Thursday, April 16, 2009

American Clean Energy and Security Act of 2009

History of International Relations の読書感想文(12ページモノ)を書き始める。いま、半分くらいまで終了。今週初め、クラスメイトの何人かに「朝型人間になる」宣言をかましてみたのだが、いざ挑戦してみると、やっぱり夜の方が集中できる。というわけで、例によって例の如く、あっさり前言を撤回し(ホントはもっと根気強く体質改善しないといけないんだろうけど)、明日、授業がないのをいいことに、今夜は息が続くところまで書き続けることにしようと思う。今夜中に4分の3くらいまで書き終えられれば、あとあとかなり楽になるなぁ。。
  
Pew Center(気候変動系シンクタンクの大御所)から届いたメルマガに、Waxman-Markey法案―正式名:American Clean Energy and Security Act of 2009―の概要が出ていた。4月7日のエントリーでも書いたが、同法案は、今年のcap-and-trade法案の本命。というわけで(どういうわけだろ?)、少し長くなるが、Pew Center作成による法案概要の概訳(もちろん公式訳ではないです)を作ってみることにする。こんなことやってる暇があったら、レポート書くべきでは?という気がしないでもないが、気分転換ということで(笑)。概要の原文をご覧になられたい方はこちらへ。

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American Clean Energy and Security Act of 2009 概要 (Pew Center作成の概要より一部抜粋の上、邦訳。文字の強調は筆者)
  • 2009年3月31日、Waxman (民主党‐カリフォルニア州)・Markey (民主党‐マサチューセッツ州)両下院議員によって提出。
  • Ⅰ) クリーンエネルギー、Ⅱ) エネルギー効率、Ⅲ) 地球温暖化汚染の削減、Ⅳ)クリーンエネルギー経済への移行 の4つの章から成る。各章の内容は以下の通り。
  • 第Ⅰ章: 再生可能電力に関する連邦基準、炭素回収・貯留(CCS)技術、新型石炭火力発電所に関するパフォーマンス基準、低炭素燃料に関する基準、スマートグリッドの推進
  • 第Ⅱ章: 建築物、照明及び電化製品の省エネプログラム
  • 第Ⅲ章: 温室効果ガス(greenhouse gas (GHG) )のcap-and-trade(詳細は後述)
  • 第Ⅳ章: クリーンエネルギー経済への移行に伴う、国内(産業)の競争力の維持及び労働者の保護、消費者への支援の提供、国内及び国外における適用(adaptation)イニシアチブの支援
Scope of Coverage(適用範囲)
  • 規制対象物質: CO2,CH4(メタン), N2O, HFCs, PFCs, SF6, NF3(注 NF3は京都議定書の規制対象外)
  • 規制対象施設: 大型固定発生源(年間25,000トン以上のGHGsを排出)、石油燃料の製造業者(精製者など)及び輸入業者、天然ガスの個人向け及び事業者向け販売業者、フロンガスの製造業者、その他の特定する排出源。

Target(目標)

  • 全対象施設から排出されるGHGの総量が、2005年レベルを基準として、2012年に3%、2020年に20%、2030年に42%、2050年に83%削減されるよう排出総枠を設定。
  • HFCsの商業用生産に関しては、毎年3%の削減が達成されるよう、別途、キャップを設定。

Distribution of Allowances(配分及び割当)

  • 排出枠をオークションによって配分するか、無償で配給するかについて、具体的には示さず。
  • (無償で配給するとした場合に)排出枠をどのように配給するかについても、一部例外を除き、具体的な方法を示さず。
  • これらについては、次のバージョンで示されるものと予想される。

Offsets and Cost Containment Measures(オフセット及びコスト抑制手法)

  • 20億トン相当までの排出削減については、オフセットの使用を容認 (10億トンは国内、10億トンは国外)。大統領は、このオフセット上限値の増減に関し、議会に対して検討を促す権限を有する。
  • 1トン分の排出をオフセットするためには、1.25トン分のクレジット(排出権)を提出する必要がある。
  • EPAは、「オフセットの品質維持に関する諮問委員会」の助言に基づき、(オフセットに)有効な(排出削減)事業のリストを決定する。
  • banking及び翌年度からの無利子borrowingを無制限に認める複数年履行制(2年周期)。
  • 2~5年後分からのborrowingも可能(削減義務の15%まで。また、この場合の利率は8%)。
  • 四半期ごとに戦略備蓄からの余剰排出枠のオークションを実施。
  • 初年度のオークションにおける排出枠の最低価格は、2012年排出枠予測価格(by EPA予測)の2倍に設定。その後、年々増額。

Carbon Market Oversight(炭素市場の監視)

  • 連邦エネルギー規制委員会 (FERC) により、排出枠及びオフセット市場を規制。
  • 大統領は、排出枠のデリバティブ(派生商品)市場の規制責任(者)を指名する。

Interaction with State and Regional Programs(州および地域プログラムとの関係)

  • 州は、より厳しい気候変動規制を実施することができる旨、明記。ただし、cap‐and‐tradeを除く。
  • 連邦レベルでのcap‐and‐trade制度実施のため、州レベルでのcap‐and‐trade制度は、2012~2017の間、中断しなければならない。
  • 連邦レベルでのcap‐and‐trade制度が適当ではなかったとの判断がなされた場合、各州は、州レベルのcap‐and‐trade制度を再開することができる。
  • カリフォルニア州又はRGGIによって2011年12月31日までに発行された排出枠を保有している者は、連邦の制度を通じて、それら排出枠の購入に要した費用の補償を得ることができる。

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去年のLieberman-Warner法案に盛り込まれていたCarbon Tariff規定 (アメリカと同レベルかそれ以上の温暖化対策をとっていない国からの輸入品には関税を課す、という規定)が、今年の法案にも盛り込まれているかどうかについては、とりあえず、この記事からは不明。春学期が終わったら、この点についても調べてみようと思う。

というわけで、宿題に戻ります。

Maxwell School, Syracuse, Apr 16, 22:28

(追記) NEDOさんのサイトに、すでに同法案の概訳が掲載されているのを発見!! たぶん、より網羅的でより詳しい情報が得られると思いますので、プロフェッショナルの皆様は、ぜひそちらのサイトをご覧くださいませ。(若干の徒労感に苛まれ中…)

Wednesday, April 15, 2009

Taste of Africa Day

今日のお昼は、Maxwell African Caucus (Maxwellに通うアフリカ出身学生&アフリカに興味のある学生の会)主催の“Taste of Africa Day”なるイベントに参加。無料でランチが振舞われるとあって(というのもなんですが。。)、普段学校でよく見かける面々はほとんどが参加していた気がする。冒頭、Caucusの代表らしき人から、最新のアフリカ情勢の説明があった後、buffet形式でアフリカ料理をいただきつつ、アフリカの太鼓 with ダンスを観て聴いて、Taste of Africaを堪能しましょうという趣旨。アフリカ人のクラスメイトたちは、カラフルな民族衣装を着て登場。やっぱり似合うし、なんか楽しそう。
    
料理もおいしく、非常に楽しい会だったが、その中でも一番際立っていたのはダンス。「人間ってこんなにいろんな動きができるんだ」と感心するくらいに動きまわる。身体のバネがとにかくすごい。そして何といっても踊っている本人達が心から楽しんでいる。ここのところ、若干お疲れ気味の僕は、その圧倒的なパワーに気押され気味…(苦笑) 6月のガーナ行きまでには、こっちもあんくらいテンションあげねば…(ムリ?)
   
