Monday, August 3, 2009

Tamale Trip

朝6時発の便(←早っ!!)でAccraを飛び立ち、7時過ぎにTamaleに着く。空から見るGhanaを楽しみにしていたのだが、離陸して、次に気づいた時には、既に車輪が地面に着いていた(謎)
  
昼過ぎまで、とある会議に出席し、午後はその会議の参加者で、Tamale周辺のプロジェクトサイトを見て回る。キリスト教徒が主流のAccraとは違い、Tamaleのmajorityはムスリム。そんなわけで、車で街中を走っていると、わりと頻繁にモスクを見かけたり、街ゆく女性が頭にベールをかけていたり、それらしい時間になるとどこからともなくコーランが聞こえてきたりする。とはいっても、予想していたほどにはAccraの雰囲気と違わない。なんだかんだいって、ガーナはガーナなんだなぁと、よくわからないありきたりな感想を抱く(左上の写真は、Tamale市内の一般的な住居)。
  
とはいえ、経済的な格差は大きく、Tamale周辺では、未だに、薪での調理が主流。それも、“three stone stove”と呼ばれる、石を三角形に三つ並べただけの非常にclasicalな加熱器具(器具?)が普通に使われ続けている。
  
この“three stone stove”、少し考えていただければおわかりのとおり、人にも環境にも非常によろしくない。煙は、調理している人にまともに降りかかるので、そんなのを毎日浴びていれば、健康には当然良くないし(ひどいことには、お母さんに負ぶわれた赤ん坊がまともに煙を浴びていたりもする)、また、燃焼効率が悪い分、木を大量に消費するので、森林減少の間接的な原因の一つにもなっている。
   
というわけで、この古典的な調理方法からの脱却を図るべく、いろんな機関・NGOが、energy sourceの近代化を試みているわけだが、一見、簡単なように見えて、これが意外に難しい。理想的な燃料はLPGなのだが、値段が高く(高いだけでなく、変動幅も大きい)、一旦、ドナーがLPG調理器具を設置しても、しばらくすると使われなくなることが多いらしい。ソーラーで湯を沸かすというのも一時期盛んにチャレンジされたみたいだが、一旦、故障したり、バッテリーの耐用年数が過ぎたりすると、村人の自力では直せないので、これも結局、定着しなかった模様。
    
で、結局、薪は薪として使いつつ、人体への影響が少なく、燃焼効率のましな方法を模索しましょう、というのが、当面の目標となっている。左の写真は、そんな“improved stove”の一つ。日本で言うところの「七輪」とそっくり。「ガーナ版七輪」は、外枠が金属でできていて、その中に焼き物の灰皿(?)を置き、周りを黒い塗料でコーティングしたもの。熱が発散しない分、three stone stoveより燃焼効率が高く、また、燃料が燃え切るので、煙の発散も少ない(らしい)。残念ながら、焼き物の部分はTamaleでは内製することができず、Accraから買ってきているそうだが、それ以外のパーツは、地元NGOの実施したキャパシティビルディングの結果、Tamaleの職人さんが自力で作れるようになったとのこと。
    
こちらの写真は、学校の給食調理室。ここで、500人分の生徒のご飯をつくってるんだとか。この小屋でも、昔は、three stone stoveを使っていたそうだが、その頃がどんなだったのか、正直、にわかにはイメージできない。とにかく、相当煙かっただろうなぁと思う。。 そんな調理室にも、improve stoveの一種であるコンクリート製の窯を導入。今では、薪は、壁の裏(建物の外)側からくべる構造になっており、煙は、煙突を介して出ていくので、部屋の中には基本的に煙が入ってこない。この窯が導入されて以来、給食調理のおばちゃんは、すっかりこの調理室が気に入ってしまい、自前で、床のタイルの張り替えまでやってのけたらしい(笑)
  
案内してくれた地元NGOの方が、「結局、一番難しいのは、習慣を変えてもらうことです」と話していた。なるほどなぁと思う。慣れない器具より使い慣れた器具についつい手が伸びてしまうのは、本質的には、先進国のおじいちゃん・おばあちゃんの「機械音痴」と同じ理屈で、ごく一般的に見られる現象だろうと容易に想像がつくが、それだけでなく、中には、「スープには煙の匂いがついてないと嫌だ」という理由で、煙モクモクのstoveを使い続けたり、「こっちの水の味の方が口に合う」という理由で、水道がきているのにもかかわらず、drinkableでない水質のため池の水を飲み続けたりする事例も少なくないんだとか。そのNGOは、某ドナーの支援で、来年、behaviorのchangeを促すためのプロジェクトを回すとのこと。確かに、こういう地域では、そういった取組が、物質的な援助と同じか、もしかしたらそれ以上に、大事なのかもしれない。
 
もうひとつ、印象的だったのは、先の七輪工房で売られていた、ソーラーパネルとLEDの卓上ライトのセット、30セディ(約21ドル)也。ソーラーパネルと言っても15cm四方のごく小さなもので、ライトの方もシンプルというか、かなり、ちゃち(失礼)。でも、このシンプルさが受けて、ソーラーライトセット、送電線の届いていないGhana北部の村々で、非常によく売れているらしい。地方の人たちに30セディという値段はちょっと高いんじゃないかとも思ったが、聞くと、2回、3回の分割払いで買っていく人も多いんだとか。
  
援助する側は、ついつい、複雑に考えてしまいがちなのだが、現場で本当に役に立つのは、こういった極めてシンプルな製品だったりするんだろうなぁと思う。シンプルさは、丈夫さに通じ、メンテナンスフリーにも通じる。いちおう聞いてみると、やっぱり、made in Chinaとのこと。さすが、ツボを心得てらっしゃいます。
Tamale, Ghana, Aug 3, 18:28
Posted by Picasa

2 comments:

knj said...

こんにちは。クッキングストーブの話、エネルギーの授業でやりました。現場の人たちと話すことができるのはいいですねー。
その授業では、途上国のエネルギー問題というのは、クッキングストーブの問題に尽きるのだと学びました。様々な援助機関が取り組みましたが、おっしゃる文化の部分と、経済性、そして女性の労働力が無料とみなされていることから結局薪(伝統的バイオマス)の使用から次のエネルギーラダー(薪>ガス>電気の順番)には進めないという理論があります。問題は技術だけではないんですよね。

面白かったのは、途上国すべてが悩むクッキングストーブの問題で、圧倒的な成功を収めたのが中国だったそうです。かの国の政府はやると決めたらすごいんでしょうね。

髙林 祐也 said...

確かに、「尽きる」と言ってしまっても過言ではないかも。本文で書いたとおり、いろんな害悪の源になっちゃってるって意味でもね。

中国って、あっという間に、開発問題のメインフィールドから卒業してしまったけど、彼の国がどうやって卒業できたのかというのは、もう少し真面目に検証されてもいいのかもね。文化大革命と天安門事件を持ち出すまでもなく、あの国はあの国で、七転八倒してきたわけだけど、そうはいってもこれだけの発展を遂げられたのはなぜなのか、体系的に研究してみる価値がありそう。