Saturday, August 29, 2009

When carbon is priced, who ultimately pays?

UC Santa BarbaraのCharles Kolstadという、IPCCのlead authorを務められた先生と、そのお弟子さん(?)が、「(アメリカの)気候変動法案が通ったら、結局、誰が負担することになんだっけ?」という議論をwebに載せている。彼らの結論を先に書くと「法案に対する反対は、本当は、分配の問題への懸念から発しているんじゃなくて、イデオロギーの問題に過ぎない」(Strong opposition to the legislation will probably be based more on ideological grounds than distributional concerns.)というもの。

彼らの整理によると、法案に対する反対論のコアには以下の3つの理由がある、と。
  1. アメリカの国内産業が国際競争力を失う。
  2. 逆進的な効果を持つ
  3. 発電に占める石炭火力の割合の高い州の住民が大きな負担を強いられる。
これに対する彼らの反論をかいつまんで言うと、一つ目については、「実質的なインパクトを被る業種は限られている(トン当たりの炭素価格を$ 15とした場合に、コストが5%以上増えるのは、分析対象の500業種中、5業種のみ)」、二つ目については、「裸でcap-and-tradeを導入すれば、逆進的になりうるが、下院案に既に盛り込まれている(低所得者向けの)負担相殺措置を盛り込めば、逆進性がオフセットされることが、CBOの分析で明らかになっている」というもの。3つ目については、特段の言及なし。(強いて言えば以下の一文のみ。“Virtually all of the regressivity has been neutralised, though regional differences may still persist, an issue addressed by Hassett, Mathur, and Metcalf (2009).”)

で、結論がこのエントリーの最初に書いたとおり。もちろん、きちんとしたpaperではなく、さらっとwebで発表した記事とはいえ、さすがにちょっと荒すぎませんか?という気がする。逆進性の問題は解消されるとの意見を受け入れるにしても、いくつかの産業といくつかの州が割を食う、という問題には答えが示されていないわけで。

加えて言えば、そういう問題を「イデオロギー」という言葉で片付けるのもどうかと。特殊利益の問題であることは確かだが、それらの産業・州の関係者にしてみれば、直接的な経済的不利益を被るのはほぼ確かなわけで、それを「イデオロギーのせいだ」と言っている間は、建設的な議論にはならないのではないかと思う。

というわけで、奥さんの飛行機が到着したみたいです。
Jackson Hole Airport, Aug 29, 17:33 MST

1 comment:

Unknown said...

日本は政権交代して大騒ぎですよ。
外国にいる場合じゃないんじゃない?