ガーナと言えば、Akihitoさん、 “は~い私~~”さん、昨日のエントリーへの返信、ありがとうございます。その後、大阪の母上(←読者)からも「破傷風の注射は赤ちゃんの時に受けてるはずだけど、もう免疫が切れているのでは?」との的確なアドバイスが。というわけで、また日を見つけて、破傷風、狂犬病、B型肝炎の注射を打ちに行ってきます。
  
さて、午後のEconomics of Science & Technologyでは、一学期に一回回ってくるPolicy Discussionの司会役を担当。今日の担当は、僕と、韓国人のKさんという、こてこてのアジア人二人組。にもかかわらず、何の因果かお題は「アメリカの技術政策の課題」。まともに自分の意見を開陳しても、アメリカ人学生たちには太刀打ちできないので、プレゼンで彼らが勝手に盛り上がってくれそうな方向に議論を誘導し、あとはフロアにお任せすることに。この作戦がわりとキレイにはまって、(自分で言うのもなんだけど)なかなか良いディスカッションになった。
  
このクラス、先生だけでなく、生徒もみな、ひと癖、ふた癖ある。ミリタリーオタク、音楽オタク、環境オタク(←誰だっけ??)etc. みんなそれぞれの観点から「技術政策」に関心を持ってるもんだから、何かにつけて一過言ある人が多い。最初の頃は、ミリタリーオタク氏の暴走に、「お前の語りを聞きにきてるんじゃない」と、本気でイラついていた僕だったが、最近は、ちょっと引いて観察する余裕も。毎回、アメリカ人同士の奇論・暴論を交えた本気の言い合いを聞けるので、見ようによっては某在阪局制作の討論番組みたいで面白い(ちょっとホメすぎかな)。
  
今日のディスカッションでも、アメリカで理系に進む学生が減っているという事実に関して、「最近の学生は、nationに対するroyalityがなく、自分の儲けばっかり考えてMBAに走るから、アメリカの技術レベルが揺らぐんだ」とミリタリーオタク氏が主張すれば、別のアメリカ人が「学生に人気の分野は、市場原理に導かれて時代ごと効率的に決まってくるもの。てか、経済のクラスでpoliticalな議論するのはやめようぜ」とやり返し、クラスが和やかな(??)失笑に包まれる一幕も。英語がもうちょっとクリアに聞きとれれば、もっと楽しめるのだが。
  
授業の終了後、一緒にプレゼンしたKさんが、「ライオンの檻に放り込まれたけどなんとか食べられずに生還した」くらいの勢いで、「無事終わってよかったね~」と言いつつ安堵の表情に包まれていたのが印象的。まぁ、彼女は彼女でビビり過ぎだったと思うんだけど…(苦笑)
Maxwell School, Syracuse, Apr 15, 20:02

Tuesday, April 14, 2009

Road to Ghana #1

注射を打ちに行ってきました。
  
といっても別に、病気をしているわけではなくて、予防接種。実はこの夏、アフリカのガーナ (ここらへん→) にあるとある国際機関でインターンをする予定にしています。ガーナに渡航するにあたり、いろいろと予防接種を受けないといけないというわけ。とりあえず今日は、黄熱病とA型肝炎のワクチンを接種。自分の左腕の上腕二頭筋あたりに黄熱病の生ワクチン君が住み着いてると思うとなんかムズガユイ気分がします…(←たぶん考えすぎ)。
  
どのワクチンが要りそうで、どのワクチンが要らなさそうかを調べるだけでもけっこう手間がかかったので、今後のためにメモを残しておくことにします。貴重な情報をくださった先達の皆さん、ありがとうございます。

【注射したもの】
― 黄熱病(yellow fever)…ガーナに行くなら必須。これがないとビザがおりない。10年間有効。$115也。
― A型肝炎(hepatitis A)…今回の注射で6ヶ月間有効。6ヶ月後にもう一回打てば一生有効。一回当たり$58也。

【薬をもらったもの】
― 腸チフス(typhoid)…"VIVOTIF BERN EC CAP"という飲み薬タイプの生ワクチン(そんなものがあるとは知らんかった)。4回服用が1セットで、5年間有効。$46也。
― マラリア(malaria)…"DOXYCYCL"という薬を購入。マラリアの薬はいろいろ副作用がある(気分が滅入る、とか)と聞くので、どうしようか迷ったのだが、お医者さん曰く、「DOXYCYCLはそんなに深刻な副作用はない」とのことなので、いちおう購入。とはいえ、副作用で、軽い下痢が起こる可能性があるのと、日射に対する肌の抵抗力が落ちるらしく、日焼け対策が必須になるらしい。体質的に合う合わないもあると思うので、とりあえず飲んでみて様子を見ることにする。毎日服用、二か月分で$68.60也。(ちなみにLariumというマラリア薬は、副作用が結構キツイらしい。)
― 細菌性下痢の治療薬…これは予防薬じゃなくて治療薬。細菌性のお腹痛に効くらしい。まぁ一回くらいは下痢にもなるだろうからと思って買っておく。3日分で$16.50也。

【検討中のもの】
― 破傷風(tetanus)
…子供のときに受けた(と思われる)ワクチンが今も有効かどうかわからなかったので、とりあえず保留。きわめて一般的に育ってきた78年産まれの日本人男子なんですが、そういう人って、普通どうなんでしょう?ご存知の方、教えてください。

【不要と判断したもの】
― B型肝炎(heptitis B)…A型と違って、飛沫感染しないので(主に血液感染)。
― 狂犬病(rabies)…動物には近寄らないことにする。
― 髄膜炎(meningitis)…発症の多いシーズン(乾季)を外しているので。
― ポリオ(polio)…ガーナでは既に撲滅されているらしいので。

念のため、お医者さんに「今日は普通にしてていいのか」と聞いたら「全然OK」とのことだったので、アメリカ人の言うことを信じて(←危険。。)、今日の午後は、明日のプレゼン準備に励むことにします。
  
ちなみに、さっき、そのプレゼンの関係でPopp先生の研究室に行ってみたら、TwinsとRedosoxの切り抜き記事がやたらめったら壁と扉に貼ってありました。ひとつのチームの切り抜きを集めている人なら日本にも(黄色いチームの人たちを中心として)結構いますが、二つのチームの記事を同時に集めている人は珍しい。気になったので、打ち合わせ終了後、直接本人に聞いてみたら、「両方のファン」とのこと。やっぱりこの人、ちょっと変わっている…(笑) 帰り際、「僕も(松坂)Dice-Kのファンなんですよ」と言って、ちゃんと媚を売っておきました。
Maxwell School, Syracuse, Apr 14, 15:21

Peaks and Troughs, and Troughs..

今学期も残り3週間を切った。しかし、実質10営業日くらいの間に、プレゼンあり、読書感想文の〆切あり(←例のNordhausの本)、Quantitative Analysisの宿題あり、Econ of S&Tファイナルペーパーの提出ありと、非常に盛り沢山。いつもながら綱渡りである。今学期は、それなりに真面目に勉強してきたつもりなのに、なんで結局こういうことになるのだろうか?? (そっか。メキシコ行ってたからか…)
  
うだうだ言ってても仕方がないのでやるしかない。今日の夕方、一番気になっているEcon of S&Tのファイナルペーパーの執筆計画を立てる。日がないことを改めて確認。かなりお尻に火が点いてきた。
  
というわけで、このblogもしばらくは短めのエントリーの日が続くかも知れない。Nordhausの続きは、できれば今週中には書きたいと思っているんだけど(授業の課題の下書き代わりにもなるので)。
 
そんな、フル操業していないといけない時期のはずなのに、ここ数日、英語のlistenningとspeakingが絶不調。。 先週の授業では難なく聞き取れていたはずの先生の話がなかなか頭に入ってこない。以前に、このブログでも書いた気がするが、語学というのは、本当にスポーツと良く似ているなぁと思う。わかりやすく好不調の波がある。本当は、スポーツと同じように、調子が悪いときには悪いなりに「まとめる」術を身につけないといけないんだけど、まだまだその域には達せず。。 調子が上向くまで、とりあえずできるだけあがいてみます。ふがふがふが…。
My home, Syracuse, Apr 13, 24:52

Sunday, April 12, 2009

Recovery Act Funds to Clean Up of Petroleum Leaks

今日はなんだかお疲れ気味。なので、Nordhausの感想文の続きは次回以降にして、今日は、環境ニュースの紹介でお茶を濁すことにする。Nordhaus続編を楽しみにされていた方、スイマセン。そんなにたくさんはいないと思いますが…笑。
    
紹介するのは、さっき届いたUS-EPA(米国環境保護庁)のメルマガに載っていたニュース。2月の景気刺激法(the American Recovery and Reinvestment Act of 2009)で$200 millionの予算がついたClean Up Underground Storage Tank Petroleum Leaks(地下貯油槽からの漏出油クリーンアップ)事業の詳細が発表されたとのこと。US-EPAのサイトに、詳細が載っている。
  
新設される基金については、メルマガによると;

The funds will be used for overseeing the assessment and cleanup of leaks from underground storage tanks or directly paying for assessment and cleanup of leaks from federally regulated tanks where the responsible party is unknown, unwilling, unable, or the clean up is an emergency response.

