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Wednesday, June 2, 2010

former Maxwell's star professor on TV

一昨年の秋学期――僕がここに来た最初の学期――まで、Syracuseで教鞭を取り、その後、ワシントンの保守系シンクタンクAmerican Enterprise Instituteに、Presidentとして栄転していったArthur Brooksというおじさんが、昨日のDaily Showに出演していた。


ただ、彼の授業は一度も受講しなかったので――いま思えば、もったいないことをしたもんだと思う――個人的な思い入れはこれといってないのだが。とりあえず、カッチョ良い英語を話す人だなと思って、インタビューに聴き惚れてみた。

インタビューの中身自体は、大したことなし。まぁ、尺はもともと8分だし、番組の性質上、ところどころで笑いをはさまないといけないから、議論を深めるにも自ずと限界がある。

むしろ、インタビューを観終わった後に、彼に関するWiki記事を読んで、今さらながら、彼の本を読んでみようかと思った。こんなことを卒業間近に書いてる時点で、「もぐり」の烙印を押されちゃいそうだけど。
my home, Syracuse, June 2, 23:50

Wednesday, May 26, 2010

Recap: "Smart Grid" entries

最近、仲間内のメールで、Smart Gridが話題に上っていた。良い機会なので、関連エントリをまとめておく。既に古くなっている情報もあるが、何かの参考になれば幸いです。
2年前の夏に、勢いで、毎回のタイトルを英語にして以来、その伝統(?)が続いてしまっているが、こうして昔の自分のエントリを見なおすときには、なかなかこっぱずかしいものである。まぁ、あともうちょっとなので、このまま行かせていただきます(笑)
Maxwell School, Syracuse, May 26, 11:29

Thursday, April 29, 2010

EPA's modeling of Climate Bill

昨日のLA Timesの記事によると、Kerry-Graham-Lieberman climate bill(いわゆる“KGL Bill”)が、正式な公表を前に、EPAに送られたとのこと。EPAに送って何をするかと言えば、EPAがモデルを回して、同法案の効果を予測するらしく、記事によれば、
a modeling process that will take an estimated four to six weeks, after which the EPA will report how much the bill is likely to reduce greenhouse gas emissions, boost renewable energy and, most importantly, cost the average consumer. Many key senators have said they won't commit to the bill until they see those results.
との由。

immigration法案との絡みで揺れる、KGL Bill提出の政治情勢については正直そこまで興味はないが(というか、そこまで追いかけていたら切りがない)、こういった、法案の審議プロセスを見ておくのは興味深い。

「完全に公平」なんてことは、この世の中にあり得ないが、アメリカの政治プロセスを見ていると、少なくとも、「公平性を担保するための努力はしましたよ」と言えるだけの工夫は、随所に織り込まれていることに気づく。

“four to six weeks”後にまとめられるという、EPAのモデリング結果が公表されたとき、世間がそれをどう受け止めるのか――単なる“pretend”だと見るのか、信頼のおける客観的考察だと受け止めるのか。その点の興味深いし、時間があれば、モデルの中身も少しくらいは覗いておきたい。
Maxwell School, Syracuse, Apr 29, 13:43

Tuesday, April 27, 2010

Law vs Politics

Int’l Trade Lawの最終講義(除、review session)は、LawとPoliticsとの接点について。

米国国内法(Trade Agreements Act of 1979)は、貿易に関する国際法又はそれに基づく措置が、何らかの米国内法に抵触する場合の、自動執行を禁じている(19 U.S.C. § 2504(a))。つまり、米国のある措置が、WTOの紛争解決機関(DSB)によって、WTO法上「クロ」と判定されたとしても、争点となったその措置が米国内法上「合法」のものである限り、DSBの判定は、自動的には履行されないということ。当然ながら、履行しなければ、米国は、国際法上の違法状態に陥るわけで、また、、国内法の規定を盾に国際法違反を正当化することは、ウィーン条約(Vienna Convention on the Law of Treaties)で明確に禁じられている( Article 27: “A party may not invoke the provisions of its internal law as justification for its failure to perform a treaty.”)。

ではどうするかだが、米国内法は、米国政府機関に対し、WTO-DSBの裁可に従うための措置を講じるに際しての、議会(Congress)との協議を求めている(19 U.S.C. § 3533(g), 3538(a), 3538(b))。これはつまり、本来、“legalかつmultilateral”なはずの貿易紛争を、“politicalかつbilateral”なものにすり替えるための仕組みである、というのが教授の解説。

実際、以前にこのblogでも紹介した、米-ブラジル間の貿易紛争(アメリカの国内綿花農家に対する補助金のWTO違反が確定しているにもかかわらず、米国が具体的な改善措置を採らなかったため、ブラジルがWTO協定に準拠する形での報復関税の適用に訴えようとしたもの)はちょうど先週、米国が、問題の補助金を多少引き下げる(と言っても、WTO協定上の違法状態が完全に解消されるわけではない)のに加え、軍事協力の提供という、貿易とは全く関係のない便宜供与をブラジルに申し出ることでdealが成立したらしい。

言うまでもないことだが、こうしたdealは、WTO協定に則った純legalな交渉からは、間違っても生まれない。“Politicalかつbilateral”な交渉によってのみ到達可能な解だろう。経済学的には、Pareto基準ベースでガチガチ喧嘩しないといけない純legalの世界から、貿易以外の何かでの“補償”を議論に絡めて来られるKaldor-Hicks基準の世界に移行することで、双方にとっての交渉の幅が広がった、というふうにも言えるかもしれない。もちろん、アメリカという国にしてみれば、そうした客観的メリットに加え、「一対一の交渉に持ち込んだ方が自分にとって有利」という、世界一の国力を笠に着れる立場であるが故の特殊事情もあるのだろう(というか、その方が大きいけどね、絶対)。

この話を、僕自身の関心分野にひきつけて言えば、たとえば、昨秋、このblogでも何度か(こことかこことかで)取り上げたcarbon tariffについて考えるとき、それが、WTO上、シロかクロかというところで思考を止めてしまうのではなく、(「シロ」と判定されるに越したことはないが)仮に「クロ」であったとしても、その後に、どういう展開・交渉が可能かと考えること――さらに言えば、最初から、そこまでの見通しを織り込んだ上で、プランを練ること――が大事なんだろうと思う。

何はともあれ、ことほど左様に、非常に良い勉強になった良いクラスだったと思う。このクラスの先生とは、卒業後も、ぜひとも関係をkeepしておきたいところ。
Maxwell School, Syracuse, Apr 27, 18:07

Friday, April 16, 2010

America's Great Outdoors

最近巷で話題(?)のWashington Post紙の報じているところによると、16日、Obamaクンが、“America's Great Outdoors initiative”と称する自然保護政策の再編計画(ただし今回は荒々のビジョンだけ)を発表したとのこと。

この手の政策に、大統領自らが、わざわざ記者会見を開いてまで、コミットメントを表明するというのは、僕ら日本人からすると、些か違和感のある話なのだが、実際には、Obama自身が会見の中でTheodore Rooseveltに触れていた通り、この国の歴史の中では、国立公園政策が、しばしば大統領肝煎りの案件として登場してくる。そうした実績を持つ大統領としては、TRの他にもFDRやアイゼンハワーなどがいる。

それほど詳しく歴史を調べたわけではないが、この国における“国立公園”制度には、日本のそれにはない、独特のテイストが込められているように思う。

米国版国立公園制度(というか、それが“本家”ですが)の、そもそもの目的は、手付かずの自然の残る未開拓の土地を、国(=連邦政府)有化することによって、アメリカ国民全員の「公園」として保護すべしというものである。その根底には、この国特有のfrontier spirit――当然それは、この国一流のpatriotismにも繋がる――が横たわっていて、少し大げさに言えば、YellowstoneやYosemiteは、(どこの州、どこの地域の出身かに関わらず)この国の人たち全員が共有する“自分たち”の歴史の、重要な構成要素になっているんじゃないかという気がする。言うなれば、日本人にとっての京都や奈良のように。   

というわけで、そもそもの出発点からして、国立公園政策に懸ける国民の“気合い”が全然違うと思うのだが、それに加えて――これも、その“気合い”によるところが大きいのであるが――、園内の土地を基本的に全て「国有化」してしまったという点も、非常に大きな違いであるように思う。その結果、国立公園地域を単なる「保護エリア」「規制エリア」として管轄するのではなく、文字通りの「公園」として、政府自らが、観光業も含めた「経営」に乗り出すことができるし、それによって、それなりにたくさんの雇用を生み出すこともできる(cost/benefitが良いかどうかは別問題。この点、確か、Milton Friedmanが、『資本主義と自由』の中で論じていた気がする。未読。)。

実際、DC近郊のShenandoah国立公園は、FDR肝煎りのjob creation programであるCivilian Conservation Corps (CCC) の一環として整備されたものであるし、今回のObamaイニシアチブにもそのような性格が込められていることは言うまでもない。こういった政策は、国立公園内の土地が必ずしも国有化されているわけではない日本のような国では、なかなか難しい(やったとしても、ちょろっとしか効果が出ない)のではないかと思う。

というわけで、アメリカの国立公園が素晴らしいのは言うまでもないし、その分野の仕事に携わる人であれば、誰しもが憧れを抱きたくなるのは非常によく理解できるのだが、同じ「国立公園=national park」を名乗っていても、日本のとアメリカのとでは、そもそもからして、成立ちや性格が大きく違うし、そのように違った性格を持つに至った背景には、両国の発展プロセス(=“歴史”)の違いが大きく関係しているので(→ 要するに、政策レベルでどうこうできる問題ではない)、ここは潔く、「別物」と捉えて、日本は日本なりのやり方を探す方が現実的なのではないかという気がする。実際、それを模索してらっしゃる方も多いと思うんですけど。

そういう意味では、むしろ、ヨーロッパ各国がどうしているかを勉強する方が、プラクティカルなんじゃないかとも思うのだが、寡聞にして、欧州の国立公園政策事情などというものについては、これまでのところ、何の知識も持ち合わせていない。どなたか詳しい方がいらっしゃれば、教えていただければ幸いです。
Maxwell School, Syracuse, Apr 16, 16:58

Sunday, April 4, 2010

Clean Water Act for regulating CO2?

Clean Water Act(CWA)でCO2を規制してはどうか、という話があるらしい。元ネタはこれ:“EPA may try to use Clean Water Act to regulate carbon dioxide”@McClatchy Posted on April 4.

記事によると、米EPAは、現在、“the effects of ocean acidification as it relates to the Section 303(d) program”に関するパブリックコメントを行っているとの由。

EPAの解説によると、CWAのSection 303(d) programというのは、
  1. “the Impaired Waters”(汚染水域)のリストを作成する。
  2. リストに掲載された水域ごとにTotal Maximum Daily Load (TMDL)(総負荷許容量)を設定する。
  3. TDMLに基づき、各point sources(工場・事業場等)及びnonpoint sources(住宅地、農地等、それ以外の汚染源。非人為的なものも含む)にpollutant loadを割り振る。
  4. point sourcesに対しては、bindingな総量排出規制が適用される。
といった構造だそうだ。大気中のCO2濃度が上がることにより海水の酸性度が増してしまう、という問題自体は理解できるが、このスキームでCO2を規制しようというのには、かなり無理があるのではないか。

普通に考えれば、汚染と汚染源との因果関係が、ある程度特定可能である場合に適用可能な制度であると言えよう。この前提は、“CO2起因の海水酸性度の増加”という「汚染」には、当然ながら当てはまらない。オレゴン沖合を“Impaired Water”に指定したからと言って、Oregon州(あるいはその周辺)のpoint sourcesに対してのみCO2の排出規制を課すというのでは、とてもじゃないが、納得は得られないだろう。

EPAのパブコメ告知を見ると、それほど具体的なステップにまで話が進んでいるというわけではなく、「もし仮に、CWA Section 303(d)を海洋酸性化に適用するとしたら、どういった点に気をつけるべきですかね?」という段階のよう。ともあれ、パブコメの結果を踏まえて今年11月15日までに発表されるというmemorandumにはやや注目か。
Maxwell School, Syracuse, Apr 4, 17:00

Friday, April 2, 2010

"Drill, Baby, Drill!"

