Wednesday, May 13, 2009

Back to Syracuse –NYC #3–

昨日の午後は、一風堂でラーメンを食べる以外にこれと言って具体的な予定もなかったので、カメラ片手にNY市内をぶらぶらしてみた。一か所、前から気になっていた場所があったので、その場所にも足を運んでみることに。

その場所というのは、Manhattan島の東に浮かぶ細長い小島、Roosebelt Island。地下鉄のほかに、空中トラム(一種のロープウェイ)でManhattanと結ばれているのだが、初めてNYCを訪れたときに観た、ビル群の中をロープウェイが飛んでいく光景が忘れられなくて、いつか、そのトラムに乗って、上陸してみたいと思っていた。

島内には、これといった観光地もなく、普通のガイドブックにはその名前すら出てこない。Wikipediaによると、島全体の土地がNY市政府に保有されており、市政府はその土地を、1969年から99年間の契約で、NY州の都市開発公社に貸与しているとのこと。なんで「土地の租借」となると、世界中どこでもお約束みたいに「99年間」ということになるんだろう?? ともあれ、その半永久的な租借契約の下、主に開発公社が住宅を整備しており(少しだけ、民間保有の高級アパートもあるらしい)、2000年の調査では、9,520人が、島内に居を構えているとのこと。
  
以前、島をまたいでManhattanとQueensを繋いでいるQueensboro Bridgeの上からRoosebelt Islandを見下ろしたときには、あまり活気があるようには見えなかったので、治安を若干心配しながら上陸してみたのだが、いざ、歩き始めてみると、さほど危険を感じる空気ではなく、近年、再開発が進んでいるのか、かなりの高額所得者向けと思しき集合住宅もいくつか建てられていた。島南部の土地は大学病院に占められていて、更にその突端は警察の管理する一般人立入禁止区域。高級マンションとのアンバランスさが島全体を、ある種、不思議な空間にしている。
  
それにしても、この島から見るQueensboro Bridgeは素晴らしい。大きすぎて、写真では、その迫力をうまく再現しきれないのだが、何枚かはいちおうまともな感じで撮れたので、後で載せておく。

今日は、朝一にNYCを発ち、Amtrakに乗って、一路Syracuseへ。Penn StationからSyracuseまで、所要5時間30分。一度、アメリカでの汽車旅をやってみたいと思ってたので、比較的時間に余裕のあった今回、敢行することにした。

乗ってみると、これが意外と快適。greyhound(長距離バス)の乗り心地の悪さとは比べ物にならない。所要時間もバスとほとんど変わらないし、値段で言えば、Amtrakの方が安い。ネックは本数が極端に少ないこと。NY-Syracuse間のまともな直通列車は、日に二、三本しか運行されていない(まともでない列車だと、Albanyの乗り継ぎで、数時間待たされたりする)ので、運よくタイミングが合わないと、実質的に使えない。ちなみに、僕が今日乗ってきた列車は、カナダ・トロントに直行する国際列車。Penn Stationの改札には、国境越えをする人たちのための簡単な手続きデスクも設けられていた(正式なパスポートコントロールは、実際に国境を越えるときに行われるんだろう)。
  
先週末、車でボストンに行った時にも思ったことだが、この国には(少なくともこの国の東北部には)、「近郊農業」なる概念は存在しないらしい。いわんや、「里山」なんてものは皆無。日本だと、都市の周辺にまず住宅地が広がり、その外に近郊農業地帯が続いて、さらにその側には里山が広がり…という具合に段階的に集住の密度が下がっていくのが一般的だが、この国は、やや大げさに言えば、市街地から、手つかずの自然へと、一気にストンと落ちる感じ。ボストンやNYといった、世界的にその名を馳せる街でさえも、日本人の僕からすると意外なほどに、原生自然がすぐそばまで迫っていることに驚かされる。
  
ただ、そういった原生的な自然が美しいかというと、若干、疑問符が付く。要するに、「人間の手が入っていない土地」というだけであって、それが必ずしも美しいとはいえず、むしろ雑然とした印象を与える空間でさえある。「手つかずの土地=遠隔地=美しい」という二連方程式は、どうもこの国では通用しないようだ(あるいは、それが通用するのは日本だけなのか??)。

Amtrakに乗ってみて、もうひとつ驚いたのは、路線が電化されていないということ。それに気づいたのは、Albanyを過ぎてからだったので、もしかしたら、NYC-Albany間は電化されていたのかもしれないが、少なくとも、Albanyより西側は、未電化。つまり、僕が今日乗って帰ってきた列車は、「電車」ではなく、「ディーゼル機関車+客車」だった、というわけ。

この電化のことにしてもそうだし、上に書いた、列車の本数のことにしてもそうだが、この国では、圧倒的なまでの高速道路網が整備されている反面、鉄道に対しては、非常に小規模な予算しか注ぎ込まれてこなかったらしい。どっちが鶏でどっちが卵かはわからないが、実際、この国の人たちと話していても、鉄道への関心・期待度は著しく低く、長距離移動の手段として鉄道がオプションに上がることは、ほとんど(というか、全く)ない。来年度の通常予算に盛り込まれた「世界基準の高速鉄道」の建設が進めば、こういった状況も多少は変わってくるのだろうか。

以下、今回の旅の写真を。


NYCもまぁもちろん良かったのだが、Syracuseに着いて、緑あふれる静かな街の中をCR-Vで走っていると、妙に「帰ってきた」という感覚を覚える。今がSyracuseにとって、一年で一番いい季節(だと思う)と言うこともあるんだろうが、約一年間、この街で生活する中で、それなりの愛着が芽生えてきたのも事実。
  
そんなSyracuseで生活するのも、Ghana出発までには、残り僅か5日間。そう考えると、なんとなく、もったいないような気分もする。この街とのしばしのお別れの前に、気持ちいい新緑を、十分満喫しておきたいと思う。
my home, Syracuse, May 13, 26:00

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