Sunday, May 30, 2010

1000 Islands

この地に来てから初めて知った話だが、ドレッシングのThousand Islandsは、Syracuseからほど近い“Thousand Islands”地域に由来している…らしい。「伝説」の真偽はよくわからないが(Wiki参照)、ともあれ、今日は、二年目組の友人たちと一緒に、そのThousand Islands Regionに日帰り旅行に行ってきた。

五大湖の中で一番東(=下流)に位置するOntario湖から、St. Lawrence川がちょうど流れ出した辺りがThousand Islandsと呼ばれる地域。大型船舶も余裕で通れる幅広い河川の中に無数の島々が点在している。“Thousand Islands”なる地名の付け方は、長崎の九十九島や、ラオスのSi Phan Do(「4000の島」の意)とまったく同じ発想。観光ボートのガイドさんの話によると、実際には、この地域の島の数は、大小合わせて2000を下らないらしい。  

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(Syracuseからだと、ほぼ真北にI-81を北上すること1時間半。)

この地域は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて開発された伝統的なリゾート地。American Dream全盛の時代、NYで一旗あげた富豪たちが築いたという別荘が、島々に残されている。もちろん、現役の建物も多いのだが、中には、使われることなく長年放置されてきたという曰くつきの建物も。
その一つが、アメリカ側の港町、Alexandria Bayからほど近いHeart Islandに残るBoldt Castle。プロイセンから渡米し、下積みの末に、ホテル事業で成功を収めたGeorge Boldtなる人物が、自分の夢を叶えるためにと建設に着手したのがこの“Castle”。しかし、愛妻の突然の死で、「夢」を追う理由を失ったBoldtは、電報で以て城の建設の即刻中止を命令。完成を目前に控えていた城と、それに付随する建造物群は、以降70年に亘り、誰に使われることもなく、ただただ放置され、風雪に晒されてきた。1970年代に入り、この地域の道路を管理する公的機関が島全体を買収。その後、少しずつ復旧を進めながら、今は観光地としても公開されている。

実際、島に渡ってみて、城の中を見学してきたのだが、そのセンスの良さは圧巻。贅を尽くしたメインの邸宅の他、出島に作られた古城風の発電所、島の反対側には、同じく古城を模した見張り塔と、まさにやりたい放題なのだが、「いかにも成金」といった嫌らしさがあまり感じられず、全体として、非常にきれいにまとまっているから不思議である。銀閣寺と同じで、完成を迎えなかったことが結果的に良い方向に働いたのかな…なんても思ってみたり。まぁ、Boldtさん自身にとってみれば、悲劇以外の何物でもなかったわけだけれども。
建物の中には、凍結した冬のSt. Lawrence川でアイスホッケーを楽しむ人たちの写真や、別荘の主と思しき紳士淑女たちが、キレイに着飾って並んで立っている写真も。気持ちいい初夏の日差しの下、古き良き時代のアメリカに、少し触れることのできた一日だった。
my home, Syracuse, May 29, 25:45

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