Saturday, April 25, 2009

Japanese Failure on Wind Power Development

今週末は、Economics of Science & Technology のレポート執筆に専念中。「この20年間、なぜ日本は風力発電市場を拡大できなかったのか」という平成最大のナゾ(??)に迫っております。
  
一般的な日本人の感覚では、風力発電なんてのは、いまだに採算も安定供給もおぼつかない、遠い「未来」のエネルギー源、くらいのイメージで見られているんじゃないかと思うのですが、ヨーロッパ(特にドイツ、スペイン、デンマーク)はじめ、アメリカ(特にカリフォルニア)、インド、中国なんかでは、(それなりに国の補助を受けつつではありますが、)純粋に営利を目的とする事業会社・金融機関が市場に参入し、風車をバンバン建てていくような時代に入っています。下のグラフを見ていただければ、日本が、ドイツ・スペイン・アメリカに水をあけられ、インド・中国にも置いていかれつつある状況がおわかりいただけるかと(NEDO編『風力発電導入ガイドブック(2008年度版)』より拝借)。欧州の風力先進3カ国では、単に風力発電のシェアが伸びて良かったね、ということだけではなく、外貨をじゃんじゃん稼いでくれる風車メーカーも立ち上がっています。直接・間接を合わせると、風車業界全体で、かなりの雇用を吸収しているとも。そういった環境面以外の社会的便益も併せて考えると、日本が90年代にこの分野で逃したサカナは結構大きかったんじゃないか、と。ちなみに2006年には、世界の風車メーカー上位10社が、新設風車の95%を供給していましたが、その10社の内訳は、ドイツ4社、スペイン2社、デンマーク(ダントツ首位のVestas社)、アメリカ、中国、インドが1社ずつで、日本のメーカーはゼロ。他の環境技術では、軒並み上位に日本メーカーが顔を出しているだけに、風力に関しては、日本の弱さが逆に際立っていますね。
     
それにしても、この世界、とにかく間口が広くて奥が深い。調べていけばいくほど、自分の無知っぷりを思い知らされます。芋づる式に知らない情報を集め始めると、ほんとにキリがないので、「えいや」で割り切って書くしかないわけですが、こんな知識レベルでペーパーを書いてしまっている自分が、正直、嫌になってきます。技術政策の論文なんてのは、常にそんな矛盾との葛藤なのかもしれませんが…。とりあえず、今回の論文はあさって出さないといけないので、えいやであれなんであれ、明日中に書き終えるつもりですが、風力発電のお勉強自体は、その後も続けてみよっかなぁと、ぼんやり考え始めているところです。
Maxwell School, Syracuse, Apr 25, 26:30

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