とのこと。直訳しても「係る」と「若しくは」がいっぱい出てきて非常に見苦しい日本語になるので(笑)、意訳を交えつつ箇条書きすると;
  1. (当該汚染サイトに責任を有する者が実施する)アセスメント及び浄化作業の監視業務(←監視業務自体は州又は地方政府が行う)に対する補助
  2. アセスメント及び浄化作業に対する(州または地方政府からの)直接的な財政支出に対する補助 (以下の場合が対象)
      イ) 責任を有する主体が不明の場合
      ロ) 責任を有する主体に洗浄作業を実施する意志又は能力がない場合
      ハ) 緊急を要する場合

ということか(これでも十分見苦しい??)。

US-EPAのサイトを見ても、具体的な雇用創出効果などは出ておらず(This money will create thousands of jobs と書いてあるだけ。まぁ出ていたからといって…という話でもあるが)、試算が十分でないようには見受けられるが、直感的に言って、景気対策の一環として行う環境政策としては、非常に良いものではないかと思う。

なぜそう思うか。

第一に、施行後、比較的短期間での、雇用創出効果が見込まれる点。「Cleanup(土壌洗浄)」というが、要は一種の土木工事。なので、業種的に言って、需要の増加は、雇用に対して弾力的に影響しやすいのではあるまいか。

第二に、経済の生産性を高められる点。この施策なかりせば、塩漬けになったまま活用されなかったはずの少なからぬ土地が、この施策のおかげで動きだすのは確か。ということは、少なからず、経済の生産性向上に貢献するはず。

第三に、産業構造の改善に貢献する可能性がある点。これは、アメリカにどのくらい油漏出サイトが残っているか次第だが、もし、今回の施策をやりきってもまだまだそのようなサイトが残っているのだとすれば(たぶん、そうだと思う)、本施策終了後も、「油漏出サイト浄化ビジネス」は、一つの産業として成立し続ける可能性が高い(補助がなくなっても自律できるか、それまでにtake offできるか、という問題はあるが)。もしそうなれば、この施策は、新産業の立ち上げにも貢献したこととなる。

第四に、(上記二点とも関係するが)この施策がなければ、あまり自発的には行われないであろう事業を補助の対象としているので、既存の民間事業者の仕事を、政府が「奪う」心配はないという点。(もちろん、財政支出である以上、マクロ的な意味でのクラウディングアウトはある程度伴う。)

そして最後に、環境対策の観点から見ても、本当にやる価値のある政策であるという点。人口の約半数が飲み水として地下水を利用していると言われるこの国にとっては、地下水に潜むリスクを減ずる政策のベネフィットはとりわけ大きい。

この政策について、EPAのJackson長官は、会見の中で“EPA is putting people to work by serving our core mission of protecting human health and the environment.” と述べている。なかなかかっこいいお言葉。その言葉が実現するかどうか、今後の進捗に期待したい。

Maxwell School, Syracuse, Apr 12, 23:39

A Question of Balance #1

水曜日の授業で使うプレゼン資料を作っていたら、夜の11時過ぎにWashington PostのNews Alert メールが届く。こんな時間になんだろうと思って見てみたら、なんてことはない、Obama家のペットが判明したという他愛もない記事。たったそれだけのニュースなのに、webサイト3ページにわたる長編記事が掲載されている。疲れて途中で読むのをやめたが、今日に至るまでのスクープ合戦の裏模様などが書かれているみたい。Post社内に、相当の思い入れを持って追いかけていた記者がいるんだろう。個人的には正直どうでもいいと思うんだけど(笑)
   
ともあれ、犬が決まったというだけでこれだけのニュースになるということは、Obama人気もまだまだ堅調ということか。ちなみに、新しくホワイトハウスの一員となったその犬は、生後6か月のオスのPortuguese water dog。ケネディ上院議員がObama girls(Obamaの二人の娘、MaliaとSashaのこと。米メディアでは、この呼称が普通に使われている)へのプレゼントとして贈ったそうで、贈られたObama girlsは、"Bo"と命名したらしい。
猫派の僕としては、猫さんたちにも、クリントン政権以来の官邸ポストを作ってあげて欲しいと思うのだが、これまでのところ、そう言った噂はまったく聞かない…。確かに、ヤツらは家にいるからいいんであって、職場にいたら、単なるヤル気阻害要因にしかならないかもしれない。。。

さて、今日は、Nordhausの"A Question of Ballance"を読了。というわけで、(一昨日から同じような話が続いていて恐縮だが)今日を含めて2,3回で、この本について書いていこうと思う。

まず、この本のテーマは何かということだが、昨日のエントリーでも簡単に触れたとおり、気候変動対策の費用便益分析が主要テーマ。裏表紙の言葉を借りてもう少し丁寧に書くと、

... William Nordhaus integrates the entire spectrum of economic and scientific research to weigh the costs of reducinfg emissions against the benefits of reducing the long-run damages from global warming.

ということになる。

気候変動対策の費用便益分析レポートということであれば、我々環境屋さんの間では、2006年に発表されたStern Reviewも有名(というか、日本ではむしろこっちの方がはるかに有名)だが、両レポートのアプローチは、基本的には変わらない。ごく簡単に言えば、両方とも、将来的に発生するであろうthe costs of reducinfg emissions(排出削減に伴うコスト)と、同じく将来的に発生するであろうthe benefits of reducing the long-run damages from global warming(温暖化に起因する被害を減ずることによる便益)とを、それぞれ、現在価値に計算し直し、現在価値で測った時の benefit/cost が最大になるような政策変数(削減目標、税率、タイミング etc.)を弾き出しましょう、というアプローチだ。

ところが、両者の示す結果は、下のグラフで見ても明らかなように、あまりにもかけ離れている。(Baselineは何も政策を講じなかった場合。)

(本書p.100,101掲載のデータから作成)

このグラフで示された排出量を実現するには、Nordhausの計算によると、2015年時点で、Nordhaus案なら$41.90、Stern案なら$336.38を、税として、Carbon 1トンあたりに課す必要がある(同じだけの取引価格が生じるような排出量取引でも可)。実に8倍以上の開きである。

なぜこのようなことになるのか。これについてNordhausは、"[t]he Stern Review's radical view of policy stems from an extreme assumption about discounting."(スターンレビューの過激な予測は、discounting=割引率に関する極端な仮定に由来している)と述べている。(p.168)

Stern案がradicalなのか、Nordhaus案がtoo moderateなのかは一旦さておくとして、両案の大きな違いが、割引率に関する考え方の違いに依拠しているという点は、客観的に言ってまず正しい(と思う)。その点については、Stern陣営もきっと異論はないことだろう(もちろん、聞いてきたわけじゃないけど)。

というわけで、一昨日から散々書いてきているように、長期の費用便益分析を行うためには、割引率をどう設定するかが決定的に重要になってくるわけだ。

とりあえず今日はここまで。あと2回くらいで、この本についての感想その他もろもろをまとめてみようと思う。
Maxwell School, Syracuse, Apr 11, 26:11

Saturday, April 11, 2009

Take me out to the Ball Game

昨日のエントリーにも名前が出てきたYale大学経済学部の大御所、Nordhaus教授の近著("A Question of Balance")を、いま、しこしこ読んでいる。History of International Relations のクラスの担当図書2冊目。一冊目の本に比べるとはるかに面白い。内容が非常に濃いので、これをレポートにどうやってまとめるかは、悩みどころだけども。
  
経済学及び自然科学諸分野の知見に依拠する計量モデルを用いて気候変動対策の費用便益分析を行い、(一定の仮定の下での)最適政策モデルを示そうというのが本書の試み。昨日のエントリーで、割引率の話を書いたが、今日、この本を読み進めているうちに、まさにその割引率についての議論に遭遇した。というか、第4章 An Alternative Perspective: The Stern Review の30ページは、まるまる、割引率の議論に割かれている。有体に言えば、Sternの割引率の考え方と、自分のそれとがなぜ違っているのかを批判的に述べている。正直、今の自分にとっては難解すぎるところもあるが、丁寧に読めばなかなか面白い。詳細はあす以降に。
  
さて、久々に(?)遊びの話題を。まだ少し肌寒いながらも晴天に恵まれた今日の日中は、日本人の皆さんと連れだって、プロ野球観戦に行ってきた。といっても我が町にメジャー球団はないので、マイナーリーグの試合。いちおうこれで、アメリカ4大スポーツを制覇(?)したことになる。とはいえ、アメフトは大学、バスケはNBAのオープン戦、アイスホッケーはプロの2軍を観ただけなので、ほんとのメジャースポーツはまだ、ただの一戦も観戦してないんだけど(笑)
 
感想としては、一言、やっぱり野球は良い。
  
天井ではなく青空の下でやるからか、単純に昔から慣れ親しんでいるからか、その辺はよくわからないが、これまでアメリカで観てきたスポーツの中で、文句なしに一番楽しかった。勝手な先入観かもしれないけれど、僕らのイメージする「古き良きアメリカ」のイメージに一番近いスポーツが野球であり、ballpark(野球場)であるような気がする。Syracuseの球場(Alliance Bank Stadium)も、決して大きくはないし、派手さもないが、芝生がきれいで、いい雰囲気のある球場だ。
  
$10 のチケットで、ダグアウトのすぐ上に陣取れるのにも驚き。まぁこれは、アメリカだからというわけではなくて、マイナーだからなんだけど。これまで、野球は外野席から観るもんだとばかり思っていたが、初めてピッチャーの顔が見える側から野球を観て、「これが正しい姿なのかも知れない」と思った。バットがボールを真芯でとらえたときの快音を、バッターボックスからほんの数メートルの距離で聞ける喜びは、野球ファンとしては堪らない。まぁ、某球場のライトスタンドで黄色いメガホン振ったり、風船飛ばしたり、隣のおばちゃんに焼鳥もらったりするのも、あれはあれで堪まんないんだけど(笑)

というわけで、我がSyracuse Chiefsは2-9の大敗を喫したものの、観戦自体は非常に楽しく、いい休日が過ごせた。聞くところによると、Syracuseが所属するリーグには、井川慶がプレイするチーム(Scranton)も所属しているらしい。うーん、Scranton戦のときにもっかい来てみよっかな~。
Maxwell School, Syracuse, Apr 10, 27;10

Friday, April 10, 2009

Controversy over discount rate

このblogにも、ときどきご登場いただいている、バークレーのK.S.君(最近、彼のblogの背景が一段と爽やかになりました)とチャットをしていたら、Nordhaus vs Stern の話から割引率の考え方に話が流れて、その話題で30分くらい盛り上がった。結論としては、「まだまだお勉強が足りないっす…」と実感。。。(なんじゃそれ)

というわけで、あまり詳しく書くと勉強不足がバレるので、サラっとしか書かないが、要して言えば、経済学の観点から地球温暖化問題を考えるためには、超長期のスパンで費用対効果を見る必要があり、そのためには割引率をどう考えるかが決定的に重要になる、ということ。
  
この割引率なるものをどう考えるかについては、定説と呼べるものが未だない。というか、長年、定説であったものが環境経済学者などの手によって覆されようとしている。その試みが成功するのか失敗に終わるのか、そこのところはまだよくわからないし、成功するにしても、どこに着地するのかはますますわからない。さらにやっかいなことには、割引率をどう考えるかには、多分にその人の価値観が絡む。それぞれ自説を唱えていらっしゃる学者の皆様は、「自分の説は客観的に見て正しい」とおっしゃるだろうが、僕には(勉強不足のせいなのかもしれないが)、ある程度主観が織り込まれているように見えてならない。まぁ、経済学なんて本質的にそんなもんだと言ってしまえばそうなんだけど、こと、割引率を巡る論争については、ことさらその傾向が強いように思う。
  
ともあれ、曲りなりにも「経済学が自らの専門分野である」と名乗りつつ、環境政策に携わろうという人間にとっては、割引率にまつわる諸々の議論にある程度精通し、自分なりのスタンスを持つことが必須の要件ではないだろうか―――と、30くらい前に思ったので、帰るまでに頑張って勉強します。
My home, Syracuse, Apr 9, 26:35

Thursday, April 9, 2009

Germany's policy of containment

6日付のFinancial Timesの記事が、最近のドイツの不況ぶりを報じている。右のグラフからも見てとれるように、1月のIndustrial Output(鉱工業生産高)は前年同月比で20%以上も落ち込んだらしい。
  
同記事によると、昨年のドイツの輸出高はGDPの47%強を占めており、日本(20%弱)、米国(約13%)と比べても突出して高い。しかもその40%以上が"investment goods"(投資財。具体的には、機械設備、建設機械など)で占められているとあって、世界経済減速の余波が直撃。先週発表のOECD予測では、今年(2009年)のGDPは、5.3%縮小の見込みとされている。(ちなみに、日本の予測値は6.6%の縮小。)
  
つまり、ドイツ経済も、日本経済と同様(あるいは、それ以上に)外需偏重型であり、それ故に、去年の秋以降は、これまた日本と同様のメカニズムで、世界不況のあおりをまともに食らっていると言えそうだ。ここまでは日独両国でよく似通っているわけだが、それに対する処方箋はというと、大きく違っている。同記事によると、
Her (=Merkel's) strategy seems clear – sit out the crisis, preserving industrial strength as much as possible, and await the eventual upturn. The reliance on exports “is not something you can change in two years”, Ms Merkel said. “It is not something we even want to change.”
とのこと。Merkel率いるドイツは、某国首相にちくちく言われながらも(…)、大規模な景気対策には走らず、"sit out the crisis"(危機を耐え忍ぶ)しているわけだ。記事は、発言の抜書きなので、Merkelの真意がどこまで正確に表現されているかわからないが、本当にこういうトーンだったんだとしたら、ある意味、相当腹が座ってらっしゃるなぁと思う。
  
アメリカもイギリスも日本も中国も、大規模な財政出動に躍起になる中、なんでドイツがこういう作戦に出るのかというと、「過去のハイパーインフレの経験から、ドイツ政府は、財政政策の拡大に関して他国と比べ物にならないくらい慎重」であることが原因だと、記者氏は述べている。また、ドイツ政府の債務残高は、EUの平均を下回っているにも関わらず、ドイツ国民の多くは、「もう無理。すでに過剰債務」と思っている、とも。
(と言いつつ、ちょうど今日、新車買替促進補助の予算を、1.5 billion ユーロから5.0 billion ユーロ(約6,600億円)に拡大する、というニュースが出ていた。)
  
ドイツ政府は、あくまで「外需主導で頑張るもんね」というスタンスを維持しているわけだが、記事の最後の部分では、van Ark とかいうNY在住のエコノミストの言葉を引きつつ、
To generate better domestic demand, the focus should be on creating productive jobs in service sectors that sell locally, Mr van Ark says. Dismantling obstacles to competition in services would encourage greater efficiency, higher productivity and lower prices that benefited consumers and led to higher real wages. “That is the sort of dynamic upward spiral that an economy needs to keep growing.”
と書かれている。僕も、2月25日のエントリーや4月1日のエントリーで触れたとおり、結局のところ、議論は「いかにして外需主導モデルを卒業するか」というところに行きつくわけだ。

ドイツ政府は「卒業なんてしないよ」というスタンス。日本はと言えば、目下、ドイツと違って積極的な財政出動を行っているわけだが、これは、基本的に足下の内需拡大のための政策であって、産業構造そのものを内需主導型に変えるための政策ではない(と僕は思う)。つまり、日本も、中長期的に見れば、この問題から逃れられるわけでも何でもない。。
  
もう一つ、この記事を読んで思ったのは、アメリカやスウェーデンの経済政策を勉強するのもいいが、日本人はもっとドイツのことを研究すべきではないかということ。おそらく、経済的な意味での国の成り立ちが日本に一番近いのはドイツだろう。彼の国が、常に日本の先を行っているわけではないので、一方的に「先生」とするわけにはいかないが、互いに研究しあえば、(夢物語の事例としてではなく)現実的に参考にできる事例がたくさん見つかるのではないだろうか。それをするには、英語ソースでのドイツの情報が圧倒的に不足しているのが問題なんだけど…(言うまでもなく、日本に関する情報も同様。)。
My home, Syracuse, Apr 8, 26:20

Wednesday, April 8, 2009

50th Anniversary of the Antarctic Treaty

朝起きて外を見たら地面の上が白い。おいおい、4月に入ってもう一週間も経ってるんですけど!!! 今日の寒の戻りには、普段はナゾなほど寒さに強いアメリカ人たちも、さすがに参っているご様子。"Why we got to have snow in April??" "'Cause here is Syracuse!!" みたいな会話を今日だけで三回くらい聞いた(笑) こんなことを書くと、誰も来年Syracuseに来てくれなくなりそうなので大きな声では言えないが、天気予報によると、この雪、今日から土曜日まで断続的に降り続くらしい…。
  
今日は、Evaluation of International Programs のfinal paperに取り掛かっている。finalなので、最終提出日は春学期終了後の5月アタマだが、中間提出の〆切が明日。というわけで、例によってバタバタ(苦笑)
  
実際に世の中で行われているプロジェクトをひとつ取り上げ、そのevaluation(政策評価)の方法を考えろ、というのがこの課題。評価・分析するポイントをピックアップし、そのための情報を集めてくるには、何人が何日くらい働かないといけないかを考え、評価に要する予算も考慮した上で、feasible(実現可能)かつ効果的な評価手法を考えなさい、というもの。
  
International Program、つまり、国際機関が絡んでいるプロジェクトなら何を拾ってきてもいいのだが、僕は、どうせ近い将来ガーナの勉強をしないといけないので(詳しくはまた後日)、一石二鳥狙いでガーナUNDPの「LPガス普及プロジェクト」を取り上げてみた。元来、政策評価なるものがあんまり好きではない(というかどっちか言うとキ○イな)人間であるが(←スイマセン)、このプロジェクトは、真面目にやってみると意外に(?)面白い。無事、提出できた暁には、中身についても、詳しくご紹介したいと思う。

ともあれ、ここ一週間の間に、中国の技術政策を考えてみたり、アメリカの田舎の環境影響評価を議論してみたり、はたまた、ガーナの開発政策を評価してみたりと、忙しいとはいえ、政策好きにとっては、幸せな環境が与えられているなぁと思う。もちろん、「政策ごっこ」で終わらせないよう、常にその点は、注意しておく必要があるんだけど。
  
昨日6日から、ボルティモアで、南極条約協議国会議が始まったとのこと。このblogの読者にして、かつての"戦友"でもあるM氏が日本からのメールで教えてくれた。僕とM氏は、数年前、ともにこの案件に携わっていた間柄。僕にとっては、いまだに、一番強く印象に残っている仕事の一つだ。
  
今回は、南極条約締結50周年記念会議ということで、特別に、 南極条約協議国会議(the Antarctic Treaty Consultative Meeting)と北極協議会(the Arctic Council)のジョイントセッション(閣僚級)も行われた。その席上、クリントン国務長官が行ったスピーチの全文が、米国務省のサイトにアップされている。

「おめでとう」とか「ありがとう」とか、文字通り、外交辞令的な発言がほとんどだが、少しだけ、実質的な発言もしている。それが以下の部分で、ここで述べられている内容が、要は、今年の会議の主要議題になるんだろうと思う。(注!! 以下、いつもに増してマニアック)

The United States has also submitted a proposal to the Consultative Parties of the Antarctic Treaty to extend marine pollution rules in a manner that more accurately reflects the boundaries of the Antarctic ecosystem. Strengthening environmental regulation is especially important as tourism to the Antarctica increases. The United States is concerned about the safety of the tourists and the suitability of the ships that make the journey south. We have submitted a resolution that would place limits on landings from ships carrying large numbers of tourists. We have also proposed new requirements for lifeboats on tourist ships to make sure they can keep passengers alive until rescue comes. And we urge greater international cooperation to prevent discharges from these ships that will further degrade the environment around the Antarctica.

一つ目は、南極周辺海域の海洋汚染に関する規制の強化。"in a manner that more accurately reflects the boundaries of the Antarctic ecosystem"が具体的にどういうことを意図しているのか、これだけではよくわからないが、もしかしたら、積年の課題である、南極海洋生物資源保存条約をはじめとする漁業系条約との適用範囲争いに本格的に乗り出そうということなのかもしれない。
 
二つ目は、環境保護及び旅客の安全確保の観点からの南極観光の規制強化。こちらは、数年前から議論されてきた話。ただ、本当に法的に規制するとなったら、南極ギョーカイ的には、めちゃくちゃ大きなニュースになる。

ともあれ、南極という世界は、よくわからないところで、各国とも、国益をまともに気にしてんだか、環境保護派の好きなようにやらせてるんだか、読み切れないところがある。それゆえ、地(氷?)に足の着いていない議論がまま見られるのも事実で…。個人的には、法律家でも、環境保護派でもなく、実際に南極で活動しておられる科学者の皆さんの言葉をもっと大事にする必要があると思う。その意味では、クリントン発言の二つ目のポイントは、以前から科学者の方々が憂慮されていた点。進展があるといいなぁと、一個人として思う。
Maxwell School, Syracuse, Apr 7, 26:51

Tuesday, April 7, 2009

Waxman-Markey bill welcomed by US market

Economics of Science & Technology の課題を提出し、週末の短期集中授業も乗り切ったところで、なんとなく、ほっと一息ついていたのだが、今日の午後、改めてカレンダーを見直してみて、ほっとしているヒマなんてどこにもないことを再認識。幸い、先学期のように、〆切が一か所に集中しているわけではないので、メルトダウン的全崩壊のリスクはないが、一つ一つ〆切どおりに課題を終わらせていくと、最後の課題(Economics of Science & Technology の期末レポート) に充てる時間がほとんどないということが発覚(というか、再認識)。これはマズイ。どこかで貯金を作らねば…。えーっと、どこで??

久々にCarbon financeのサイトを見てみたら、cap-and-tradeを盛り込んだ The American Clean Energy and Security Act of 2009法案 が、3/31日に国会に提出されたというニュースが出ていた。提案者は、Henry Waxman(カリフォルニア選出民主党下院議員)とEd Markey(マサチューセッツ州選出民主党下院議員)。その記事のタイトル("Waxman-Markey bill welcomed by US market")を、このエントリーのタイトルにそのまま援用させてもらったが、ここでいうところの"US market"は、株価市場のことではなくて、RGGI(Regional Greenhouse Gas Initiative。東部諸州が自主的に行っているcap-and-trade制度)の排出権取引市場のこと。なので、この表題の付け方は、ちょっと吹かし過ぎだと思うが…(苦笑)
  
記事には、法案の中身についても、さらっと書かれているが、そこまで書いている時間はないので(←言い訳です)、詳しくは記事を読んでいただくとして、ここには、スケジュール感だけ書いておく。
    
同記事によると、法案は、提案者の一人であるMarkey議員が議長を務めるエネルギー・環境小委員会(the House subcommittee on energy and environment)で承認された後、もう一人の提案者であるWaxman議員が議長を務めるエネルギー・商業委員会(the House energy and commerce committee)に送られるとのこと。Waxmanさんは、「5/25までに自分の委員会を通過させる」と意気込んでいるらしい。で、最終的に、いつ法律として成立するかだが、同記事によると、気候変動問題専門シンクタンクPew Center(←その分野では超有名)のRoyさん曰く、
“be surprised if it became law this year”, but that it may not be necessary for a climate change law to be passed by both the House and the Senate for President
Barack Obama “to engage” in the Copenhagen talks. “Getting a bill through the
House [before December] gives Obama an idea of what’s on the table,”
とのこと。現実的な線では、今年12月のコペンハーゲン(というのは、次回の気候変動枠組条約締約国会議のことだが)の前までに下院を通せるかどうかが一つの試金石、ということのようだ。
Maxwell School, Syracuse, Apr 6, 26:23

Sunday, April 5, 2009

"Reconciliation"

週末の授業が終わった。今日の授業も、ディスカッションが中心だったが、本気モードのnativeと議論をするには、やっぱりまだまだ英語力が足りていない。講義の英語を聴きとるのとは、聞くのもしゃべるのも、求められるレベルが全然違う。そのレベルで英語をしゃべれるようにならないと、ホントは意味がないんだけどなぁ…。こっちに来た頃に比べれば、だいぶマシにはなったと思うが、目指すレベルに到達するには、まだまだ先が長い…。いちおう、まだ諦めてはいない。
  
今日も中国人のおじさんと少し立ち話をした。某省(地方政府)の環境保護庁にお勤めで、既に勤続20年らしい。こういう言い方をすると失礼だとは思うが、彼の地で20年間も環境行政に携わってこられたというからには、相当いろんな経験をしてこられたんじゃないかと思う。また一度、ゆっくりお話を聴いてみたい。というわけで、授業終了後、とりあえずメールを出してみた。
    
  
先週木曜日、上下両院が大統領の予算案を承認したが、その陰で、cap-and-trade 絡みのちょっとした(もしかすると大きな)動きがあった。

Obamaが示したもともとの大統領案には、cap-and-trade のオークションから得られる収入(向こう10年間で$646 billionと試算)を、拡大するヘルスケアの予算に充てると明記されていたのだが[3/27 grist]、当該部分は、上下両院での予算案承認の際に削除されてしまった。上院では、「キャップアンドトレード制度を伴う気候変動法案のために"reconciliation"を用いることを禁止する」(to prohibit the use of reconciliation in the Senate for climate change legislation involving a cap and trade system.)旨の改正決議付き。賛成67票、反対31票。賛成票のうちの26票はDemocratsからの造反。[4/1 grist]

大統領側が予算案の中で、なんでわざわざこんな規定を盛り込んだかという話だが、これには、filibusterという議会運営にまつわる制度が関係している。

現在の連邦議会上院で法案を通すためには(厳密に言うと、法案審議を終えて採決に移るためには)60票が必要(上院の議席数は100)。なんで過半数の51票じゃダメかというと、「反対側が延々と審議を続けることで時間切れ廃案に追い込むことができる」というナゾの制度(これをfilibusterという)があるから。この制度、もともとは制度というより、「演壇に立ち続けている限り、何時間でもしゃべりつ続けていい」というルールをいいように解釈した裏ワザ。昔懐かしい日本の牛歩戦術と基本的な発想はたぶん同じ。その昔、24時間以上しゃべり続けたツワモノもいたらしく、こんなんじゃ日が暮れる(というか日が昇ってもっかい暮れる)ということで、60の賛成票があればfilibusterを中断できるclotureという制度が導入された。なので、法案を通すためには、51票ではなく、60票が必要、というわけ。ちなみに今では、filibusterも近代化(?)されていて、実際に演壇に立ってしゃべり続ける必要はなく、「いま、僕たちfilibustingしてるもんね」と意志表示をするだけでいいということになっているらしい。なんだかポケモンかカードゲームかのワザみたいで、素人には何のこっちゃよく分からないが、たぶんこの理解で合っていると思う。詳しくはwkipediaを。

で、現在の上院の議席割りがどうなっているかというと、Democratsの議席が58で、cloture(= filibusterがえしっ!!)をするにはギリギリ2議席足りない。しかしここで更にもうひとつの裏ワザが。reconciliationといって、予算案にはfilibuserをかませられないことになっている。つまり、予算案だけは、単純過半数で通すことができるということ。
  
説明が長くなってしまったが、今回、大統領府側が狙ったのは、予算案の中にcap-and-trade絡みの規定を潜り込ませておいて予算案ごと通してしまうことで、filibusterを回避し、cap-and-tradeを既成事実化してしまおうという作戦。
  
結果はというと、上の方に書いたとおり、上下院とも、敢え無く敗北。上院でのDemocratsの投票結果から察するに、「cap-and-tradeの是非はともかく、そうゆう無茶なことはやっちゃいかんよ」というのが支配的なムードなんだろうと思う。僕も確かにそうだと思う。だって、どっちみち、本体の法案は、通さないといけないわけだし…。
  
というわけで、cap-and-trade法案の審議は、意味があったのかなかったのかよくわからない前哨戦を終えて、そろそろ本戦に移っていきます。
Maxwell School, Syracuse, Apr 5, 20:44

Saturday, April 4, 2009

Despute over an Orange

昨日のエントリーでも書いたとおり、この週末は、"Multi-Party Negotiation & Conflict Management of Environmental Disputes" という短期集中コースを受講している。アメリカのconflict managementの世界ではおなじみ"Interest-Based Negotiation"を環境問題に当てはめてみようというのが、このコースの趣旨。講師は、昨年までUS Institute for Environmental Conflict Resolutionという機関で所長を務めておられたEmersonさんというおばさま。現在は、うちの大学と、隣のSUNY-ESFで客員教授を務めている。
   
今日は一日、とある開発案件を例にとったロールプレイ。アメリカ西部の原野にある国有地内で、オフロードカーを走らせるコースの建設計画が持ち上がった。これをめぐり、オフロードカー倶楽部、トレッキング協会、地元先住民自治政府、郡政府観光局、州政府、連邦内務省国有地管理局のそれぞれの立場に分かれて意見を出し合う。アメリカで、この手のロールプレイを経験されたことのある方はお察しの通り、なんやかんやと鬱憤がたまる。午後の休み時間には、隣の席に座っていた中国人のEMPA生の方 (某役所で課長を務めておられるというそれなりのお歳のおじさま) に、「これ、現実と違い過ぎてないか?アメリカにしたって、本当の政策がこんなに住民参加型で決まってるわけでじゃないんじゃないの??」 とまくし立てられた。相当、ストレスがたまってたんだと思う。。。(お察しします。) 
     
とはいえ、今更ネガティブなことを書き連ねてもあんまり生産的じゃないので、あとあと使えそうな事をいくつかメモしておきます。  

そもそも、Interst-Based Negotiationてのは何かという話。よく使われる例は、オレンジをめぐる争奪戦のお話。AさんとBさんが、一個のオレンジをめぐって取り合いになる。AさんもBさんも、そのオレンジは自分のものだと言って譲らない。議論にならない言い合いをしているうちに二人とも疲弊し尽くし、双方納得はいかないながらも、半分ずつ持ち帰ることで妥協する。後日、再会した二人は、「ところで、あのオレンジは何に使いたかったのか」という話になる。Aさんは「オレンジジュースを作りたかったんだ」と言い、Bさんは「マーマレードを作りたかったんだ」という。そこで初めて二人が気づいたことは、最初からオレンジの取り合いをする必要なんてなかったということ(←マーマレードには皮だけあればよく、ジュースに皮は必要ない)。この例から分かるように、Position-Based (これは私のオレンジだ!!)の交渉は、ゼロサムゲームにしかならないが、Interest-Based(私がやりたいことはオレンジジュース/マーマレードを作ることだ!!)の交渉は、プラスサムゲームに持ち込める可能性がある、というのがInterest-Based Negotiationの基本的な考え方。

この話を聞くと、僕も含めて多くの(たぶん、多くの)日本人は、「毎回毎回、そんなうまいこといくかよ」とか、「現実的な範囲でなら、言われる前から自然にやっとるわ」とか言いたくなる。ただ、授業の中で、これを意識的にやってみて、思っていた以上に掘り下げられるもんだなぁという発見があった。たとえば、「次の休みにNYCに行くかAdirondack(←有名な州立公園)に行くか」というロールプレイの中で、「NYに行きたい」派(←別にクイズオタクなわけではない)が、"刺激を得たい"というinterestを挙げる。これに対して、「Adirondackに行きたい」派は、「刺激の質は違うが、Adirondackででも、ラフティングやスノーモービルで刺激を得られるよ」と反論する。
  
そんなのへ理屈じゃん――That's right。でも、交渉事なんて、へ理屈であれ何であれ、理屈をこねたもん勝ちという一面もあるわけで、そういう意味では、脳ミソを柔軟に使って理屈を編み出す装置としては、Interest-Based Negotiationも結構有用な気がしてきた(万能の道具でないことは言うまでもない)。
  
もうひとつは、Multi-Party Negotiationの技術の一つとして、交渉の最初に、groundrulesをみんなで決める、というもの。先述の開発案件ロールプレイで議論を始めるとき、司会役のEmerson教授が、「議論のルールを決めましょう」とフロアに振る。振られた側は、ちょっと「面倒くさいな」と思いつつも、「他人の発言中はinterveneしない」とか、「議場をdominateしない」とか、いくつか「ルール」を挙げる。出きったところで本番の議論が始まるわけだが、事前にこれをやっておくと、「自分たちで決めたルールだ」といういちおうの責任感があるので、なんとなく、そのルールは破りにくい。別に破ったからといってペナルティがあるわけでもなく、所詮、緩やかなプレッシャーに過ぎないのだが、それでも、各人に与える心理的効果はそれなりに大きい。当然ながら、「niceでありたい」と思う人や、体面を気にする人には、効果大。なので、日本人に対してこのワザを使えば、アメリカ人以上に効くんじゃないかという気がする。まぁ、気まじめ過ぎて、最初にルールを挙げるところで詰まってしまう、という可能性もあるが…。

最終日の明日の授業はお昼まで。各主体からコース建設プランの最終案を出し合った後、それを一つにまとめて終了です。
Maxwell School, Syracuse, Apr 4, 19:35

American "Karaoke" experience

今日は朝一で、秋インターンの申込先からの電話面接を受けた後 (朝から緊張してみたけど、意外とあっさり終了。そんな内容ならメールで聞けるじゃん…)、昨夜書きあげたレポートを大学に出しに行き、そのまま午後の授業に出席。5時に授業が終わったときには、さすがに疲れがどっと出て、今晩は休憩に徹することに決定。家で軽く宵寝をしたあと、D氏主催のカラオケパーティに行ってきました。
  
カラオケといっても、日本のようなBOX(個室)式ではなく、traditionalなスナック形式。ただ、日本のスナックとは違って(っていうほど日本のスナックに行ったこともないけど)年齢層がもうちょっと若く、女性のお客さんもいっぱいいます。「ママ」はおらず、その代わり(?)に、盛り上げ役のお兄さん三人組が司会とDJを担当していました。
  
というわけで、建物的には日本のスナックに近いんですが、雰囲気的には、スナックと、カラオケBOXと、クラブを足して3で割ったような感じでしょうか。結局こんな説明じゃようわからんと思うので、あとはみなさん各自でご想像ください。
  
自分に課して臨んだ「最低一曲歌うこと」というノルマは、無事達成。見ず知らずのアメリカ人の皆さんにも、喝采していただけて(歌の最中も嬉しそうに踊ってくれてました)、単純に楽しかったです。ストレス発散できました。
  
そんなこともしつつ、今週末は、今日から日曜日まで、3日間の集中コースを受講中。昨夏、夏学期の最初の授業を受けられなかったので、その分の単位(一単位)の穴埋めです。お題は"Multi-Party Negociation & Conflict Management of Environmental Disputes"。 明日はみっちり朝の8時半から夕方5時まで。遅刻するとまずいので、今日はそろそろ寝ます。授業の内容については、明日か明後日のエントリーにて。
My home, Syracuse, Apr 3, 26:46

Friday, April 3, 2009

Record Sales Growth of ...

