Monday, March 29, 2010

Climate Programs Evaluation by CBO

米CBO(Congressional Budget Office)が、連邦政府の気候変動関連プログラムに関するレポート“Federal Climate Change Programs: Funding History and Policy Issues”を発行したので、読んでみた。

特段、高度なeconometricsを使うこともなく、至ってシンプルかつオーソドックスにまとめられている。読みものとして、面白いか面白くないかと言われれば、はっきり言って面白くない。CBOという組織のmissionを考えれば、非常にいい仕事をしているのは確かなんだけど。
   
全般的に、(経済学的に見れば)当たり前のことが述べられているだけなので――いや、それが彼らの仕事だから仕方ないんだが――、敢えて、ここで紹介したいと思える記述は、あんまり見当たらない。強いて言えば、Climate-Related Tax Preferences(気候変動関連租税特別措置)関連のくだりが比較的面白いかと。曰く;
Most analysts argue that the most direct way to reduce GHG emissions is to tax them or to otherwise increase their price—for example, by imposing a cap-and-trade mechanism. Increasing the cost of GHG emissions would encourage reductions in emissions through a variety of means but leave determination of the best method to the individual or business. Tax preferences, by contrast, usually favor ways of reducing emissions that are specified in legislation. For example, there is a tax credit to encourage people to reduce consumption of home heating oil by installing solar-powered heating units, but there is no similar incentive to turn down the thermostat or put on a sweater, even though doing so could reduce GHG emissions at lower cost than installing solar powered heating units.
「炭素税よりは、税控除の方が、概して、排出削減政策として好まれる傾向があるが、温室効果ガスの排出を減らす、より直接的な方法は、税控除ではなくて、課税の方である。たとえば、税控除の対象に、家庭用太陽熱ヒーターを指定すれば、それによって家庭で使われる暖房用の石油の量を減らせるかもしれないけれど、税控除で以て、暖房の温度設定を下げたり、単純にセーターを羽織ったりすることを、各家計に促す方法はない。その方が、太陽熱ヒーターの設置よりも安いコストで、同じだけの排出削減を達成できるかもしれないのにも拘わらず」との由。
     
この記述の中身(=経済学の基本の「き」)自体がどうこうというよりも、こういうことをはっきりと言ってくれる機関があるというのは、素晴らしいなと。まぁ、このCBO様のお言葉が、どれだけ上下両院の皆さまに斟酌されるかはともかくとして。
my room, Syracuse, Mar 29, 23:49

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