Wednesday, October 29, 2008

Swing States

雪がしんしん降り続いています。地面の上にはまだ積もっていませんが、道の端に止めてある車の上には2cmくらいの積雪が。

帰り際、「雪道大変だろうから送ってってあげるよ」と言われ、ナイジェリア人A君のあとを、とことこついてったら、彼の駐車場は僕のうちよりも、はるかに遠い所にありました(しかも逆方向) 今年の初雪合戦ができたので、まぁそれはそれで良かったんですが。てか、今年あと何回雪合戦やるんだろ(両手両足で足りるかなぁ)…??

さて、大統領選まであと6日、僕の周りでも盛り上がる人はけっこう盛り上がっています。まぁ、いつもと変わらないアメリカ人も意外と多かったりするんですけどね。ともあれ、そんな「盛りあがってるアメリカ人」の代表選手(?)が、英語のクラスのMonica先生。カリフォルニア出身(実家はMac本社から歩いてちょっとのとこらしい)の、いかにも西海岸なノリのお姉ちゃんなんですが、あまりの盛り上がりっぷりに、今日は50分の授業中、残り3分になるまでひたすら大統領選について語り続けていました。たぶん、2,3分のopening talkにするつもりだったんでしょうけど、生徒の質問に答えてる間に完全に火がついちゃったみたいです…。

とはいえ、あくまで全学部対象の英語の授業、しかも半分は学部学生が相手ですから(このクラスは大学院・学部共通)、普段Maxwellで聞くようなマニアックなお話ではなく、でも逆に、それはそれでわかりやすくて面白かったので、ちょっと今更感もありますがメモしておこうと思います。

1.Economical Issues
Monica先生曰く、経済的な側面だけで言えば、富裕層はRepublicanに投票し、中流・貧困層はDemocratsに投票するのがmake senseだ、とのこと。つまりですね、単純に言うと、Republicanは「小さな政府」、Democratsは「大きな政府」を、それぞれ理想に掲げる人たちなので、所得の再分配機能は、当然ながら、Democratsが大統領になったときの方が大きいわけです。よって、金持ちはRepublicanを推し、貧乏人はDemocratsに味方する、という理屈。確かにmake senseですね。

一つ注意が必要なのは、日本と違ってアメリカの金持ちというのは、郊外、あるいは田舎に住んでいることが多いということ。NYCやボストン、シカゴといったごく一部の例を除いて、アメリカのほとんどの都市は深刻なスプロール現象にさらされています(Syracuseもその典型)。よって、都市の真ん中には基本的にpoorな層しか住んでいません。このことから、「都市に強いDemocrats、田舎に強いRepublican」という構図が、ある程度説明できるわけですね。

2.Social Issues
Economical Issuesは、党を選択する基準として非常にわかりやすいんですが、実際の投票行動はもう少し複雑です。事情を複雑にしているのはSocial Issuesの存在。Monica先生曰く、「今日のアメリカの社会問題と言えば、要は、abortion(妊娠中絶の是非)、gay-rights(同性愛者の権利問題)、guns(銃規制)の3つ。liberalな人たちはこれら全部に賛成し、conservativeな人たちはこれら全部に反対する」とのこと。また、「多くのアメリカ人にとって、合理的に説明のつくEconomical Issuesよりも、感情に左右される部分の大きいSocial Issuesの方が、投票の際の決め手になりやすい」とのこと。なるほど…。

当然、liberalな人たちはDemocratsに、conservativeな人たちはRepublicanに投票するわけですが、それぞれ、どんなところに住んでるかというと、liberalsの巣窟はNYC、ボストン、シカゴといった大都市や西海岸、conservativeの巣窟は、言うまでもなく南部です。また、都会と田舎を比べると、都会の方がよりliberal、田舎の方がよりconservativeといった対比も見られるようです。

面白いのは、NY州とイリノイ州。これらの州は両方とも立派な農業州で、それぞれの中心都市(NYCとシカゴ)から一歩外に出れば、広大が農地が広がっています。つまり、州全体がliberalなわけではなく、それどころか、面積的にみれば、州内のほとんどの地域はconservativeだというわけ。ところが、州人口に占めるNYCやシカゴの割合が圧倒的なので、安定的な民主党支持州になっている、ということだそうです。

3.Swing States
日本でもときどき耳にする話ですが、アメリカの大統領選挙は、厳密には直接選挙ではありません。選挙民は「選挙人」と呼ばれる人たちを選び、その選挙人が集まってThe Electoral Collegeという場で大統領を選出するシステムです。今年の場合、前者は11/4、後者は12/15に行われますが、単に「大統領選挙」と言えば、まず間違いなく前者を指します。この日に実質的に大統領が決まってしまうので。The Electoral Collegeは、今やセレモニーに過ぎません。

この「選挙人」、各州に予め決まった人数が割り当てられてますが(最多はカリフォルニアの55人で、最少はバーモントなどの3人、全部で538人)、どこの州も(たぶん)慣習で、「より多くの票を獲得した党の候補に、全選挙人が投票する」というシステムをとっています。つまり、カリフォルニアで勝てば「55票、まるごともってけー」って状況になる、というわけ。そんなわけで、大統領選では、州ごとに勝敗を見ていく必要があり、アメリカのニュースを見ていると、大統領選の何カ月も前から、世論調査の結果を図示したこんな感じの地図にしょっちゅうお目にかかれます。(この地図は、NPRのサイトから拝借。)

民主党=青、共和党=赤、という色分けは、マスコミ各社共通のようで、この赤青mapはどこに行っても見られるので、この国では、民主党支持州のことを"Blue state"、共和党支持州のことを"Red state"と呼んだりもします。

勢力図は毎回だいたい決まっていて、皆さんもご存じのとおり、東部諸州と西海岸はblue statesに、南部と中西部はred statesになるわけですが、最後の最後まで、どっちに投票するか決められない優柔不断な困ったチャンの州も、これまただいたい決まっていて、 "swing state"あるいは"purple state"などと呼ばれています。どこがswing statesかといった厳密な定義はもちろんないですが、wikipediaによると、Florida、Pennsylvania、Ohio、Virginiaが代表的なswing stateとのこと。

NPRによると、このうち、PennsylvaniaとVirginiaはblueに傾いてるみたいですが、Monica先生曰く、「まだまだ油断なんね」とのこと。あの、先生、ほとんど、支持政党、言っちゃってますけど…。

そんなことを気にする様子もないMonica先生、加えて曰く

「私、あの電子投票機ってヤツ、どうも信用できないんだよね…」

共和党系の会社が納入してて、なんか裏でごにょごにょ操作してるらしいという例の疑惑のことですね。今年は、世論調査で既に大きな溝が空いてるので、共和党もさすがに操作はできないだろう(やったらあからさますぎるだろう)と、いちおう言われています。てゆうか、そんなことより、信用できないんだったらアナログに戻せばいいじゃんと思ってしまうわけですが、この辺がこの国の不可思議なところですね。

my home, Syracuse, Oct 29, 24:40

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