Friday, December 4, 2009

Domestic Content Requirements

普段なら、木曜日の夜は、インターンから直接家に帰ってのんびりと過ごすのだが、今週はInternational Tradeのmakeup(補講)が。なんでも、Professor氏(例のSAISおじさん)が来週一週間、海外出張で不在になるらしい。出張の行き先はというと、今また話題の北朝鮮。さすがSAIS。何かにつけてやることが怪しい(←褒めてます)。

そんなわけで二日連続で行われたTradeのクラス(昨日のクラスではほとんどtradeの話はなかったけど。笑)。今日の授業のテーマは、Government Procurement Agreement(と、Custom Valuationと、Technical Barriers)だったので、授業の復習がてら、この秋に完全施行されたカナダOntario州のGreen Energy Actに盛り込まれているDomestic Content Requirementsについて、簡単にまとめておきたい。

この州法(カナダなので、厳密にいえば、province法?)、目玉は、再生可能エネルギー(biogas, biomass, landfill gas, solar photovoltaic (PV), wind and waterpower)を対象にしたFeed-in-Tariffなのだが、このFiTの受給の対象になるためには、Domestic Content Requirements(州産品要件)をクリアしなければならない決まりになっている。

Ontario州エネルギー&インフラ省発表の文書(2009/9/24)によると
(FiTの受給対象となるためには)Developers will be required to have a certain percentage of their project costs come from Ontario goods and labour at the time they reach commercial operation.

  • For wind, the requirement will start at 25% and increase to 50% on Jan. 1, 2012.
  • For micro solar PV (10 kW or smaller), the requirement will start at 40% and increase to 60% on Jan. 1, 2011.
  • For larger solar PV, the requirement will start at 50% and increase to 60% on Jan. 1, 2011.
との由。つまり、今年2月のRecovery Act制定の際に、米国内外で大きな議論となった「Buy-American条項」顔負けの保護主義的政策が取られているわけである。

このGreen Energy Act、抵触が疑われるのはAgreement on Government Procurement(以下GPA)という国際合意。GPAというのは、Tokyo RoundからUruguay Roundにかけて、GATT/WTO本体の交渉と並行して議論されてきた、政府調達に関する国際合意だが、WTO条約とは別立てになっており、WTO加盟国のすべてに適用されるわけではない。GPAを採択している28か国に対してのみ適用される(ちなみにカナダは加盟国)。[GPA制定・改正の経緯はこちら] GPAのエッセンスは、政府調達の際に、国産品と輸入品とで異なった扱いをすることの禁止(non-discrimination原則)にあり [Article III]、まさに、Domestic Content Requirementsのような措置を防ぐための国際合意であると言える。

しかし、結論から言ってしまうと、おそらく、このOntarioのケースは、(政治的にはともかく)法的には「シロ」。というのも、GPA加盟国は、自国内でのnon-discrimination原則の適用範囲について、①procuring entity(中央政府、地方政府、公営企業、etc.)、②財・サービスの種類、③購買額ごとに条件を設定できる決まりになっており、カナダは、②に関する条件の中で“public utilities”を、適用範囲から抜いている。[Notes 4. of Annex 4 (for Canada) of Appendix I]

日本のAnnex 4 of Appendix I を見ると(Appendix IのAnnexesは、加盟国ごとに制定されている)、“public utilities”を適用除外とする同様の規定は見当たらないので、仮に日本でオンタリオと同じようなことをしようとしたら、GPA上、「クロ」ということになるのかも知れない。とはいえ、「だから日本もAnnexを改定すべき」ということが言いたいわけではないので悪しからず。
my room, Washington DC, Dec 3, 26:45

No comments: