Saturday, March 28, 2009

Sorrows of Economists

池田信夫氏が、自身のblogに面白いことを書いている。
総じて主流の経済学者は制度設計に重点を置き、マクロ政策の効果には否定的だ。裁量的な政策を支持するのは政治的な立場を背負った経済学者が多く、「何かやらないと政治的にまずい」という政権からの要請が影響しているものと思われる。オバマ政権の巨額の財政政策には批判的な意見のほうが多く、FRBの非伝統的政策についても効果は限定的だという意見が多い。「ケインズが復活した」という表現は政治的には正しいが、学問的には正しくない。この30年間に経済学は進歩し、政府の裁量的な介入は有害無益だというコンセンサスが世界的に成立しているのだ。
個人的に(あくまで個人的に)、この意見には賛成だが、厳密に言うと、最後の一文は「コンセンサスが経済学者の間では世界的に成立している」と修正する必要があるだろう。経済学者の間では、議論の一応の収束化が図られつつあように見えるが、「何かやらないと政治的にまずい」という政治的風潮は、世界中どの国を見ても変化の兆しさえなく、両者のギャップは広がるばかりだ。
  
ここアメリカでも同様のことが起こっている。このblogでもときどき紹介しているMankiw氏は、自身のblogで、政権の裁量的な財政政策を批判し続けているし、その彼のblogは、相当数のアクセス数を記録している(それだけたくさんの人が読んでいる)が、だからと言って、彼の意見が現政権の経済政策に、実質的な影響を与えているとは思えない。
  
こういう様子を見ていると、「政治」との力関係において、「政策」って何なんだろう、「経済学」って何なんだろう、という虚しさを覚えないわけでもない。僕自身、(たとえばこの回と比べて)言っていることが振れているのは自覚してるんだけど…。
Maxwell School, Syracuse, Mar 28, 16:22

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