2008年の大統領選の時に盛り上がった、offshore石油掘削の話が、再び盛り上がっている。

効果があるだのないだの、毀誉褒貶の激しい(という言い方は日本語として変?)この政策(案)だが、効果のあるなし、メリット(デメリット)の大小を論じる際の評価軸は、(真面目に政策論として議論するならば、)大雑把に言って、だいたいこんなところではないかと思う。
  • エネルギー自給率の改善
  • エネルギー価格の低下
  • 雇用創出
  • 企業・政府の収入増
  • 気候変動への影響(+ or -)
  • 海洋環境への悪影響
CFRのwebサイトに出ていた3月31日付の記事“What New Offshore Drilling Will Yield”によると、
  • エネルギー価格の低下 … 消費者が認知できるほどの変化は起こらない  
  • 企業・政府の収入増 … significant。netで$900 billionとの試算あり。 
  • 気候変動への影響(+ or -)… 他産油国の反応次第でプラスにもマイナスにも。 
という感じになるらしい。他の項目については、特段、触れられていないが、価格がほとんど下がらないということは、供給量の増分は、おそらくたかが知れているはずで、となると、エネルギー自給率に与えるインパクトも限られているのだろう。雇用と海洋環境への影響は、この記事からだけでは何とも分からない。

記事は、そういった真面目な政策議論よりむしろ、大統領選以来、Obamaがずっと、その効果に疑問を呈し続けてきたoffshore drillingに“go sign”を出すことで、エネルギー・気候法案の審議を本格化さるという、政治的意味合いの方が強いのではないか、との分析で閉じられている。
my home, Syracuse, Apr 1, 26:18

Thursday, April 1, 2010

Obama’s new fuel-economy rules

こちらはおそらくApril Foolではないと思うのだが、米連邦政府による自動車の新排出規制が、本日、発出されたとの由。NYTなどが報じている。

Gristに、新規制の概要が出ていたので、転記しておく。
The bottom line: New automobiles will have to get better gas mileage
The numbers:
  • Current standards: 27.5 miles per gallon for cars and 24 mpg for light trucks 
  • Starting in 2012, fuel efficiency will rise more than 5 percent each year 
  • New standards for 2016: 39 mpg for cars and 30 mpg for light trucks -- an overall average of about 35.5 mpg
The environmental benefits: 
  • Will save 1.8 billion barrels of oil over the life of the program
  • Will prevent 900 million metric tons of greenhouse-gas emissions
  • Will be like taking 177 million of today's cars off the road, or shutting down 194 coal-fired power plants
Fans of the plan:
  • The major automakers, because they now have certainty and one clear set of regulations to follow 
  • The major environmental groups, because the federal government is actually doing something to reduce greenhouse-gas emissions
  • California and 13 other states, because they have long wanted tougher auto emissions standards
日本とは異なり、アメリカの自動車燃費規制は、メーカーごとに、売ったクルマの平均値で判定されるシステム。先述のNYT記事によると、Nissan Leafのような電気自動車は、申告できる台数(つまり、平均値を出すときの分母の数)にリミットはあるものの、「排出ゼロ」としてカウントされる(will be classed as zero-emissions vehicles, although there is a cap on the number of all-electric vehicles that carmakers can claim credit for.)らしい。

となると、自動車メーカーにしてみれば、電気自動車の販売台数を伸ばそうというインセンティブは、日本でよりもアメリカでの方が、この先、強く働くことになるのだろうか。そもそも、電気自動車に対する関心は、日本より、アメリカの方が強く持っている気がするけれど。
Maxwell School, Syracuse, Apr 1, 17:04

Monday, March 29, 2010

Climate Programs Evaluation by CBO

米CBO(Congressional Budget Office)が、連邦政府の気候変動関連プログラムに関するレポート“Federal Climate Change Programs: Funding History and Policy Issues”を発行したので、読んでみた。

特段、高度なeconometricsを使うこともなく、至ってシンプルかつオーソドックスにまとめられている。読みものとして、面白いか面白くないかと言われれば、はっきり言って面白くない。CBOという組織のmissionを考えれば、非常にいい仕事をしているのは確かなんだけど。
   
全般的に、(経済学的に見れば)当たり前のことが述べられているだけなので――いや、それが彼らの仕事だから仕方ないんだが――、敢えて、ここで紹介したいと思える記述は、あんまり見当たらない。強いて言えば、Climate-Related Tax Preferences(気候変動関連租税特別措置)関連のくだりが比較的面白いかと。曰く;
Most analysts argue that the most direct way to reduce GHG emissions is to tax them or to otherwise increase their price—for example, by imposing a cap-and-trade mechanism. Increasing the cost of GHG emissions would encourage reductions in emissions through a variety of means but leave determination of the best method to the individual or business. Tax preferences, by contrast, usually favor ways of reducing emissions that are specified in legislation. For example, there is a tax credit to encourage people to reduce consumption of home heating oil by installing solar-powered heating units, but there is no similar incentive to turn down the thermostat or put on a sweater, even though doing so could reduce GHG emissions at lower cost than installing solar powered heating units.
「炭素税よりは、税控除の方が、概して、排出削減政策として好まれる傾向があるが、温室効果ガスの排出を減らす、より直接的な方法は、税控除ではなくて、課税の方である。たとえば、税控除の対象に、家庭用太陽熱ヒーターを指定すれば、それによって家庭で使われる暖房用の石油の量を減らせるかもしれないけれど、税控除で以て、暖房の温度設定を下げたり、単純にセーターを羽織ったりすることを、各家計に促す方法はない。その方が、太陽熱ヒーターの設置よりも安いコストで、同じだけの排出削減を達成できるかもしれないのにも拘わらず」との由。
     
この記述の中身(=経済学の基本の「き」)自体がどうこうというよりも、こういうことをはっきりと言ってくれる機関があるというのは、素晴らしいなと。まぁ、このCBO様のお言葉が、どれだけ上下両院の皆さまに斟酌されるかはともかくとして。
my room, Syracuse, Mar 29, 23:49

Sunday, March 28, 2010

Intrepid

前回、前々回、前々々回と、NYCには、立ち寄るも観光する時間なし、ということが続いていたのだが、今回は、呑み会の前に半日だけ時間があり、Maxwellの同級生さん御推奨のThe Intrepid Sea, Air & Space Museumに行ってみた。

第二次大戦にも参戦した米国海軍空母Intrepidをそのまま利用した博物館。日本人にはあまり知られていないが、巨大な空母が、マンハッタンのハドソン川べりに、どどーんと停泊されてある。中身は、Intrepid自体の軍歴含め、海軍関係の展示+宇宙開発関係の展示が少々(Intrepidは、スペースシャトルが開発される前、海にぽちゃんと落ちていた宇宙船の回収任務にも当たっていたとの由)。船外には、冷戦期に就航していた同じく米海軍の潜水艦と、British Airwaysのコンコルド(これは完全に民用機)も展示されている。

この分野、専門でもなんでもないので、軽々にああだこうだと言えることはあまりないが、一つ言えるのは、勧めてくれた方も言っていた通り、博物館の記述が総じて客観的で、旧日本軍が「卑劣だった」だの、「野蛮だった」だの、といった書き方は、ほとんど見られなかったということ。それは、冷戦展示コーナーでのソ連軍に対する記述についても当てはまる。戦勝国の余裕なのか、はたまた、軍事大国であるが故に、その辺りについては、感情を差し挟まず、客観的に理解するマインドセットが出来上がっているということなのか(イスラム勢力に対する近年のattitudeを見ていると、必ずしもそうとは言えない気もするけれど)。

Intrepidは、レイテ沖海戦などで、複数回にわたり、日本軍によるいわゆる“神風”特攻にも遭っている。上にも書いたとおり、そのことを、「卑劣」だの「野蛮」だのと称する記述はないのだが、ただ、相当の脅威であったことは間違いないらしく、“Kamikaze”関連の展示には、かなりのスペースが割かれてあった。

昨日それを見るまで知らなかったのだが、日本軍の特攻機が空母に衝突する瞬間のカラー動画(色は後から補ったのかもしれないが)が残されていて、展示の一部に使われている。かなり衝撃的な映像で、(こういう言い方が適切かどうかはわからないが)その動画を観た瞬間、直観的に思い出したのは、9.11のあの映像だった。

実際にその事件が起こった船の上で、アメリカ人に交じって、そういった映像を観るというのも、非常に複雑な心境。正直、何と言っていいのか分からない。ただ、少なくとも、日本の戦った相手の国であるアメリカで、そういった展示を見れたということは、その時に自分が抱いた複雑な感情も含めて、貴重な経験になるのではないかと思う。
Maxwell School, Syracuse, Mar 28, 16:13

Monday, March 22, 2010

ObamaCare passed the Congress, and then ...

ヘルスケア法案(通称、ObamaCare)が議会を通過。

というわけで、少しくらいは知っておこうと、新聞・雑誌をいくつか流し読みしてみる。この記事(from The Economist)なんかが一番よくまとまっていて、僕のような、ObamaCare初心者にも分かりよいかと。
  
同記事によると、昨日の深夜に下院を通過したのは、「上院案丸呑み」法案と、“reconciliation”法案の二つ。前者の方は、(上院案丸呑みなので)これで以て、議会プロセス完了。後はObamaのサインを待つのみ。ここでObamaがvetoするはずはないので、最低限、この案の成立は確定。

一方の“reconciliation”法案は、上院のおかげで“flawed(「欠陥含みで」)and pork-laden(「豚肉満載の」。転じて、「選挙区向け公共事業満載の」)”になってしまった法案を、下院でもいちど叩き直したもの。よって、上院の再議決が必要なのだが、それには本来、60/100のsuper-majorityが必要(for filibuster-proof)なところ、Democrats執行部は、「これは予算関連の規定ですよ」ということにして(※ 予算関連規定であれば、budget reconciliation rulesで以て、単純多数決で通せる)、ことを進めようとしているらしい(同数だった時の最後の一票は副大統領Bidenが握っているので、厳密に言えば、過半数である必要もない。50票とれればOK)。

当然ながら、Republicanはこれに反発。「“reconciliation”法案の一部は、この条件に合致しとらん」と。こんな場合、どうやって収拾つけるんだろうか。背景知識がないので皆目、見当もつかず。

なんて記事を読んでいたら、隣に、Climate法案関連の記事も発見。Kerry、Lieberman 、Grahamの三者が、一段と、cap-and-trade色を弱め、エネルギー開発促進色を強めた法案を練り直しているとのこと。

Economistの見立てによると、新法案では、エネルギー開発への補助金が、“一丁目一番地”になるという。cap-and-tradeは、「その原資を得るため(“to raise money”)」という位置付けに格下げされ、capの対象はutilitiesのみ。

経済学的に言えば、― 税とcap-and-tradeのどちらが効率的かという議論はともかく、どうせcap-and-tradeを入れるのであれば ― economy-wideで入れる方が効率的なのは自明。R&Dなど、一部、公的補助が必要な部分はあるにせよ、それはあくまで「例外」として扱うべき。白黒逆転させて、utilityにのみ「例外」的にcap-and-tradeを導入してしまっては、cap-and-trade本来の効能は著しく損なわれる。

政策の効率が落ちるというとは、その分だけ、余計なcostがかかり、totalで見れば、同じ政策目標を達成するのに、より多くの公的負担が必要になるということ。にもかかわらず、議論はそちらの方向へと流れていってしまう。economicsの儚さというか、political economyの難しさというか…。

それでも、このタイミングで、何がしかの(連邦レベルの)cap-and-trade制度が、この国に成立するかどうかは、今後の世界の気候政策情勢に極めて大きなインパクトを持つ、と思う。実際のところは、きちんと数字を見ながら議論しないといけないが、直観的には、今の状況のままのEU-ETS市場が、今後も、単独で立ち続けていられるようには思えない。
Maxwell School, Syracuse, Mar 22, 19:33

Wednesday, March 10, 2010

20% reduction of coal consumption by the US power industry

FTのonline記事が、「アメリカの電力業界における石炭の消費量が2015年までに20%削減される」という説を紹介している。現行、この国の電力の半分弱※は石炭を焚いてつくられているわけだが、消費量の減る分だけ石炭由来の発電量も減ると単純に仮定すれば、全発電量に占める石炭火力のシェアは3分の1強にまで下がるわけで、かなりのインパクトと言えよう。

ちなみにこの変化、上の図でも示されている通り、旧式発電所の自然発生的な「退役」と、EPAのSO2及び水銀規制の結果としてもたらされるという。つまり、(この予測が正しいとすれば)greenhouse gasに対するregulationを見込まずとも、米国内の石炭業界が相当の打撃を食らうことは既定路線。と考えると、採炭州の与党議員が、EPAのgreenhouse gas regulationの延期に必死になる(参照)のもむべなるかな。

中間選挙を今秋に控えるObama政権としても、ここで、石炭業界に更なる一撃を喰らわすことには、相当慎重にならざるをえないのではないだろうか。

※ Department of Energyの下部組織、US Energy Information Administrationのデータによると、2009年実績は、1,597,244GW/3,600,739GW=44.4%
my home, Syracuse, Mar 10, 9:47

Tuesday, March 9, 2010

retaliatory measures

今日のInternational Trade Lawの授業、冒頭の15分は、昨日、ブラジル政府が発表した、アメリカに対する報復関税措置(retaliatory measures)の解説に充てられる。このクラスの先生は、ビッグマウスのブラジル人教授。なんら悪びれることなく、良い感じに冗談なんかも交えながら、ブラジル政府の正当性を高らかに主張。