明日〆切の "Economics of Science & Technology" のtake home exam を、なんとか無事終了。火曜日のエントリーで書いたとおり、結局、今週は、寝る間も削ってこの課題にかかりきりになってしまった。本来、そこまで時間を要する課題ではないと思うんだけども、英語で文章を書くのには、本当に時間がかかってしまう…。資料集めなどの準備の時間も含めると、ダブルスペース (一行おきに書くスタイル)でA4に8枚書くのに、延べ30時間以上はかかった計算になる。やれやれ。。
  
そんなわけで、体力的にはかなり消耗してしまったが(ただいま、若干、モウロウ気味。。)、課題の中身自体は興味深いものだった。今回の課題は、「政府資金で行われた研究の成果の民間企業への普及に関するアメリカの政策を評価せよ」というものと、「中国がより高度なR&Dを内製化できるようになるための方針を示せ」というもの。二問とも、この分野(技術政策)のど真ん中直球と言っていい問題。
  
前にも少し書いた気がするが、技術政策を論理立てて体系的に教えてくれるこの授業はpracticalで、非常に面白い。今学期、一通り勉強した後には、90年代以降の日本経済の低成長の元凶の一つともされる、近年の日本の技術政策を自分なりに解釈してみたいと思っている。論文にまとめられれば理想的なのだが(やるとしたら来年の春学期か)。
 
さて、このblogでは、日本国内のニュースは基本的に扱わないことにしているが、今日のYahoo! newsに非常にうれしいニュースが載っていたので、これまでの禁を破って(??)取り上げることとする。同記事によると、世界一おいしい餃子を世界一のお手ごろ価格で提供することで有名な(←以上は僕が勝手に書き足した内容)餃子の王将の先月の既存店売上高が前年同月実績を14.5%上回り、1967年の創業以来、最高の伸び率を記録したとのこと。WBCの日本優勝に勝るとも劣らない壮挙に、地球の裏側から、一人、快哉を叫んでいる。思い返せば、久宝寺口店、寺田町店、京都三条店、新橋店、水道橋店、西日暮里店と、僕の人生の傍には常に餃子の王将があった。ここアメリカでは、あの奇跡的ともいえる美味に触れられないのが残念でならないが、一年半後の再会に思いを馳せつつ、歴史的快挙に心から賞賛を送りたいと思う。
Maxwell School, Syracuse, Apr 2, 26:15

Wednesday, April 1, 2009

Slow Growth Society

韓国人の皆さんと、経済情勢の話をすると、皆、異口同音に 「日本の経済はrobust(堅調)でいいよね」 と言う。普段、日本のニュースに慣れ親しんでいる身としては、反射的に 「いやいやとんでもない」 と否定したくなるのだが、先様の状況を考えると、単純に否定すれば、逆に先方の気分を害するなと気づいて、喉まで出かかった言葉を呑む。そんな場面が今日もあった。
  
昨日付けのFinancial Timesに、面白い記事が出ている。欧米諸国では、アメリカのAIG騒動をはじめ、感情的とも言える世論の高まりが見られるのに対し、アジア諸国は、同様に急激な景気後退に見舞われながらも、奇妙にも平静を保っている、という記事。イギリス人かアメリカ人だろうと思われる香港在住のその記者は、この奇妙な「平静さ」の向こうに、アジア諸国の「自信」を感じ取っている。
  
日本からインドまでを、「アジア」の一言の下にひとくくりにするのには多少無理があると思うし、「平静さ」の源泉が本当に「自信」なのかどうかは甚だ怪しい(「過信」或いは「状況認識の甘さ」が源泉では??)とも思うが、欧米人がアジアをどう見ているかが示唆されているという意味では面白い。
  
この記事の中で、日本については、こう書かれている。
Even Taro Aso, Japan’s blisteringly unpopular prime minister, is blamed more for mispronunciation of Japanese than for his handling of the economy. If there is anger in Japan, it is not directed at bankers or fat cats, but at the once wildly popular Junichiro Koizumi, the former prime minister, who sold the country on the rhetoric of market reforms. Japanese are used to riding out difficult times. A boom for them is 2 per cent growth.(日本人は難局を乗り切るのに慣れている。何しろ、日本人にとって好況とは、2%の経済成長なのだ。)
「たかだか2%の成長でも「好況」だと実感できる社会」というのは、(インド人や中国人にとってだけではない)欧米人にとっても、驚きなのだ。
  
日本人と話をしていると、ときどき「スウェーデンのような社会を目指すべき」という意見を聞く。「スウェーデンのような社会」という言葉に込められている意味合いは人それぞれだと思うので、単純な議論はできないが、もしそれが「低成長でもそこそこ安定した社会」を意味するのだとしたら、日本は、(それなりの経済規模を持った国の中では)世界に先駆けて、既にそれを達成してしまっていると言えるのではないだろうか。

そのことの肯定的側面を強調するならば、日本人は、自国の経済システムの良さを、もうちょっと認めてあげてもいいということだと思う。日本から半年以上離れてしまっているので、肌感覚として、今の日本がどのくらい「冷え込んでいる」のかわからないが、最初の話に戻って、たとえば韓国と比べてみたときに、日本の経済の方がはるかに安定しているというのは否定しえない事実だろう。それは別に韓国との比較においてだけでなく、世界中のほとんどの先進国との比較において言えることだと思う。
  
否定的側面を強調するならば、「知らぬ間に目標地点に到達していたけれど、結局、あんまり幸せにはなれなかった」ということなのかもしれない。もしそうだとしたら、多くの人(多いのかな?)が理想として掲げている「低成長社会」のモデルを練り直す(或いは、もっと精緻に作り込む)必要があるということではないか。

いずれにせよ言えることは、諸外国との比較の中で、もっと冷静に自国の経済システムを分析・認識する必要があるということだろうと思う。今の日本人は、他国と比べればそこそこイケている部分の良さには気づかずに、「もっともっと」と欲しがる反面、本当に大切な部分についてはおろそかにしてしまっているような気がする。それは、経済のことに限らないのかもしれないけれど。
Maxwell School, Syracuse, Apr 1, 19:17

Tuesday, March 31, 2009

April without Cherry

今日で3月も終わり。日本では明日から (日本時間では既に今日から) 新学期ですが、アメリカはもちろん、いつもどおり。サクラも花粉症もなく、卒業式も入社式もない春というのは、なんだかちょっと味気ないもんです。

僕の籍がある(はずの)東京の某組織にも、明日、新入職員が入ってきます。ここに来る前、僕自身が彼らの採用に携わっていたこともあって、ちょっと特別な思いもあり、昨日は、彼ら宛てのメールを書いてみました。えらく長々と書いてしまったので、何人が最後までたどり着いてくれたか心配ではありますが…汗。ともあれ、彼らには本当に頑張ってほしいなと思います。東京で、一緒にお祝いできなくてゴメンなさい。

さて、今週の僕はというと、"Economics on Science & Technology" の二回目のtake home exam と格闘中。金曜日夕方が期限なので、今週は、授業に出ている以外は、ほぼこの課題にかかりきりになりそう。

