Sunday, May 30, 2010

"Dirty Dancing"

昨日のblogでは、「Thousand Islandsは“超”が付くくらいの金持ちたちの保養地」みたいなイメージで描いたが――実際、戦前まではそうだったと思うのだが――今では、もうちょっと庶民的なリゾートホテルが建っていたりもする。そんなホテルの脇をクルマで通過するとき、アメリカ人の同級生が、「“Dirty Dancing”みたいなセカイだね」と言った。「それ、なんね?」と聞くと、「アメリカ文化を知る上で欠かせない一作。今すぐ観ろ」と言うので、今日、さっそく、その『Dirty Dancing』(米・1987)とやらを鑑賞してみる。もう一人のアメリカ人は、「その前にIron Manを観た方がいいよ」と言っていたが、まぁ、順当と思われる判断により、とりあえず却下(笑)

NYC郊外のリゾートホテルで、長期の夏休みを過ごす医師一家。そこの次女である、高校出たてのinnocentなお嬢様が、ホテルで働くダンス・インストラクターと恋に落ち、父親の制止に抗いながら、大人の階段を上っていく、というストーリー。真っ先に浮かぶ感想は「お父さん、かわいそう…」てなもんだが、ここでは、むしろ、ストーリーより文化的背景の方に注目。

作中、NY郊外のリゾート地に家族単位でマイカーで集まってくる人たちは、長期(二、三週間?)の夏休みの間、ゴルフをしたり、湖水浴を楽しんだりしながら、ホテルでまったりと過ごす。客層は、中の上~上の下くらいの人たち。それこそSt. Lawrence川の島の上に別荘を建ててしまえるような、滅茶苦茶な金持ち層ではない。ある意味では、「普通」の人たち。

そんなわけで、ホテルは、Social School的なサービスも提供している。ダンス・スクールは、その中でも一番人気と見え、ホテルは、主人公(男の方)を含む住み込みのインストラクターたちを多数雇っている。リゾートシーズンの終わりには、宿泊客、従業員が参加してのパーティを開催。そこでは、従業員だけでなく、宿泊客の有志も一緒になって歌や踊りを披露。ある種、「大人の学芸会」な様相。その場面は、この映画のクライマックスにもなっている。

作中で、ホテルの支配人が、「世の中も変わった。このビジネスモデルもそろそろ限界かな…」とこぼすシーンがある。その言葉からして、この映画が公開された87年の時点では、こういったスタイルのリゾートは、既に過去のものになっていたということが分かる。今から言えば二世代近くも前の話だ。ただ、この「学芸会」文化、social party文化的なものは、今でもアメリカに息づいているように思う。あくまで、一定の所得層以上、ということではあろうけれど。この辺りは、単純に言葉だけでは割り切れない、文化的な「違い」の部分。そういうところに頑張って入り込んでいかないと、アメリカ人との本当の意味での人間関係はなかなか築けないものなのかなと思ってみたりもする。

アメリカの現代文化(というか、単純に言えば「ノリ」みたいなもの)を知る上で、この手のクラシック映画を観るのはなかなか便利な方法。と言いつつ、僕はこれまでほとんど観て来なかったので、これから留学される方には、早めにいろいろ観られることをお勧めします。
my home, Syracuse, May 30, 19:00

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