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そもそも、CDMというのは、何らかの事業(project)と一体となって、行われるものである。事業をするには当然ながら、金が要る。資金がショートすれば、それがどんなに「良い」事業であっても ― ここでいちいち「良い」の尺度を検証することはしないが ―、実施・継続することは不可能。これが大前提。
俗に「CDM事業(CDM projects)」と呼ばれるものをファイナンスの面から考える際には、“Conventional Project”と、(狭義の)“CDM Project”(あるいは、“additional CDM-specific component”)に分けて考えるのが有効である(UNEP(2007) “Guidebook to Financing CDM Projects”)。“Conventional Project”は、いうなれば「事業そのもの」。たとえば、風力発電のCDM事業(広義)を実施するのであれば、「風車による発電事業を計画し、風車を建て、その風車を実際に運用する」というのが、“Conventional Project”に当たる。これに対し、「諸々の手続きを経て、当該プロジェクトをUNFCCC事務局のCDM委員会に登録(registration)し、Carbon Creditsを販売し、monitoring、verificationを経て、CER(Carbon Emission Reduction。いわゆる「排出権」)を発行する」という一連のプロセスが、狭義の“CDM Project”、あるいは“additional CDM-specific component”に当たる。これを図にしたものが下図。(UNEP(2007) “Guidebook to Financing CDM Projects” p.52)
Conventional Projectと(狭義の)CDM Projectは、それぞれに、費用と収益を生む。最初に掲げた“大前提”に照らして考えると、事業を実施・継続するためには、
{Conventional Projectの収益+(狭義の)CDM Projectの収益}-{Conventional Projectの費用+(狭義の)CDM Projectの費用}≧ 0でなければならない。これを「条件A」とする。
もちろん、左辺がネガティブとなった場合に、NGOその他の団体が、損失を補填することも可能ではあるが、もしそのNGOが、(Conventional Projectの規模から見て)潤沢と言える資金力を持っているのであれば、最初からCDM revenueには頼らず、Conventional Projectだけを行えばいい。当該プロジェクトでCDMの利用が検討・模索されている時点で、そこまでの資金力はないものと想定できる。(多少のマイナスであれば補うことは出来るかも知れないが。)
なお、ODA資金のCDMへの流用(diversion)は、COP7(2001)での決定事項(いわゆる“マラケシュ合意”)の一つ、Decision -/CP.7 Modalities and procedures for a clean development mechanism
as defined in Article 12 of the Kyoto Protocolの前文で、以下の通り、禁止されている。
Emphasizing that public funding for clean development mechanism projects from Parties in Annex I is not to result in the diversion of official development assistance and is to be separate from and not counted towards the financial obligations of Parties included in Annex I,次にキーになってくるのが、京都議定書第12条5(c):
5. Emission reductions resulting from each project activity shall be certified by operational entities to be designated by the Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to this Protocol, on the basis of:
(c) Reductions in emissions that are additional to any that would occur in the absence of the certified project activity.
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5 事業活動から生ずる排出削減量は、次のことを基礎として、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議が指定する運営組織によって認証される。
(c) 認証された事業活動がない場合に生ずる排出量の削減に追加的に生ずるもの
Conventional Projectの収益-Conventional Projectの費用<0
- Conventional Project部分の赤字幅が小さいこと(ただし黒字であってはいけない)
- (狭義の)CDM Project部分の黒字幅が大きいこと
stoveの話は、やや極端な例であるにしても、ガーナくらいの発展度合いの国で、上記2.の条件に照らして十分な排出規模(=排出削減ポテンシャル)を持つ案件を見つけ出すことは容易でない。ここに、低開発国でのCDMの実施が難しい、最大の原因があるように思う。
加えて、リスクの問題もある。当然ながら、Conventional Project自体も事業リスクをはらむわけだが、それに加えて、(狭義の)CDM Projectも、それ独自のリスクを有している。具体的に挙げれば、登録(registration)に伴うリスク(=何らかの理由により、手続きでつまずき、CDMとして認められない)、CER issuanceに伴うリスク(=CDM案件としてはregistrationされたものの、予定されていただけのGHG排出削減が実現しない)、CER価格の変動に伴うリスクなど。次期枠組みを巡る国際交渉の進捗状況なども、価格に影響を与えるリスク要因となりうる。

