紹介するのは、さっき届いたUS-EPA(米国環境保護庁)のメルマガに載っていたニュース。2月の景気刺激法(the American Recovery and Reinvestment Act of 2009)で$200 millionの予算がついたClean Up Underground Storage Tank Petroleum Leaks(地下貯油槽からの漏出油クリーンアップ)事業の詳細が発表されたとのこと。US-EPAのサイトに、詳細が載っている。
新設される基金については、メルマガによると;
とのこと。直訳しても「係る」と「若しくは」がいっぱい出てきて非常に見苦しい日本語になるので(笑)、意訳を交えつつ箇条書きすると;The funds will be used for overseeing the assessment and cleanup of leaks from underground storage tanks or directly paying for assessment and cleanup of leaks from federally regulated tanks where the responsible party is unknown, unwilling, unable, or the clean up is an emergency response.
- (当該汚染サイトに責任を有する者が実施する)アセスメント及び浄化作業の監視業務(←監視業務自体は州又は地方政府が行う)に対する補助
- アセスメント及び浄化作業に対する(州または地方政府からの)直接的な財政支出に対する補助 (以下の場合が対象)
イ) 責任を有する主体が不明の場合
ロ) 責任を有する主体に洗浄作業を実施する意志又は能力がない場合
ハ) 緊急を要する場合
ということか(これでも十分見苦しい??)。
US-EPAのサイトを見ても、具体的な雇用創出効果などは出ておらず(This money will create thousands of jobs と書いてあるだけ。まぁ出ていたからといって…という話でもあるが)、試算が十分でないようには見受けられるが、直感的に言って、景気対策の一環として行う環境政策としては、非常に良いものではないかと思う。
なぜそう思うか。
第一に、施行後、比較的短期間での、雇用創出効果が見込まれる点。「Cleanup(土壌洗浄)」というが、要は一種の土木工事。なので、業種的に言って、需要の増加は、雇用に対して弾力的に影響しやすいのではあるまいか。
第二に、経済の生産性を高められる点。この施策なかりせば、塩漬けになったまま活用されなかったはずの少なからぬ土地が、この施策のおかげで動きだすのは確か。ということは、少なからず、経済の生産性向上に貢献するはず。
第三に、産業構造の改善に貢献する可能性がある点。これは、アメリカにどのくらい油漏出サイトが残っているか次第だが、もし、今回の施策をやりきってもまだまだそのようなサイトが残っているのだとすれば(たぶん、そうだと思う)、本施策終了後も、「油漏出サイト浄化ビジネス」は、一つの産業として成立し続ける可能性が高い(補助がなくなっても自律できるか、それまでにtake offできるか、という問題はあるが)。もしそうなれば、この施策は、新産業の立ち上げにも貢献したこととなる。
第四に、(上記二点とも関係するが)この施策がなければ、あまり自発的には行われないであろう事業を補助の対象としているので、既存の民間事業者の仕事を、政府が「奪う」心配はないという点。(もちろん、財政支出である以上、マクロ的な意味でのクラウディングアウトはある程度伴う。)
そして最後に、環境対策の観点から見ても、本当にやる価値のある政策であるという点。人口の約半数が飲み水として地下水を利用していると言われるこの国にとっては、地下水に潜むリスクを減ずる政策のベネフィットはとりわけ大きい。
この政策について、EPAのJackson長官は、会見の中で“EPA is putting people to work by serving our core mission of protecting human health and the environment.” と述べている。なかなかかっこいいお言葉。その言葉が実現するかどうか、今後の進捗に期待したい。
Maxwell School, Syracuse, Apr 12, 23:39
2 comments:
相変わらずまじめにオタク全開してますな。
う~ん、海じゃないから、モグラロボットとかどう??体長1.5メートルの(笑)。
ダメですよ、ロボットなんか使っちゃぁ。雇用増えないじゃないですかぁ~!!!
ちなみに元ネタ↓
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2583835/3935099
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