Thursday, July 9, 2009

Game of reporting

一般論として(あくまで一般論として)こんなことを考えてみた。念のために言っておくが、昨日の話の続きではない。
  
【前提】
あなたの直属の上司と、その上司(以下、「上司の上司」)とは、ときどきソリが合わない。「上司の上司」から、あなたのチームに対し、あるご下問メールが降ってきた。メールの宛先には、あなたも、あなたの上司も入っている。あなたの頭の中では、既に、ご下問に対する回答案が出来上がっているが、何となく、その回答案は、あなたの上司のお気に召さない気がする(ただし、あなた自身は、その回答案にかなり自信がある)。あなたは、直属の上司にお伺いを立ててからご下問メールに返信するべきか、それとも、お構いなしに「全員に返信」するべきか。

【戦略と結果】
それぞれの戦略を取った場合、以下のどちらかの結果が起こるものと想定する。
  • 「お伺い」戦略: 「許可」(メール出してよろしい) or 「不許可」(メール出しちゃダメ)
  • 「ダイレクト返信」戦略: 返信後、直属上司からの 「お咎めなし」 or 「お咎めあり」
なお、「お伺い」-「不許可」の場合、上司への再チャレンジは行わないものとする。

【期待値】
「お伺い」戦略を取った場合に「不許可」をくらう確率と、「ダイレクト返信」戦略を取った場合に「お咎め」をくらう確率は、同じ(p)だと仮定する(要は、「上司があなたの回答を気に入らない」確率。厳密にいえば、同じではない気もするが、じゃぁどちらの確率の方が高いのかと考えると、状況によりけりのような気がするので、ここでは単純に同じ確率とする。)。一方、あなたの回答案を「上司の上司」の耳に入れることによって得られる便益を1とし、「お咎め」による損失(の絶対値)をqとする。なお、回答案が「上司の上司」の耳に入れられなかったこと自体からは、便益も損失も発生しないこととする。

このとき、両戦略から得られる期待値は、それぞれ以下の通り。
  • E(お伺い)= p*1 + (1-p)*0 = p
  • E(ダイレクト返信)= p*1 + (1-p)*(1-q) = p + (1-p)(1-q)

【結論】
   E(ダイレクト返信) > E(お伺い)
p + (1-p)(1-q) > p
⇔ (1-p)(1-q) > 0
⇔     (1-q) > 0 (∵ p <1)

つまり、どちらの戦略をとるべきかは、「お咎め」によって被るダメージと、「上司の上司」への上申によって得られる利得の大小関係のみを比較して判断すればいいのであって、直属の上司がその案を気に入るかどうかは関係ない、というわけである。
  
こういったシチュエーションに見舞われると、僕はいつも、上司がその案を気に入るかどうかを何となく考慮に入れながら、戦略を選んでいたような気がするので、この結論は、僕的にはなかなか新鮮だった。まぁ、このくらい、わざわざ、不等式引っ張り出してくるまでもなく、直感的に分かれよって話かもしれません…。

Accra, Ghana, July 9, 17:12

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