もっとも、今回の件は、客観的に見ても、ブラジル側に完全に分がある。というのも、ブラジル政府は、米国の国内綿花農家に対する補助金がWTO協定に抵触するとして、今を遡ること8年前、WTO紛争委員会に提訴。同委がブラジルの主張を認める裁決を下すも、米国が改善措置を取らなかったため、WTOは、ブラジルに対し、対米報復措置を取ることを容認(それが半年前の出来事)。その後、米国側の妥協を待つも、改善が図られなかったため、ブラジルとしては、「実力」の行使に訴えざるを得なくなった、という次第。報復措置の規模($591m worth)についても、WTOから認められた上限($829m worth)内に収まっている。(参照:“Picking a fight” @ Economist Mar 9th)

報復関税の対象は、紛争の発端となった「綿花製品」(関税率、現行6%-35% → 100%)をはじめとして、全102品目に及び、中には、「自動車」(35% → 50%)など、現下のアメリカ経済にとって、非常にsensitiveな商品も含まれている。更には、上限までの残り枠を使い、ソフトウェア、医薬品などにも報復関税を課す“二の矢”もほのめかしているとのこと。これまで、あまりそういう目では見てこなかったのだが(失礼)、ブラジルという国は、なかなか強かな外交妙手のようである。

今回の報復措置、両国間での合意が見られなかった場合には、発表から一か月後に施行に移されるとの由。
my home, Syracuse, Mar 9, 22:26

Monday, March 8, 2010

revolving door

城氏のこのblog記事を読んで、アメリカの官僚機構のことを考えてみた。

アメリカの官僚機構(とりわけ連邦政府)を「成功例」と看做せるかどうかは甚だ疑問だが、城氏のいう“序列ではなく成果に応じてキャッシュを支払う年俸制”に、近いと言えば近い形態をとっていると思うし ― あくまで日本の官僚機構との比較という意味においてであって、米国内の他の民間業種に比べれば、なお“安定的”かも知れない ―、“改革の推進者”とは言わないまでも、少なくとも、改革に対してニュートラルではあり、多くの場合、“抵抗勢力”としての毒牙は抜かれているように思う。CIAとか、DoDとかは、またちょっと話が違うんだろうけれど。

僕は日本とアメリカのケースしか知らないので、これら二か国で見られる以外のスタイルの「官僚機構」が存在しうるのかどうか、知識もアイデアもないのだが、この二か国のケースを対比して見ている限り、「機構自体に色・考え・方向性を持たせない」ことと、「機構に推進力・積極性・自発性を発揮させる」ことの間には、いわゆるトレードオフの関係が存在してるように思う。言うまでもなく、日本は前者が×(機構自体が独自の方向性に固執しがち)で後者が○、アメリカはその逆である。

アメリカの官僚組織というのは、日本のそれに比べて、確かに「抵抗」の度合いは弱いが、その代わり、政治に方針決定の下駄を預けてある分、組織内にはある種の「諦念」が漂っており、推進力・積極性・自発性といった性質に乏しく、いわゆる「お役所」のイメージ通り、粛々と仕事を「こなして」いる印象がある。政権が代わって政策の方向性が変われば、具体的に「やりたい政策」のイメージを持っている人ほど、役所を出て、シンクタンクなどに転身して行きがちなので(いわゆる“リボルビングドア”)、その傾向は、ますます強くなるのかも知れない。

理想的に言えば、日米の官僚機構の良いとこどりのような組織ができればいいのかも知れないが、よくよく見てみると、両者の雇用慣習は、結構根本的なレベルから違っており、単純に、足して二で割ったような形が実現可能なのかどうなのか、何ともよくわからない。

僕自身の留学期間は、残り僅かとなってきてしまったが、まだ時間のある方々、この辺り、調べられてみれば面白いと思うし、日本への貢献の度合いも少なくないのではないかと思います。
my room, Syracuse, Mar 8, 23:06

Tuesday, March 2, 2010

"Toyota crisis puts spotlight on auto electronics"

2月26日付のAPの記事が、トヨタの電気系統の件について、かなり詳しめに報じている。

この記事によると、
... on Oct. 5, the automaker recalled 3.8 million Lexus and Toyota models in the U.S. because of floor mats. In January, it recalled 2.3 million because of sticky accelerators. It later added more than a million to the floor mat recall, and also said some cars might be covered by both. So far, more than 8 million vehicles have been recalled worldwide to replace floor mats or fix pedals that get stuck because of condensation.
Toyota's denial that electronics played a role in the problems has been repeatedly challenged. Questions linger, including why, according to a congressional analysis, 70 percent of Toyota speed control complaints involve vehicles not covered by the floor mat or sticky pedal recall.
(拙訳) (2009年)10月5日、トヨタは、「レクサス」及び「トヨタ」ブランドのアメリカ国内の380万台について、「フロアマット」問題を理由に、リコールを行うことを発表した。今年1月、同社は“sticky accelerators”(アクセルが戻らなくなる問題)を理由に、230万台のリコールを実施。その後、100万台以上の車を「フロアマット」問題によるリコール対象に追加。中には、両方の問題の可能性を有する車もあると発表された。全世界で、これまでに、800万台以上の車に対し、フロアマットの取り換え、又は、アクセルペダルの修理が行われてきた。
トヨタは、電気系統が問題を引き起こした可能性を否定しているが、このことは、繰り返し、同社に対する疑念を生むに至っている。疑問が解消されない理由の一つは、「トヨタに対するスピードコントロール絡みのクレームのうち、70%までは、フロアマット問題又はペダルスティック問題によるリコールの対象ではない車に関してなされている」との議会調査結果が出ているのはなぜなのか(がわからない)、という点にある。
というのがこれまでの経緯らしい。「同社が、電気系統の欠陥の可能性を、即座に否定したにもかかわらず、アクセルが制御不能になる原因を十分に説明できていないことから、他にはどういった原因が考えられるかについてのたくさんの憶測を呼んでいる」(“The company's quick dismissal of electronic flaws and inability to fully explain the uncontrolled acceleration have generated many theories over what else might be in play.”)とも。

記事は、こういった電気系統の問題は、トヨタ車に限ったものではなく、また、「自動車メーカーは電子化時代に入っているのに、NHTSAは機械時代の発想に捉われているように見える」(“Carmakers have entered the electronics era, but NHTSA seems stuck in a mechanical mindset”)とのWaxman議員の言葉を引用しつつ、自動車の安全性を診断する機関であるNHTSA自体、電子化時代に十分に対応できていないのではないかと指摘している。

