Sunday, December 13, 2009

"Competitiveness" Issue of Climate Policies

引き続き、Global Tradeのfinal paperにはまり中。なんかあんまり前進していない気がします。そろそろ書き始めないとヤバいんですけど…。

それなりに読むには読んだんですが、どこに何が書いてあったかわけがわからなくなってきたので――論文を書くということに関して、これまでまともに訓練を受けたことがないので、このあたりの処理がいつまでたっても手探り状態――読んだ(skimming含む)資料の要旨を箇条書きにしておこうかと。後々、何かと便利そうだし。


■ J. Stehenson and S. Upton (2009) “Competitiveness, Leakage, and Border Adjustment: Climate Policy Distractions?”, OECD
  • 「世界が同時に気候変動対策を始めなければ、先進国の企業の“competitiveness”(競争力)が危険に晒され、果ては、温室効果ガス(GHG)排出の“leakage”をも引き起こす」といった主張がある。
  •  「企業単位又はsector(産業)単位で見ればcompetitivenessへの悪影響は大きなものになるはず」といった研究結果も見られる。
  • 経験的証拠は、leakageが限定的にしか生じないことを示している。
  • leakageの規模を算定するより難しいのは、それ自体、問題があって防止されるべき変化なのかどうかを判断することである。
  • leakageの発生パターンによって、国内措置で対応できるものとできないものとがある。
  • ときにextremeにさえなるcomepetitiveness concernは、強い政治的影響力を持ち、しばしば環境政策の前進を阻んできた。
  • 企業単位のcompetitiveness問題に対応するoptionとしては、free allocation of emission permits と border adjustments の二つがある。
  • EU-ETSでは、free allocationの方が好まれてきたが、それぞれに長所と短所があって、一概にどちらがいいとは言えない。
  • 産業を補助金中毒に陥らせてしまうリスクがないという点で、border adjustmentsの方がよりsustainableな解決策だと見る向きがある。
  • 自国企業のcompetitiveness確保を追及する政策は、UNFCCCの“common but differentiated responsibilities”(CBDR: “共通だが差異ある責任”)原則とバッティングしうる。
  • しかし、leakage問題と一緒に考える場合においては、competitiveness問題は、一国にとどまるものではなく、system全体の懸念対象となりえる。
  • leakage対策をUNFCCCと調和したものとするためには、その対策を、途上国をdiscriminateするようなかたちで行ってはならない。
  • 「排出削減を推進すべし」というpolicy signalsを弱める政策の行使には慎重であるべき。その判断に当たっては、国際貿易ルールの背後にある論理(rationale and reasoning)に依拠するべきである。
  • やりすぎにならない範囲でcompetitiveness concernに対応することは、先進国における排出削減対策の実行を円滑化する上で有効であると認める方が建設的。
■ P. Wooders, A. Cosbey and J. Stephenson (2009) “Border Carbon Adjustment and Free Allowances: Resonding to Competitiveness and Leakage Concerns”, OECD
  • 一般に、Competitiveness問題とleakage問題は、ある国が、他国の採用していないpolicies and measures (PAMs)を採用した場合、或いは、各国間でPAMsの形態が異なる場合に発生する。これらの問題に対する懸念は、過去においても環境政策を弱め、或いは歪めさえしてきた。
  • GHG排出削減対策の実証的証拠はまだ少ないので、different GHG PAMsの影響・効果を図る際しては理論的考察に頼らざるを得ないが、その予測の結果には、大きな幅がある。これは、企業の生産場所移転の判断は、気候変動政策以外のさまざまな要素も加味して行われるものであり、それらをどう織り込むかによって結果が変わってくるからである。
  • その経済的必要性は必ずしも明らかにされていないにしても、ある国がGHG PAMsを導入しようと思ったら、competitiveness and leakage concernsに対応することは、政治的に不可欠である。
  • EU-ETS (PhaseIII)では、同政策によってcompetitivenessを脅かされると考えられる産業分野の企業に対し、(従来通りの操業を行うのに)必要なallowancesの大半を無料で与えることとしており、Waxman-Markey法案も同様の措置を持ち込もうとしている。
  • 施行後のreviewの結果如何によっては、BCA (Border Carbon Adjustment) を導入することが、Waxman-Markey法案には明記されている。EU-ETSも将来の検討対象の一つとしている。
  • 企業に対してfree allowancesを与えるか否かで、政府収入には、年間数十億$オーダーの開きが出る。
  • 国内外の企業の競争条件をlevelにするのに、完全にeffectiveな方法はない。実務的に言えば、GHG排出を正確に測ろうとすればするほど、それに要するadministrative costは、effectivenessとのtrade-offを来す。
  • competitiveness and leakage concernsに対応する政策は、既存のさまざまな国際約束に反しない形で制定されなければならないが、その際の要点は以下の2点である:
    • “common but differentiated responsibilities” (CBDR) …すべての国で生産された製品に対して同等のcarbon costを課すPAMsは、おそらく、このCBDR原則に反する。
    • non-discrimination between "like" goods…本来の“like”の定義には製造方法は含まれない(=違った製造方法の結果、同様の製品が生産されれば、“like”とみなす)が、GATT Article XXは、environmental benefitを含む限られた条件を満たす場合に、その例外を認めている。competitiveness and leakage impactsへの対応策にこの例外が適用されるかどうかはnot clearでdesign specifics次第。
