結局、どういう仕事をしてるのか、いまいちピンと来なかったので、今回、CBO訪問企画に参加してみることに。真面目に就活している同級生に交じっての物見遊山(?)訪問には、多少後ろめたいものもありましたが…(!?)
  
CBOの特徴としてよく指摘されるのは“non-partisan”という点。いずれの党派にも与さず、客観的視点から分析を施すことが、その役割であるとされています(←実際、法律にそう規定されている)。この点は、話をしてくれたCBOの分析官の女性(←アタマのキレそうな中堅クラスのお姉さん。Maxwell Alumni)が、何度も強調されていました。単に強調するだけでなく、その点を非常に気に入っているようにも、誇りに思っているようにも見えました。その話を聞いていた同級生たちも一様にCBOの魅力に引き込まれていたご様子。お姉さんの話し方がうまかったというのもありますが、確かに、政治に干渉されず、純粋に経済学の立場から、政治に対して助言できるというCBOの立ち位置は、公共政策を志し経済学を学んだ者にとっては、すごく魅力的ですよね。
   
ただ、組織として、多少too muchな感じがしないでもありません。少なくとも、日本には対応する組織がないのに、アメリカには、比較的小規模とはいえ200人超の組織が存在しているわけですから。ちょっと似てるかなぁと思ったのは、F1の開発チーム。彼らは、コンマ数秒を稼ぐために、ものすごい研究を積み重ねるわけですが、ドライバーが一回ヘマをすれば、数秒、数分のマージンなんて一瞬で吹っ飛んでしまいます。悪くすれば、そのままリタイアなんてこともざら。そんな前提の下でコンマ何秒に心血を注ぐF1のエンジニアという仕事をTVで見ていて、僕は勝手に、ある種の「虚しさ」を感じてしまうのですが、それと同種の虚しさがCBOにもあるんじゃないかと。結局、どれだけ精緻な分析を提出しても、受け取った政治家がその結果をうまく使えなければ(或いは、使わなければ)、分析は水泡に帰してしまうわけですから。
   
でも冷静に考えてみれば、予算や法案の審議をするとき、そもそも、マクロ経済学的分析をほとんど活用しない日本の国会審議のあり方も、怖いと言えば非常に怖いなと。結果的には無駄になることもあるにせよ、とにかく、審議を行うに当たっては、マクロ経済学的分析の実施を定型化しておくというのが、なんというか、プロセスとして「まっとう」なやり方なんじゃないかなぁという気がします。

また、局地戦で観れば、分析結果が「政治」に押し切られることも、ままあるだろうと思いますが、長期的にみれば、純粋に「政策」サイドからものをいえるCBOのような組織が存在していることが、「政策」vs「政治」の綱引きゲームの中で、「政策」サイドの発言権を強める働きは小さくないんじゃないかなと。(「政策」vs「政治」の話は、knj79君も2月2日のエントリーで書いています。)
  
なんて悠長なことを書いていますが、ホントはこんなこと書いてる暇はなくて、明日は、midterm testとassignmentの〆切が…。これから、(たぶん)明日の朝まで頑張ります。
Maxwell School, Syracuse, March 1, 20:13