Wednesday, July 22, 2009

Regulating human nature

最近、巷で話題のAndrew Lo(MITのB-Schoolの教授)が、Financial TimesにOpinion記事を載せている。曰く、

「市場でのモノの価格は、availableな情報を完全に反映して合理的に形成されるんだから、市場規制なんかいらんわい」とする合理的市場仮説(Efficient Markets Hypothesis (EMH))と、「だいたいからして人間の行動なんてもんは、そんな合理的にできとらん。”animal spirits”に突き動かされてるだけ。なので市場規制は絶対必要」とする行動経済学派(behaviouralists)の論争が、ここのところ盛り上がっているが、いずれの考え方も、市場というものの本来の姿を映し出してはいない。市場というのは、「普段は極めて効率的に機能しているが、しばしば、”animal spirits”に突き動かされた人々の群集心理に反応して、バブルや、その崩壊を発生させてしまう」もの。両派の主張は、それぞれ、市場の姿の一部分を説明しているに過ぎない。

私の唱える適応的市場仮説(Adaptive Markets Hypothesis (AMH))は、市場の動的変化を、進化生物学的な視点から捉えている。この視点からすると、市場というものはホモ=サピエンスの発明した、生き抜くための数々の道具の一つにすぎない。どんなに優れた道具でも、ときには故障を起こすことがあるように、「市場」という道具も、故障・失敗を繰り返しながら、いまだ、進化・改良の途上にある。にもかかわらず、環境の変化を無視した硬直的なルールなんてものを持ち込んでしまえば、思いもかけない結果を招くことになる。

ときて、最後の一文がコレ。
The only way to break this vicious cycle is to recognise its origin – adaptive behaviour – and design equally adaptive regulations to counterbalance human nature.
直訳すると、「この負の連鎖を断ち切るための唯一の方法は、規制というものの起源=適応的行動 を再認識し、それと同じように、人間の性向とのバランスがとれるような適応的規制を設計することである」といった感じだと思うが、具体的に何を言わんとしているのか、正直、よくわからん…。僕には、「規制にも、試行錯誤を繰り返せるだけのflexibilityを持たせてやれ」ということのように読めるのだが、もし仮に、比較的短期間のことについておっしゃっているのだとしたら、「規制をad hocに設定・改定すべき」と言っているに等しく、規制というものの本質からして、それってどうなのと思う。一方、比較的長期についておっしゃっているのだとしたら…、それってほとんど何も言ってないのに等しい気が。 (← 誰も、今日の規制制度が未来永劫、機能し続けるなんて思っていない)
  
あるいは、Lo教授は、実は、もっと本質的な―でもそのまま文字にすると毒が強すぎる―ことをおっしゃりたいのかなぁとも思う。「「経済学には、その理論に基づく予見可能性があり、その予見に基づいて危険回避的な制度を編み出すことができる」とする、従来の「社会工学」的経済学観それ自体が間違っていた。所詮、経済学に(そして人類に)そんな力はありません。せいぜいできることと言えば、経験的に失敗から学ぶことだけです」みたいな。。。
my room, Accra, Ghana, July 22, 6:23

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