■ Carolyn Fisher and Alan K. Fox (2009) “Comparing Plicies to Combat Emissions Leakage: Border Tax Adjustments versus Rebates”, Resources For the Future
  • border adjustments(border tax on imports, export relief, and home rebate)は、貿易法上の議論があるというだけでなく、leakage分を加味したoverallのemissions reductionsの改善という点で見ても、あまり効果的でない可能性がある。
  • USAからのleakageを防止するためには、home rebateがもっとも有効。ただし、
    • 電力sectorと石油精製sectorを除く。これらでは、rebateがGHG排出削減のインセンティブを削ぎ、国内での排出が拡大することに。
    • home rebate自体は、貿易相手国間での区別をしないので、アメリカと同等かそれ以上の措置を取っている国に対しては、何らかの措置が必要。
  • border adjustmentsを実施するには、実務上、いくつかの重大な課題がある:
    • import adjustments…外国製製品の生産過程におけるGHG排出量をどのように算定するか、原産地規則(rules of origin)をどのように規定し、執行するか。
    • home rebate、export relief…firm-levelではなく、sector-wideのemission intensityに依拠して行われるべき(“subsidy supports output not emissions”)ただし、sectorごとのaverage intensiyを算定するには、分母=生産単位(the unit of production)を定義せねばならず、実務上、非常にchallenging。
■ Carolyn Fisher and Richard Morgenstern (2009) “US Industry and Cap-and Trade: Designing Provisions to Maintain Domestic Competitiveness and Mitigate Emissions Leakage”, Enery Security Initiative at Brookings
  • the American Clean Energy and Security Act of 2009 (ACESA, or Waxman-Markey Act) の国内産業competitiveness擁護措置は、そういった政策には本質的な限界があるという明確な理解の上に書かれている。「energy-intensive, trade-intensiveな企業に対するoutput-basedのrebatesの供与」 という構造から成るこの措置は、細部設計がうまくいけば、排出削減やイノベーションに対するインセンティブを減ずることなしに、国内産業への打撃を緩和することができる可能性がある。
  • ACESAがアメリカの国内外においてcost-effectiveな排出削減を促進できるかどうかの成否は、究極的には、諸外国が、どれだけアメリカと同等の措置を適時に講じるかどうかにかかっている。
  • ACESAにも修正すべき点がいくつかある。
    • energy-intensive, trade-exposed ("EITE") sectorsへのover-allocationが発生する可能性が高い。特に制度開始当初。電力sector及び石油精製sectorが対象の特例的allocation mechanismに非効率が内在している可能性も。
    • allowance販売益は、公的債務の返済と税率の引下げに用いられるべきであり―それらは経済全体の競争力を向上させる―、特定の利益のためには、原則、用いられるべきでない。
  • こういったborder adjustment措置の導入に当たっては、想定し得る他国の反応や、より広い意味での国際的文脈を注意深く考慮しなければならない。最終的には、international participationのnature and extentがglobal climate mitigation effortの有効性を決する。成功するアメリカの政策とは、国際的な協調的行動をcatalyzeするものであるはずである。
■ Christopher L. Weber and Glen P. Peters (2009) “Climate Change Policy and International Trade: Policy Considerations in the US”, Energy Policy 37 (2009) 432-440
  • competitivenessを守るためのborder措置は、たとえそれがlegalであったとしても、不必要なものであると言わざるを得ない。一部の産業を擁護できるに過ぎない反面、このような各国間の協力が絶対的に必要な状況下において、非生産的な効果をもたらす可能性がある。
  • 長期的に見れば、carbon-tariffのようなconsumption-basedの政策は有効であろうが、短期的には、技術移転や、先進国・途上国の両方を巻き込んだsectoral agreementsに注力する方が効果的である。
■ Timothy E. Deal (2008) “WTO Rules and Procedures and Their Implication for the Kyoto Protocol”, US Council for International Business
  • Shrimp-Turtle caseに関するAppellate Bodyの判断は、「non-product related PPMsに対して貿易上の制約を課すのは、『世界共有の資源を護るため』と主張できる範囲においては合法」という原則を確立した感がある。
  • Shrimp-Turtle decision と、Uruguay Roundにおける補助金に関する合意の改定(製造過程で使用された財・サービスに対する間接税に関するborder adjustmentの合法化)が、BCAへの扉を開いたと言える。
my room, Washington DC, Dec 13, 20:32

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