Tuesday, December 8, 2009

Sinocentrism

前回エントリーで書いたレポートのプレゼンは、本日無事終了。とりあえず、肩の荷が半分だけ下りた。残り半分は水曜のコース(Global Trade)のfinal paper。それを出せば今学期もほぼ終了。といいつつ、まだほとんど手はついていないのだが(苦笑)

今日は、僕含め四人の生徒がプレゼンをしたのだが、そのうちの一人のテーマが人民元のmanipulation問題で、彼のプレゼン終了後、中国政府にmanipulationを止めさせるには、どうやって説得するのがいいかとのディスカッションになった。ちなみにクラスの構成は、アメリカ人…7、モンゴル人…1、日本人…1(=僕)で、先生はアメリカ暮らしの長いインド人。  

まぁ確かに、先生のそのフリ自体どうなのよ?? という話はあるのだが、自信満々に発言する生徒たちの口から出てきた答えは、「『manipulationを止めれば、資源の購買力が増しますよ』と言って説得する」、「『manipulationを続ける限り、あなた方の国の国民・消費者が犠牲を被り続けることになるんですよ』と言って説得する」...etc. ちょっとちょっと、中国を軽く見過ぎていやしませんか?? まぁ、「じゃぁお前言ってみろ」と言われても、良い答案は出せないんですけど。(笑)   

なぜ彼らの意見がこんなに軽々しいのか。一つの答えは「学生だから」。それはある。間違いなくある。ただし、いちおう断わっておくと、(このクラスのメインテーマである)金融政策の話をしている限り、彼らは、とびきりスマートとまでは言えないまでも、とりあえずバカではないし、痛々しいほどナイーブということもない。となると、他にも何か別の理由が?   

n=7のサンプリングから、こんなことを言うのも乱暴の極みなのだが、そこを敢えて言ってしまうと、一般的なアメリカ人は、中国についての重要な二つのポイントを見落としているのではないかと思う。 

一つは、中国の国内情勢。いくら失業率が10%を越えたとは言え(最近ちょっと改善したんだっけ?)、アメリカの国内情勢なんて中国のそれに比べればstableそのもの。いくら“G2”なんて言われるようになったとはいえ、国内的には、彼の国の政府は、今もなお、「暴動」という匕首をずっとのど元に突き付けられながら日々の執務に当っているようなものなのである(実際、毎年数件は起こっているし)。相手方がそういう切迫した状態にあるんだという認識を、どのくらいのアメリカ人が持てているだろうか。

もう一つは、中華思想。彼の国の人たちにしてみれば、中国は、まさしく「中華」の国なのであって、そんじょそこらの国と一緒にしてもらってはプライドが許さないのである。もっとも、アメリカは、既に中国を特別視し始めている。そういう意味では、確かに、「そんじょそこらの国」と一緒にはしていないわけだが、それは単にアメリカが中国の持つmaterialな要素(経済、人口、etc.)を警戒し始めているからであって、間違っても、spiritualな面で敬意をはらい始めたからとか、中国人特有の「中華思想」mentalityを理解し始めたからとか、そういうことではない。中国の「中華思想」を紛いなりにも理解できているアメリカ人なんて、専門家を除けば、ごく一部なんじゃないかという気がする。 

「だからもっと中国を大目に見てやれ」とか「もっと畏敬の念を持って接しなさい」なんて言う気は毛頭ない。言うべきことは言うべきだし、(国際常識から見て)正すべきことは正すべきだと思う。しかし、この辺りの事情をわきまえず、ただただ単刀直入に突っ込んでいくと、逆にアメリカの方が、しなくてもいいケガをするなんてことにもなりかねない。もちろん、中国問題の専門家たちは、そんなこと、百も承知だと思うが、外交というものは、結局のところ、ある程度(かなりの程度?)、その国の一般国民のperceptionに縛られてしまうものなんじゃないかという気もするので…。

今日のディスカッションを聞きながら、少しだけ、そんなことを考えてみた。
my room, Washington DC, Dec 8, 25:00

No comments: