Sunday, July 19, 2009

How different is his policy?

ちょうど一週間前にGhanaの国会で行われたObamaの演説に関する解説記事がEconomistに出ている。タイトルは、“How different is his policy?” 「実際のところ、Obamaのアフリカ政策は、前任者のやってたこととあんまり違わないんじゃないの??」という論調だ。

と書くと、さも悪いことをやっているみたいに聞こえるが(と聞こえさせてしまう「前任者」の負のオーラもすごい)、同記事は、“In truth, Mr Obama’s Africa policy is unlikely to differ much from his predecessor’s, which was viewed favourably by Africans in general and by most pundits of African development.”(実際のところ、Obamaのアフリカ政策はその前任者の政策とそれほど違っているようには見えない。もっとも、前任者の政策は、一般的には、アフリカの人々や、多くのアフリカ開発の専門家から好意的に受け止められていたのだが)という趣旨で書いている。

この指摘は確かにその通りで、日本ではあまり知られていないが、Bush政権時代には、“Millennium Challenge Accounts”などを通し、米国からのアフリカ向け援助額は大幅に拡充された。したがって、北アフリカのイスラム国はともかく、sub-Saharaの人たちから、Bushが嫌われないといけない理由は、実はあまりない。それでも、Accraのタクシーの運ちゃんたちとしゃべっていると、Obamaの人気、Bushの不人気は両方とも絶大。政治家というのは、「中身」もさることながら、やはり「イメージ」が大事な職業なのだなとつくづく痛感させられる。

Bush政権時代は、頑張って何かをやらないと、アフリカの人たちの気持ちを繋ぎとめておくことができなかった米国だが、Obamaが大統領となった今、(やや極端に言えば)Obamaがそこにいるという事実だけで、米国は、アフリカ(とりわけsub-Sahara)からの好感を集め続けることができる。目に見えてマイナスの方向に舵を切るようなことをすれば、「裏切った」という印象を持たれてしまうだろうが、少なくとも表面上、現状のトーンを維持しておけば、その心配もない。

むしろ、演説の中で述べられた、“We must start from the simple premise that Africa’s future is up to Africans.”(我々は、「アフリカの未来は、アフリカの人たち次第だ」という明快な前提からスタートしなければならない)との言葉が示唆しているように、米国のアフリカへの関与は、今後、「自立化」の名の下に、少しずつ減っていくのではないかという気がする。アフリカサイド、援助サイドからすると、このことには一長一短があり、一概に良いとも悪いとも言えないが、米国サイドからしてみれば、良いとか悪いとか言っている場合ではなく、世界中に伸びきった兵站線を少しでも縮めるために、そうするしかない、というのが本音ではないかと思う。
  
Economistの記事は、“The deeper truth is that Africa is not high on the American president’s agenda. His Ghana speech was sensible and stirring. But in the end his message was that African-American relations would see no grand change.”(実際のところ、アフリカは米国大統領にとっての重要課題ではない。彼のガーナでの演説は感動的なものであったが、彼の真のメッセージは「アフリカと米国の関係には大きな変化は訪れない」というものだ)と締めくくっているが、僕はむしろ、今後の米-Africa関係は、「変化がない」どころか、実質的には、疎遠になっていくのではないかと思う。逆説的だが、アフリカでのObama人気が続く限り…。

(演説の全文は、こちらで。)
my room, Accra, Ghana, July 19, 15:41

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