土曜日のエントリーで触れた、ワシントン市内での右派集会の件について、田中宇氏が9/16付の記事で書いている。曰く、「この集会(912DC)の規模について、ニューヨークタイムスは「数万人」と報じ、この日オバマ大統領が訪問したミネソタ州でオバマ支持のために集まった人々の数と同規模だと報じた。半面、主催者や参加者は、100万から200万人が参加したと述べており、参加者の規模に大きな開きがある。警察は、参加者の数を発表していない。集会参加者が撮影したいくつものYouTube動画などを見ると、どうみても「数千」や「数万」の規模ではなく、少なくとも数十万人は集まっている感じだ。 」とのこと。ちなみに、NYTの原文には、“The demonstrators numbered well into the tens of thousands”とある。
当日、集会の近くに居合わせた者の印象を言わせてもらうと、「100万人」という数字はあまりにも大きすぎると思うが、確かに相当の人数であったのは確かで、10万人以上の規模だったのかも知れない。このあたりのニュース、日本でどのくらい報じられているのかはわからないが、health care法案をきっかけに、米国内の左右両派の対立が先鋭化しており、とりわけ、右派が勢いづいているのは、紛れもない事実のようだ。
一方、日曜日のエントリーで書いた、中国産タイヤに対する追加的関税措置の件に関して、ことの経緯がきれいにまとめられているweb記事を見つけたのでリンクしておく。日曜日のMSJエントリーからの追加情報(一部、修正情報)としては、
- コトの発端は、United Steel Workers(全米鉄鋼労組)による、ITC(米国国際貿易委員会)への提訴。
- ITCは追加的関税措置を認めるとの勧告を今年6月に発表。その勧告に対する大統領の最終判断の期限が、今月17日に迫っていた。ちなみに、ITCは、(子)Bush政権下でも、通算4度のsafeguard発令勧告を行ってきたが、いずれも大統領により、退けられている。
- 今回の措置に、米産業界の全体が賛成しているわけではなく、タイヤメーカーの中にさえ、明確に反対を表明している会社がある。(これらの会社は中国にも工場を持っている)
- 中国側からの提訴を受け、両国は、WTOの規定に基づく60日間の二国間交渉に入る。そこで妥結に至らなかった場合、中国は、WTOに対し、紛争処理委員会(dispute panel)の開催を求めることができる。
今夜のInternational Trade and Economic Negotiationのクラスでは、「貿易問題を考える際には、3つのスタンスがある。1. Lawyer、2. Economist、3. Political Scientist(又はPolitician)」とのお話があった。Lawyerが一番気にするのは、憲法に依拠したproperty rightの観点、Economistが気にするのはefficiencyの問題、Political Scientistが気にするのは、当然ながら、practicalな政治の情勢である。今回のタイヤ問題をこの整理に照らして考えてみると、1. 2.のスタンス(特に2.のスタンス)からは到底好ましいとは言えないが、3.に引っ張られて発動に至ったような感がある。今日のエントリーの前半でも触れた保守派の隆盛に対抗し、Health Care法案を通すためには、ここで労組の支持を引き留めておく必要があるとの、まさしく、「政治的」な判断なのだろう。
my room, Washington, DC, Sep 16, 22:17
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