Thursday, February 25, 2010

Wind Generation in UK

風力発電の勉強をしていると、その普及径路は、地理的要因と既存配電網の様態(←これ自体、そもそも、地理的要因の影響を多分に受けている)に、大いに規定されるということがよくわかってきた。今回の論文は、もはや軌道修正不可能なところまで来てしまっているので、このまま“NY州-focused on”で進めていこうと思うが、実際のところ、アメリカと日本とでは、前提条件が違いすぎていて、単純な比較はできない。目下、導入量を大幅に伸ばしているインド・中国ともなれば、前提条件は更に大きく違っているので、「なぜ印・中に出来て、日本に出来ないのか?」式の疑問は、あまり的を射てはいないように思う。

客観的に言って、日本という国は、世界の中でも、風力発電の普及がもっとも難しい土地に位置してしまっているように思う。たとえばデンマークなんかは、「国土の大きさ」という面では、日本以上のデメリットを負っているわけだが、反面、欧州大陸の巨大送電網に接続するという、日本には真似したくても真似できない、大きなメリットを享受している。

その意味で、(ざっくり言って)日本と同様の難しさを抱えているのはイギリスだろう。25日付のFT blog記事によると、同国政府は、昨年の独Vestas社の英国工場閉鎖を受け、国内風力産業を再点火させるかどうか ― それをするには当然、それに見合った財政支出が必要となる ― の瀬戸際に立たされている模様。その背景には、コストのかさむ洋上発電の推進に、今後、どれだけ本腰を入れていくか、というより大きな問題がある。

洋上発電の問題については、昨年7月の同紙blog記事でも書かれている。抜粋すると、
Most of the rest of the world is simply not interested [in offshore wind]. Wind companies have overwhelmingly voted with their feet - the big growth markets for new turbines are China and the US, countries with huge open spaces available where companies can thrust up new turbines where they like, free from nimby attacks.
Almost the only people in the world pushing offshore wind are the UK government.
There is no export market for UK-built offshore wind turbines and in all likelihood there never will be. Few other countries are interested - only those with little land to spare, a bit of coastline and a deep green tinge are likely ever to be in the market.
との由。

最初に書いたような「前提条件」のおかげで、英国も、相当悩まされていることが見て取れるが、同国は、日本と同様の前提条件を抱えながらも、日本よりははるかに真剣に、風力発電の普及に取り組んできた歴史を持つ。「後発」の日本としては、“leapfrog”をかますにせよ、「熟慮ある撤退」に踏み切るにせよ、同国の悪戦苦闘の歴史から学ぶべきことが多くあるのではないかと思う。
Maxwell School, Syracuse, Feb 25, 15:01

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