Tuesday, March 30, 2010

“Bird Library” Hypothesis

図書館でreading assignmentを打ち出しながら、隣でくっちゃべっているunder-grad達の会話を聞いていて、しょうもない仮説を思いついてしまった。しょうもないとは分かっていても、思いついたからには書いておかないわけにいかない。

verbalな会話におけるアメリカ人の表情・表現の豊かさは、日本人のそれを、はるかに凌いでいると言われる。「言われる」なんて、婉曲表現を一応使ってはみたが、実際、こちらで暮らしてみると、それが疑いようのない事実であることは、ほぼ明白。大学院の授業で、ロールプレイをする(させられる)ときの、彼らの「なりきり」度合いといったらタダモノではない。仮に英語を堪能に話せるだけの能力が僕に備わっていたとしても――と、いきなり、極めて非現実的な仮定を置いてしまったが――、彼らほどの迫真の演技力・表現力を持って自分の役柄を演じ切れるかと言われれば、そんな自信はさらさらない。それをするには、英語力のほかにもう一つ、一般的domestic日本人(like me)には備わっていない能力(=演技力・表現力)が必要なのである。

なぜ、日本人とアメリカ人の間には、こういった差が生まれてしまうのか?(※ 平均の話をしています。もちろん、「オーバーリアクションの苦手なアメリカ人」なんて生き物も、探せばどこかにはいるんだと思います。正直、あんまり見たことないですけど。)

「そんなもん、いろんな原因が影響しとるに決まっとるやないか。一つに特定することなんてできるかい」――ごもっとも。 「てか、この話、どうでもよくない??」――つくづく、ごもっとも。ごもっともではあるのですが、思いついてしまったからには書かないわけにはいかないのでありまして、お時間のある方は、この先、もうしばらく、お付き合いいただければと。

僕が思いついた仮説(さしあたり、思いついた場所の名を冠して“Bird Library仮説”と命名しておく)は、「英語と日本語の語順の違いが、表現力・演技力の差を生み出しているのではないか」というもの。

つまりこういうことである。日本語の場合(特に話し言葉の場合)、その語順の性質上、直接話法が使われることは極めて稀。第三者がしゃべった内容を相手に伝えるときには、「A君がこう言いやがってさ」みたいな感じで、話のコンテンツ(A君がを話したか)だけを伝えるのが普通である。ちょっと試してもらえればお分かりのとおり、日本語(の語順)で、直接話法を会話の中に取り入れるのは、結構、大変。どうしても不自然な言いまわしになってしまう。

これに対し、英語(の語順)であれば、むしろ、直接話法の方が自然。“He said like, ‘blablabla’”みたいなゆるーい会話は、日々、そこら中で垂れ流されている。こういった語順の違いから生じる直接話法の使用頻度の違いが、日本人とアメリカ人の表現力の差に、有意な影響を及ぼしているのではないか――というのが、“Bird Library仮説”の要諦。だいぶ、どうでもよくなってきましたか??

たとえば、「第三者がこんなことを言っていたよ」というネタで笑いを取りにいくとき、日本語(の語順)であれば、――落語のような特殊な状況でもない限り――「何を言ったか」という“コンテンツ”の部分一本で勝負せざるを得ない。「あいつ、こんなこと言いよったんやでぇ~」的な言い方で、コンテンツにアクセントを置くことはできるが、それはあくまで、コンテンツ部分に聞き手の注目を集めるための技術であって、演技力とは関係ない。

これに対し、英語の場合は、“He said like ...”まで言ったところで、一旦、小さなタメ(=いわゆる枝雀理論で言うところの“緊張”に当たる部分ですな)を作り、それに続く直接話法の部分で話を落す(=同じく枝雀理論で言うところの“緩和”)のが会話の定石。このため、笑いを取るためには、「何を言ったか」(=“コンテンツ”)だけでなく、「どう言ったか」の部分も非常に重要になってくる。つまり、第三者の発言ぶりを上手に――場合によっては、実物以上に大袈裟に――再現できるヤツこそが、満場の笑いをさらってしまえるというシステムになっているのだ(!!)

こういった、直接話法での表現力・演技力の巧拙が、会話の質――ひいては、小学校のクラスでの人気モノ度、大人になってからの合コンでのモテ度――に決定的な影響を及ぼす社会環境の下で育ってきたアメリカ人たちが、「コンテンツ一本槍」の日本人に比べ、表現力・演技力の面で秀でているのは自然の道理なのではないか、といのが、“Bird Library仮説”の全容。言いたかったことは以上であります。

この時間まで夕食も食わずに、オレ、何やってんだろ…(苦笑)
Maxwell School, Syracuse, Mar 30, 21:20

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