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Wednesday, May 26, 2010

Recap: "Smart Grid" entries

最近、仲間内のメールで、Smart Gridが話題に上っていた。良い機会なので、関連エントリをまとめておく。既に古くなっている情報もあるが、何かの参考になれば幸いです。
2年前の夏に、勢いで、毎回のタイトルを英語にして以来、その伝統(?)が続いてしまっているが、こうして昔の自分のエントリを見なおすときには、なかなかこっぱずかしいものである。まぁ、あともうちょっとなので、このまま行かせていただきます(笑)
Maxwell School, Syracuse, May 26, 11:29

Wednesday, May 12, 2010

Driving Habits vs Gas Prices

This looks interesting (via Chart Porn)
my home, Syracuse, May 12, 13:03

Tuesday, May 4, 2010

Summary History of KGL bill 

Movement of immigration? Offshore drilling? What was the bill about??

But anyway, here is the good overview of what's been going on so far about Kerry-Graham-Lieberman's climate bill. (from New York Times, May 4, 2010)  

Monday, May 3, 2010

Deepwater Hrizon

This figure would be helpful to understand the structure of the collapsed oil rig, and what measures are under consideration to stop the continuing oil leak. (via: Legal Planet) 
Maxwell School, Syracuse, May 3, 17:13

Thursday, April 15, 2010

thesis draft #3

祝、Sabers、playoff初戦勝利。というわけで、心おきなく第3periodです。

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RPS制度とtransmissionの増設に関する同様の問題に対し、具体的な対策を講じている事例をテキサス州に見ることができる。テキサスは、RPS制度によって、これまでにもっとも大量の再生可能エネルギー(RE)発電(capacity base)を導入してきた州であり、NY州と同様、その大半は、風力発電によって賄われている。

テキサス州とNY州は、風力発電の適地と電力の消費地との間に地域的偏りがあり(テキサスの場合、風力適地は州西部、電力消費地は州東部)、両地域を結ぶtransmissionのcapacityが限られているという点で、非常に良く似た地理的条件を備えている。RPSによるRE発電の導入でNYに先んじたテキサスでは、transmissionのcongestion問題にも、NYより数年早くに直面していた。この問題に対処するため、同州議会は、2005年、以下の事項を主な内容とする “Senate Bill 20”を制定した;
  1. Public Utility Commission of Texas(PUCT)が「高いRE発電の開発可能性を有する地域(“areas with high renewable energy resource potential”)」を “Competitive Renewable Energy Zones (CREZ)”に指定する。指定に当たっては、各地域におけるRE発電事業候補者のfinancial commitmentの程度も勘案する(実際には5つのCREZsを指定)。 
  2. PUCTが、CREZsと電力消費地とを結ぶtransmission網の建設シナリオを複数策定する(実際には4つのシナリオを策定)。 
  3. ERCOT (Electric Reliability Council of Texas) が各シナリオの建設コストを試算する。 
  4. ERCOTの試算に基づきPUCTがtransmission網の拡張計画を決定する。 
  5. 同計画に含まれる各transmissionの事業主を、一定の基準を満たす事業者の中からPUCTが選定する。 
  6. 選定を受けたtransmission事業者は、transmission拡張計画の詳細を固め、PUCTからの最終承認を受ける(“シナリオ”の時点では、建設計画の詳細まで完全に固められているわけではない)。 
  7. このプログラムによるtransmissionの増設コストは、sub-areaに関係なく、ERCOT管轄地域全域のratepayerによって、一律に負担される。 
なお、ここで出てくるPUCT及びERCOTは、それぞれ、NY州におけるPublic Service Commission (PSC)、New York Independent System Operator (NYISO)に相当する。

2010年4月現在では、transmission事業者の選定(上記5.)までしか進んでいないため、同政策の成否を今の時点で評価するのは時期尚早である。非常に大胆な政府介入政策であるため、今後、何らかの“government failure”的非効率が発生する可能性はもちろん否定できず、プラス・マイナス両面を加味した最終的な評価を下すには、さらに数年、結果を見守る必要がある。

しかし、この政策が、――“government failure”という副作用をどの程度伴うかはともかくとして――先に挙げた送電サービス市場の、諸market failure要因を克服する手立てとなっているということは少なくとも言えるだろう。そういった意味において、RE発電の導入増に伴うtransmission不足に対処する政策としては、(少なくとも米国内で)もっとも先進的な取組であるということもできる。

では、今後、ますます増加する(と予想される)遠隔地RE発電施設からの電力供給により、transmissionのcapacity不足の深刻化が懸念されるNY州に、このCREZ政策を導入しようとした場合、どのような点が課題となるであろうか。導入に当たり、大きなchallengeとなりそうな二点を、以下、指摘しておきたい。

一点目は、この政策によって発生するtransmission建設コストの費用負担の問題である。先にも述べたとおり、NY州では、transmission建設コストの負担に関して、伝統的に、“beneficiary pays approach”の考え方が取られてきた。一方、テキサスのCREZ政策の肝は、transmission建設の費用負担を「域内一律」とした点にある。それによって、(上流-下流の費用負担論争に左右されることなく)純粋に効率性の観点から敷設シナリオを検討できる環境を確保できたという実務的メリットに加え、RE発電普及による利益(温室効果ガス排出の削減、energy securityの強化、etc.)は、特定の地域(発電地域and/or電力消費地域)にのみ帰属するものではなく、域内のratepayerに一様に帰属するものであるという根本的な問題構造の面から見ても、この費用回収方法は、理にかなっていると言える。

そもそも(RPSとの関連以前の問題として)、transmissionについては、競争的な電力市場を“可能にするもの(enabler)”と捉え、それ自体は競争政策の埒外に置くべき(したがって、政府が、その供給に積極的に関与するべき)とする考え方と、NY州のように、transmission自体も発電施設の競合財と捉え、競争政策の中で同列に扱うべしとする考え方とがある。それら二つの考え方の優劣を巡る議論はこの論文の射程を越えているが、双方の考え方に長所・短所があるということ、また、それらのうちどちらを選ぶかは、電力政策上、RE導入促進に関わる問題よりも、より高次に位置づけられるべき政策判断であるということが言える。

したがって、ここでNY州の“beneficiary pays approach”を非難する意図はまったくないし、また、RE導入促進との相性が悪いという事実だけを以て、NY州が、そのapproachを根本的に見直さなければならない必然性もない。ただ、“beneficiary pays approach”の方針を全く曲げずにCREZ政策を単純に「接ぎ木」することはできないというのもまた事実であろう。このため、NY州にCREZ政策を導入するとならば、費用負担に関する考え方の違いから生まれる「矛盾」をどのように解消するかが一つの大きな課題となると考えられる。

もう一つの課題は、組織の構造と意思決定に関するものである。

NY州内の電力系統の運用を統括するNYISOは、電力の安定供給と経済運用のみをミッションとする機関であり、RE発電の導入促進に自発的に協力しなければならない立場にはない。それどころか、現行のルールの下で、NYISOが、RE発電施設に有利なようにtransmissionを敷設する計画を支援したとすれば、そのことは、彼ら本来のミッションである経済運用との間で支障を来しかねない。

一方、RPSプログラムの執行に責任を負うNYSERDAの方は、RPSプログラムとの関連においては、制度の執行にのみ責任を負う機関であるため――別途、研究機関としての役割も担っているが――、送電網の敷設という(少なくとも現行制度の下では)RPS制度の完全に外側にある事柄に対して、何らかの積極的働きかけを行いうる立場にはない。

これら二機関を管轄下に置き、“order”という形でルールを制定する権限を有しているのは州政府の一セクションであるPSCである。彼らは、RE発電の導入促進とtransmissionの拡張という、両方の課題を同時に視野に入れられる立場にあるわけだが、RPSの目標値の引き上げを決めた“Order Establishing New RPS Goal and Resolving Main Tier Issues”(2009年決定)の中では、RPSの今後にまつわるいくつかの懸念事項が論じられているものの、transmissionのcongestion問題については、一切の言及がなく、そもそも、彼らがこの件に問題意識を持てているのかどうかさえ定かではない。

このように、関連三機関の立場・言動を見渡してみると、“RE発電の導入促進に伴うtransmissionの不足”という形で、統合的にこの問題を捉えられている機関が、NY州政府内には今のところ存在しない可能性がある。テキサス同様、最終的には、立法府による行動が必要だとしても、日々の執行を司る――それゆえ、問題発見に一番近い場所にいるはずの――担当者の間でさえ、十分な問題把握・問題理解が醸成されていないとならば、元来、専門家以外の者による理解が難しいこの問題が、世間や州議会議員の耳目を集める可能性は、非常に低いのではないかと察せられる。このことから、NY州における、現在の関連組織間の責任分担構造が、CREZ政策をNY州に導入しようとするならば、二つ目の大きなチャレンジになるのではないかと考えられる。
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この後に、多少、implication的なものをくっ付けてconcludeしようかというのが、とりあえず今の時点での全体構想。実際書いてみて、最後の方が、定性的というか説明的というか、要するにグダグダだということがよくわかりました…sigh

テキサスの事例を引き合いに出してくるところまでは良いとして、そのあと、どういう方向に持っていくか。今の案のまま、頑張ってロジックを詰めるか、あきらめて別の展開を用意するか。。。
Maxwell school, Syracuse, Apr 15, 22:24

thesis draft #2

今日開幕のNHL Playoffをちら見してリフレッシュ。こんな話、どうでもいいと思いますが、今日あった東地区の二試合は、二戦とも、下位シードのチームが上位シードのチームを食う結果に。この流れが、明日のSabersの試合(Sabers=第3シード。第6シードのボストンと対戦)に乗り移らないことを祈るばかり。。

さて、リフレッシュも終えたところでthesis draft後半戦。

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こういった不都合の原因となりうる送電サービス供給量の硬直性は、同市場に見られる諸々の“market failure”要因によって説明できる。

まず何より、transmission事業は、「初期投資(capital cost)が莫大で、規模の経済(economies of scale)が働きやすい」という、自然独占(natural monopoly)の典型的条件を兼ね備えている。このため、新規参入が難しく、NY州においては、電力自由化以前からの“legacy transmission owners” 8社による、事実上の寡占状態となっている。これらの既存transmission事業者にとっては、transmission capacityの不足によってgrid内の二地点間で電力単価(Locational Based Marginal Price (LBMP))の開きが生じていたとしても――congestionが一切なければ、送電ロスのrecovery費用を除いた電力単価はgrid内全域で等しくなるはず――、その差をcongestion chargeとして徴収できるので、送電サービスの供給不足が、transmissionの積極的な増設を促すことにはならない。

公共財(public goods)的性質を色濃く持つが故の、費用負担の問題も深刻。NY州では、「transmissionの建設コストは当該transmissionの新設によって恩恵を受ける者=beneficiariesによって負担さるべき」とする“beneficiary pays approach”が取られているが、そもそも、beneficiariesの特定が非常に困難。遠隔地の電力を安く使えるようになるとは言え、transmission建設コストの全額負担は割に合わないと考えるdownstateと、自分たちが恩恵を受けるわけではないのに(一部とはいえ)transmission建設コストを負担させられるのは嫌だと主張するupstateの対立に、その中間地域におけるsiting(立地)問題が絡み、その必要性自体は広く認識されていても、具体的なプロジェクトとなると、なかなか話がまとまらないといった状況がNY州では長らく続いている。

Enforcement costsの問題もある。Transmission ownerにしてみれば、発電事業者が約束通りに新規発電所の建設及び送電サービスの利用を行ってくれなければ、新規transmissionの建設コストを回収できず、一方、発電事業者にしてみれば、transmission ownerが約束通りにtransmissionを建設してくれなければ、プラン通りの発電事業を行えないといった状況が想定されうる。このような場合、互いに相手方の約束履行の確証が得られなければ、双方ともに事業の実施に踏み切ることはできず、結局、事業の実施が見送られる事態に陥りがちである。

規制が送電サービスの供給を妨げている可能性もある。NY州においては、安定供給の面からその必要性が認められる場合を除き、新規transmissionの建設の認可を受けるためには、①“strict cost-benefit tests”をクリアするとともに、②州内load serving entities(LSEs・配電事業者)の80%以上からの賛同を得なければならないことになっている。この仕組みは、理論的には、ratepayerがtransmissionの過剰投資に伴うコストを負担させられる事態を防ぐために設けられているものであるが、LSEsの多くがlegacy transmission ownersの子会社であるという現実を考えると、既存transmission事業者を過度に利するかたちで機能している可能性がある。

以上は、RPS制度の導入如何にかかわらず、NY州の送電サービス市場が本来的に抱えている“market failure”であるが、これに加え、RPSとの関連では、externality(外部不経済)の問題も指摘されうる。そもそも、RPS制度は、既存の電力市場が「温室効果ガスの排出」や「国外産エネルギーへの依存に伴う安全保障の脆弱化」といった「外部不経済」を適切に評価しきれていないという反省に立ち、それらを内部化(internalize)するために導入されている制度であるが、transmission建設認可の際の、上記“strict cost-benefit tests”では、そういった外部性がまったく考慮されず、explicitlyに示されるbenefitのみが勘案の対象とされる。このため、ある地域へのtransmissionの延長が、新規RE発電施設の導入を促すと予想されるとしても、それに伴う社会的価値は考慮の対象とはならないので、そういったtransmission建設案が“strict cost-benefit tests”に耐えられる可能性は低いままとなる。(to be continued.)
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「後半」のつもりでしたが、この先、もうしばらくかかりそうなので、第3ピリオドは、また稿を改めて。
Maxwell School, Syracuse, Apr 14, 24:29

Wednesday, April 14, 2010

thesis draft #1

うだうだ言っていてもはじまらないので、とにもかくにも、現在手持ちの知識と考察で、論文の骨子を書いてみることにした。ご意見いただければ幸いであります。

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Renewable Portfolio Standard(RPS)政策は、市場メカニズムの中で決定される「最低価格」で以て、再生可能エネルギー(RE)発電の導入を進めようとする制度であり、温室効果ガスの排出削減やenergy securityの観点から、米国内でも多くの州で導入されている。ニューヨーク州は、カリフォルニア、テキサスと並び、RPSによるRE発電導入を最も積極的に進めている州の一つであり、現在は「2015年までに州内消費電力の30%」をRE由来にするとの目標を掲げている。

市場メカニズムに立脚するその方法論から、RPS政策は、同政策の支持者の間で「所定のRE導入目標をもっとも経済的かつ効率的に達成できる方法」と考えられている。しかし、この命題は、政策の対象である商品(=RE発電)が、競争的な市場で取引されているという前提の下でのみ成立するものである。加えて、発電施設がstand-aloneでは機能せず、送電網(grid)に繋ぎ、送電網(transmission)会社から送電サービスの供給を受けてはじめて機能するものであることを考えると、この前提は、送電サービス市場においても満たされていなければならないものである。

送電サービス市場が競争的であるならば、RPS制度の導入で、新設RE発電事業者からの送電サービス需要が増えることにより、より多くの送電サービスが――それに伴って価格も上がるにしても――供給されるようになるはずである。そのためには、送電サービスが、滑らかな供給曲線を持たなければならないが、実際には、送電サービスの供給媒体であるtransmissionは、簡単には増設されにくい特性を有しており、NY州内では、RPSの導入開始(2004年)後はおろか、1980年代半ば以降で見ても、ごく小規模なものを除いて、transmissionの新設・拡張は行われていない。このことから、送電サービスの供給曲線は、滑らかではない右上がりの階段状をしており、より短期的に見れば、右下に頂点のあるカギ形(ある量までは水平、その量に達した時点で垂直)の形状を有していると考えられる。

このような市場において、需要曲線の右上シフトが続けば、あるところまでは、需要に応じた量のサービスが問題なく供給されるが、ある水準(=transmissionの物理的なcapacity)に達した時点(=需要曲線が、供給曲線の屈曲点を通る時点)で、それ以上は供給量が増えず、価格だけが上昇する局面に至る(この局面で積み増される追加的な価格がtransmissionの“congestion charge”(混雑料金)に相当する)。実際のところ、NY州におけるRE発電の主力である風力発電の適地は、電力の消費地(=downstate=NYC& Long Island)から離れたupstate(特に州北部及び西部)に集中しており、従来、発電施設の多くなかったこれらの地域では、既存transmissionの送電容量が限られているため、今のペースでRE発電施設の新規導入が進めば、早晩、transmissionのcongestion問題が深刻化するであろうと予測する向きは少なくない。

送電サービスの供給過少が生じた際、もっとも直接的に懸念されるのは、RE発電事業者が、当初契約通りのRE電力を送電(delivery)できなくなるという事態である。実際、2008年には、transmissionのcongestionが原因で、RPSプログラムに参加するある大規模wind firmがdelivery不足に陥り、RPS プログラム上のdelivery commitmentの下方修正を余儀なくされる事態も発生している。ただし、このような事態は、RE発電事業者の側にも追加的な負担を強いるため、今後、congestionが頻発するようにな(ると予測され)れば、論理的には、congestion chargeがRPSの入札額に織り込まれるようになり、そのことが、RPS入札額の値上がりにつながると予想される(ただし、transmissionのcongestion chargeが、RE発電事業の全事業コスト、ひいては、RPSの入札額にどの程度のインパクトを持つかについては、定量的な情報を得られていない)。

NY州のRPSプログラムでは、ratepayerから消費電力量に応じて徴収されるお金を原資に、NYSERDA(New York State Energy Research and Development Authority)が一括してRE発電電力(厳密には、物理的な電力そのものから切り離された「REで○kWhの電力を発電しました」という権利)を調達する仕組みが取られているので、RPS入札額の値上がりは、①原資不足による目標の未達成、又は②(あくまで目標を達成するための)対ratepayer課金単価の値上げ、のいずれか(或いはそのcombination)という結果を招く。また、将来、①②のうちの、どちらの政策がとられるかわからないという不確実性の存在そのものが、RE発電開発コストを押し上げている可能性もある。

こういった不都合の原因となりうる送電サービス供給量の硬直性は、同市場に見られる諸々の“market failure”要因によって説明できる。(to be continued.)
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頭がオーバーヒートしてきたので、続きは次回にて。
Maxwell School, Syracuse, Apr 14, 19:12

Tuesday, April 13, 2010

Interview #2

昨日は、NYSERDA(New York State Energy Research and Development Authority)へのインタビューに行ってきた。
  
“Advance innovative energy solutions in ways that improve New York’s economy and environment.”をミッションに掲げるこの組織は、州法に基づき1975年に設立されたNY州政府の一機関。元々は、化石燃料の消費を減らすためのR&Dに特化した研究機関だったのだが、時代が下るにつれ、行政的役割も担うようになってきている。州のRPS Programにおいては、“the central procurement administrator”、つまり、公募を主催し、発電事業者から再生可能エネルギー電力(厳密には、“再生可能エネルギーで○kWhの電力を発電しました”という実績に伴う権利のみ。物理的な電力は、別途、電力市場に売りに出される)を買い取る役割を担っている。