これに続く部分を思い切って要約すると、
  • 機会的な故障と違って跡形が残らないので、事後的に検証するのが非常に難しいが、
  • 静電気が、何かの拍子に電気系統に「悪さ」をし、
  • 誤った信号が発せられてしまう可能性は完全には否定できない
ということを言っているのではないかと思われる。

先週の公聴会を経て、トヨタに対する感情的な批判は一旦、鎮静化し、焦点は、電子制御問題の真相解明に、ほぼ絞られている。しかし、この記事に書かれていることが本当だとしたら、『問題がなかったということを完全に証明することは不可能だが、同時に、アクセルの故障を再現して見せることもほぼ不可能』なわけで、米国側が、どういった形で結論を出すのか、非常に関心が持たれるところ。
my home, Syracuse, Mar 1, 26:17

Monday, March 1, 2010

The United States–Japan Security Treaty at 50

Foreign Affairsの3月/4月号に掲載されているGeorge R. Packardの“The United States–Japan Security Treaty at 50”を読んでみた。著者のPackard氏は、以前に、Johns Hopkins大学School of Advanced International Studies(SAIS)のdean(学部長)を務め、今は、US-Japan FoundationのPresidentの職にある人。

全13ページのうち、10ページ目までは、戦後(一部、戦中)日米外交史の総覧。外交を専門としていない僕が言っても頼りないが、少なくとも僕の印象としては、公平かつ客観的に書かれているように思う。

この部分、日本人からすると、既に知っていること(或いは、普段からよく聞かされていること)の“おさらい”的な感じがして、やや退屈でさえあるのだが、“日本屋”でもない、一般のアメリカ人 ― といってもForeign Affairsを読む人なんて、ある程度、外交問題に関心ある人だけだろうけど ― からしてみれば、手短に日米外交史を勉強できる、うまいsummaryと言えるのかもしれない。

著者自身の主張は、10ページ目の中段以降で述べられている。曰く、双方の首脳(Obama, Hatoyama)は、普天間移設を巡る問題で、「著しく初動を誤った」(“both leaders have been extraordinarily ham-handed in their initial dealings.”)と。どう「誤った」のかについて、具体的に描かれている部分を、以下、抜粋してみる。
Washington should have given the new Hatoyama government more time to sort out its position on the issue of the Futenma base. More generally, the U.S. government should be celebrating the electoral victory of a strong second party in Japan as evidence that the seeds of democracy, which the U.S. government helped sow, have taken root. Doing so would mean no longer expecting Japan to meekly follow orders from the Pentagon. And it would mean recognizing the right of Japanese political parties to hold their own views on security matters. ...
... 
The U.S. government should respect Japan’s desire to reduce the U.S. military presence on its territory, ... . ... It should be aware that, at the end of the day, Japanese voters will determine the future course of the alliance. Above all, U.S. negotiators should start with the premise that the security treaty with Japan, important as it is, is only part of a larger partnership between two of the world’s greatest democracies and economies. ... 
In return for the removal of some U.S. troops and bases from its territory, the Japanese government should make far larger contributions to mutual security and global peace. It should explicitly state that it has the right to engage in operations of collective self-defense. Tokyo would be foolish to establish a community of East Asian nations without U.S. participation. ... The Japanese government should also stop protecting its uncompetitive agricultural sector and join in a free-trade agreement with the United States, an idea that has been kicking around for two decades and that the DPJ endorsed in its election manifesto.
(拙訳) ワシントンは、鳩山新政権に、普天間基地問題について冷静に考えるための時間を、もっとたくさん与えるべきだった。より一般的に言えば、米国政府は、日本の政権交代を、民主主義の芽吹きとして、祝福すべきなのである。それは、米政府が種をまき、根付かせてきたものなのだから。そうするということは、これ以上、日本に対して、従順にペンタゴンの命令に従うことを求めないということである。そしてまた、日本の政党が安全保障問題に関する独自の視点を持つ権利を認めるということである。...
(中略) 
米国政府は、駐日米軍を削減したいという日本側の希望を尊重すべきである。... 究極的には、日本の有権者が今後の同盟の在り方を選択するということを認識すべきである。なかんずく、米側の交渉担当者は、日本との安全保障条約は確かに重要であるが、しかし、世界でもっとも偉大な民主主義国、経済大国である二国間のより大きな提携の枠組みの一部分に過ぎない、という前提からスタートすべきである。...
駐日米軍の一部を引き揚げることと引き換えに、日本政府は、相互安全保障と世界平和に、より大きな貢献を果たすべきである。集団的自衛権を行使する権限を有することを明示的に宣言すべきである。米国の参加なしに、東アジア共同体を立ち上げようなんていう日本政府の考えはばかげている。... 日本政府は、競争力の乏しい農業部門の保護をやめ、米国とのFTAに参加すべきである。それは、この二十年間、散々検討されてきた末に、(日本)民主党が、選挙公約の中で支持したことなのだから。
最後の数段落で、いきなり話が広がっている感もあって、僕は完全には消化しきれていない(したがって、賛成とも反対とも、なんとも言えない)のだが、著者の主張を一言で言うと、「アメリカは、日本国民の『民意』をもっと尊重すべし。安全保障面で無理筋を通すのは慎むべし」、その代わり、「日本は軍事的にも経済的にも、アメリカからもっと自立すべし」ということになるのだろう。
my home, Syracuse, Feb 28, 25:24

Thursday, February 25, 2010

Congressional Hearing for Toyota on papers

昨日の米下院公聴会での豊田章男トヨタ自動車社長証言を受けての、今日の新聞記事を抜粋。(邦訳はすべてblog筆者による。)
Mary F. Calvert for The New York Times
Toyoda Is Wary Star of Kabuki at Capitol (トヨタ、議会“歌舞伎”ショーにて隙見せず)@ Wall  Street Journal
Whether Mr. Toyoda's performance won over rattled consumers won't be clear for weeks or months. But he did earn some respect from lawmakers.
"I want you to know that I am impressed by the fact that you came voluntarily before the committee," said Mr. Towns, the panel's chairman. "It indicates your commitment [to] making sure that these autos are safe."
(今日の公聴会での)豊田氏の証言によって、消費者の信頼が回復するかどうかは、数週間~数か月経たないとわからない。しかし、議員からは、一定の評価を得た。議長を務めたタウン議員は、「あなたが自主的にこの公聴会に出席されたという事実に、私は、感銘を受けた。この事実は、あなたが、トヨタ車の安全性の証明に真剣であることを示している。」
  
