今朝の"Energy, Environment, and Resource Policy"の授業では、先生が「今回は何時くらいに当確スピーチを聞けるかね」との雑談を。クリントン(2期目)が圧勝した1996年の選挙のときは選挙当日の夜10時前、接戦だった前回の2004年選挙では、翌朝4時頃だったそうです。2000年については触れてませんでしたが、たぶん、当確スピーチ自体がなかったんでしょうね。明日は何時くらいになるのか知りませんが、たぶん明け方なんてことにはならないと思うので、せっかくですし、起きて待ってようと思ってます。
さて、その"Energy, Environment, and Resource Policy"ですが、今日から、Paul Robertsの"The End of Oil"という本に入りました。安全保障から温暖化に至るまで、石油をめぐるあれやこれやを一冊にまとめた本で、若干古くはあるものの(2005年発刊)、非常に面白い一冊です。前回の"Hot, Flat, and Crowded" by T. Friedman に比べると、はるかに論理的かつ客観的で、かつ、扱ってる内容が「かゆい所に手が届く」感じがあって素敵です。日本語版は残念ながら出てないみたいですが、ご興味のある方はぜひ原著でご一読を。(ご参考1:Googleでも読めます。ご参考2:「the End of Oil」のwebサイトもあります。著者のblog付き♪)
ただ、温暖化対策については、このRobertsさん、
The only practical solution, experts say, is to pace ourselves - time our strategy for emission reductions to mathc the natural "turnover" rate of the capital stock more closely.
(専門家によれば、唯一の現実的な方策は我々の歩調を遅らせること、つまり、我々の排出削減戦略(のペース)を、通常の資本の「更新」ペースにより近づけることだ。)
と言っています。この部分だけ読むと、良識ある(?)読者の皆さんは「あぁまたいつもの産業界の言い訳か」と思われると思うんですが、本全体を通して読むと(と言いながらまだ前半しか読んでませんが)、この著者は、決してただ安易に問題を先送りするような型の人間ではなく、むしろ、エネルギーと温暖化の問題を、realisticな視点から、とことん突き詰めて考えている人だということがよくわかります。それだけに、重いというか、なんというか…。
時間があればまたゆっくり書こうと思いますが、上の引用部分の後には、彼のalternative(代替案)が示されています。が、そのalternative自体は、僕にとって納得できるものではありませんでした。ただ、だからと言って、僕がこれまで「こうだ」と思ってきたビジョンが正しいと言い切れるわけでもない。上の引用に至る彼の論理には、それだけの説得力があります。
「そうは言っても、そんなこと言ってたら地球がダメになっちゃうじゃん」
ごもっとも。でも、そう言ってみたところで、世の中簡単に変わらないということは、20年の温暖化対策の歴史が証明済み。もし、「地球がダメになっちゃうじゃん」という理屈だけで、ことを押し進めようとするならば、文字通りの革命(「革命的な〇〇」ではない。)が必要でしょうね。少なくとも僕は、それに与することはできませんが。
となると、いくら問題が差し迫っていようとも(かなり差し迫っていると思いますが)、僕らは、10年後の地球のことだけでなく、明日の経済のことも考えながらやっていくしかない。両方が完全に満たされる解などあり得ないので、両方がなんとか妥協できる線を探っていくしかない。そんな風に思います。
その上で、僕らにできることと言えば、①パレート最適な解を見つけること、と②少しでも「温暖化対策」にとっての効用が大きくなるポイントでのパレート最適を実現すること。民主主義を前提とする以上、②は最終的には民意の問題、引いては倫理観の問題。そこへのアプローチもいまや必要だと思いますが、まずは①を実現するために何ができるかということを、この先しばらく勉強していきたいと思ってます。
Maxwell School, Syracuse, Nov 3, 22:48
2 comments:
「石油の終焉」は和訳されているよ。読んだけど、内容の割に値段が高い感じがする。
Thanks. 今日の記事で訂正しときます。ちなみに、アメリカでは、最初、ハードカバーで出た後に、お手ごろ価格のペーペーバック版が出ています。(僕は、ペーパーバックをsecond handで購入!!)
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