先週、NYISO(こちらは、電力系統の運用・電力市場の運営などに責任を負っている)にインタビューに行った際、“RPS? So what??”的な反応を返されたという話をその日のエントリに書いたが、今回は、期待通り(?)にその真逆で、“Transmission? So what??”的な反応が分かりやすくも返ってきた。

彼らの発想並びにスタンスは、「RPSの目標達成上、transmissionのcongestionが深刻なbarrierとなる可能性は想定していない」というもの。文字通り、「想定していない」といったご様子で、NY州のtransmission事情についてなら、むしろ僕の方が詳しいんじゃないかと思ったくらい。もちろん、応対に出ていただいた方の専門分野ではなかったから、ということもあるのかも知れないが。

実際のところ、transmissionの問題が、今後、どの程度、再生可能エネ普及の足枷になるのかは、よくわからないところがある。直接的に知りたければ、再生可能エネ発電事業者のコスト構造を覗かせてもらうのが一番なのだろうが、何社かにインタビューの依頼を出してみたものの、これまでのところ音沙汰なし。まぁ、元々、ダメもとのつもりで出していたお願いなので、無視されたとしても無理はない。

むしろ、論文の中では、そういった不確実性――この場合で言えば、「transmissionの問題が再生可能エネの普及にどの程度の悪影響をもたらすか」、より具体的には、「transmissionのcongestion chargeの値上がりがどの程度発生し(厳密には、「発生すると予測(expect)され」)、それが、RPSのbid価格をどの程度上昇させるか――を可能な限り絞り込むための努力を行政の側ができているかという点と、それでもなお残る不確実性が、制度上、適切に扱われているか、という点にフォーカスを当てるべきかとも思う。PSC、NYSERDA、NYISOという、関連する三機関の責任分担構造にも絡めつつ。

というような話を昨日の夕方にはアップし、その勢いで、論文の執筆に取り掛かろうと思っていたのだが、昨日の午後は、クリエイティブな方向にアタマを働かせる気力が出ず、だらだらとInt'l Trade Lawのリーディングをして終わる。慣れない長時間運転の疲れのせいもあったとは思うが、論文漬けの生活に、若干、疲れが出ているのも事実。たかだか、1セメスターのことではあるんだけれど。

いろんな意味で(もう一つくらいの意味しかありませんが…)、ちょっと運動した方がいいかもなぁ…。
my home, Syracuse, Apr 13, 11:14

Friday, April 9, 2010

Interview #1

Interview企画第一弾。州都Albany郊外のNYISOを訪問してきました。

正式名称は、New York Independent System Operator。念のために言っておくが、“ISO14000”とか“ISO9000”とかの“ISO”とはまったく関係ない。あちらさんは、“International Organization for Standardization”の略。こちらのISOは、“company”という体裁をとってはいるが、non-profitの機関で、NY州内の①電力系統の運用、②電力市場の運営、③電力網建設の長期計画、④技術の開発・普及(Developing & Deploying )という4つの役割を担っている。電力自由化のタイミングに合わせ、1999年に設立。

建物の外壁には、それが「NYISO」であることを示す表示は一切なされておらず(もちろん、表札なんてご丁寧なものはない)、一旦、行き過ぎてから引き返し、恐るおそる守衛さんに尋ねてみて初めて、そこが目的地であることを確認できた。道路からやや奥まったところに位置するその建物は、小ぶりの要塞かと見紛うほどの堅牢な建造物。聞いてみれば、州内全域をカバーする電力系統のオペレーション業務がこのビルの中で行われているんだとか。マンハッタンへの電力供給も、ここでコントロールされているということを考えると、建物の造りがそれだけdefensiveなのもむべなるかな。 

現地では、事前にメールで送っておいた質問リストに沿って、“Senior Communications & Media Relations Specialist”なる肩書きのおじさんから2時間弱の説明を受ける。英語のリスニング能力不足のせいか、はたまた、工学的バックグラウンド知識の不足のせいか――まぁ、両方だろうな…――、おじさんの説明を隅から隅まで理解できたわけではなかったが、関連資料をがっさりいただき、「読んでみてわからんことが出てきたら、またメールで教えてね」とお願いして帰ってくる。まぁ、間違いなくメールするな(笑)

今後、renewable energy(RE)発電の導入量が増えれば――少なくともNY州においては、“風力発電の導入量が増えれば”とほぼ同意である――、RE発電の“産地”(=upstate)から“消費地”(=downstate=NYC+Long Island)に電力を運ぶtransmission(送電線)の不足が、更なるRE導入のボトルネックとなりうる。というか、その問題は既に発現し始めている(参考)。そんな最中、NY州は、昨年12月、RPSの目標値(州内の全電力消費量に占めるRE起源電力の割合)を「2013年までに25%」から「2015年までに30%」に引き上げる決定を行った。

この状況を、「電力網建設の長期計画」を担うNYISOとしてはどう見ているのか――今日のinterviewでは、この点を一番聞きたかったのだが、二時間弱のinterview全体から受けた印象としては(※ 彼が具体的にこう言ったわけではない)、「NYISO的にはあまり深刻には捉えていない」といった感じ。何と言うか、要するに、「他人事」なのだ。

なぜそうなるのか、interviewの最中、或いは、帰りの車の中で、いろいろ考えてみたのだが、察するに、一番の理由は、文字通り「他人事だから」なんだろう。

NYISOの2008 Annual Reportの背表紙には、“The NYISO operates New York’s bulk electricity grid, administers the state’s wholesale electricity markets, and conducts reliability and resource planning for the state’s bulk electricity system.”とある。この一文、(明記はされていないものの)NYISOのstatement of purposesと見て良いと思うのだが、「環境保護」に関する取組には、一切、言及がない。つまり、究極的に言えば、電力の「安定供給」と「経済運用」だけが彼らのmissionなのであって、それ以外のこと(including 環境対策)は、知ったこっちゃない――文字通り「他人事」なのだ。

とは言え、州の政策の中で、「環境保護」(ここで具体的には、「RPS目標値の達成」)が絶対的な目標として位置づけられているのであれば、NYISOとしても、その実現を所与とした上で、「安定供給」と「経済運用」を達成しなければならなくなるわけで、間接的にではあるが、「RPS目標達成」が他人事ではなくなるはず。

しかし、実際には、NY州におけるRPS目標値の位置付けは些か曖昧。日本や、米国の他の多くの州のように、各utility companyに、bindingな達成目標を負わせているわけではなく、州政府の一機関であるNYSERDAが、唯一の買い手として、公募・入札をするという方式なので、目標年次までに目標値に到達しなかったとしても、「政治責任」以上の問題が発生するわけではない。となれば、今後、transmissionの不足に伴うcongestion(混雑)問題の顕在化などにより、REの発・送電単価が上昇した場合、州政府としては、rate payer(電力消費者)への課金額を値上げしてでも目標値の達成にこだわるか(←NYSERDAによる買取の原資は、電力使用量に比例してrate payerに課されるお金で賄われている)、目標達成をあきらめる代わりに課金額の上昇を抑えるか、という選択を迫られるかたちになる。この構造からすれば、RPSの目標値は、「絶対的ではない」と見る方が自然だろう(ましてやこの秋には知事選を控えている)。

つまりその、「環境問題に取り組まないNYISOが怪しからん」と言いたいわけでは全くなくて、transmissionの拡張が、今後のRE普及のカギを握っているのにもかかわらず、transmission敷設計画の任を負うNYISOに「環境保護」のmissionが課されていない、或いは、RPSを取り仕切るNYSERDAにtransmissionを云々する権限が与えられていない、という、現状の責任分担構造そのものに問題があるのではないかと。この辺り、もう少し深めれば、論文の結論部分に持って来れるかなと思ってみたりもしている(甘い?)

ちなみに、帰り際、窓越しに、“operation room”も覗かせていただいた。もちろん、撮影禁止なので、ここで写真で紹介することはできないが、だいたいこれとよく似た感じ。一チーム5人の12時間交代制なんだそう。PCのディスプレイが、一人当たり、7,8枚はあったように思う。さながら、飛行機だか宇宙船だかのコックピット×5セットの様相。とはいえ、暑くも寒くもない今日みたいな日は、発電capacityにも十分余裕があると見え、皆さん、のんびりと仕事をこなしておられた。
Maxwell School, Syracuse, Apr 9, 23:23

Friday, April 2, 2010

"Drill, Baby, Drill!"

2008年の大統領選の時に盛り上がった、offshore石油掘削の話が、再び盛り上がっている。

効果があるだのないだの、毀誉褒貶の激しい(という言い方は日本語として変?)この政策(案)だが、効果のあるなし、メリット(デメリット)の大小を論じる際の評価軸は、(真面目に政策論として議論するならば、)大雑把に言って、だいたいこんなところではないかと思う。
  • エネルギー自給率の改善
  • エネルギー価格の低下
  • 雇用創出
  • 企業・政府の収入増
  • 気候変動への影響(+ or -)
  • 海洋環境への悪影響
CFRのwebサイトに出ていた3月31日付の記事“What New Offshore Drilling Will Yield”によると、
  • エネルギー価格の低下 … 消費者が認知できるほどの変化は起こらない  
  • 企業・政府の収入増 … significant。netで$900 billionとの試算あり。 
  • 気候変動への影響(+ or -)… 他産油国の反応次第でプラスにもマイナスにも。 
という感じになるらしい。他の項目については、特段、触れられていないが、価格がほとんど下がらないということは、供給量の増分は、おそらくたかが知れているはずで、となると、エネルギー自給率に与えるインパクトも限られているのだろう。雇用と海洋環境への影響は、この記事からだけでは何とも分からない。

記事は、そういった真面目な政策議論よりむしろ、大統領選以来、Obamaがずっと、その効果に疑問を呈し続けてきたoffshore drillingに“go sign”を出すことで、エネルギー・気候法案の審議を本格化さるという、政治的意味合いの方が強いのではないか、との分析で閉じられている。
my home, Syracuse, Apr 1, 26:18

Thursday, March 11, 2010

Spring Break is coming

来週は、大学のSpring Break。一週間、授業はまるまるお休みになる。ひと足早く、明日辺りからSyracuseを脱出する生徒も多いと見え、日頃、Maxwell生でにぎわう自習室は、既に人影がまばら。僕も、今学期が始まった頃には、「Spring Breakにはpolar bearに会いに行くぞ!!(彼らの家が北極海に沈んでしまう前に…)」なんて、妄想をたくましくしていたものだが、結局、抱え込んでいる3本のペーパーにまったく目途がつかず、とりあえずは、Syracuseに ― というか自習室に ― 居座ることに。ペーパー執筆にいちおうの目途がついたら、break期間後半に、一泊か二泊ででも、Torontoに遊びに行こうかと考え中。まぁ、こちらも結局は「妄想だった」ということになるかも知れない(苦笑)

ペーパー三兄弟の中でも、一番の悩みの種は、例のindependent study。「RPS制度を単純に導入するだけでは、(initial costだけでなく)operational costも加味した効率性の達成は図れませんよ」という点をまず押さえた上で、その先、
  • だから、単にRPS制度を導入するだけでなく、それによって増加することとなる再生可能エネルギー発電源を十分に活用できるだけの、grid側の補強が必要。そのための投資は、諸々の理由により、市場に任せていては不十分になるので、一定の政府介入が必要。
というところに持っていくか、はたまた、
  • RPSの目標値(全発電源に占める再生可能エネルギーの割合)は、exogenouslyに「えいや」で設定すれば良い(→ あとは市場に任せておけば、もっともefficientな方法で、その水準が達成される)なんていうほど単純なものではない。grid側のインフラには、(風車とは違い)すぐには増やせないという特性があるので、gridの状況と連動したかたちで目標設定を行う必要がある。目標設定の際、具体的に依拠すべき考え方はblablabla...
というかたちに持っていくかで悩み中。無難なのは一つ目だが、できることなら二つ目にまで持っていった方が面白そう。要は時間との勝負。後者を選んだ場合に、5月までに書きあげられそうかどうか、明日、もう一度じっくり検討してみるつもり。
my home, Syracuse, Mar 10, 26:23

Wednesday, March 10, 2010

20% reduction of coal consumption by the US power industry

FTのonline記事が、「アメリカの電力業界における石炭の消費量が2015年までに20%削減される」という説を紹介している。現行、この国の電力の半分弱※は石炭を焚いてつくられているわけだが、消費量の減る分だけ石炭由来の発電量も減ると単純に仮定すれば、全発電量に占める石炭火力のシェアは3分の1強にまで下がるわけで、かなりのインパクトと言えよう。

ちなみにこの変化、上の図でも示されている通り、旧式発電所の自然発生的な「退役」と、EPAのSO2及び水銀規制の結果としてもたらされるという。つまり、(この予測が正しいとすれば)greenhouse gasに対するregulationを見込まずとも、米国内の石炭業界が相当の打撃を食らうことは既定路線。と考えると、採炭州の与党議員が、EPAのgreenhouse gas regulationの延期に必死になる(参照)のもむべなるかな。

中間選挙を今秋に控えるObama政権としても、ここで、石炭業界に更なる一撃を喰らわすことには、相当慎重にならざるをえないのではないだろうか。

※ Department of Energyの下部組織、US Energy Information Administrationのデータによると、2009年実績は、1,597,244GW/3,600,739GW=44.4%
my home, Syracuse, Mar 10, 9:47

Tuesday, March 2, 2010

bottlenecks

世の中の多くの問題は、往々にして、一つ、乃至は、二つ三つの「主因」で以て説明できるものだが、電力システムの世界は必ずしもそういうふうになっていない。causalityの矢印が、あっちこっちを向いていて、一言で言えば“chaotic”。よって、この世界では、ある問題の解決法を考えようとすると、そもそもボトルネックの特定のところで、たいへん手こずることになる。

加えて、このエントリでも触れたとおり、同じchaosでも、国・地域によって、その形状は大きく異なる。したがって、同じ問題 ― たとえば、「風力発電の系統連結capacityを増やすにはどうすればいいか?」 ― を考えるにしても、国・地域が異なれば、第一のボトルネックがそもそも違っていたりするわけで、その先の解決法を考える段階では、まるで別々のゴールを追っているかのように、まったく異なる事象が論じられていても不思議ではない。

なんてことが、この分野を本格的に勉強し始めて二か月で、ようやく分かり始めてきた。不満なのは、それなりの数の論文を読んでいるのに、こういう「違い」の存在をきちんと説明してくれている論文には、案外、お目にかかれないということ。まぁ、「誰に対して不満なんだ?」と言われれば、難しいんだけど(笑) だいたいの論文が、一つの国・地域にフォーカスを当てていて、国際間・地域間の比較分析を試みているものが少ないからなのかも知れない。

ついでに言うと、一つの論文では、一つだけ、多くてもせいぜい二つの「原因」に焦点が当てられている場合が多い。このため、個々の論文を読んでいるだけでは、この世界のchaos性はあまり見えてこない。複数の論文を読み比べてはじめて気づくことになる。(そして大いに苦しむ。うぅ…)

このことは、実際に論文を書いている身からすれば、よくわかる。一本の論文の中に、あれもこれもと、いろんな「原因」(とその解決法)の分析を取りこんでしまうと、はっきり言って、論文としては収拾がつかなくなる。したがって、説得力のある論文を書こうと思うならば、どれか一つ(ないしは二つ)の「原因」にフォーカスしなければならない。その際、論文の書き手には、「なぜその『原因』にフォーカスしたのか」を“正当化”するという課題も同時に課せられる。そこで「ウソ」が混ざるとまでは言わないが、元来、“chaotic”なはずの世界を、ある程度、単純化して見せ、いかにも一つor二つのボトルネックをたたくことで、問題が大きく改善されるかのように描こうとするインセンティブは、どうしても働きがちなのではないかと思う。

電力システム関係の論文を読む際には、この点、注意が必要かと。
my room, Syracuse, Mar 1, 24:35

Thursday, February 25, 2010

Wind Generation in UK

風力発電の勉強をしていると、その普及径路は、地理的要因と既存配電網の様態(←これ自体、そもそも、地理的要因の影響を多分に受けている)に、大いに規定されるということがよくわかってきた。今回の論文は、もはや軌道修正不可能なところまで来てしまっているので、このまま“NY州-focused on”で進めていこうと思うが、実際のところ、アメリカと日本とでは、前提条件が違いすぎていて、単純な比較はできない。目下、導入量を大幅に伸ばしているインド・中国ともなれば、前提条件は更に大きく違っているので、「なぜ印・中に出来て、日本に出来ないのか?」式の疑問は、あまり的を射てはいないように思う。

客観的に言って、日本という国は、世界の中でも、風力発電の普及がもっとも難しい土地に位置してしまっているように思う。たとえばデンマークなんかは、「国土の大きさ」という面では、日本以上のデメリットを負っているわけだが、反面、欧州大陸の巨大送電網に接続するという、日本には真似したくても真似できない、大きなメリットを享受している。

その意味で、(ざっくり言って)日本と同様の難しさを抱えているのはイギリスだろう。25日付のFT blog記事によると、同国政府は、昨年の独Vestas社の英国工場閉鎖を受け、国内風力産業を再点火させるかどうか ― それをするには当然、それに見合った財政支出が必要となる ― の瀬戸際に立たされている模様。その背景には、コストのかさむ洋上発電の推進に、今後、どれだけ本腰を入れていくか、というより大きな問題がある。

洋上発電の問題については、昨年7月の同紙blog記事でも書かれている。抜粋すると、
Most of the rest of the world is simply not interested [in offshore wind]. Wind companies have overwhelmingly voted with their feet - the big growth markets for new turbines are China and the US, countries with huge open spaces available where companies can thrust up new turbines where they like, free from nimby attacks.
Almost the only people in the world pushing offshore wind are the UK government.
There is no export market for UK-built offshore wind turbines and in all likelihood there never will be. Few other countries are interested - only those with little land to spare, a bit of coastline and a deep green tinge are likely ever to be in the market.
との由。

最初に書いたような「前提条件」のおかげで、英国も、相当悩まされていることが見て取れるが、同国は、日本と同様の前提条件を抱えながらも、日本よりははるかに真剣に、風力発電の普及に取り組んできた歴史を持つ。「後発」の日本としては、“leapfrog”をかますにせよ、「熟慮ある撤退」に踏み切るにせよ、同国の悪戦苦闘の歴史から学ぶべきことが多くあるのではないかと思う。
Maxwell School, Syracuse, Feb 25, 15:01

Sunday, January 31, 2010

Impacts of Large Amounts of Wind Power

Independent Study論文の最初のpartのdraft提出期限――というほど、厳密なものではないのだが、いちおう、「この日くらいに持ってきます」と担当教官に伝えておいた期日――が週明け月曜に迫っているので、そろそろ書き始めないとマズいのだが、なかなか書く内容を絞り込めずに苦しんでいる。

論文全体のテーマは、「再生可能エネルギー発電源を大規模に導入する際に必要となる送電網(transmission)関連の設備投資」について。最初のdraftは、「再生可能エネルギー発電源を大規模に導入することによって生じる送電システムへの影響」についてのみ書くことにしているのだが、数ある「影響」のうち、どの部分に焦点を当てるかで、その後の論文の方向性が少なからず定まってくるので、これがなかなか悩ましい。

今日、読んだ日本語の論文(*1)の中に、こんな一節があった。(下線はblog筆者)
風力発電の導入について各国で共通していることは,風力発電を始めとする再生可能エネルギーの既存の電力系統への大量導入は,技術的には可能であるが経済的な追加負担が必ず発生し,それを誰がどう負担するかというスキームの構築が重要だということであろう。
僕が今回の論文の中で明らかにしたいのは、まさにこの点なのだが、これをするためには、当然ながら、まずは経済学的検討の土台となる工学的知識を把握しなければならない。問題は、工学の領域にどこまで深く踏み込むか、ということである。

ここでいう「深さ」には、二つの意味合いがある。一つは、論文の中でどこまで言及するかという意味での「深さ」。もう一つは、論文の中では触れないながらも、背景知識としてどこまで知っておくべきかという意味での「深さ」である。当然ながら、後者の方が前者よりも「深い」。

今は、(最終的にどこまで言及するかはともかくとして)とりあえず、関連する論文を読み漁りながら、背景知識を深めていっている段階なのだが、やろうと思えば、どこまででも深めていけるテーマなだけに、どこでストップをかけるかが難しい。限られた時間を(この論文の主眼ではない)工学的知識の吸収に必要以上に割いてしまっては効率的じゃないし、かと言って、十分な背景知識なしに経済学的考察を行おうとしても、意味のある考察結果は得られないし…。

「経済的に実現可能な風力発電の普及」を促進するために行われたIEAの研究プロジェクト“Task 25”のfinal report summary paper(*2)によると、風力発電の大規模導入が送電システム全体に与える影響(the system wide impacts)は、①Balancing、②Adequacy of power、③Gridの3つの分野に大別できると言う。

①は、本質的にintermittent(断続的)な――人の手で、出力を完全にはcontrolできない――電力源である風力発電機からの電力供給と、市場からの電力需要とを、どのようにバランスさせるかという問題。ちなみに、電力という財は、常時、需要量と供給量を一致させておく必要があるので、通常の財では見られないほどの厳密さで、たえず供給量管理(=システム全体での出力調整)を行わなければならない。

②は、導入される風量発電容量のうちの何%が、「安定した(firmな)」capacityとしてカウントできるか――言い換えれば、どれだけの旧来型発電機を風力発電で置き換えられるか――という問題。このパーセンテージが低いと、見かけ上は大規模に風力発電が導入されているように見えても、実際には、旧来型発電機を代替することが出来ていない、ということになる。

③は、主に、congestion(混雑)の問題。電力の大消費地と発電地域の間に、十分な容量の送電線が敷設されていないと、せっかく発電をしても、その電力をスムーズに大消費地に運べないといった問題が生じる。これは、風力発電に限ったことではなく、旧来型の発電機でも起こりうる問題なのだが、風力発電の適地は、大消費地から離れた送電網の過疎地域であるケースが多いので、congestionが問題になりやすい。

これら三つの分野は、当然ながら、互いに関連し合っているのだが、その技術的な対応方法は、必ずしも同じではない。そのため、3つまとめて一つの仕組みでaddressする、という持って行き方は、ちょっと難しそうな(或いは無理が出そうな)予感。となると、この論文の中で、これら3つの問題をどのように扱うかが思案のしどころとなってくる。あくまで、何らかの形で3つすべてを包含する「仕組み」を模索するのか、それぞれ、別々の問題として考えるのか。後者の場合、3つの問題すべてを検討の対象とするのか、どれか一つ又は二つにfocusするのか。Focusする場合、その選定基準や如何――この辺りの問に、ある程度の答えを出さないことには、最初のpartのdraftも書き始められないなぁと悩んでいる次第であります。
*1 伊藤学 “海外における風力発電の動向について ―主に電力系統への影響評価事例を中心に―,” 季報 エネルギー総合工学, Vol.30 No.2, July 2007
*2 Holttinen et al. “Impacts of Large Amounts of Wind Power on Design and Operation of Power Systems, Results of IEA Collaboration,” October 2009
my room, Syracuse, Jan 30, 27:15

Wednesday, January 27, 2010

Energy lessons from the Carter years

Carter政権で、財務省国内エネルギー政策局(Office of Domestic Energy Policy at the US Treasury)のdirectorを務めたPhilip K. Verlegerという人が、「Carter政権の教訓に学ぶと…」という内容の記事(“Energy lessons for Obama’s administration from the Carter years”)を、FTのblogにアップしている。

「教訓」を伝える記事なので、本来であれば、Carterの治世に何が起こったのかをまず押さえないと意味がないのだが、それを訳している時間はないので、その部分は、直接、Verleger氏の記事を読んでいただくとして、結論部分だけ抜粋させていただくと、
After my experience as a member of the Carter administration, I have to conclude that Obama’s emissions bill will not pass the current Congress or before 2012 unless circumstances change. It is not climate change sceptics that will block it. Rather, history teaches us it is the “special interests” that have such power.
(拙訳) Carter政権の一員であった私の経験に照らして考えると、Obama政権の排出権取引法案は、今次の国会中(※ 今秋の中間選挙前まで)はもちろん 、2012年(※ 次の大統領選)までにも、―状況の変化でも生じない限り― 成立し得ないだろうと結論付けざるを得ない。気候変動に対する懐疑論が、法案の成立を妨害しているわけではない。歴史の教えるところによれば、「特殊利益」こそが妨害しているのだ。
との由。この教訓から学ぶよう、何か月にも亘って、法案関係者の説得に当たってきたが、その努力も実らなかった(“For months, I have tried to get those involved in the energy debate-both observers and those writing on the subject - to pay attention to the lessons of history. I failed.”) と嘆いておられる。

同記事によると、Carterチーム卒業生のコンセンサスは、以下の三点とのこと(with 拙訳)。
  1. None of the people putting the Obama energy policy forward understood the problems they would face in Congress. (Obama政権におけるエネルギー政策推進役の人たちは、誰も、自分たちが議会で直面するであろう問題を理解していない。)

  2. The bill’s supporters (“greens”) are less aware of history than we were in the 1970s, if that is possible. (排出量取引の支持者(いわゆる「環境派」)は、1970年代の我々以上に、歴史にから学ぶ意識が希薄である。)

  3. The legislation’s passage is unlikely absent an outside precipitating event. (外的要因による突発的な出来事でも起こらない限り、排出量取引法案は成立しそうにない。)
歴史に学ばないなんてのは、政策を生業とする人間にとって、ほとんど論外のことだと思うが、Obama政権の環境/エネルギーチームは、本当にここまでヒドいのだろうか…。Verlegerさんが彼らに対して、相当のルサンチマンを貯めておられることだけは確かなようである。。
Maxwell School, Syracuse, Jan 27, 16:36

Wednesday, January 20, 2010

"Greenness" Variable

水曜日はHerman先生の“Comparative Foreign Policy”。今日は、イントロだけさっくり、といった感じだったが、第一印象としては悪くない。各自、実際に起こった二国間の外交issueを一つ、ピックアップし、一学期間かけて、それを分析していくとのこと。何か、掘り下げてみて面白そうな事件ってありますかね?条件は、①「W.W.I以降2007以前」に起こった事件であり、②自分の国が当事者ではないこと。

ぼちぼちだが、授業と並行して、independence studyの方も進行中。今日は、Popp先生から勧められた、Paroma Sanyalという人の“The effect of deregulation on environmental research by electric utilities”という2007年のペーパーを読んでみた。

端的に言うと、
  • utilityに対する規制緩和は、utility会社による“environmental R&D”を、大幅に減らした。
  • ついでに言うと、(発電所からのSO2及びNOx排出に対する規制を強化した)1990年のClean Air Act改正も、utility会社による“environmental R&D”を縮小させた。
という内容。なお、ここでの“environmental R&D”は、温暖化対策等、「より公共性の高い」R&Dのみを指しており、改正CAAに対応するためのプラント改良などは含まれていない。結論だけ読めば、「まぁそうだろうね」と言っておしまいの論文なのだが、論文執筆初心者の僕からすれば、全体の構成、データの処理方法、論の進め方なんかが非常に参考になる。

independent variableとしては、「規制緩和の進み度合い」や「改正CAAの影響を受けたプラントの数」の他にも、いろんなfactorが盛り込まれているが(dependent variableは「各utility会社の年間environmental R&D支出額」)、その中の一つに、当該電力会社が位置する州の“greenness”というものもある。そんな数値、どうやって出すのかと思ったら、League of Conservation Voters(LCV)という環境保護advocacy団体が公表している、各国会議員の投票行動の評点――pro-environmentかどうか――を用い、州ごとに上院議員の評点を足し合わせて、その州の“greenness”を示す指標をつくっているらしい。

Popp先生によると、各州の性格をこの手の指標で捉えるやり方は、環境以外の分野でも、アメリカでは一般的に用いられているとのこと。プロな皆さんの間では、常識に属する事柄なのかも知れない。

国会におけるすべての決議に党議拘束がかけられてしまう日本では、この手のアプローチは機能しないだろうななんて思ってみたり。。
my room, Syracuse, Jan 20, 23:55

Tuesday, January 19, 2010

German solar industry faces subsidy cut

世界最大の太陽電池市場であるドイツが、太陽光発電への補助金(発電機器の購入に対する補助金と思われる)を最大で17%削減するとの由。19日付Gristより。

こういうニュース、いつも、断片的に聞いては「へー」と思って終わってしまうのだが、せめて太陽光と風力については、世界の発電機市場がどうなっているのか、一度、体系的に把握しておかないとなと思う。

今日から春学期開始。Colares先生の“International Trade & Law”はなかなか良い感じ。「法律の授業だが、法律だけの話をするわけではない。法律の外側にある実社会の話もバンバンする。むしろ、法律と、実社会の諸現象が衝突したときに何が起こるかを見ていくのが一番面白い」といった話をされていた。

非常にagree。僕はどちらかというと、「法律の外側にある実社会」の側の人間だと自認しているが(そういうことにしといてください)、法律というのは、確かに社会を映す鏡のようなもので――ちょっと歪んだ鏡ではあるけれど――、それを覗くことで、実社会についての理解が深まるといったことがあるように思う。

このあと7時から、Black先生の“Environmental Impact Analysis”(@SUNY-ESF)を受講予定。こちらをauditするかはまだ迷い中。
Maxwell School, Syracuse, Jan 19, 16:49

追記: 今日の授業に出てみた結果、“Environmental Impact Analysis”はauditしないことに決定。

Thursday, January 14, 2010

Boone Pickens, Again

久々登場、Boone Pickens。

ちょうど僕がアメリカに来た2008年の夏頃、大々的な風力発電建設計画“Pickens' Plan”を打って、プチ“時代の寵児”になっていたオクラホマの大富豪。当時は、CNNのLarry King Liveにも呼ばれたりもしていた(Kingとのやりとりのscriptはこちら)。

NYTのweb記事によると、最近また、新しいTVCMを作って流しているらしい。ケーブルTVだけで流しているのか、うちのTVでは、まだ観たことがないが。2008年当時は、風力発電を前面に打ち出していたPickensだが、新しいCMでは、天然ガスのアピールに特化して、風力発電を完全に封印。単にPickensが現実的になったと見るべきか、アメリカの新エネ熱が後退したと見るべきか…。


Starbucks, Fayetteville, NY, Jan 14, 15:57

Monday, December 14, 2009

Wind Turbine in China

Financial Securityの最後の授業は、先週に引き続き、生徒のプレゼン大会。発表者のうちの一人が、「中国の風力発電市場に米国メーカーが食い込むためにはどうすればいいか」というテーマでプレゼンをしていた。あんまり金融には関係ない気もするが、まぁそれはともかく。。。
  
彼の発表によると、中国の風力発電市場は、現在、累積12,000MWで世界第四位(一位は米国)。しかしながら、中国政府は、2010年までに30,000MW、2020年までに100,000MWの導入目標を掲げており、早晩、世界一位の座に躍り出るのは確実視されているとのこと。
  
先進国では「発電sourceの2割以上がrenewable energyになると電気の質を保てなくなる」なんて言われたりもする中、中国での風力発電のこのcrazyなまでの伸び様は、いったいどう理解すればいいのか。「多くの場合、僻地のmicro grid用で、grid本体には繋がっていない」とか、「もともと電気のなかったところに設置するわけだから質なんて気にする必要はない」とかいった話を聞いたりもするが、なんとなく、それだけでもないような気がする。留学も残り半年となって、そんな余裕があるんだかないんだかよくわからないが、もし暇があったら、中国の電力事情・電気政策についても、ちょっと勉強しておきたいなぁと思う。
   
話はまったく変わるが、最近、貿易関係のpaperに埋没している身としては、些か気になったのがこのニュース。これこそ、暇を見つけて勉強しておかないとと思う。
my room, Washington DC, Dec 14, 23:21