Thursday, March 11, 2010

Spring Break is coming

来週は、大学のSpring Break。一週間、授業はまるまるお休みになる。ひと足早く、明日辺りからSyracuseを脱出する生徒も多いと見え、日頃、Maxwell生でにぎわう自習室は、既に人影がまばら。僕も、今学期が始まった頃には、「Spring Breakにはpolar bearに会いに行くぞ!!(彼らの家が北極海に沈んでしまう前に…)」なんて、妄想をたくましくしていたものだが、結局、抱え込んでいる3本のペーパーにまったく目途がつかず、とりあえずは、Syracuseに ― というか自習室に ― 居座ることに。ペーパー執筆にいちおうの目途がついたら、break期間後半に、一泊か二泊ででも、Torontoに遊びに行こうかと考え中。まぁ、こちらも結局は「妄想だった」ということになるかも知れない(苦笑)

ペーパー三兄弟の中でも、一番の悩みの種は、例のindependent study。「RPS制度を単純に導入するだけでは、(initial costだけでなく)operational costも加味した効率性の達成は図れませんよ」という点をまず押さえた上で、その先、
  • だから、単にRPS制度を導入するだけでなく、それによって増加することとなる再生可能エネルギー発電源を十分に活用できるだけの、grid側の補強が必要。そのための投資は、諸々の理由により、市場に任せていては不十分になるので、一定の政府介入が必要。
というところに持っていくか、はたまた、
  • RPSの目標値(全発電源に占める再生可能エネルギーの割合)は、exogenouslyに「えいや」で設定すれば良い(→ あとは市場に任せておけば、もっともefficientな方法で、その水準が達成される)なんていうほど単純なものではない。grid側のインフラには、(風車とは違い)すぐには増やせないという特性があるので、gridの状況と連動したかたちで目標設定を行う必要がある。目標設定の際、具体的に依拠すべき考え方はblablabla...
というかたちに持っていくかで悩み中。無難なのは一つ目だが、できることなら二つ目にまで持っていった方が面白そう。要は時間との勝負。後者を選んだ場合に、5月までに書きあげられそうかどうか、明日、もう一度じっくり検討してみるつもり。
my home, Syracuse, Mar 10, 26:23

3 comments:

knj said...

面白そうですね。一点質問です。

送電線の増強・新設にかかる費用は、誰が負担するのでしょうか。グリッドに接続する者に請求するのでしょうか。あるいは、広く消費者が負担するのでしょうか。

髙林 祐也 said...

transmission会社のビジネスモデルは、transmissionの利用者=generator及びdistributerから徴収するfeeで収益を得る、というものですので、「送電線の増強・新設にかかる費用」は、基本的には、それだけが特出しされて誰かに請求されるということはなく、feeの一部に溶け込んだ形でtransmission利用者に請求され、最終的には消費者の支払う電力価格に反映されるということだろうと思われます。

最近読んだ論文(Punga & Lesser, 2009)によると、NY州が昨年、“If a renewable developer opts for assured full deliverability, it will be required by NYISO to post security for the full cost share of its "but for" system deliverability upgrades, and it will be assessed and allocated the costs of restoring the transfer capability of facilities and interfaces that may be degraded as the result of the project.” という制度を導入したとのこと。これは、RPS制度によって、風力をはじめとするRE電力源の建設は進んだものの、系統連係の際に“deliverability test”=ensuring the electricity an new generating source can actually be delivered to load centers over the transmission grid を課していなかったため、a significant share of existing wind generation capacity in NYがダダ漏れ("bottled up")になっている、という問題意識を踏まえ、導入されたもののよう。

この制度の中で、具体的に、costがどのように“assess and allocate”されているのか、調べてみないとなと思っています。

knj said...

なるほど。勉強になります。

この前のメールでの議論にも関係するのですが、やはり(経済学的な)問題は、RPSの契約の際に、送電網の増強にかかるコストが外部化されていることなのだと思います。仮にそれが内部化されて(買い取り価格から増強コストを割り引いて「計算」すること。結果として接続者ではなく消費者がFixed componentとして負担してもOK)いればよいのだと思います。もちろん、政治的には誰が負担するかのほうが重要だとは思いますが。

FITの問題は、送電コストが完全に外部化されてしまうので、まさにだだ漏れの状況に陥ってしまいます。RPSは経済学的には外部化にはならないはずなんですが。もう少し考えてみます。