Friday, December 11, 2009

Border Adjustment

Global Tradeコースのfinal paper用草稿。

この6月に下院を通過したH.R. 2454-the American Clean Energy and Security Act of 2009 (ACESA) (通称 Waxman-Markey Act)には、いわゆるborder adjustment措置が盛り込まれている(Title IV, Part F)が、その規定内容を、こちらの記事をもとに和訳・要約すると以下の通り。
  1. “carbon leakage”の影響を受けやすいと思われる国内産業には、法順守コストの一部を補填する。なお、補填には(ACESAの別の章によって創設されるcap-and-trade制度の)排出権を充てる。
  2. 1.の「補填」措置は、産業(sector)ごとに適用。適用の是非は、当該産業の、エネルギー集約度(energy-intensity)、温室効果ガス集約度(GHG-intensity)、貿易依存度(trade-intensity)をもとに判断。
  3. 大統領は、2020年までに、輸入業者(importer)に対して、排出権(emissions allowances)の提出義務を課すことができる。
  4. 2018年までに、温室効果ガス(GHG)の排出削減を各国が協調的に行うことを担保する国際合意が成立しなかった場合、大統領は、3.の権限を行使しなければならない。
  5. 2018年までに国際合意が成立しなかったにもかかわらず、輸入業者への排出権提出義務が発動されないのは、①大統領がそのような義務を課すことは合衆国の経済的又は環境的利益に沿わないと判断し、かつ、②議会両院がその判断を承認した場合に限られる。
  6. ただし、全世界生産量の85%以上が、排出削減基準(emissions reduction criteria)に合致する形で生産されていると大統領が判断した産業に対しては、3.の排出権提出義務は課されない。
  7. さらに、6.の基準その他の基準に合致している国からの輸入品に関しても、3.の排出権提出義務は課されない。
 以下、法案本文を読みながらの補足。
  • 補填allowanceは、「unitごとにいくら」という形で発行される。【Sec.763(a)(1)】
  • 各対象企業(covered entity)に割り当てられる補填allowanceの量は2026年以降徐々に減っていき、2035年以降はゼロ。【Sec.764(a)(1)(B)】
  • 各covered entityに割り当てられる補填allowanceの量は“direct carbon factor”と“indirect carbon factor”の合計に基づいて決定。【Sec.764(b)(1)(A)】
  • 〔direct carbon factor〕=〔過去二年の平均産出量(unit)〕×〔産業ごとに算定された単位産出量当り平均“直接”GHG排出量(t-CO2e/unit)〕【Sec.764(b)(2)】
  • 〔indirect carbon factor〕=〔過去二年の平均産出量(unit)〕×〔electricity emissions intensity factor(t-CO2e/kWh)〕×〔elecricity efficiency factor(kWh/unit)〕【Sec.764(b)(3)】
  • 6. の排出削減基準(emissions reduction criteria)は以下のいずれかを満たすこと【Sec.767(c)(1)】;
    • (1) 輸出国が、米国も加盟する国際合意に加盟しており、その合意が経済全体を覆う国ごとの排出削減約束(a nationally enforceable and economy wide greenhouse gas emissions reduction comittoment)を含んでおり、かつ、当該輸出国の削減約束がアメリカに対する約束と同等以上に厳しい場合。
    • (2) 輸出国が、米国も加盟するセクターごとのバイ又はマルチの国際合意に加盟している場合。
    • (3) 輸出国の当該セクターのenergy-intensity又はGHG-intensityが、米国の同セクターのそれらの指標よりも小さい場合。
  • 輸入業者に対して売り出されるinternational reserve allowancesの価格は、直近の(米国内)allowance auctionの落札価格と同額。【Sec. 768(a)(1)(B)】
  • 7. のその他の基準は、以下のいずれかを満たすこと。【Sec. 768(a)(1)(E)(ii),(iii)】
    • 国連の指定するLDC(低開発国)からの輸入品である
    • 「全世界のGHG排出に対する責任が0.5%以下であり、かつ、当該製品の米国への輸入全体に占める割合が5%以下である」と大統領が認めた国からの輸入品(当該製品に限る)である
my room, Washington DC, Dec 10, 25:11

No comments: