Sunday, January 17, 2010

"How to think like a game theorist"


川西諭著『ゲーム理論の思考法』を読む。

第一線のゲーム理論研究者による、一種のゲーム理論解説本。思っていた以上に、入門書・ビジネス書的色彩が強く、個人的には、もう少し専門的な内容を期待していただけに、若干、肩透かしを食らった感がなくもない。

とは言え、非常に読みやすく、ささーっと一瞬で読んでしまえるので、ゲーム理論の基礎的な考え方をさっくり理解する(あるいは「再確認する」)には悪くない。最後の章では、一昨年あたりから盛り上がっている「行動経済学」的な考え方についても平易に解説されている。

筆者曰く、ゲーム理論の目的は、
  1. ゲームの構造(問題の全体像)を把握する。
  2. 起こりうる未来を予測する。
  3. 適切な解決策を見つける。
の三つ。非常にシンプルだが、この三段階アプローチは、あらゆる問題に対処する際の基本的な姿勢として、頭にたたき込んでおいて損はないと思う。

と同時に思うのは、パブリックな仕事の醍醐味は、結局のところ、「ゲームの構造を把握する」――それを踏まえて適切な行動をとることも含めて――ところにあり、そのせいか、この業界には、「如何にすれば現状をよりパレート最適に近づけられるか」というところに妙味を見出す人が多いんじゃないかということ。

逆に言うと、いわゆる「チキンレース」的な、相手を負かすか、さもなくば自分が負けるか、みたいなゲーム設定には弱い人が多いんじゃないかと思う。弱いというか、そもそも、あんまり興味が湧かない→執着できない→戦えない。。。もちろん、自分も含めて、という話である。

そういった場合、相手との共通の利益を探れるような形に、ゲームのルールを変更する(或いは、それを模索する)というのも、一つの方策であるが、いつもいつもその手が機能するとは限らない。どう頑張っても、「チキンレース」に挑まざるを得ない状況というのは世の中にいくらでもある。自分の弱みを認識した上で、いざ勝負というときには打って出られるだけの訓練――主にマインド面での――を積んでおくのも大事なんだろうなと、この本を読みながら考えていた。(別に、この本にそう書いてあるわけではない。念のため。)
my room, Syracuse, Jan 17, 14:20

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