Tuesday, November 17, 2009

Smart Grid in Recovery Act

“Smart Grid”と一口にいっても、実際には、かなり幅広い分野をカバーしているらしいという話は、以前のエントリーで書いた。DoE(エネルギー省)の地方部局が発行している刊行物中に「smart gridというのは、いろんなボールを詰め込んだバスケットのようなものであって、一つのコンセプトや技術ではない」“a smart grid is not a single concept or technology, but rather like a basket containing various balls.” なんて文書が見られたりもする。(Energy Services Bulletin 2009年10月号

それは確かにそうなんだけど、実際、連邦政府はどの辺にお金をつけているんだろうかと思って、Recovery ActのSmart Grid該当部分について調べてみた。
  
DoE Office of Electricity Delivery and Energy Reliabilityのサイトなどによると、Recovery Actのうち、Smart Gridの推進に直接関係しているのは、Smart Grid Investment Grant (SGIG) Program ($3,400 million) とSmart Grid Demonstration Programs (SGDP) ($615 million) の二つ。前者(SGIG)が商業利用段階の技術の普及促進施策であるのに対し、後者(SGDP)は、その一歩手前の技術の実証実験に対する補助施策である。

SGIGの方は、10月27日に、既に全額の支給先が決定・発表されている。支給対象となるプロジェクトは、Category 1 ~6に分類されているが、その内訳は以下の通り。
金額ベース

件数ベース
  • Category 1: Advanced Metering Infrastracture
  • Category 2: Customer Systems
  • Category 3: Electric Distribution Systems
  • Category 4: Electric Transmission Systems
  • Category 5: Equipment Manufacturing
  • Category 6: Integrated and/or Crosscutting Systems 
この分配の仕方が、どの程度狙い通りのものなのかはわからないが、いずれにせよ、結果からみると、(「合わせ技」ないし「その他諸々」であるCategory 6を除けば、)advanced meter(smart meterとも呼ばれる)の普及が一番、distributionの改良が二番、ということになっている。Distributionといっても、各プロジェクトの中身を見ると、“two-way communication”や“peak demand”に力点を置いたものが多い。さらに言えば、Category 6の中にもdemand monitor & demand control的なものが多く、同Category中、最高額の$2 billionの補助金を獲得した4プロジェクトは、すべてsmart meter絡みのものだったりする。 
 
というわけで、少なくとも短期的には、smart meterの普及やdistribution施設の改良を通した、電力供給の「双方向化」或いは、電力需要のリアルタイム管理といったところが、smart gridの中心になってきそうである。
 
一方、SGDPの方の支給先はまだ発表されていないが、同施策の補助要綱(Funding Opportunity Announcement:FOA)によると、支給予定の内訳は以下の通り。(Smart Grid Demonstration Programsの中に、(狭義の)Smart Grid DemonstrationsとEnergy Storageという二項目があり、Energy Storageの下に5つの小項目がぶら下がる構成。 )

そもそも、SGIGの方に比べると、額が一ケタくらい小さい感じであるが、その中でもStorageの内訳を見ていくと、だいたいこの辺が、DoEの注目している技術だということが分かる。もっとも、2.2、2.3、2.5は特定技術の縛りはないので、要件を満たせば、どの技術でもapplyできるようになっている。逆にいえば、2.1のbatteryはともかく、なんでCAES狙い撃ち??(2.4)という印象を受けないでもない。地理的制約の大きい技術なので、あまり将来的な汎用性には期待できないのではないかと個人的には思うのだが…。
my room, Washington DC, Nov 16, 25:31

No comments: