Sunday, April 5, 2009

"Reconciliation"

週末の授業が終わった。今日の授業も、ディスカッションが中心だったが、本気モードのnativeと議論をするには、やっぱりまだまだ英語力が足りていない。講義の英語を聴きとるのとは、聞くのもしゃべるのも、求められるレベルが全然違う。そのレベルで英語をしゃべれるようにならないと、ホントは意味がないんだけどなぁ…。こっちに来た頃に比べれば、だいぶマシにはなったと思うが、目指すレベルに到達するには、まだまだ先が長い…。いちおう、まだ諦めてはいない。
  
今日も中国人のおじさんと少し立ち話をした。某省(地方政府)の環境保護庁にお勤めで、既に勤続20年らしい。こういう言い方をすると失礼だとは思うが、彼の地で20年間も環境行政に携わってこられたというからには、相当いろんな経験をしてこられたんじゃないかと思う。また一度、ゆっくりお話を聴いてみたい。というわけで、授業終了後、とりあえずメールを出してみた。
    
  
先週木曜日、上下両院が大統領の予算案を承認したが、その陰で、cap-and-trade 絡みのちょっとした(もしかすると大きな)動きがあった。

Obamaが示したもともとの大統領案には、cap-and-trade のオークションから得られる収入(向こう10年間で$646 billionと試算)を、拡大するヘルスケアの予算に充てると明記されていたのだが[3/27 grist]、当該部分は、上下両院での予算案承認の際に削除されてしまった。上院では、「キャップアンドトレード制度を伴う気候変動法案のために"reconciliation"を用いることを禁止する」(to prohibit the use of reconciliation in the Senate for climate change legislation involving a cap and trade system.)旨の改正決議付き。賛成67票、反対31票。賛成票のうちの26票はDemocratsからの造反。[4/1 grist]

大統領側が予算案の中で、なんでわざわざこんな規定を盛り込んだかという話だが、これには、filibusterという議会運営にまつわる制度が関係している。

現在の連邦議会上院で法案を通すためには(厳密に言うと、法案審議を終えて採決に移るためには)60票が必要(上院の議席数は100)。なんで過半数の51票じゃダメかというと、「反対側が延々と審議を続けることで時間切れ廃案に追い込むことができる」というナゾの制度(これをfilibusterという)があるから。この制度、もともとは制度というより、「演壇に立ち続けている限り、何時間でもしゃべりつ続けていい」というルールをいいように解釈した裏ワザ。昔懐かしい日本の牛歩戦術と基本的な発想はたぶん同じ。その昔、24時間以上しゃべり続けたツワモノもいたらしく、こんなんじゃ日が暮れる(というか日が昇ってもっかい暮れる)ということで、60の賛成票があればfilibusterを中断できるclotureという制度が導入された。なので、法案を通すためには、51票ではなく、60票が必要、というわけ。ちなみに今では、filibusterも近代化(?)されていて、実際に演壇に立ってしゃべり続ける必要はなく、「いま、僕たちfilibustingしてるもんね」と意志表示をするだけでいいということになっているらしい。なんだかポケモンかカードゲームかのワザみたいで、素人には何のこっちゃよく分からないが、たぶんこの理解で合っていると思う。詳しくはwkipediaを。

で、現在の上院の議席割りがどうなっているかというと、Democratsの議席が58で、cloture(= filibusterがえしっ!!)をするにはギリギリ2議席足りない。しかしここで更にもうひとつの裏ワザが。reconciliationといって、予算案にはfilibuserをかませられないことになっている。つまり、予算案だけは、単純過半数で通すことができるということ。
  
説明が長くなってしまったが、今回、大統領府側が狙ったのは、予算案の中にcap-and-trade絡みの規定を潜り込ませておいて予算案ごと通してしまうことで、filibusterを回避し、cap-and-tradeを既成事実化してしまおうという作戦。
  
結果はというと、上の方に書いたとおり、上下院とも、敢え無く敗北。上院でのDemocratsの投票結果から察するに、「cap-and-tradeの是非はともかく、そうゆう無茶なことはやっちゃいかんよ」というのが支配的なムードなんだろうと思う。僕も確かにそうだと思う。だって、どっちみち、本体の法案は、通さないといけないわけだし…。
  
というわけで、cap-and-trade法案の審議は、意味があったのかなかったのかよくわからない前哨戦を終えて、そろそろ本戦に移っていきます。
Maxwell School, Syracuse, Apr 5, 20:44

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