Monday, October 27, 2008

"Hot, Flat, and Crowded" #1

昨日も書きましたが、今週は、あしたから3日連続で雪の予報。そんな最中にコートなしで過ごすというのもそろそろ自殺行為だなぁ…と思えてきたので、遅まきながら、冬物衣料の買出しに行ってきました。行先は、(ほかに選択肢もないので、)毎度おなじみ(?)のCarousel Center(知らない方はこちらを)。この巨大モールの中、スポーツ用品店の"Sports Authority"と、アウトドアショップ"Eastern Mountain Sports"を中心に、二時間ぐらい、ぶらぶらしてきました。

で、最終的に、耐寒グッズ(コート、ブーツ、フリース)を買ったのは、"Eastern Mountain Sports(EMS)"の方。なぜならこのお店、学割が利くから。SUの学生証を見せるだけで、15%も引いてくれます(でかい!!)。学生の読者さんにはピンとこない(あるいは、どうでもいい)かもしれませんが、30歳目前にもなって学割の恩恵を受けられるというのはなかなかうれしいものです。

このEMS、日本でいうとmontbellの直営店に雰囲気がよく似ています。店の大きさから、品揃え、果ては店員さんの性格まで。故に、僕的には非常に気に入ってます(笑)。店ん中をぐるぐる歩いていると、欲しいものがいろいろ目に飛び込んでくるんですが、中でも僕がいま一番惹かれてるのはカヌー。学割が利く間に、一艇欲しいなぁ~なんて思いつつ…(そんなもん買ったら、120%、奥さんに怒られますが。)

さて、冬支度も整ったところで、今日の午後は、Thomas L. Friedmanの"Hot, Flat, and Crowded"を読み上げにかかりました。この本については、先週の月曜日に既に一度書きましたが、そのときには、結構辛辣なことも書いてしまいました。でも最後まで読んでみるとなかなか面白い、inspiringとも言える一冊でした。(洗脳されただけかもしれませんが…!?) 本を読みながら、思い浮かんだこともいろいろあるので、今日と(たぶん)明日の2回に分けて、書いてみたいと思います。

最初に、この本について押さえておくべきこと。それは、この本が言っていることは、Obama候補のエネルギー政策・温暖化対策に非常によく似ているということです。偶然?? たぶんそんなことはありません。同一人物(あるいは同一のコミュニティ)が、FriedmanとObamaの両方に知恵をつけていると観る方が自然だと思います。実際にそうだとすると(たぶんそうだと思うんですが)、この本は、次期政権(もう、Obamaが勝つのは間違いないでしょう)のエネルギー・温暖化政策の"予告編"と見ることもできます。また、そう考えれば、9月(←大統領選の2か月前)というタイミングに、この本が刊行されたということにも納得がいきます。

本の概要はこんな感じ。
  • 前著"The World is Flat"で書いたとおり、IT技術の進歩の結果、世界中の国々は、その物理的距離に関係なく、より"Flat"になった。
  • 一方で、現代の世の中には、"Hot"(地球温暖化)と"Crowded"(人口爆発)という二つの大きな脅威が差し迫っている。
  • "Hot, Flat, and Crowded”、この三つの形容詞で代表されるこの時代を"The Energy-Climate Era(E.C.E.)"と命名する。
  • E.C.E.には、以下の5つのkeyとなる問題がある。
     1. The growing demand for energy supplies and natural resources(エネルギー・資源需要の増大)
     2. A massive transfer of wealth to oil-rich countries and their petrodictators(資源国の横暴及びそれら資源国へのアメリカからの多大なる富の移管)
     3. Disruptive climate change(気候変動)
     4. Energy poverty(十分なエネルギーにアクセスできないという意味での貧困)
     5. Rapidly accelerating biodiversity loss(生物多様性の破壊)
  • これらの問題に対する共通の解決策は"Clean Energy System"を作ること。そのシステムは以下の3要素から成る。
     イ) Clean Electrons (クリーンな電気)
     ロ) Energy Efficiency and Resource Productivity (エネルギー効率および資源生産性)
     ハ) An Ethic of Conservation (節約倫理)
  • Clean Energy Systemを構築することは、経済的にも理にかなう。なぜならこの新システムは、新たな雇用(greenjob)を産み出すから。
  • しかし、米政府は、従来型エネルギー産業(石油・石炭)のロビイストにコントロールされていて、本来講ずべき政策をほとんど実行に移せていない。
  • 政府の態度を変えさせるためには、「このまま現状を放置していては持ちこたえ切れない」と政治家たちが感じるくらいに、民衆が声を上げる必要あり。市民権運動のときのように。
  • ところが、昨今の多くの環境活動には、市民権運動の時のような真剣味が感じられない。むしろ、「民主主義」の名の下に、各主体が好き勝手なことを言い、その結果、何も決められずにただただ時間を消化しているというのがアメリカの現状。NIMBY(Not in my back yard)よりもっとひどいBANANA(build absolutely nothing anywhere near anything)の状態だ。
  • この現状を打破するため、アメリカも中国のような非民主主義的な国家になるべきだ、とまでは言わないが、強力なリーダーシップを発揮できる大統領の下、"Department of Energy"が本当の意味でエネルギー政策を立案する役所となって(いまはほとんど、核兵器の管理しかしていないというのが著者の主張)、講ずべき政策を講ずる必要がある。
  • アメリカは、この問題に対して、WWIIのときのように、国を挙げて立ち向かう必要がある。ただし、WWIIは単なる"obligation"(義務)であったのに対し、E.C.E.は"obligation"であると同時に"opportunity"(日本語で言うところの「(経済的)チャンス」)でもあるのだ。

多少、主観が混ざってるかも知れませんが、だいたいこんな感じだと思います。

あしたは、この本について、読みながら考えたことを中心に書こうと思います。あした…?うん。たぶん明日。。。

my home, Syracuse, Oct 26, 27:25

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