Tuesday, May 19, 2009

China and Development in Africa

今日の授業のお題の一つは「アフリカの開発と中国」。以下、今日の読み物からの抜粋を。
  • アフリカ各国は、中国の経済成長とそれに伴う天然資源への需要増大から、大きな経済的利益を得ている。アフリカからの中国向け輸出額は、2000年から2005年までの5年間に、年平均48%の割合で増加。この増加率は、同期間の米国向け輸出増加率の2.5倍、EU向けの4倍。
  • 中国は、天然資源の購入にとどまらず、西側諸国が長らく手控えてきた分野(大規模インフラ、製造業、農業)への投資・支援も積極的に行っている。
  • 中国製の安い工業製品もアフリカ各国に大量に流入しており、衣料品などを中心に、アフリカの国内製品が市場から駆逐される事態も。
  • 中国系企業による工業製品の現地生産も行われているが、労働力・原材料とも中国本国から持ち込んでくるため、地元経済へのプラスの波及効果は限定的。
  • 中国の企業は国営(或いはその系列)であるため、各企業ごとに黒字を出す必要がなく、パッケージを組んで参入する(言わば「損して得取る」)ことが可能。更に、商談とaidのofferがセットになっていることも。OECDでは、こういった形でのdealを控えるよう取り決めしているが、OECD国でない中国には無関係。
  • 「十分な民主化がなされていない」などの理由で、西側各国やIMFなどの(西側)国際機関が援助を控えている、スーダン、アンゴラなどの国にも、中国は無条件で援助を行う。
  • 西側の援助の対象になりうる国にとっても、援助と引き換えにもろもろの条件をつけられ、かつ、手続き(環境アセスなども含めて)にやたらと時間がかかる西側の援助よりは、無条件かつ迅速に動いてくれる中国の方が便利。

これだけ読んでいると、「あぁ、やっぱり良貨は悪貨に駆逐されちゃうのね。。」と、思いそうになるのだが、事態はそんなに単純でもないようで…。

授業後、例の相部屋のべニン人のおじさんと、この件について話をしてみたところ、彼が言うのにも、やはり、中国のaidは迅速かつ効果的らしく、USAIDと違って被援助国が本当に望んでいるものを提供してくれるんだと言っておられた。地元に雇用を産み出さない(=労働者を本国から連れてくる)点については批判していたが、総じて言えば、中国から援助を受ける方が「より便利」なんだと。

また、アメリカの「民主主義の押付け」には、相当、嫌気がさしておられるご様子。彼自身、「自由と民主主義が大好きだ」と言いつつも、「民主主義にもいろんなフェイズがあるんであって、各国の発展段階にお構いなく、単純に“アメリカ流”を押し付けられるのはかなわん」という趣旨のことをおっしゃっておられた。(ちなみに、彼の出身国であるベニンは、20年の伝統を持つ安定した民主主義国家。)
   
ベニンでも、中国は積極的な投資・援助を行っていて、中国製品も盛んに流通しているとのこと。これといった天然資源のないベニンのこと、「何が彼らの狙いなんだろう?」とCさんに聞いてみたら、「市場だろうね」とのお答え。首都には、made by Chinaの巨大なサッカー場もあるらしい。ちなみに中国の援助は、USAIDやJICAのようなAgencyを通さず、大使館自らが取り仕切って行っているとのこと。
  
ゲストスピーカーで来ておられたCSISの研究員の方は、「中国の援助の仕方にはいろいろと問題もあるが、USAIDがここ20年の間に見失ってしまっていたpracticalityを多分に備えているのは否定できない。中国、アメリカ双方ともにお互いから学ぶべきところがある」とまとめておられた。言いたいことも分かるが、そんなにきれいにまとまる話ではないような気もする。中国については、他にもいろいろ書きたいことがあるのだが、明日も朝から授業なので、またの機会ということで。
Calvert House, DC, May 19, 25:21

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