Thursday, November 19, 2009

"Rising Tigers, Sleeping Giant"

NYT.comのGreen inc.に“Rising Tigers, Sleeping Giant: Asian Nations Set to Dominate the Clean Energy Race By Out-Investing the United States”という論文が紹介されていた。Breakthrough Instituteとthe Information Technology & Innovation Foundationの共著。
  
「アメリカがちんたらしている間に、日中韓の三か国が省エネ・新エネ技術を伸ばしまくっている。このままではヤバい。どうするんだ、アメリカ!!?」という、さして目新しくもないラインに沿って書かれた単純な論文だが、日中韓三か国+アメリカのclean energy分野での取組が詳しく紹介されているので、データソースとしては使える。「中国は今後10年間でclean energy関連分野に少なくとも$440 billion ~ $660 billionの直接投資を実施予定(“China, which is planning new direct investments totaling at least $440 to $660 billion over ten years.”)」なんて数字を見せられると、「こりゃかなわん」という気にさせられる。ちなみに、日本と韓国の投資予定額は、今後5年間に、それぞれ$66 billion、$46 billionらしい。詳しい算定方法は確認していないが、とにかく、文字通り、「ケタ違い」のようだ。

この論文の中に出てくる「Clean Energyの普及を妨げる4つの要因(Four Barriers to Widespread Clean Eneregy Adoption)」という整理が分かりやすかったのでメモしておく。
  1. 化石燃料との大きな価格差
  2. knowledgeのspill over(に対する懸念) → 個別企業のR&Dへの過少投資
  3. 大きな不確実性の存在 → 収益性算定が困難
  4. 既存エネルギーインフラの問題(既存技術との相性がよく、新興技術にとっては不利)
この論文には、日中韓の三か国を“Rising Tigers”で一括りにし、より大きな「脅威」として見せることによって、アメリカに奮起を促そうという意図があるんだろうと思われるが、言うまでもなくこのフレーミングには無理があり、“rising”の圧倒的割合は中国の寄与によるものである(他二国の中には、むしろ“sinking”しているんじゃないか思われる国も混ざっている。苦笑)。
  
ここ三、四年の中国(あと、インド、ブラジルも)における新エネの伸びには、本当に目を見張るものがある。これには、CDMの貢献も大きいのではないかと思うのだが、どうだろうか。中国におけるclean energyの伸びとCDMの相関性について書かれた論文などがあれば、教えていただければ幸い。
Starbucks Coffe, Farragut North, Washington DC, Nov 19, 18:20

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