Thursday, October 23, 2008

Office Hour

Fall Semesterが始まって早や2か月。「今さらかい?」と言われそうですが、今日はじめて、"Office Hour"なるものにお邪魔してきました。訪ねみてたのはStatistics(どうでもいいですが、アメリカ人は"Stats"と略します)のLopoo先生。訪問の目的は、今朝の授業で却ってきたmidterm examの解答についての「質問」。ありていに言えば「クレーム」。もっとありていに言えば「もっと点くれ~」という相談(笑)

彼のoffice hourは、木曜日の15:30~16:30。というわけで、今日の15:35頃に行ってみたら、既に3人の先客が。こういうときのアメリカ人はとことん納得いくまでしゃべるものなので、これは長くなりそうだと覚悟を決めてマガジンラックからEconomistの最新号を拝借。(Faculty用の部屋だけあって、そのあたりのインフラは非常に充実しています。僕ら修士用の自習室とは雲泥の差。。) 約束をしていた友達に「4時頃には戻る」といって出てきただけに、ちょっと気にはなったんですが、やむなくそのまま過ごし、結局僕の番が回ってきたのは4時45分。おかげでEconomistはたっぷり読ませていただけましたが…(てか、わからん単語多すぎ。。)

Lopoo先生は、今学期受講している5人の先生の中で、一番好きな先生。頭がよく、ユーモアもあり、人間的にきちんとしていて、かつ、「教える」ということに真面目な情熱を傾けている人です。(この点は、日本の大学でも同じですが、"教育者"としての役割に重きを置くか、"研究者"としての役割に重きを置くかは、アメリカでも先生によって結構まちまちだと思います。)

拙い英語でしゃべる僕の説明を、嫌な顔もせず丁寧に聞いてくれた上で(ちなみにこの国では、露骨に嫌な顔をされることもたびたびです。)、「そうか、そいうことか。それなら君の回答は非常にmake senseだ。読んだだけでは意図をくみ取ることができなかったが、いま君の説明を聞いて、君の回答は非常によく書けていると思った。いま説明してくれた内容が答案中に示されていなかったので、その分の〇点は引かせてもらうが、残りの△点は君に返そう。」てなことを言ってくれた彼。アメリカ人特有の誇大広告的誉め言葉だとは分かっていても、先生から真面目な顔で「非常によく書けている」なんて言われると、なかなかうれしいものです(笑)

2つの問についてそんなふうなやり取りをした結果、100点満点のテストで8点(!!)が返ってきました。テストの成績云々は、正直あんまり気にしていませんが、拙い英語ながらも(…)教授にこちらの要求を伝えてそれなりの成果を得れたことが、ささやかにうれしかった瞬間でした。(低レベルな喜びですいません。。。)

今日の午後(Lopoo先生を訪問する前)は、お隣の大学、SUNY-ESF(the State University of New York College of Environmental Science and Forestry)にDr. John Holdrenの"The Science and Economics of Sustainability..."と題する講演会を聴きに行ってきました。このHoldren博士、もともとは工学畑の人で、その後、技術政策、環境政策の分野に転身、1996年までUCバークレーで教えた後、ハーバードのケネディ・スクールに移り、今もそこで、温暖化政策を中心に教えているそうです。今日の講演会には、約200人収容の教室に250人以上が集まり、立見客(うち一人は僕)も出る盛況ぶりでした。


講演の内容は、

sustainable developmentには、3つのparamounts(最重要事項)がある。economyとcivil societyとenvironment。sustainable developmentの達成のためには、どれ一つとして欠くことはできない。かつ、三者はinterconnectedである。

temperature(気温)は、climate changeの進行の度合いを示す最重要indexの一つであるが、やはりindexの一つに過ぎないのも事実。climate changeの影響は、気温に限らず、多方面に現れるのであり、その意味ではglobal warmingという言葉はmisleadingly。私は"global warming"の代わりに"global disrupting"(全地球的なかく乱)という言葉を使うようにしている。

といった博士の主張のほか、気候変動に関して、今何が起こっているか、また、今後何が起こるか、についての科学データが紹介されていました。

確かに、話は上手だったんですが、内容的には、あまり目新しい話がなかったのは残念。その中で、ではありますが、比較的面白いなと思ったポイントを2点、紹介しておきます。

一つは、博士が"McKinsey Curve"と呼んでいたもの。左の図がそれなんですが、コンサルティングファームのマッキンゼーが2007年に作ったもので(今年の夏にリバイスされているとか??)、各個別技術によるCO2排出削減可能量(=その技術を用いてどれだけのCO2を削減できるポテンシャルがあるか)と、CO2排出削減単位コスト(=その技術を用いてCO2を1t減らすためにいくらかかるか)をひとつのグラフの上に示し、ミクロ経済学でいうところの「(CO2排出削減の)Marginal Cost(限界費用)曲線」を実証的に導出したものです。帰ってきてネットで調べてみたら、この論文で紹介されていました。(このブログの読者さんの中には、とっくの昔にご存知の方もいらっしゃると思いますが…。)

興味深いのは、一定レベルの削減まではマイナスの費用(=利益)が伴うということ。この論文、時間を見つけて、一度読んでみたいと思います。

もうひとつは以前にもこのブログで書いた"clean coal"のお話。講演後の質疑応答の際、「clean coalの推進についてはどう思うか?」との質問に答えて"We need clean coal technoloy, because we have too much coal and coal is too much cheap. "とおっしゃっていました。要するに、「本音としてはやりたくないんだけど、状況から言ってやんないわけにはいかないよね」ってことなんだろうと思います。この一言は、僕もとても納得できるものでした。

p.s. このブログを書いてる間に、円が1$=96円の壁を軽々越えてったことに、若干ビビってます。個人的にはもちろんうれしいんですけど、円高、来てますね…。
my home, Syracuse, Oct 23, 24:54

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