Monday, July 27, 2009

I need a "device."

後輩からもらったメールに返事を書きながら、こんなことを考えた。
  
「社会」というのは矛盾に満ち満ちたものであり、その部分集合である「組織」もまた、内部に少なからぬ矛盾を抱えざるを得ない存在である。「組織」内部の矛盾を減らすもっとも効果的な方法は、物理的な意味でも、扱う範囲という意味でも、組織のサイズを限定し、「社会」とのトランザクションを最小限にとどめる(あるいは、限定された径路でのみ「社会」と繋がる)ことだと思う。このことは、「社会のことを扱いたい」(より正確に言えば「社会の全体最適を模索したい」)という志向とは、明らかに背反する。
  
仕事選びに際して、「矛盾の少ない健全な組織で働きたい」というのは至極当然の欲求だと思うが、上記のような背反性がある以上、「社会のことを扱いたい」と思っている人にとっては、その志向の追求と、組織の抱える矛盾の量とを、どこかでバランスさせるしかなく、単純に「矛盾のない組織」を選ぶのは至難の業(というか、原理的に無理?)だと思う。で、ある以上、「組織」は、自分のやりたいことを実現するための「道具」、あるいは「社会」というものを理解するための「観察対象」と割り切って、「自分」と「組織」との間に、健全な距離を取っておくことが重要だろう。
  
しかし、こんなことも、「組織」を二年も離れていられる留学中だからこそ軽々と言えるのであって、いざ「組織」に戻ってしまえば、その実行は並大抵のことではないということは身に沁みてわかっている。人間というものの理性は(少なくとも僕の理性は)そんなに強くはないから、一旦、「組織」の中に物理的・時間的に拘束されてしまえば、ついつい、自分の思考パターンまで、組織のそれとシンクロさせてしまいがちになる。それが、長期的に見て、自分にとって良くないことだとわかっていても、短期的には、「組織」の流れに抗わず身を任せる方が圧倒的に楽な生き方なので。
  
だからこそ、「組織」に戻った後も、定期的に「組織」の呪縛を離れ、自由にモノを考えられるための「装置」が必要だと思う。ただ、「そう努めます」ということではなくて、たとえ自分の心が「折れて」しまっているときにでも、定期的に、無理やりにでも、自分に「自分」を思い出させてくれる、具体的な「装置」が必要だと。

そういった「装置」を準備しておくことも、留学中にやっておくべき非常に大事なことの一つだと思う。
Accra, Ghana, July 27, 17:04

No comments: