Wednesday, April 8, 2009

50th Anniversary of the Antarctic Treaty

朝起きて外を見たら地面の上が白い。おいおい、4月に入ってもう一週間も経ってるんですけど!!! 今日の寒の戻りには、普段はナゾなほど寒さに強いアメリカ人たちも、さすがに参っているご様子。"Why we got to have snow in April??" "'Cause here is Syracuse!!" みたいな会話を今日だけで三回くらい聞いた(笑) こんなことを書くと、誰も来年Syracuseに来てくれなくなりそうなので大きな声では言えないが、天気予報によると、この雪、今日から土曜日まで断続的に降り続くらしい…。
  
今日は、Evaluation of International Programs のfinal paperに取り掛かっている。finalなので、最終提出日は春学期終了後の5月アタマだが、中間提出の〆切が明日。というわけで、例によってバタバタ(苦笑)
  
実際に世の中で行われているプロジェクトをひとつ取り上げ、そのevaluation(政策評価)の方法を考えろ、というのがこの課題。評価・分析するポイントをピックアップし、そのための情報を集めてくるには、何人が何日くらい働かないといけないかを考え、評価に要する予算も考慮した上で、feasible(実現可能)かつ効果的な評価手法を考えなさい、というもの。
  
International Program、つまり、国際機関が絡んでいるプロジェクトなら何を拾ってきてもいいのだが、僕は、どうせ近い将来ガーナの勉強をしないといけないので(詳しくはまた後日)、一石二鳥狙いでガーナUNDPの「LPガス普及プロジェクト」を取り上げてみた。元来、政策評価なるものがあんまり好きではない(というかどっちか言うとキ○イな)人間であるが(←スイマセン)、このプロジェクトは、真面目にやってみると意外に(?)面白い。無事、提出できた暁には、中身についても、詳しくご紹介したいと思う。

ともあれ、ここ一週間の間に、中国の技術政策を考えてみたり、アメリカの田舎の環境影響評価を議論してみたり、はたまた、ガーナの開発政策を評価してみたりと、忙しいとはいえ、政策好きにとっては、幸せな環境が与えられているなぁと思う。もちろん、「政策ごっこ」で終わらせないよう、常にその点は、注意しておく必要があるんだけど。
  
昨日6日から、ボルティモアで、南極条約協議国会議が始まったとのこと。このblogの読者にして、かつての"戦友"でもあるM氏が日本からのメールで教えてくれた。僕とM氏は、数年前、ともにこの案件に携わっていた間柄。僕にとっては、いまだに、一番強く印象に残っている仕事の一つだ。
  
今回は、南極条約締結50周年記念会議ということで、特別に、 南極条約協議国会議(the Antarctic Treaty Consultative Meeting)と北極協議会(the Arctic Council)のジョイントセッション(閣僚級)も行われた。その席上、クリントン国務長官が行ったスピーチの全文が、米国務省のサイトにアップされている。

「おめでとう」とか「ありがとう」とか、文字通り、外交辞令的な発言がほとんどだが、少しだけ、実質的な発言もしている。それが以下の部分で、ここで述べられている内容が、要は、今年の会議の主要議題になるんだろうと思う。(注!! 以下、いつもに増してマニアック)

The United States has also submitted a proposal to the Consultative Parties of the Antarctic Treaty to extend marine pollution rules in a manner that more accurately reflects the boundaries of the Antarctic ecosystem. Strengthening environmental regulation is especially important as tourism to the Antarctica increases. The United States is concerned about the safety of the tourists and the suitability of the ships that make the journey south. We have submitted a resolution that would place limits on landings from ships carrying large numbers of tourists. We have also proposed new requirements for lifeboats on tourist ships to make sure they can keep passengers alive until rescue comes. And we urge greater international cooperation to prevent discharges from these ships that will further degrade the environment around the Antarctica.

一つ目は、南極周辺海域の海洋汚染に関する規制の強化。"in a manner that more accurately reflects the boundaries of the Antarctic ecosystem"が具体的にどういうことを意図しているのか、これだけではよくわからないが、もしかしたら、積年の課題である、南極海洋生物資源保存条約をはじめとする漁業系条約との適用範囲争いに本格的に乗り出そうということなのかもしれない。
 
二つ目は、環境保護及び旅客の安全確保の観点からの南極観光の規制強化。こちらは、数年前から議論されてきた話。ただ、本当に法的に規制するとなったら、南極ギョーカイ的には、めちゃくちゃ大きなニュースになる。

ともあれ、南極という世界は、よくわからないところで、各国とも、国益をまともに気にしてんだか、環境保護派の好きなようにやらせてるんだか、読み切れないところがある。それゆえ、地(氷?)に足の着いていない議論がまま見られるのも事実で…。個人的には、法律家でも、環境保護派でもなく、実際に南極で活動しておられる科学者の皆さんの言葉をもっと大事にする必要があると思う。その意味では、クリントン発言の二つ目のポイントは、以前から科学者の方々が憂慮されていた点。進展があるといいなぁと、一個人として思う。
Maxwell School, Syracuse, Apr 7, 26:51

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