Sunday, February 28, 2010

Canadian #87 vs US #39

アメリカ人のクラスメイトが、「一日だけダイエットを中断してジャンクフードを食べまくる会」という、いかにもアメリカ人の考えそうなパーティを開くという。有難いことに、お招きをいただいたものの、どう考えても健康に良さそうにないので ― 今さら気にしてどうする、という話もある ―、どうしようかと迷ったのだが、結局、『オリンピック、男子アイスホッケーの決勝戦をその場で観させてくれるなら』という条件をつけて参加。というわけで、今オリンピック最後のイベント、カナダ vs アメリカの決勝戦を、アメリカ人6人組と一緒にTV観戦してきた。

試合の方は、優勝候補カナダが序盤に2点をリードし、アメリカ(彼ら流に言えば“Team USA”)が追い上げる展開。第2ピリオド中盤にアメリカが一点を返して2-1。その後も息詰まる攻防が続き、「真面目にホッケー観るのはこれが初めて」というアメリカ人たちも、次第に熱を帯びてくる。

2-1のまま迎えた第3ピリオド残り2分。“Team USA”はキーパーを下げて6人総攻撃(いわゆる“Empty Net”作戦)に出る。これが功を奏し ― あるいは、アメリカ人6人組 + 東洋人約1名が、会場から4000km離れたSyracuseの地で“USA!”chantsを叫んだ結果 ―、残り24秒で同点ゴール。試合はそのまま“sudden victory” (sudden deathと意味は同じ)の延長戦へともつれ込んだ。

第3ピリオド、約3分を残したところで、カナダの国民的英雄Sidney Crosbyがキーパーとの一対一を決め切れず、その後に、劇的なアメリカの同点シュートが生まれたので、流れはアメリカに来ているかと思ったのだが、結局、延長7分40秒に決勝ゴールを決めたのは、そのCrosbyだった。やはりヒーローというのは、技術だけでなく、こういう「星」も持ち合わせているものなのかも知れない。

最初は、ジャンクフードを頬張りながら、雑談半分に観戦していたアメリカ人たちも、第3ピリオドの途中からは真剣に観戦。延長戦で決勝ゴールを決められたときには、アメリカ人というイキモノにしては珍しく、がっくりと肩を落としていた。斯くいう僕も、それを見てせせら笑っていられたわけではなく、甲子園の決勝戦並みに感動。これまで観てきたホッケーの試合の中で、間違いなく、最高の一戦だった。

決勝ゴールを決めて「ヒーロー」振りを遺憾なく発揮したCrosbyとは、ある意味、対照的だったのが、アメリカのGoaltender、Ryan Miller。この大会、数々の好セーブを連発してきた彼だが、最後の最後に、Crosbyの一発に泣いた。イケメン豪傑揃いのホッケー選手たちの中にあって、Millerは(ぶさいくとは言わないまでも)なんとなく垢抜けない感じの、やや控えめな青年。そういう彼のキャラもあってか、この大会を通して、結構な彼のファンになってしまった。

控え選手も含め、今日の試合に参加した46人は、全員がNHLのチームに所属。彼らは、息つく間もなく、それぞれのチームへと戻っていく。CrosbyとMillerは、それぞれ、PittsburghとBuffaloへ。NHLに戦いの場を移した彼ら二人の再戦は、早くも今週火曜日、ピッツバーグの地で実現する。

(Photo by Harry How/Getty Images)
Maxwell School, Syracuse, Feb 28, 19:56

追記: Ryan MillerがMVPを獲得したとの。“He was the main reason we were in the gold medal game and why we got it to overtime”とは、チームメイトのforward選手のことば。forwardにここまで言わしめるとは、ゴーリー冥利に尽きるというもの。

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