Tuesday, March 9, 2010

retaliatory measures

今日のInternational Trade Lawの授業、冒頭の15分は、昨日、ブラジル政府が発表した、アメリカに対する報復関税措置(retaliatory measures)の解説に充てられる。このクラスの先生は、ビッグマウスのブラジル人教授。なんら悪びれることなく、良い感じに冗談なんかも交えながら、ブラジル政府の正当性を高らかに主張。

もっとも、今回の件は、客観的に見ても、ブラジル側に完全に分がある。というのも、ブラジル政府は、米国の国内綿花農家に対する補助金がWTO協定に抵触するとして、今を遡ること8年前、WTO紛争委員会に提訴。同委がブラジルの主張を認める裁決を下すも、米国が改善措置を取らなかったため、WTOは、ブラジルに対し、対米報復措置を取ることを容認(それが半年前の出来事)。その後、米国側の妥協を待つも、改善が図られなかったため、ブラジルとしては、「実力」の行使に訴えざるを得なくなった、という次第。報復措置の規模($591m worth)についても、WTOから認められた上限($829m worth)内に収まっている。(参照:“Picking a fight” @ Economist Mar 9th)

報復関税の対象は、紛争の発端となった「綿花製品」(関税率、現行6%-35% → 100%)をはじめとして、全102品目に及び、中には、「自動車」(35% → 50%)など、現下のアメリカ経済にとって、非常にsensitiveな商品も含まれている。更には、上限までの残り枠を使い、ソフトウェア、医薬品などにも報復関税を課す“二の矢”もほのめかしているとのこと。これまで、あまりそういう目では見てこなかったのだが(失礼)、ブラジルという国は、なかなか強かな外交妙手のようである。

今回の報復措置、両国間での合意が見られなかった場合には、発表から一か月後に施行に移されるとの由。
my home, Syracuse, Mar 9, 22:26

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