Saturday, May 23, 2009

Wrapin' up African Development Seminar

今日で、“African Development Seminar”の授業は、実質的にほぼ終了。というわけで、この授業から得られた新たな発見をまとめておきたい。超基本的なことも混ざっていると思うが、どうかご容赦のほどを(←読者さんの中には、その道のプロの方もいらっしゃるので…。恐縮)。
  • 一国の経済が安定的な成長を遂げるためには、とにもかくにも健全な農業を育てることが大事。農業が発展する中で、それに付随するインフラ(作物輸送用の道路、国内市場、輸出港etc.)が整い、将来の工業化への礎が築かれる。香港・シンガポールといった都市国家以外の国で、このステップを飛び越して工業化に成功した国はない。
  • 南アフリカを除くSub-Sahara諸国の中で、最も経済的に成功している国はBotswana。他のSub-Sahara諸国とは異なり、“middle-developed”に分類されている。政治的にも40年来の伝統を誇る民主主義制度が安定的に機能。ただし、近年は、世界最高の感染率を記録しているHIV/AIDSが非常に大きな国家的課題となっている。
  • Sub-Saharaは、気候変動の影響が最も深刻に発現する地域と言われている。そもそも、世界的な温暖化の進行に伴って、地域的な気候変動が大きく現われると予測されている上に、その大半(97%)が非灌漑で行われている同地域の農業は、降雨パターンの変化に対して脆弱で、多少の変化でも深刻な食糧難につながりかねない。当然ながら、食糧難は、新たな難民問題にもつながる。
  • 現在、アフリカ諸国では、欧米を本拠とする多くのNGOが活動しているが、それら地域の中には、複数のNGOによる「サービスの重複」が生じてしまっている地域もある。たとえば、HIV/AIDSが深刻なある地域では、蔓延の実態を把握するため、3,4の団体が、それぞれ独自に住民からの血液サンプル収集を行った、なんて話もあるとか。NGO間のcoordinateを進んで買って出ようとするNGOはないため、この「重複」問題は放置されているケースが多い。諸団体間のcoordinationをmisionとする国連機関OCHA(UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs)が設立されてはいるが、これまでのところ十分に機能しているとは言えない。
  • 中国・インド両国(特に中国)による、近年のアフリカ進出には目を見張るものがある。この話は、この一週間、本当にいろんな人から聞かされた。詳しくは火曜日のエントリーを。
  • 世界金融危機はさまざまなチャネルを通してアフリカ諸国にも深刻な影響を与えている。Sub-Saharaの多くの国は、GDPの大半を特定の資源・作物の輸出に依存しているため、当該商品の輸出減少は、それら国々の国民経済に壊滅的な影響を与えている。また、近年、ODAから民間FDIに、主たる資本供給元をシフトさせつつあった国も多く、そういった国々は、金融危機以降の民間投資の干上がりに苦しんでいる。
  • 政府からのaidについては、援助する側が、長くても2, 3年以内の短期的な予算を好む(実際、国内の予算編成・執行プロセスを考えると、10年モノなどの予算を組むのは困難)のに対して、援助される側の国は、2, 3年というスパンは短か過ぎると考え、より長期での援助を望む傾向にある。援助期間に関する恒常的なミスマッチが生じているといえる。
ちなみに、ガーナについては、
  • (Sub-Saharaの中では)非常に安定した民主主義体制の下、首都のある南部を中心に、一定の経済発展がなされている。
  • 近年、ガーナの経済発展の足かせとなっているのは、更なる工業化に必要な、エネルギー供給の不足。このため、三軒隣のナイジェリアから、天然ガスのパイプラインを引いてくる計画が進められている。
  • また、北部はいまだ低開発の状態にあり、灌漑も十分ではないため、今後、温暖化が進行した場合には、農業に深刻なダメージが生じる可能性が高い。

とのこと。

明日、最終日の授業(午前中のみ。今週一週間のまとめ)に出た後、また6時間かけて、えっちらおっちららSyracuseに帰ります。
Calvert House, DC, May 22, 25:19

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