旧宗主国から独立して以降の40年間、なぜアフリカ諸国の発展は停滞(Stall)したままだったのか――その理由に迫ろうという趣旨の本。
同じ主張の繰り返しが多くて論理の流れが明快でなく、あまり読みやすい本ではなかったが、本書の主張の中心部分を短くまとめると、たぶんこういうことだと思う。
目から鱗というほどではないが、「なるほどね」という内容の本であった。アフリカ諸国の低成長の原因を、それら国々の文化的特徴に求めるのは誤り。(植民地時代の遺産である)それら国々の社会構造にこそ、本当の原因がある。
多くのアフリカの国の経済は、enclave production――特定の地域から産出される一次産品(通常、枯渇性)であって、そのほとんどが輸出に回される商品の生産。石油・鉱物などの天然資源及び大規模プランテーションで生産される輸出向け商品作物など――に著しく依存している。enclave productionの利権さえ掴んでおけば、諸々のrent(税、賄賂、顧問料など)が自然に転がり込んでくるので、そういった国のエリート層は、envlave productionの経営にばかり関心が向き、generalに国の生産性を上げようというインセンティブを持たない。
一方で、enclave productionに付随するrentは、特定の集団への利益供与の温床となり、大統領及びその取り巻きによる“personal rule”(国家の私有化/私的国家経営)を惹起、国民一般が利益を享受できる健全な形での経済の発展の妨げとなる。
多額の財政赤字と先進諸国からのODAのコンビネーションも、アフリカ諸国の停滞に一役買ってしまっている。多くのアフリカ諸国では、財政赤字の額が、ODAなしには利子を払い続けられない水準に達しているため、毎年、(その国の経済規模に比して)多額のODAを受け入れることが必須化・常態化。結果、エリート層は、よりよい内政を敷いて国内の生産力を高めることに関心が向かず、外交にばかり関心を払うこととなる。このような事情が重なり、アフリカ諸国と欧米諸国との関係(connection)が、発展を妨げる中心的な原因となってしまっている。先進各国は、「従属理論」が指摘するように、意図的にアフリカ諸国を低成長の状態に留めておこうとしているわけではなく、アフリカ諸国の発展を本当に望んで諸々の援助などを行っているのだが(先進国にとっては、アフリカ諸国が安定的に発展してくれる方が、より大きな経済的利益が得られる)、結果的にはそれが裏目に出ており、この両者の関係を根本的に改めないことには、アフリカが低成長から脱することはない。
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