この留学期間中、基本的に成績にはこだわらない、ということにしているんですが(目標が低くてスイマセン)、そうは言っても、学期に一つくらいは、良い成績を取りたいもの。それに加えて、"Economics on Science & Technology" を担当しているPopp先生(←技術政策と環境経済学が専門)とは、今学期終了後も繋がりをキープしておきたいという思いもあり、この授業の課題には、いつも以上に頑張って取り組もうと思っています(Historyのクラスの課題の時みたいに文句ぶーぶー言わずに。。。)。

というわけで、またしばらく忙しい日が続きそうですが、残り1か月となった春学期も、楽しみつつ、有意義に過ごしたいと思います。
Maxwell School, Syracuse, Mar 31, 19:43

Monday, March 30, 2009

Ice Saints

寒の戻りで久々に氷点下まで気温が下がった今日のSyracuse。車で6時間離れた(いちおう)同じ州のWall Streetでは、最近少しばかり好調だった株価が、こちらも久々に大きく下落。理由は明らかで今日、Obama大統領が、GMとChryslerに復興プラン練り直しを求めたから。各社の報道はニュートラルなトーン。そりゃ政権としても、AIGのときにあれだけ騒がれたら、「はい、そうですか」といって、すんなり再建案を通すわけにはいかないですよね・・・。
  
練り直しのために、GMには60日、Chryslerには30日の猶予が与えられたとのこと。Chryslerには、「伊Fiat社との提携をまとめてこないと助けてやんないよ」という厳しい条件付き。新聞には、「倒産(bankrupcy)も選択肢のうちか」といった見出しもちらほら出ています。一ヶ月後、どうなってしまうんだろ…。

景気の悪いニュースと言えば、我が大学の交換留学支援機関(SU生の送り出し & 他大学からの受入れの両方を担当)SU Abroad がfinancial difficulitiesで苦しんでいるとのこと。今日の校内紙The Daily Orangeの一面に出ていました。 同部門だけで、既に$1 million 以上の負債を抱えちゃっているとか(こらこら)。他大学からの留学生の激減(昨年度比1.5割減)が響いているそうです。

Chryslerも心配ですが、うちの大学も大丈夫でしょうか…(やばいのは、きっとSU Abroadだけじゃないはず。。)
Maxwell School, Syracuse, Mar 30, 23:19

Saturday, March 28, 2009

Sorrows of Economists

池田信夫氏が、自身のblogに面白いことを書いている。
総じて主流の経済学者は制度設計に重点を置き、マクロ政策の効果には否定的だ。裁量的な政策を支持するのは政治的な立場を背負った経済学者が多く、「何かやらないと政治的にまずい」という政権からの要請が影響しているものと思われる。オバマ政権の巨額の財政政策には批判的な意見のほうが多く、FRBの非伝統的政策についても効果は限定的だという意見が多い。「ケインズが復活した」という表現は政治的には正しいが、学問的には正しくない。この30年間に経済学は進歩し、政府の裁量的な介入は有害無益だというコンセンサスが世界的に成立しているのだ。
個人的に(あくまで個人的に)、この意見には賛成だが、厳密に言うと、最後の一文は「コンセンサスが経済学者の間では世界的に成立している」と修正する必要があるだろう。経済学者の間では、議論の一応の収束化が図られつつあように見えるが、「何かやらないと政治的にまずい」という政治的風潮は、世界中どの国を見ても変化の兆しさえなく、両者のギャップは広がるばかりだ。
  
ここアメリカでも同様のことが起こっている。このblogでもときどき紹介しているMankiw氏は、自身のblogで、政権の裁量的な財政政策を批判し続けているし、その彼のblogは、相当数のアクセス数を記録している(それだけたくさんの人が読んでいる)が、だからと言って、彼の意見が現政権の経済政策に、実質的な影響を与えているとは思えない。
  
こういう様子を見ていると、「政治」との力関係において、「政策」って何なんだろう、「経済学」って何なんだろう、という虚しさを覚えないわけでもない。僕自身、(たとえばこの回と比べて)言っていることが振れているのは自覚してるんだけど…。
Maxwell School, Syracuse, Mar 28, 16:22

Top 10 Think Tanks in US

最近は、週末ごとのお出かけが続いてましたが、今週末は、久々におとなしくSyracuseで過ごしてます。やらないといけないことは、いろいろ溜まっていますが、ちょっと一息。。。

バスケットのNCAAトーナメント、今晩、3回戦があって、我がSUは、71-84で、オクラホマ大に負けちゃいました。ざーんねん。脳天気に、もうちょっと勝ち進んでくれるかなぁと思ってたので、今日は試合も観てなかったんですが…。盛り上がり損ねてしまいました(←動機がフジュン)。来年に期待。

今日は、いつかネタ切れ(笑)したときに書こうと思っていたネタを。半分、自分の勉強用なので、たぶんあんまり面白くありません。ご容赦を。

皆さんご存じのとおり(かどうか知りませんが)、アメリカでは、「シンクタンク」と呼ばれるお仕事の人たちが跋扈しています。政治家や役人が、政府の高官ポストを退いた後、シンクタンクに移り、次なる政権入りの機会をうかがう、なんてこともしばしば。日本にもいちおう「シンクタンク」と呼ばれる機関はありますが(とか言うと、日本のシンクタンクの方に怒られますが)、その財力、分析力、発信力、そして何より政治力といった面で、日本のそれとはだいぶ違っているみたいです。

授業でもメディアでも日常会話でも、有名シンクタンクの名前はしょっちゅう出てくるんですが、BrookingsとかHeritageといった超有名どころは何となくわかっても、業界の全体像がこれまであんまりよく見えてなかったので、ネタ切れ(!!)したのをいいことに、今日は、シンクタンクについて、お勉強してみたいと思います。
 

左の表は、Extra! という雑誌のweb版記事から拝借してきたもの。ABC、CBS、NBC、Fox News,、CNN,、MSNBCなど米有名メディアで言及された回数をもとに、シンクタンクをランキング付けしています。
 
今日は、このうち、1位から3位までを(例によってwikipediaさんのお力を借りつつ)紹介します。


■ Brookings Institution
DCの繁華街、Dupont Circle近くに位置するBrookings Institutionは、経済、都市政策、政治、外交、国際経済、開発など、幅広い分野をカバーするシンクタンク。ミッションは、"provide innovative and practical recommendations that advance three broad goals: strengthen American democracy; foster the economic and social welfare, security and opportunity of all Americans; and secure a more open, safe, prosperous and cooperative international system." wikipediaによると、「"non-partisan"を自称しているが、近年、メディアからは"liberal"だとみなされているとのこと」。確かに、アメリカでの一般認識は、Brookings = liberal ≒民主党系 ですね。メリーランド出身の実業家 Robert Brookingsさんが1916年に設立したのが始まり。ワシントン最古参シンクタンクの一つ。

■ Council on Foreign Relations(CFR)
日本語では「外交問題評議会」と訳される、その名の通り、外交問題に特化したnon-partisanシンクタンク。本拠はNYC。外交専門誌 "Foreign Affairs" の発行機関としても有名。「会員はアメリカ政府関係者、公的機関、議会、国際金融機関、大企業、大学、コンサルティング・ファーム等に多数存在する。知名度が高く、影響力が大きいことで知られる。」(by 日本語版wikipedia) 田中宇氏に言わせると、"アメリカの外交政策決定の「奥の院」"。 実際、「陰謀論」的な噂には事欠かないようです(日本語版wikiにもその辺、ちょっと書かれてます)。大統領Woodrow Wilsonの私的諮問機関として学識経験者が招集されたのが始まり。恒久的な機関としての設立は1921年。その創設以来、Morgan家及びRockefeller家とのかかわりが深い、とも。(by 英語版wikipedia)

■ American Enterprise Institute for Public Policy Research (AEI)
1943年創設の保守系シンクタンク。ミッションは、"to defend the principles and improve the institutions of American freedom and democratic capitalism — limited government, private enterprise, individual liberty and responsibility, vigilant and effective defense and foreign policies, politic alaccountability, and open debate" 英語版wikipediaによると、ブッシュ(子)政権の屋台骨を支えたシンクタンクの一つ。「左」代表のBrookingsの「右側カウンターパート」とみなされることも多い。とはいえ両機関によるコラボレーションもときどき行われているみたいですが。ちなみに、AEIの現在の代表(President)Arthur Brooksは、去年の12月まで、Maxwellで教鞭をとっていた先生。直接習ったことはないですが、Maxwellでは超有名な名物教授でした。

というわけで、また今度ネタが切れたときに、4位以降の続きを書きます。10位くらいまでは、勉強しておきたいなと思っています。
my home, Syracuse, Mar 27, 25:30