Tuesday, August 18, 2009

HIGH LINE

2コ前のエントリーに続いて、プチ鉄道オタク(?)なネタをもうひとつ。

今回のNY滞在では、人に会う以外、特にこれといった用事もなかったので、結構な時間、カメラ片手にマンハッタンを歩きまわっていたのだが(その成果はこちらを)、そんな中、訪れてみたうちの一つが、West SideにあるHIGH LINEというところ。今年6月にオープンしたばかりの新しい公園だ。
  
この公園、ただの公園ではない。というのも、1980年まで実際に運行されていた高架鉄道の線路跡をほぼそのまま利用しているのだ。official siteによると、鉄道路線としての“the High Lline”は1934年に開通。陸上交通への影響を回避しながら食肉加工工場とその倉庫を結ぶ働きを果たしていたが、自動車流通の興隆に押され、1980年に廃線。その後、高架橋下の土地所有者らが線路の取り壊しを進めようとしたが、'80年代半ばには、「チェルシーの住民であり、活動家であり、一介の鉄道オタクであるPeter Obletz氏が取り壊し運動に対して訴訟を起こし、鉄道運行の再開を求めた」(“Peter Obletz, a Chelsea resident, activist, and railroad enthusiast, challenges demolition efforts in court and tries to re-establish rail service on the Line.”)らしい。そうこうしている間に、1999年には、High Lineの保存と、公共スペースとしての再利用を求めるNPO団体、Friends of the High Lineが結成され、市当局の協力を取り付けることに成功。デザイン案のコンペ、リノベーション工事を経て、今年6月、晴れて第一区画がオープンした、というわけだ。

(HIGH LINE、一期工事、二期工事区画のデザイン)

  
こういう話を知ると、やっぱり、結局は「人」だなぁと思う。それも、(さっきのエントリーではないが、)損得勘定を抜きにして、「ただ面白いから」とか、「ただ好きだから」というモチベーションで動ける人がどれだけいるかが勝負だと思う。訴訟を起こした鉄道オタクのおっさんやら、Friends of the High Lineやらがいなければ、今頃、この土地は、何の変哲もない、単なる街区の一部になっていたことだろう。しかし、そうはならず、HIGH LINEが残ってハイセンスな公園に生まれ変わったおかげで、この界隈の街としての魅力は、確実に上がってくるはずだ。それはきっと、周辺地域の地価にも反映されていくことだろう。
    
こういったセンスの良いプロジェクトは、行政主導ではなかなか難しいのではないかと思う。いずれかのタイミングでの、行政の関与、バックアップは必要であるにしても。ここで言う「センスの良さ」とは、「エッジが利いている」ということでもあり、それは、そもそも行政の目指すべき方向性ではないのではないかという気がする。行政は「ミニマム」に徹し、市井の才能がそのアイデアを競い合う状況こそが、活力ある社会の理想形ではないだろうか。
(摩天楼を背景にお花の水やり)  
少し話が逸れたが、このHIGH LINE、NYCの新しい観光スポットとして、僕的には非常にお勧めである。

High Line, NYC

Bird Library, SU, Syracuse, Aug 18, 15:00

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