恥ずかしながらこっちに来てから知ったのですが、この国の電力の約半分は、石炭火力で賄われているそうです。それというのもこの国は、"the Saudi Arabia of coal"と言われるほど、石炭資源に恵まれているから。逆に言うと、それだけ大きな国内石炭業界を抱えているので、石油やガスへのエネルギーシフトは、政治的に容易ではありません。というわけで、この国の温暖化対策を考える上で、石炭の問題は、石油と同じくらい(あるいはそれ以上?)に避けて通れない問題になっています。
今日の授業は「炭鉱州」のお話に。アメリカの炭鉱の配置は、右の地図みたくなっていて(EIAのサイトから拝借)、AppalachianのPennsylvania, Ohio, West Virginia、InteriorのIllinoi, Kentucky、WesternのMontana, Wyomingなどは、しばしば「炭鉱州」と呼ばれます。
炭鉱州は、概して、採炭以外にまともな産業がなく、結果、平均所得が低くて、教育機関の充実度合いもイマイチ…とのこと。
その中でも、Lambright先生が"extreme"、"the bottom of bottom"と酷評していたのは、West Virginia州。アメリカ人な生徒の皆さんも同意見のようで、「街と言えるほどの街が一つもない」、「WVの大学は、たまに有名アメフト選手を輩出するが、有名学者を輩出することはあり得ない」、「町を歩いてて18歳から45歳くらいの人に会うことはまずない」、「一度行ってみたが同じアメリカとは思えなかった」と、とにかく散々な言われよう。挙句の果てには「基本的にregulationが存在しない」とまでも。もちろん、文字通り法律がないわけはないので、enforcementがゆるゆるだという意味なんでしょうが…。
授業の最後にLambrithgが言っていた一言―「WVには、炭鉱も多いが、アパラチア山脈の美しい自然もある。そこに住まう人たちは粗野だが、本当にいいやつらだ。ただ、その土地の雰囲気は、本当に哀しい(sad)。」 West Virginia、帰国するまでに一度は行ってみたいと思います。
ちなみに、今日の授業で使った本は、Jeff Goodellの"BIG COAL"。"the dirty secret behind America's energy future"という副題の通り、採掘から発電に至る石炭関連業界の裏側を、3年の取材をベースに書き起こしたルポタージュで、先週の"The End of Oil" 同様、重苦しくも、非常に勉強になる本です(僕的には、こっちの方が"The End of Oil" 以上に重かったかなぁ…)。今回は、ざっとしか読めなかったので、冬休みにゆっくり読みなおしたいなと思っていて、それが実現したら、このブログにもきっちり感想書きますね。
Maxwell School, Syracuse, Nov. 17, 15:16
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