なんて話をしていたら、今日付けのWashington Postに、ちょうどこんな記事(“Sharp Drop in U.S. Auto Sales in September”)が出ていた。記事中、Nomura Securities(てか、リーマンからの移籍組??)のエコノミスト氏がおっしゃるには、"In a long-term theoretical sense, Cash for Clunkers doesn't do a whole lot for the economy, but it did instill a sense of confidence (= 自信を注入する) that we can exit this recession."とのこと。「自信注入」費=$3 billion(3000億円弱)也…。まぁ議会や政権の人たちも、こういう結果になることくらい、だいたい予想はできていただろうと思うが、「諸般の事情」を鑑みて、やらざるを得なかったということなのかも知れない。
"Cash for Clunkers"を筆頭に、Green Stimulusには、単なる「ばら撒き」施策もそれなりに含まれているわけだが、一方で、「おっ」と思わせるエッジの利いた政策が混ざっているのも事実。その代表格ではないかと思われるのが、いわゆる“Smart Grid”。目下、この政策についてお勉強中で、まだまだわからないことも多いのだが、今日は、頑張ってこれについて書いてみたい。
このSmart Gridなる施策、Obamaが引っ提げて来たタマというイメージが強いのだが(僕はてっきりそうだと思い込んでいた)、実は、2007年のEnergy Independence and Security Actの中で、既にその推進が謳われている。Obama政権の、いわゆるStimulus(American Recovery and Reinvestment Act)では、その推進のための予算の大幅増額($500 million → $11 billion追加)が行われた、というわけ。
非常に幅広い分野をカバーする政策なので(その意味では、総華的と言えなくもない)、要は何をしようとしているのか、なかなか捉えにくいのだが、主管官庁であるDoEの定義(こちらのp.3)によると、
The Smart Grid is the electric delivery network from electrical generation to end-use customer integrated with the latest advances in digital and information technology to improve electric-system reliability, security and efficiency. More broadly, the Smart Grid is the Internet brought to the utility, adding intelligence to revitalize the system rather than reinvent it.ということらしい。これを見ても、結局、さっぱりわからないので、もう少し具体的に見ていくことにする。
先に挙げたEnergy Independence and Security Act of 2007は、Secretary of Energy(エネルギー省長官)に対し、“the status of smart grid deployments nationwide and any regulatory or government barriers to continued deployment.”を、二年に一度、議会に報告するよう求めているのだが、その一回目の報告書“Smart Grid System Report”が、今年7月に提出されている。これによると、Smart Gridの本旨は、“digital technology”を用いて、“electric system”の“reliability, security, and efficiency (both economic and energy)” を改善することにある、とあり、そのために、以下のような方針の下、諸々の政策群を進めていくべしと述べられている。
- Enables Informed Participation by Customers (「知らされた」消費者の参加を可能にする)
- Accommodates All Generation and Storage Options (発電とpowerの貯蔵に関するすべてのオプションを取り込む)
- Enables New Products, Services, and Markets (新たな製品、サービス、市場を可能にする)
- Provides the Power Quality for the Range of Needs (必要に応じた品質の電気を提供する)
- Optimizes Asset Utilization and Operating Efficiently (固定資本の使用方法を最適化する)
- Operates Resiliently to Disturbances, Attacks, and Natural Disasters (混乱、攻撃、自然災害に対して弾力的に運用する)
たとえば、従来の電気メーターに比べ、より詳細な消費電力の把握を可能にするSmart Meter(或いはAdvanced Meterとも)を各需要家の建物に取り付けることによって、秒刻みで各時間帯ごとの電力消費量を把握し、ピーク時とオフピーク時の電気に、そのコストに応じた価格をつけること(このことは、需要家に対し、オフピーク時の電気利用を促す)や、これまでのように、高品質(というのは、電圧・周波数のブレが少ない、ということであるが)の電気を一律に配電するのではなく、各需要家のneedsに見合った質の電気を提供することによって、周波数調整(frequency regulation)に伴う発電効率のロスを減らすこと、などが提案されている。
こういった話に大いに絡んでくるのが、storage("power"の貯蔵。必ずしも「蓄電」だけとは限らない)という技術で、今日は、これについても書こうと思っていたのだが、すでにだいぶ長い間、PCと向き合っている気がするので、この続きは、またの機会ということで。
my room, Washington,. DC, Oct 1, 22:35
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