Tuesday, January 26, 2010

"Should Bernanke Stay at the Fed?"

こんなことを書いたら、自分自身の、マクロ経済理解不足と、日頃の世事への無関心を露呈するに等しいのだが、最近のニュースを見ていて、「バーナンキ再選に反対している人たちの反対理由がようわからんなぁ」と感じる。WSJが、本件に関するエコノミストの反応のまとめ記事をアップし(こちら)、その翻訳をhimaginaryさんがアップされているので(こちら)、上から下まで読ませていただいたのだが、それでもやっぱりようわからん。というわけで、ぐだぐだなエントリーになるであろうことを予めお断りしつつ、僕の拙い理解で書けるだけのことを書いておこうかと。

WSJのまとめ記事(のhimaginaryさん訳)を概観するに、反対理由は、以下の二つに集約されるのかなと思う。
  1. Wall Streetに対して甘すぎる。(Main Street擁護派からの批判)
  2. インフレに対する警戒が甘すぎる。(いわゆる“インフレタカ派”からの批判) 
なお、2.については、クルーグマンのように、バーナンキはむしろ「失業に十分な注意を払わず、インフレに注意を払いすぎ」ていると考えている人もいる模様(クルーグマン自身は、それでも、他のFRB政策決定理事に較べればマシとして、バーナンキを消極的に支持している)。

本件に関しては、党派性はそこまで強く現れていないようだが(ということは、逆に言えば、与党議員からもそれなりの反対票が投じられそうということだが)、上の二つの「反対理由」を見るに、1.は主にリベラルサイドから、2.は主に保守派サイドから主張されそうなものであり、その二つが同時に示されているということは、ある意味、バーナンキの施政は、そこそこバランスが取れているということなんじゃないかと思ってみたり…。(激しく荒い議論でスイマセン)

結局のところ、反対票を投じようとしている各議員には、そもそも合理的な反対理由なんてものはなくて、冴えない経済状況の責任をおっかぶせ(て、自分のところの有権者のイライラを多少なりとも宥め)るためのスケープゴートを必要としているだけなんじゃないかという気もする。そういう意味では、Washington Postのこのコメントが、一番、核心を衝いているんじゃないか、とも(下線は当blog筆者)。
The issue now is much bigger than whether Mr. Bernanke gets another term. By threatening his tenure for no apparent reason other than political panic and pandering, his new opponents have turned this confirmation process into a test of central bank independence, which is an indispensable element of modern economic management. If a stampede of spooked senators were to trample Mr. Bernanke’s confirmation, the message to markets would be that the value of the U.S. dollar is hostage to short-term politics. That would deliver a huge, possibly lasting, blow to the economy.
皆さんのご意見、お聞かせいただければ幸いです。
Maxwell School, Syracuse, Jan 26, 18:38

2 comments:

Masaaki said...

個人的には、クルーグマンがNYTで書いていた議論と本記事の折衷的な見解です。

アメリカでは、中央銀行の役割は物価の安定のみならず、雇用の最大化も重要なものであり(経済学的な背景はフィリップス曲線ですね)、足許の雇用を伴わない回復に安穏としている(ように見える)FRBの責任が追求されているのだと思います。

その結果、アメリカの選挙民が合理的であれば、FRBけしからんとなり、合理的でなくても、失業率が高い状態が不満となってスケープゴートが必要という状態になっているのではないかと。その結果、議員が地元の意向に敏感にならざるを得ないと。

個人的には、金融政策はこれ以上効かない水準まで来ているので、本当は財政政策の問題なんだけど、オバマ大統領が執行停止の話をしているので、アメリカ経済の先行きは結構厳しいかもと思っています。

髙林 祐也 said...

さっそくのコメントありがとうございます。

例の"in pursuit of maximum employment, stable prices, and moderate long-term interest rates"ってやつですよね。確かに、これに照らせば、―もっといい方法が実際にあり得たかどうかは別にして―
(少なくとも形式上は)責任を問えるというわけですね。なるほど。

まったく関係ないですが、今日の夕食、Masaakiさんの御同期と、タイ料理をご一緒してきました(笑)