Thursday, October 2, 2008

Coal will stop climate change??

確かに悪い予感はしたんですよ…。


窓の外から明らかにセンス悪そうなおっさんが見えましたしね。でも、まぁどこも大差はないだろうと(いつもどおり)高をくくって飛び込んだのが間違いでした………これ、散髪の話なんですけど。

日本を出る直前に切ってきたとはいえ、最近、いい加減うっとおしくなってきた髪の毛。そろそ切りに行かなあかんなぁ、とは思っていたんですが、授業の合間の昼下がりの思いつきの行動が、こんな悲惨な結果を招くとは。とほほ…。

何が悲惨だったかって、とにかく、そのおっさんの性格が最。それだけで十分「二度と行ってやるか」レベルだったのに、かてて加えて、出来上がりの前髪が完全に水平。写真に撮って皆さんにお見せしたいくらいです。(ぜったい嫌ですけど。)

おっさんに何を言っても無駄だと思ったので、帰ってきて自分で前髪を切ることに。鋏をザクザク入れて、ワックスをワシャワシャつけてみたら、なんとか笑われない程度にはなりました。でも日本人には笑われんねやろなぁ…。


さて、気を取り直して、3時からは、"Climate Change" リレー講義の2回目に出席。(リレー講義の詳細は、こちらを。) 今日は、Maxwell SchoolのCenter for Environmental Policies and Administrations のDirectorでもある、Prof. Wilcoxen の講義。アメリカのエネルギー事情についての2時間弱の講義でした。

面白かったのは、既存の発電手段(電力量ベースで50%超が従来型石炭火力!!)に代わる、有力なalternativeは何か、というお話。先生曰く、以下の4つが考えられるとのこと。
  1. IGCC (Integrated Coal Gassification Combined Cycle) with CCS (Carbon Dioxide Capture and Storage)
  2. Combined Cycle with CCS
  3. Nuclear
  4. Renewable
つまり、「石炭に代わる候補(の半分)は、やっぱり石炭だ」という、いかにもアメリカ的な結論(なんでわざわざ1.と2.を分けるの?という突っ込みどころもあります)。

これら石炭関係の技術を簡単に説明しておくと、Combined Cycleというのは、従来の発電機の前工程にガスタービンを取り付けて、エネルギー効率をあげる技術、Coal Gassificationは石炭をいったんガス化してから燃やすと何かいいことが起こるよという技術(←何が起こるんですか?誰か(S君)教えてください。)、CCSはCO2を捕まえて地下とか海底下とかに埋めちゃう技術(←昔、仕事で触ってました。)です。(Combined CycleとCoal Gassificationについては右の図も併せてご覧ください。←クリーンコールパワー研究所さんのサイトから拝借。)

ちなみに、石炭火力発電(従来型)は、アメリカでは決して安い技術ではないそうです。先生の試算によると、電力量当たりの発電価格は、coal(従来型)がgasの3倍強も高いとのこと。「なんでそんなに高いんですか?」と聞いてみたら、「資源そのものの値段は安いんだけど、運送賃が高くつくし、アメリカには、Clean Air Actという法律があってその基準をクリアしないといけないから(←「アメリカだけじゃないですよ」との心の中で叫ぶ。)、結局トータルで見ると、石炭の方が高くなるんだよね」とおっしゃっていました。わかるような、わからないような。

ともあれ、これらのクリーンコール技術。日本では、あまり注目されていませんが、今日の説明を聞いていて、アメリカ、中国、インドという3大CO2排出国が、揃いも揃って石炭に恵まれているという事情を踏まえると、日本ももっと真面目にこの技術に取り組んだ方がいいんじゃないかという気がしてきました。この3カ国の経済事情からして、石炭の使用自体を否定するのはとても現実的じゃないですし、そう考えると、今後、クリーンコール技術に対する需要は、増すことはあっても決して減ることはない(←温暖化の議論そのものが下火にならない限り、という前提でですが)という気がするんですが、いかがでしょうか?
Maxwell Scholl, Syracuse, Sep 2, 19:00

5 comments:

Anonymous said...

ご指名のようで(笑)。

大学時代の知識で恐縮ですが(たぶんそんなに技術進歩してないと思います)、コンバインドサイクルは、天然ガスの高効率発電のことを言います。火力発電所は(石油、石炭、天然ガスにかぎらず)、
1.燃料を燃やしてその熱で水蒸気をつくる
2.その水蒸気がタービンを回して発電する
という2段階なのですが、ガスに限っては、そもそも気体なので、
0.ガスそのものが燃えてタービンを回す
1.タービンからでてきたガスで水蒸気を作る
2.以下同じ
という1粒で2度おいしい仕組みで発電効率をあげることができます。

これはガスだけに許された特権だったのですが、石炭をガス化しちゃえばいいじゃない、ということで、昔から日本が研究開発に取り組んでいる分野でもあります(有機物は代替何でもガス化できます)。

石炭、あと200年くらい使えそうですし重要だと思います。

髙林 祐也 said...

先生、追加質問していいですか?

1.なんで「ガスだけに許された特権」なんですか?ガスを燃やしたら体積が増えるとかそういうこと?

2.石炭のガス化って、単純に言うとどうやってやるの?その工程自体がエネルギー食ったりはせんわけですか?? 

Anonymous said...

1.おっしゃるとおり、ガスが酸素と反応すると、体積(と圧力)が爆発的に増えて、タービンを回してくれます。ガソリンをエンジンの中で爆発させてモーターを動かしてるのと原理的には同じです。

2.蒸し焼きです。温度を上げすぎると普通に燃えちゃう(二酸化炭素になっちゃう)ので、水素と一酸化炭素になる程度の熱でじんわりあっためます。で、その熱ですが、タービンを回し終わって出口から出てきた水蒸気の熱で蒸し焼きにしていると思います(いわゆる「自熱」です)。もともと捨てるだけの熱なので、発電効率を下げたりはしてないはずです。

髙林 祐也 said...

なるほろ。先生、よくわかりました。
エネルギーの勉強(工学的にも、政治学的にも、経済学的にも、国際関係論的にも。)って、日本に帰ってからも続けていきたいね。もちろん、その先には、勉強だけでなく…ってことですが。

Anonymous said...

ぜひ。気候変動問題とエネルギー問題は結局同じ問題ですし、エネルギー問題の重要性は増すばかりだと思いますので。