Tuesday, June 23, 2009

Green-car loans awarded to Ford, Nissan, Tesla

久々に北米発信のニュースを。

日米各紙が報じているところであるが、日産が、米国テネシー州の工場で、電気自動車の量産を始めるそうだ。NY times紙(web版)によると、これから工場の改修を行い、2012年末には生産を始めるとのこと。

なぜ日産の電気自動車量産工場第一号が、厚木ではなくてテネシーなのかと言えば、それは勿論、米国のGreen Stimulusのおかげ。今回使われた政策は、“create thousands of green jobs while helping reduce the nation’s dangerous dependence on foreign oil.”(国外産石油への危険なまでの依存を緩和するのに資するとともに数千人規模の雇用を生み出す)自動車会社に対し、政府が低利融資を行うというもの。このプランを利用して、日産はテネシー工場改修のための$1.6 billion(1,525億円)の融資を米国政府から受けることになる。
  
いくら政策融資を受けられるとはいえ、量産第一号の工場を外国に作ってしまうなんて、結構大胆だなぁと思うのだが、ハイブリッド車(HEV)でトヨタ・ホンダに水をあけられた日産にしてみれば、“nothing to lose”の心境で、電気自動車(EV)での一発逆転に賭ける思いがあるのかも知れない。
  
今回の融資第一弾の対象には、Ford、日産という既存メーカー二社の他に、Teslaという聞きなれない社名の会社も含まれている。同社は、2003年シリコンバレー創業の電気自動車スポーツカー生産専門の会社で、一部コアなファンの間では、既にかなりの人気を誇っているとか。

EVは、HEVと違い、内燃機関をまったく必要としない乗物。自動車というものが発明されて以来、当然のように、車づくりの中心に君臨し続けてきた内燃機関が完全に否定されてしまうわけだ。これほど大きな技術転換ともなると、旧技術の蓄積(見方を変えればシガラミ)を持たない新興企業の方が、既存のエスタブリッシュメントより有利な開発条件を得られる可能性がある。そんなわけで、先ほど紹介した米国のTeslaのほか、中国の電池・EVベンチャーBYDなど、最近、急速に注目を集めているEV系新興企業がいくつかある。これは、HEVの普及期には見られなかった現象だと思う。
 
もちろん、日本の既存自動車メーカーさんたちには、来るべき(←たぶん、そのうち来ると思う)EVの時代にも、これまで通り、世界を股に大活躍していただきたいわけだが、政策的には、別途、EVベンチャーを育てる手立ても講じておくのが賢いリスクヘッジというものだろう。日本政府が今行っている低公害車の減税措置も、それはそれでいいと思うのだが、販売段階の優遇だけでは新興企業は育たない。「勝って兜の緒を締めよ」ではないが、HEVの次の時代を見据え、日本も、EVの開発に的を絞った開発段階のサポート施策がそろそろ必要なのではないだろうか。

p.s. なんでGMは、General Engines ではなくてGeneral Motors なんだろうか。 どうでもいいっちゃぁどうでもいいんですけど。(もう倒産しちゃったし。)
my room, Accra, Ghana, June 23, 22:08

訂正:日産は「来年秋には追浜工場(神奈川県横須賀市)で年5万台の規模で生産を始めることを決めている」(by 日経web)そうです。たぶんこれがEVの量産第一号工場ですね。失礼しました。

No comments: