ついこないだまで「雪が降る」とか、「花冷えだ」とか、「娯楽がない」とかぐちぐち言っていたと思ったら(最後のは、今も同じか。。)、いきなり今日は30℃超え。キャンパス内では、一ヶ月前まで雪で真っ白だったはずの芝生広場に人間がゴロゴロと転がり、Marshall Street界隈では、「あれっ、この辺にビーチとかありましたっけ??」と言いたくなるようなイデタチの男子・女子が闊歩しております。そんな光景を目にしながら、「あぁ、俺ってやっぱアメリカに住んでんだなぁ~」と実感している今日この頃であります。
ともあれ、暖かいってのは良いことですね。最高です。やっぱ気分が晴れやかになります。白っぽい桜みたいなナゾの花(←嗅ぐと臭い)もキャンパス内にいっぱい咲いていて、もしかしたら、今が一年でSyracuseの一番良い季節なんじゃないかと思っております。まぁ、とはいえ、引き続き学期末ですのでで、ゴロゴロしたり、ビーチ行ったりしてる暇はないんですが。あ、ビーチはどっちみちないのか。。
ちなみに、皆さんから大変ご心配をいただいております豚フルエンザの件ですが、今のところ、Syracuseの人たちは、見るからに余裕をぶっこいておられます。あれだけ人間の行き来のあるNY市でさえ、これまでのところ、感染が確認されているのは、school tripでメキシコを訪れていたある学校の先生・生徒だけ、ということなので、まぁ、まだビビる必要はないのかなぁと思っておりますが。とりあえず、うがい・手洗い励行ということで。
さて、そんな最中、日本でどのくらい大きく報じられているのかわかりませんが(というか、たぶん報じられていないと思いますが)、日本が、先の不況からどうやって脱出したかのナゾ解きをめぐって、『日本経済の罠』の小林慶一郎氏と、ノーベル賞学者クルーグマン君が、web上での公開討論を展開しています。(ひと月くらい前から始まっていたみたいですが。)
「2003年以降の日本の景気回復は輸出が主導したものであった、だから(だから?)こそ、この教訓に従い、現在のアメリカは、思い切った財政出動による需要の創出を行うことが必須である」と主張するクルーグマン氏に対し、小林氏は、VOXというweb siteで、
"Fiscal stimulus is a much-needed temporary painkiller, but it is not enough to put the global economy on a path to recovery. . . Stringent inspections and evaluations of bank assets by financial regulators, followed by sufficient infusions of taxpayer-funded capital will be the only effective means of clearing away the oppressive uncertainty."(財政出動による景気刺激策は、一時的な「痛み止め」としては確かに必要であるが、グローバル経済を回復軌道に乗せるには十分でない。(…) 金融規制当局による銀行資産の厳しい査察・評価とそれに続く十分な公的資金の注入こそが、(市場の)先行き不透明感を取り払う唯一の効果的な方法であろう。)と述べています。この小林氏の意見に関し、クルーグマン氏は、NY times(web版)上のblogで、"That’s a fairly exotic argument"(非常に風変わりな意見だ) とした上で、"I’d like to see some supporting evidence." (証拠を見たい) と反論。直近のIMFの世界経済見通し(World Economic Outlook)を引用しつつ、あくまで、輸出の増加に金融危機の出口を求める論調を維持しています。
まぁ、小林さんも書いている通り(In fact, Krugman is only one of many internationally recognised economists asserting that fiscal spending for general demand stimulus such as public works projects – but not for the disposal of bad assets – can alter macroeconomic expectations.)、クルーグマンがアメリカのeconomistsの意見をどのくらい正しく代表しているか、という話はあるんですが、とはいえ、NY timesの彼のコラムにはそれなりの影響力があるみたいなので、そんな彼の意見に、きちんと反論することにはすごく意味があるんじゃないかと思います。
また、クルーグマンと小林さんのどっちが正しいとは僕は言いません(言えません)が、日本の貴重な経験が、こうやってまともに議論されるようになってきたということには、それ自体、価値があるんじゃないかと。はっきり言って、アメリカ人って人たちは、(この点に関しては、ウォール街の住人か、DCの住人かを問わず)、日本人が90年代にあれだけ長い間苦しんだのは、単に日本の経済政策がありえなくイケてなかったから(有体に言えば、「あいつらはバカだったから」)であって、自分たちはまさか同じ轍は踏まないよと思っている(少なくとも、最近まで思っていた)んじゃないかと思います。
そういう意味では、90年代の日本人がただ無為に時間を浪費していたわけではなく、政治的なせめぎ合いの中でではありますが、最善の策を講じるべく知恵を絞り抜いてきたんだということを、きちんとした理解に基づいて英語で示せば、多少なりとも、日本人・日本社会の見直しにもつながるんじゃないかと。まぁ、この人たち、素直に「すげぇ」とは認めないと思いますけどね(笑)
My home, Syracuse, Apr 27, 25:00
2 comments:
ケインズかバランスシートか。どちらかと言えば、最近の主流である後者に私はシンパシーを感じますが、「どちらも必要」というのが妥当な着地でしょうか。
国債発行残高を気にして、度を越えた国債発行は如何なものかというあまり根拠のない規律主義(財政の持続可能性の議論を持ち出すことも可能ですが)に何となく寄ってしまう私の性もあるんでしょうね。
両方必要だってことは、小林さんも認めてるんですが、彼が言いたいのは、たぶん(彼の言葉じゃないですが)「バランスシートこそがボトルネックになる」ということなんじゃないかと。だからこそ、そちらに注力する必要があるし、言いかえれば、バランスシートを放っておいたままで、財政出動だけやっても(長期的には)効果ないですよ、ってことなんじゃないかと思います。
あと、よくわかんないんですけど、なんでクルーグマン的には、「輸出が必要→fiscal stimulusが必要」って論理展開になるんですか?
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