WSJのテレビ番組。「とにかく真相を解明しないとね」、というのがコメンテーターのコンセンサスのよう。尋問する側の議員は、安全問題と同時に、地元選挙区のトヨタ工場で働く労働者の雇用も気にしているはずだ、との指摘も。

Toyota president apologizes under fire of U.S. officials (トヨタ社長、米政府高官からの非難受け、謝罪。) @ Washington Post
Still, the Toyota executives seemed to elude the thunderous condemnations that congressional hearings sometimes evoke. In part, this may have been because of Toyoda's translator -- it added a delay and sometimes confusion. Some members thanked Toyoda for having traveled so far. And at least two members of the panel offered "konnichiwa."
とにもかくにも、トヨタ幹部陣は、激しい糾弾は回避することができた。そうした激しい糾弾は、議会公聴会ではしばしばなされるものである。この結果は、ある面では、豊田氏の通訳によってもたらされたのかもしれない。通訳は、議論に後れを生じさせ、ときに混乱をもたらした。議員の中には、豊田氏の渡米に謝意を伝える者もあり、また、少なくとも二人の公聴会メンバーは「コンニチハ」と日本語で挨拶をした。
An Apology From Toyota’s Leader (トヨタ社社長、謝罪) @ NY Times
Under questioning, Mr. Inaba, Toyota’s highest-ranking executive in the United States, acknowledged that Toyota was aware of issues with sticking pedals in Europe for a year before accidents in the United States.
That has been a crucial issue, because Toyota executives in the United States have said they found out about sticking pedal issues only last October.
The first reports of sticking pedals surfaced in Britain and Ireland in late 2008. By August 2009, Toyota began a production change on cars sold in Europe that was completed by January, weeks before it recalled millions of vehicles in the United States.
“We did not hide it,” Mr. Inaba said. “But it was not properly shared. We need to do a much better job sharing what we knew in Europe with the United States to see if there is any danger to American consumers.” Mr. Inaba said the American side of Toyota “was not aware or not informed of” the European situation until January, when he learned of it.
尋問の中で、稲葉北米トヨタ社長は、アメリカで事故が起こった一年前に、ヨーロッパでは、トヨタが、アクセルペダルの問題を認識していたことを認めた。アメリカでは、トヨタ幹部はこれまで「ペダル問題が発覚したのは去年の10月だった」と言っていたので、このことは重大な問題である。ペダル問題に関する最初の報告は、2008年の末に英国及びアイルランドからなされていた。2009年の8月までに、トヨタは、ヨーロッパで販売される自動車の仕様変更を開始し、(今年)1月までにはこれを完了している。これは、アメリカで何百万台もの車に対するリコールが始まる何週間も前のことである。
稲葉氏は、「我々は隠していたわけではない。しかし、適正に(情報が)共有されていなかったのは事実。ヨーロッパで見つかった情報をアメリカ側と共有する方法を我々は改善する必要がある」と証言。また、アメリカ側のトヨタは、ヨーロッパにおける状況を、今年一月に彼(稲葉氏)自身が知るまで「知らされていなかった」とも証言した。

On Tuesday, James E. Lentz III, the president of Toyota Motor Sales U.S.A., told the House Energy and Commerce Committee that the prescribed repairs might “not totally” solve the problem. In response to a question, Mr. Lentz said that Toyota was still examining the sudden acceleration problem, including the possibility that the electronics system might be at fault.
Mr. Toyoda and Mr. Inaba both said, however, that they were confident that the computer system was not at fault.
今週火曜日、Lentz米国トヨタ自販社長は、下院エネルギー・商業委員会で規定の修理は、問題を「完全には解決しない」かもしれないと証言。質問に対し、同氏は、トヨタは引き続き急加速問題を調査中であり、電気系統に欠陥があった可能性もなくなってはいない旨、答えた。
これに対し、豊田氏と稲葉氏は両人とも、コンピューター系統には問題がないことを確信していると発言している。 
議会公聴会というのは、そもそもが「突き上げる」ための場であって、そのこと自体は、相手が米国企業や政府高官であっても変わりはない。去年のBig Threeや、先月のガイトナーなんかも、けちょんけちょんにやられていた。

各紙の報道を見るに、公聴会はそういうもんだという前提の上で、トヨタ陣営は「いちおう、公聴会を乗り切った」と評価しているように思う。ただ、NYTは、具体的な「証言の食い違い」的なところを衝いてきており、この辺りが、今後、どのように扱われていくかが一つの争点になるのかも知れない。
Maxwell School, Syracuse, Feb 25, 17:38

Thursday, February 18, 2010

Virginia Files Challenge to E.P.A. Greenhouse Gas Regulation

Virginia Files Challenge to E.P.A. Greenhouse Gas Regulation @ Green Inc. in NYT.com (February 18, 2010, 1:30 PM)

今週火曜日、Virginia州が、federal appeals court(日本でいうところの高裁)に、昨年12月にEPAが出した、いわゆる“endangerment finding”(参照:WP@Dec8, NYT@Dec7)の見直し(review)を求める請願(petition)を提出したとの由。

記事によると、
Speaking at a news conference on Wednesday, Mr. Cuccinelli (※ Virginiaの司法長官) called the E.P.A.’s finding “an incredibly far-reaching decision” arising from what he called uncertain data and a “flawed process.”
“The potential impact of the finding on Virginia agriculture, the energy industry, manufacturing jobs, and in truth the cost of living for every single Virginian,” Mr. Cuccinelli said, “would create a staggering burden.”
との由。

いつも思うことだが、この手の主張の理由づけは、往々にして、論理的一貫性を欠いている。一つ目のポイント(EPAのdecisionが“far-reaching”かどうか)にチャレンジするのは、自由だと思うが、そのことと、二つ目のポイント(「そんなfindingをされてはVirginia州民が難儀する」)とは、はっきり言って関係ない。

“finding”で問われていたのは、人為的な温室効果ガスの排出が“threaten the public health and welfare of the American people”かどうかであって、それに対する“yes”との答えを受け、実施される(であろう)政策が、足下の経済にどういう影響を及ぼすかは、まったく別の問題である。別に、後者の問題がどうでもいいと言いたいわけでも、前者に比べて重要度が劣ると言いたいわけでもないが、ごくごく客観的・論理的に考えて、これら二つは「別の問題」であり、前者の判断の際に、後者の理屈を持ちだすのはおかしい。

記事によると、テキサスも同様の“challenge”を提出したそうである。
Maxwell School, Syracuse, Feb 18, 16:38

Monday, February 15, 2010

Google's News Archive

何をいまさらと言われるかもしれないが、Google(US版)News Archivesの使い勝手の良さに感動してみた。

たとえば、「Bush + Kyoto」で1997年~2008年を検索すると、こんな感じの度数分布が現れる。
このグラフ上で、「2001年」のところをクリックすると、年単位のグラフの下に、月単位のグラフが現れ、更にその下に、記事の抜粋が並ぶ。

技術的には、極めてclassicなのだが、過去の記事を使って論文を書く身にしてみれば、この機能は非常にありがたい。一つ一つのポイントはすごく些細なことなんだけれども、その一つ一つが、使う側にとって、とても便利な作りになっているように思う。

こういう機能をデザインさせると、Googleという会社はやっぱり上手い。アカデミックの世界で育ってきた社員が多いので、使う側のneeds&wantsがよくわかっている、ということもあるのだろうが、「とりあえずβ版で走らせてみて、気付いたところから直していく」という彼ら一流のやり方が大きく幸いしているようにも思う。どんな道具・仕組みでもそうだが、使い始める前に、ありとあらゆる事態を予測して、設計に織り込むなんて到底不可能。許されるのであれば ― 当然、それが許されない商品というものもあるが ― 、使いながら改善していくやり方の方が、絶対に効率的だと思う。

ちなみに、このNews Archives、当然ながらGoogle日本語版にはありません。だって、そもそも、新聞の過去記事がweb上には落ちてないんだもん。日本もそろそろ、(有料で良いから)アメリカみたく、webで普通に新聞記事を引っ張って来れるようにすべきだと思うんですけど、どんなもんでしょうか…??
my home, Syracuse, Feb 14, 26:27

Friday, February 12, 2010

follow-up for 'fast track' entry

火曜日のエントリに付けていただいたコメントへのfollow-upをば。(※ 注:かなりマニアックです)

まず、Komuさんからのコメントにあった「議会が大統領に委任するための具体的な手続き」ですが、Wikipediaによると、
It (= The Fast track negotiating authority) was in effect pursuant to the Trade Act of 1974 from 1975 to 1994 and was restored in 2002 by the Trade Act of 2002.
との由。通常の連邦法として措置されているようです。ちなみに、2002年法の条文はこちら。2002年法成立の際の両院投票結果は、同じくWikipediaによると、
At 3:30 am on July 27, 2002, the House passed the Trade Act of 2002 narrowly by a 215 to 212 vote with 190 Republicans and 27 Democrats making up the majority. The bill passed the Senate by a vote of 64 to 34 on August 1, 2002.
だったそうです。特に言及されていませんでしたが、基本的に、これ自体は「普通の法律」ですので、「両院の単純多数決」&「Senateではfilibuster使用可」ということではないかと思われます。

気候変動交渉との絡みで検索してみたところ、こんなarticleが引っ掛かりました。(下線・強調はblog筆者。)
The (U.S.) President can sign a climate treaty, but he relies on two-thirds of the Senate vote to ratify for it to become law, and Congress must subsequently pass implementing legislation. But judging from expressions of opposition to recent legislative proposals, sufficient votes for ratification of a climate change agreement are not assured; the President may decide to wait until Congress passes a climate change bill before making an international commitment that requires Senate ratification.
Other options may be available for advancing the international climate change agenda with U.S. participation, even without Senate ratification. It has been proposed, for example, that a congressional-executive agreement could be used instead of a treaty. The President has frequently used this constitutional authority; since the early twentieth century, over ninety percent of international agreements have been done as executive agreements rather than as treaties. However, such a move would appear to contradict a statement in the Senate Foreign Relations Committee report on ratification of the UNFCCC that “a decision by the Conference of the Parties to adopt targets and timetables would have to be submitted to the Senate for its advice and consent before the United States could deposit its instruments of ratification for such an agreement.” Still, measures related to adaptation, technology transfer and finance might be handled this way.
(Cymie R. Payne (2009). State of Play: Changing Climate at Copenhagen. ASIL Insight, Volume 13, Issue 24, December 2009, The American Society of International Law) 
更に遡ってみたところ、こんな文章も。
The Committee (=the Senate Foreign Relations Committee) notes that a decision by the Conference of the Parties to adopt targets and timetables would have to be submitted to the Senate for its advice and consent before the United States could deposit its instruments of ratification for such an agreement. The Committee notes further that a decision by the executive branch to reinterpret the Convention to apply legally binding targets and timetables for reducing emissions of greenhouse gases to the United States would alter the "shared understanding" of the Convention between the Senate and the executive branch and would therefore require the Senate's advice and consent.
(David M. Ackerman (2001). Selected Legal Questions About the Kyoto Protocol. CRS Report for Congress, National Council for Science and the Environment)
つまり、本来的には、Trade Actと同様の‘fast track’手続法を通しさえすれば、気候変動分野の国際交渉にもCongressional-Executive Agreement方式を使えるはずなんですが、殊、“legally binding targets and timetables for reducing emission of greenhouse gases to the United States”(米国国内における温室効果ガス排出削減に関する法的拘束力のある目標及び工程表)に関しては、「‘fast track’は認めませんよ」と、UNFCCC(国連気候変動枠組み条約)批准の際に、上院から釘を刺されてしまっているようです。

(ちなみに、このnoteの中に出てくる“advice and consent”は、米国憲法Article II, Section 2, Clause 2(いわゆる“Treaty Clause”: “[The President] shall have Power, by and with the Advice and Consent of the Senate, to make Treaties, provided two thirds of the Senators present concur....”)に出てくる表現そのまんまですので、「Treatyしか認めない(=Congressional-Executive Agreementは認めない)」ということを意味しているんだと思われます。)

このnote自体は、法律でも判決でも何でもないわけなので、どれだけ尊重されるべきかは、議会における慣習と、そのときどきの政情情勢で決まってくるんじゃないかと思われるのですが、現下の政治情勢を考えるに、これを無視して「手続法」を上院で通すというのは、なかなか厳しいのではないかと。と考えると、Iさんのコメントの中にあった、「条約に依拠したExecutive Agreement」で押し切る選択肢は、なおのこと厳しいと言わざるを得ないのかも知れません。
Maxwell School, Syracuse, Feb 12, 14:12