Thursday, April 16, 2009

American Clean Energy and Security Act of 2009

History of International Relations の読書感想文(12ページモノ)を書き始める。いま、半分くらいまで終了。今週初め、クラスメイトの何人かに「朝型人間になる」宣言をかましてみたのだが、いざ挑戦してみると、やっぱり夜の方が集中できる。というわけで、例によって例の如く、あっさり前言を撤回し(ホントはもっと根気強く体質改善しないといけないんだろうけど)、明日、授業がないのをいいことに、今夜は息が続くところまで書き続けることにしようと思う。今夜中に4分の3くらいまで書き終えられれば、あとあとかなり楽になるなぁ。。
  
Pew Center(気候変動系シンクタンクの大御所)から届いたメルマガに、Waxman-Markey法案―正式名:American Clean Energy and Security Act of 2009―の概要が出ていた。4月7日のエントリーでも書いたが、同法案は、今年のcap-and-trade法案の本命。というわけで(どういうわけだろ?)、少し長くなるが、Pew Center作成による法案概要の概訳(もちろん公式訳ではないです)を作ってみることにする。こんなことやってる暇があったら、レポート書くべきでは?という気がしないでもないが、気分転換ということで(笑)。概要の原文をご覧になられたい方はこちらへ。

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American Clean Energy and Security Act of 2009 概要 (Pew Center作成の概要より一部抜粋の上、邦訳。文字の強調は筆者)
  • 2009年3月31日、Waxman (民主党‐カリフォルニア州)・Markey (民主党‐マサチューセッツ州)両下院議員によって提出。
  • Ⅰ) クリーンエネルギー、Ⅱ) エネルギー効率、Ⅲ) 地球温暖化汚染の削減、Ⅳ)クリーンエネルギー経済への移行 の4つの章から成る。各章の内容は以下の通り。
  • 第Ⅰ章: 再生可能電力に関する連邦基準、炭素回収・貯留(CCS)技術、新型石炭火力発電所に関するパフォーマンス基準、低炭素燃料に関する基準、スマートグリッドの推進
  • 第Ⅱ章: 建築物、照明及び電化製品の省エネプログラム
  • 第Ⅲ章: 温室効果ガス(greenhouse gas (GHG) )のcap-and-trade(詳細は後述)
  • 第Ⅳ章: クリーンエネルギー経済への移行に伴う、国内(産業)の競争力の維持及び労働者の保護、消費者への支援の提供、国内及び国外における適用(adaptation)イニシアチブの支援
Scope of Coverage(適用範囲)
  • 規制対象物質: CO2,CH4(メタン), N2O, HFCs, PFCs, SF6, NF3(注 NF3は京都議定書の規制対象外)
  • 規制対象施設: 大型固定発生源(年間25,000トン以上のGHGsを排出)、石油燃料の製造業者(精製者など)及び輸入業者、天然ガスの個人向け及び事業者向け販売業者、フロンガスの製造業者、その他の特定する排出源。

Target(目標)

  • 全対象施設から排出されるGHGの総量が、2005年レベルを基準として、2012年に3%、2020年に20%、2030年に42%、2050年に83%削減されるよう排出総枠を設定。
  • HFCsの商業用生産に関しては、毎年3%の削減が達成されるよう、別途、キャップを設定。

Distribution of Allowances(配分及び割当)

  • 排出枠をオークションによって配分するか、無償で配給するかについて、具体的には示さず。
  • (無償で配給するとした場合に)排出枠をどのように配給するかについても、一部例外を除き、具体的な方法を示さず。
  • これらについては、次のバージョンで示されるものと予想される。

Offsets and Cost Containment Measures(オフセット及びコスト抑制手法)

  • 20億トン相当までの排出削減については、オフセットの使用を容認 (10億トンは国内、10億トンは国外)。大統領は、このオフセット上限値の増減に関し、議会に対して検討を促す権限を有する。
  • 1トン分の排出をオフセットするためには、1.25トン分のクレジット(排出権)を提出する必要がある。
  • EPAは、「オフセットの品質維持に関する諮問委員会」の助言に基づき、(オフセットに)有効な(排出削減)事業のリストを決定する。
  • banking及び翌年度からの無利子borrowingを無制限に認める複数年履行制(2年周期)。
  • 2~5年後分からのborrowingも可能(削減義務の15%まで。また、この場合の利率は8%)。
  • 四半期ごとに戦略備蓄からの余剰排出枠のオークションを実施。
  • 初年度のオークションにおける排出枠の最低価格は、2012年排出枠予測価格(by EPA予測)の2倍に設定。その後、年々増額。

Carbon Market Oversight(炭素市場の監視)

  • 連邦エネルギー規制委員会 (FERC) により、排出枠及びオフセット市場を規制。
  • 大統領は、排出枠のデリバティブ(派生商品)市場の規制責任(者)を指名する。

Interaction with State and Regional Programs(州および地域プログラムとの関係)

  • 州は、より厳しい気候変動規制を実施することができる旨、明記。ただし、cap‐and‐tradeを除く。
  • 連邦レベルでのcap‐and‐trade制度実施のため、州レベルでのcap‐and‐trade制度は、2012~2017の間、中断しなければならない。
  • 連邦レベルでのcap‐and‐trade制度が適当ではなかったとの判断がなされた場合、各州は、州レベルのcap‐and‐trade制度を再開することができる。
  • カリフォルニア州又はRGGIによって2011年12月31日までに発行された排出枠を保有している者は、連邦の制度を通じて、それら排出枠の購入に要した費用の補償を得ることができる。

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去年のLieberman-Warner法案に盛り込まれていたCarbon Tariff規定 (アメリカと同レベルかそれ以上の温暖化対策をとっていない国からの輸入品には関税を課す、という規定)が、今年の法案にも盛り込まれているかどうかについては、とりあえず、この記事からは不明。春学期が終わったら、この点についても調べてみようと思う。

というわけで、宿題に戻ります。

Maxwell School, Syracuse, Apr 16, 22:28

(追記) NEDOさんのサイトに、すでに同法案の概訳が掲載されているのを発見!! たぶん、より網羅的でより詳しい情報が得られると思いますので、プロフェッショナルの皆様は、ぜひそちらのサイトをご覧くださいませ。(若干の徒労感に苛まれ中…)

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