Saturday, January 24, 2009

The American Reinvestment and Recovery Plan

大統領就任後初の週末ビデオ演説が、White Houseのwebサイトにアップされました(president-elect 時代にも政権移行チームのwebサイトに毎週アップされていましたが、White House.govに載るのは当然ながら今回が初めて)。演説の中身はというと、オバマ政権が国会に提出した$825 billion(約73.3兆円)の景気刺激策 (正式名称はThe American Reinvestment and Recovery Plan)の紹介。これ(↓)が、その週末演説のビデオです。



ちょっと詳しめのプラン概要も載っていたので、エネルギー政策を中心に拾い読みしてみます。

まず、このplanでは、以下の6つのベンチマーク(ここでは「主要政策課題」くらいの意味でしょうか)を掲げています。
  • Spurring a Clean Energy Economy → 詳細は以下で。
  • Lowering Health Care Costs and Ensuring Broader Health Care Coverage → ヘルスケアコストの削減と、幅広いヘルスケアの提供の確保。5年以内のhealth record コンピューター化完全実施など。
  • Preparing Our Children for the 21st Century Economy → 教育政策。学校設備の近代化(500万人の生徒が対象となる)など。
  • Rebuilding America’s Roads and Bridges and Investing in 21st Century Infrastructure → 道路をバンバン造り直しちゃいましょう!! というお話。new mass transit options (大量交通手段=電車??)を提供します、とも。よく読むと、退役軍人支援の話も入ってたりして、このベンチマークはごった煮状態。
  • Supporting America’s Working Families → 労働者向け減税、失業保険の拡大・延長など。この減税歳策には「Making Work Pay tax cut」という名前が付いてますが、「Making Work Pay」は「work をpayする(割の合う)ものにする」という意味らしく、課税所得最低限まで稼げていない人には、課税所得最低限と実所得との差分をサポートしてあげますよ、といった意味合いらしい。恥ずかしながら知りませんでした。
  • Changing the Way Washington Does Business → earmarkしません、透明性極めます、外部機関にバッチシ監視してもらいます、などなど。
で、おまちかね(?)、クリーンエナジー政策の中身はというと、こんな感じ。そんなに長くもないんで、全文掲載しておきます。
  • Doubling renewable energy generating capacity over three years. (3年以内に再生可能エネルギーの発電量を倍増) It took 30 years for our nation to reach its current level of renewable generating capacity – the recovery and reinvestment plan will double that level over the next three years. That increase in capacity is enough to power 6 million American homes.
      
  • Jump-starting the transformation to a bigger, better, smarter grid. (より大きく、より良く、よりスマートな(効率的な?)送電網への転換の急発進) The upfront investments and reforms in modernizing our nation’s electricity grid will result in more than 3,000 miles of new or modernized transmission lines and 40 million “Smart Meters” in American homes.
      
  • Weatherizing at least two million homes to save low-income families on average $350 per year and modernizing more than 75% of federal building space, saving taxpayers $2 billion per year in lower federal energy bills. (少なくとも200万戸の住宅断熱化と75%以上の連邦ビルの近代化) Today, the federal government is the world’s largest consumer of energy. The recovery and reinvestment plan will make an historic investment in upgrading the federal building stock that will save taxpayer dollars and help catalyze a green building industry.
      
  • Launching a Clean Energy Finance Initiative to leverage $100 billion in private sector clean energy investments over three years. (3年間で1000億ドル(約8.88兆円)の民間クリーンエナジー投資を喚起するためのクリーンエナジー投資イニシアチブの創出) The finance authority will provide loan guarantees and other financial support to help ease credit constraints for renewable energy investors and catalyze new private sector investment over the next three years.
いろんな方(←誰やねんって話ですが)のblogを読んでいると、単なる財政支出をやっても(経済政策としての)効果はほとんどなくて(※)、どうせ景気対策やるんだったら投資部門に突っ込むべき、という意見をよく見かけます。そのスタンスからすると、一番最後のタマが一押しということになるんでしょうね。ただ、いったい何をしたいのやら一番ようわからんのもコレ。というわけで、わかりやすさにも、インパクトにも(ついでに言うと透明性にも)欠けるということで、一番下にきてるのかなぁという気がします。ただ、僕的には確かにこのタマが一番気になるので、引き続き情報収集してみます。
  
このObama政権のgreen stimulus(環境にやさしい景気刺激策、って訳になるのかな??)を、環境・エネルギー政策と経済政策の両面からどう評価するか――。日米の新聞記事を読んでいても、残念ながらほとんどまともに議論されていないのが実情で、「環境にも良いし、雇用も増えるし、何となくいいんじゃん、いいんじゃん」ということくらいしか書いてないのが大半。(ですよね?) どんぐらい「良い」のか、どんくらい「雇用も増える」のか、また、その方法として、ホントにこれが一番効率的なのか、といった議論を展開してる新聞は、ほぼ皆無なんじゃないかと思います(って言えるほど、しらみつぶしに読んでるわけじゃないですけど…。)
  
なもんで、真面目に論じてくれてる記事を読みたいなぁと思って探していたら、今日、その名も "Environmental Economics" という、ど真ん中直球の「おいおい、恥ずかしくないんかい」というタイトルのbolgを発見。州立アパラチア大の経済学部の先生が書いておられるらしいんですが、面白そうなエントリーがあったので、あとでじっくり読んでみて、ホントに面白かったら、明日の記事でご紹介します。

※ この点は、財政支出によって企業の倒産・失業の増大を防ぐという政策行動を、(少なくとも短期的には)必要な手当ての発動と見るか、(いずれにせよ長期的には)必要な社会構造改編の阻害と見るかにもよるんでしょうけどね。
my home, Syracuse, Jan. 24, 14:28

No comments: